●2003年11月号報告書●


今号は帰国の翌日が発売日で、旅行の荷解きも終わらぬうちに本屋に走って買ってきたのは良いものの。
なかなか封が切れない。紙袋からも取り出せない。
大学の合否判定の時も、就職の採用通知の開封だってこんなに怖くはなかったのにと自分の人生まで振り返りだしてみたり。
ようやく取り出した本誌も、表紙のジオブリを眺めては置き、また手にとっては置きの繰り返し。
結論を繰り越せるのなら繰り越したいという弱気な思いとか、明日の仕事の心配とかが胸をよぎり、自分の心の準備状態とか健康状態とかも 散々考えあぐね、読むのは週末まで止めにしておこうかとも考えたりしたのですが。
結局我慢はものの半日も持ちませんでした。
トライガンに出会ってからコッチ『私、最近ドキドキしてない』(BYこんにゃ○畑)という感情とは縁を切って久しいなぁなんて思ってみたり。
とにかくサクサクいってみましょうOURS報告書!


冒頭。パニッシャーからの一斉射撃の銃弾が降り注ぐ中、ラズロ目掛けて飛び込んでいく牧師。
止まらない牧師の疾走に業を煮やしてか3本のパニッシャーを逆手に回し、ランチャーミサイルを3本同時に発射するラズロ。
2003年5月号のひとコマを思い出したりもしましたが。
対する牧師の反応速度はラズロの予想を超えるもので。
ランチャー発射を見て取ると、素早く体を捻って前後を入れ替えランチャーのミサイルをやり過し、前方で爆発したミサイルの爆風を防ぐため パニッシャーを盾に身を庇う。
この一連の動き、実に何気ないんですけど、恐ろしく肝が据わってないとできないことに読み返してる途中で気付いて唸ってしまいました。
敵に突っ込んで行ってる最中に体の前後を入れ替えるということは、武器を構えた敵に無防備な背中を晒すことになるし、発射されたミサイルの 弾道を正確に読みきっていなければ後ろ向きでやり過すことなんて出来ないわけじゃないですか。
かといって単純にやり過しても前回のように互いがぶつかりあえばその衝撃波が背後から襲ってくる。
そこら辺をミサイル発射のあの瞬間に計算して、敵に一瞬といえども背中を晒すリスクを考えた上で迷わず対処したあの判断力と度胸のよさ−言い換えるなら戦闘センスの高さ−は、さすが牧師というべきなんでしょうね。
そして、爆風から身を庇うのみでなく、その衝撃さえも利用してバックステップを踏んで相手との間合いを一気に詰め振り向きざまにラズロにパニッシャーを叩き込む。
この速度感。動いてないのに確かにそこにある速度感。ええな〜。
その牧師の攻撃を両手に持ったパニッシャーで食いとめて
「才能があるのはおまえだけじゃねぇんだ」
と自慢げに呟くラズロ。
それに構うことなく続く牧師の攻撃。
一本一本パニッシャーを持つ手を容赦なく確実に封じることで、状況を5分にまで持ち込んでいき、そして始まるパニッシャー版ガン=カタ勝負。
互いのパニッシャーを至近距離で発砲しながら打撃系武器のようにぶつけ合うこのシーンは・・・・・すいません、凄すぎて描写が追いつきません。
普通の銃でやったって充分デタラメだというのに、パニッシャーですよ?
人一人殺すのには余計なくらいと言われる通り、明らかに対巨大重火器系仕様の最強の巨大個人兵器なんですよ??
それをチャンバラ並みのスピードで片手でぶん回しながら大立ち回りやってるんですよ???

デタラメーズ見参。

って感じですよホンマに。

あああ、動いてるので見てみたいっっ是非見てみたいっっ(身悶え)動画希望!(どこへ)

手合わせの合間にも加速度を増していく牧師の攻撃。
互いの攻撃が一瞬間合いを取ったその時。
弾かれたような衝撃がラズロの横面を襲って。
その衝撃の正体は。
牧師の構えたパニッシャーの、爆風をよけるため盾にしたため外装が外れた片側から長く引き出された帯状の弾倉。(弾帯といえばいいんでしょうか?)
それが牧師の動きにあわせて鞭のようにしなり、次の瞬間まるで意志持つ生き物のようにラズロの喉元から上半身へと絡み付きます。
この見開きの、牧師の目が前髪に覆われて見えない表情とかかなりいいなと思うのですが。
それ以前に、あなたは一体どこを通って一瞬のうちにラズロの前面から背面に回ったのかと問いたい気持ちもあり。
・・・・最短距離なら股下でしょうか。

不意の拘束に呻くラズロ。
その声を背後に聞きながら、牧師は地面へとおいた弾帯の端に懐から取り出したハンドガンの銃口を静かに押し付けて。
「これで終いやラズロ!!」
次の瞬間、ハンドガンの発砲と同時に連なりあう銃弾がまるで爆竹のような誘爆を起こし、ラズロの上半身は爆発の閃光の中に飲まれます。
至近で生じた爆発は脅威の再生能力も追いつかないほど、ラズロの体を破壊していて。
原型をとどめないほど焼け爛れたその状態で、ラズロを襲う死への恐怖と痛み。
恐らくは初めて体験するそれらの感覚に戸惑うラズロの眼の前で、牧師は手にしたパニッシャーをゆっくり放り出し。
ラスト。

渾身の力で繰り出された怒りの鉄拳がラズロの顔面にクリーンヒット!!

・・・・・最後の最後で肉弾戦になるあたりが極めて牧師らしいというかなんというか。
これは攻撃というよりは、冒頭の呟きと併せて考えて「ニコ兄」としての「ラズロ」ではなく「リヴィオ」に対する「エエ加減眼覚まさんかい、オラァ!!」的、 渇入れだとは思うのですが。

今号は一読後、安堵からくる虚脱感からしばらくの間抜け出せずにおりました。
何はともあれ今月も牧師が無事でいてくれたことが嬉しくて。
再読時には、先月のあの心臓を高速脱水機でギリギリ絞られるような緊迫感からほんの束の間解放されて、純粋に楽しむことができました。
確かに見せてもらいましたよ。『パニッシャー』の通り名が伊達ではなかったということを!
昔、「弾切れになったら、きっとアレをブンブン振り回しながら敵に向かっていくに違いない」とか冗談半分で書いたことがありましたけど。
まさかあそこまで振り回してくれるとは(笑)
ラズロがほぼ人外の状態にまで追い込まれた時には見ていてちょっと心配になりましたが。
スマン。今は君より牧師が心配。(キッパリ☆)
でも心配心配言いながらも、今月のように必死で戦う牧師の姿は大好きでして。
矛盾してるのかなぁと思いながら、そこに惚れた自覚もある分、自分でも手に負えない感じです。
幸せになる彼らの姿は絶対見たい。
でもそれ以上に、自分たちなりの答えを求めて必死で戦う彼らの姿に惹きつけられるんですよね。
結論に行き着くまでのプロセスに価値を求めるタイプなんかな、私は・・・。
(人生は全部プロセスだと思うしなぁ・・・)


来月号、牧師は「ラズロ」の向こう側にいる「リヴィオ」を取り戻すことができるのか。
取り戻せたにしても、その後一体どうなるのか。
気がかりは尽きないわけですが。
ちょっとブレイクタイム的気分になれた今月の反動がきっちり返ってくる予感はあり。
それに来月号は表紙も内藤さんですから。
今や伝説と化した1999年5月号と同格かそれ以上の企みがなされているに違いないわけですよ。
本屋で理性を忘れた野獣と化して出入り禁止にならないように、自制心強化でその日に望みたいと思います。



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