●2004年10月号報告書●


日増しに秋の気配が濃厚になってきております。
フト昨年の今頃、何してただろう・・・と記憶と記録を辿ってみるうち、2003年10月号の衝撃で頭グルグルさせながら、海外の街角を彷徨っていたことを思い出しました。
「もうそんなになるのか」と思い、同時に「まだそれだけしか経ってないのか」とも思います。
なんだかそれが1年前でも3年前でも、それよりもっと前でも今はさほど重要ではないというか・・・。
なぜかというと「懐かしい」という感情が湧いてこないんです。多分それは自分の中でその時の気持ちだとかなんだとかがまだ過去のものになってないということなんだと思います。物語は現在進行形で、あの時の想いは今の時点まで確かに繋がっている。
すべてを見届ける日まで、この気持ちを見失わずに行きたいですね。そんでは行ってみましょう今月のOURS報告書!

冒頭。救援船のクロニカさん。戦闘態勢突入モード。もう一人自立型プラントのドミナさんも登場。
この救援船団にはトータルで一体どれだけの自立型プラントの方々がいらっしゃるんでしょうか。
今のところ、台風兄弟以外には男性型プラントは登場してませんが、どこかにいるんでしょうか。
ちなみにこの救援船団の動力はやっぱりプラントさんなわけでしょうか。自立型とそうでないタイプの二階層に分かれて両者並存してるのか、それとももう旧型の原始プラントは存在しなくなってるのか、そうなると人類は新たなるエネルギー源を発明してるってことなのか・・・・とかとか、色々考えてみるわけなのですが。
「過去に何度も融合体との接触はあった」というドミナさんの発言を見るに、総てのプラントが同じ立場にあるわけではなさそうということは推測されます。
地球上でも融合体による局地的一斉放棄の歴史とかあったのかもしれないなぁ・・・とか。
いつかそのあたりのお話もサイドストーリーで観てみたい気はしますが。(歴史話大好きなので)

舞台は星上に戻りまして。オクトヴァーンの中心、街の高台に聳え立つSHIPの残骸。その最上階にはナイブズを待ち構える台風氏の姿。
・・・・・・・・・・・・・・・あの・・・・・・黒髪率異常上昇してませんか??というか黒髪じゃないところ探すほうが困難なんですけど・・・。( ̄- ̄;)
SHIPの上を吹き抜ける強風の中、佇む台風氏の横顔からは決戦を前にした決意とか、気合いとか、そういう類の感情は感じられませんでした。
緊張感がない、というわけではないんです。ただそこにあるのは熱を伴う激しいものではなく、もっと静かで確かな意志。そんな感じがしました。
自分の左腕を右腕でギュっと抱えるように握りしめて、目を上げた台風氏のその眼差しの綺麗さが、嬉しいと同時にひどく切なくもあって。
今、彼の表情にあのどこか空虚さを抱えたような笑いはない。素のままの彼の心情が映し出されていると思うとそれはとても嬉しいことなのだけれど、その深く澄んだ瞳に痛いような切なさも覚えてしまうのです。 どうして、山のような苦しみや悲しみを抱いていながら、そんなにも真っ直ぐな瞳であり続けることができるのか、と。
そうやってまた、痛みも悲しみも怒りも全てを呑みこもうとしてるのかって。
・・・・・・・・マキシマム3巻冒頭の牧師の台詞や心情がフィードバックしてくる感じなんです。
ちなみに左腕をギュウっと握り締めた仕草に込められた意味合いを色々考えてみたんですが・・・・・・牧師の十字架は胸元ではなくて左腕にしまってあるってことにしてもよいでしょうか?(無理矢理)
・・・・・・でなければ、胸元の十字架を抱きしめる仕草と解釈させてください。
そう考えると直接握り締める動作より、深い情感がこもって、ちょっと気恥ずかしい気もしますが・・・。
でも、台風氏ならそれもありうるかなと。大切なものに対して臆病になるタイプの人だと思うし。
強い力で握り締めると壊れそうなくらい華奢な十字架だったから・・・・・・アレ。
(いや・・・台風氏が牧師の十字架を持っているとは、原作上のドコにも描かれていませんよ?でも持ってるんですよ。私には見えるんですよ。(←コワイから))

そして思い起こされる過去の様々な場面。
大墜落。ロスト・ジュライ。フィフスムーン。
旅の中で出会った数々の人々の顔・顔・顔。(テレビシリーズ版のキャラクターも含めてほぼオールキャスト豪華揃い踏み)
その中に一人、牧師の姿だけが、ない。
ただ彼を象徴する、墓標代わりに教会に置いてきたパニッシャーが回想のラストでレムと並ぶ大ゴマで登場して。
その理由はなんとなく、朧に分かるような気がするんです。
ウルフウッドという存在は、もうこの物語の中で(台風氏の中で、と言い換えてもよいですが)完全に別格になってしまっていて、何かと比較するような対象ではなくなってしまっているってことなんだろうなぁと。レムはもちろんこのお話の根の部分にいる存在ですから、それはそれで別格なんですが、そういういわば「原点」的なものではなくて、もっとなにか能動的で肉感的なもの・・・と言ったらいいんでしょうか。推進力というか動力というか、トライガンをトライガンたらしめているもの。物語の輪郭を浮き上がらせる陰影や、奥行き、深さをもった広がりは彼なしでは最早成り立ち得ない。
だから、回想に牧師の姿がないことに違和感を感じなかった。逆にどの位置に牧師が登場しても、違和感を覚えたんじゃないかと思います。
(私自身が諦めきれてないので、こういう解釈になるだけかもしれませんが・・・)
で、なにが言いたいのかといいますと。
台風氏にとっても、牧師はまだ思い返す過去の中にはいないんじゃないかということ。
表裏一体、分かちがたく今、リアルにそこにいる存在なんだろうと。
想い出じゃない。だから過去の彼の姿を思い描くことはしない。
そうであって欲しい・・・というか、そう解釈するのが自然な気がしてしまったんです。
今、台風氏が一人この場にあることが、傍目にはひどく切なく映るのですが、彼自身は孤独ではないのかもしれない・・・とか。

脳裏を駆け巡る記憶を噛み締めるように目を閉じて、再び静かに目を開いた台風氏の眼前に、迫りくるナイブズとプラント融合体の巨大な姿。
巨大な羽を広げたような異形のその姿を真正面に見据えて、静かに佇む台風氏の立ち姿。その後姿からはいっそ荘厳とでも言いたくなるような気配が漂っていて。
『旅が終わる―――』
重なるモノローグに、この物語はこの場所のこの戦いで終局に辿り着くのだという実感が改めて湧いてきて、不意に泣きそうになりました。
しかし今はまだ泣いてる場合じゃないだろうと、どうにか踏みとどまりましたが。
静かに特殊弾を装填した愛用の銃を手にとり、祈りを捧げるように目を閉じる台風氏。
『だけど日々は終わらない。俺が愛したこのタフで優しい日々は・・・』
そう。日々は続いていく。そのことを信じて、彼は今この場所に立っているのでしょう。
・・・・・・・でもその続いていく日々の中に、台風氏は自分自身の姿を思い描けているんだろうか?と思ってしまいました。
私は、なんとなく思い描けていないような気がするんです。
それは、自分の未来を諦めているとか、もうここで終わりにするつもりだとかいうことではなくて。
ただ、思い描けない。それはやっぱり辿り着く明日を分かち合いたいと願った相手の姿が、もうそこにないからじゃないかと。
前出の「台風氏にとって牧師は過去の人じゃない」っていうのと矛盾するようですが、それと同時に、未来にいる人でもないと思うのです。
その喪失をはぐらかしているわけではなくて、台風氏はキチンと受け止めている。
でも昇華はできていないんじゃないかと。過去にも未来にもならない今という場所にしか、彼を引き止めて置けない状態なんじゃないかなと。
私はそれでいいと思うんです。別に今、無理に想いを昇華する必要はないじゃないかと。
思い描けていないならいないで、今はそれで構わない。
まず眼の前に迫っている事態を切り抜けて、生き延びること。
続いていく日々の歩き方は、その後で考えたっていいじゃないかと。
・・・・・・・・・・書いているうちに、だんだん台風氏の心情を解釈してるんだか、自分の心理状態を分析してるんだか分からなくなってきましたが。
結局、私が思い描けていないだけなのかもしれないんですけどね。牧師が側にいない台風氏の未来の姿っていうものが・・・。
想像しようとすると、どこかの詩人が歌っていた「花より先に実のなるような不自然さ」に近いものが付きまとってくるので・・・。

さて、舞台は再び救援船のクロニカさんたちの側へ戻りまして。
攻撃用に準備される対プラントエネルギー弾。その名は「トールハンマー」。
「雷神の槌」ですね!出力はおそらく9億2400万メガワットでしょうか!!発射元は表面が対ビーム用鏡面処理を施した超高硬度鋼と結晶繊維とスーパーセラミックの複合装甲が4重になってる、丸っこい直径60キロメートルの人工天体だったりはしませんか!!!(・・・しないよ)
・・・・・・すいません。思いがけないところで思いがけない名前に出会ってかなり方向違いに浮き足立ってしまいました。
(某英雄伝説の要塞主砲が同名だったもので・・・私にとってはまさに夢のコラボレーションな組み合わせなのです)
一撃必殺の強力な武器であることはクロニカさんの話しぶりやドミナさんの反応から一目瞭然でありますが、もはや融合体となった相手とは話し合う余地なしということなんですね。
攻撃に至るにしても、もう少しタイミングを見てになるのかな〜と思っていたのですが、まさか先手必勝でここまでハイテンポに事態が進行するとは思ってませんでした。

星上のナイブズに狙いを定めて発射されるミサイル。
でも、その瞬間にオクトヴァーンに近づきつつあったナイブズの姿が忽然と掻き消えて。
一瞬の静寂の間のあと、ナイブズの姿が現れたのは、オクトヴァーンの中心に位置するSHIPの残骸の頭上。
まさに台風氏のいるその場所の真上に瞬間移動してきました。
最初、いったいどこへ移動したのか分からなかったんですけど・・・そういうことですよね?
もう事態は急転直下の勢いで回り始めていて、全然待ったがない状態です。
いきなり間合いを詰めてきたナイブズに台風氏はどう対するのか。
攻撃をしかけてきたクロニカさんたちに対するナイブズの反撃となるのか。
そしてクロニカさんたち救援船の人たちは、星上の状況をどこまで把握してるのか。
(融合体の位置以外、あまり認知されてなかったらそのまま第二射きそうでちょっと待て!なんですが)
レガート氏はまだコインイベントを諦めていないのか。そもそも一体今どこにいるのか。(もう、この人だけ周囲の状況どこ吹く風で独自路線に走りそうで怖いし・・・)
エレンディラさんは目的果たしてしまったのかとか。リヴィオくんはどうしてるんだとか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・まったくホントに「どこで何が起こるか予測が難しい」と台風氏が言ってた通りの状況になりつつあります。

なにも見落とさないように、しっかり目を見開いていきたいと思います。
そして、来月号は内藤さんがOURS表紙!どんな構図でくるのかとても楽しみです。



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