9月に入ってから夏らしい日が続きます。なんでやねん。
おかしいじゃないか夏。愛なんていらねぇよ夏。嘘です。欲しいです愛。カモン、ラブ&ピース、ビバ大歓迎!(意味不明)
茄子とアンダルシアの夏の間には一体どんな因果関係があるのか気になって仕方ない今日この頃ですが。
今月号、まともに喰らったハートブレイクショットのお陰でいつにも増して脳内シナプスは混乱気味です。
思考があっちゃとびこっちゃとび、気持ちはハイになりローになりでまとまる気配がありません。
どうしてくれるんだ伊達さん・・・(クレーム先、間違ってます←『はじめの一歩』知らない人には訳分からん呟きでゴメンなさい)
それでも会社には行かねばならず仕事はせねばならず、日常ちゅうものは待ったなしで追いかけてきます。
どうにかこうにか気持ちを切り換えオプティミズムなポジティブシンキングを盾に社会生活を送る日々。
それでもフッと気を抜くとヒンヤリと嫌な気配が鎌首もたげて首筋を撫でていくわけです。
先月、「大時化がきても耐えられるように」云々ゆうてましたが、大自然の脅威の前で一人の人間というのは無力なもので。
「掛け値なしの厄ネタにはそんなものは通用しない」っつうバレイ氏の言葉をいやがうえにも噛み締める結果と相成りました。
だからといって時給八百円のCDレーベルのうどんに文句つけたりとか、ひょっこりひょうた○じまキャンディのダンディさん涙目で握り締めたりとか、
近日公開の『S・W・A・T』のキャッチコピーが過去形でエライ縁起が悪いんじゃ!と映画館のポスター相手にケンカ売ったりとかするのはお門違い
もいいとこだとは思うのですが。
(余談ついでに。『S・W・A・T』の予告ストーリー見ててなんとなく無印トライガンの初っ端のお話(アイプリル市民全員による人間台風捕獲
大作戦)思い出したのは私だけではないと思われ・・・捕まえるか逃がすかという違いはありますけど)
とにもかくにも、いってみましょうOURS報告書再整理版!
冒頭、空を飛ぶ黒い大きな鳥の姿。
それに重なる台風氏のモノローグ。
『不思議な男に会った』
から始まるこのモノローグで初めて、無印からマキシマムまでの全編通して、本当に初めて台風氏の牧師に対する心情が吐露されます。もともと牧師に比べて台風氏のモノローグ回数は極端に少なく、今まで「牧師の気持ちはとてもよく分かった。で、台風氏は?肝心のアナタの気持ちはどうなのよ??」とヤキモキすることが多かったので、これはかなり嬉しかった。
牧師の想いは一方通行ではなかったんだなぁと。
牧師が台風氏のことであれこれ思い悩んでいたように、台風氏もキチンと牧師のことを気にかけていたんだなぁと。
本当に凄く嬉しかったのですが。モノローグが呼び込む不吉な気配に手離しで喜ぶ気になれなかったのはお察しの通り。
で、先月のド突き漫才が観客注視の中、そう長い間継続されるはずもなく。
お付きの人たちが放つ飛剣攻撃によって舞台は再び闘いの場へと引き戻されます。
二手に分かれて攻撃をかわしつつ物陰に回りこみ、互いが自分のハンドガンに銃弾を再装填しながら交わされる何気ないヤリトリ。
こういう場面、トライガンの中で一番好きかもしれません。
牧師の台詞を聞いてると今までもこんな場面は数多くあったってことで、先月のラズロ君の「共闘い慣れてる」発言の裏打ちがされています。
(でもやっぱ今回は一味も二味も違うでしょ??そうでしょ?そうだよね?とそこらへんの解釈は変更なしで)
一緒に闘う気満々の台風氏に牧師は静かに宣言します。
「アイツはワシ独りでやる。おんどれは手をだすな」
当然出される台風氏からの大却下通達。現実主義の男のらしくない発言に台風氏猛反発。
「絶対戻らなきゃなんないだろ!?子供達と一緒に、みんなの所へ!!」
そう必死で叫ぶ台風氏。(この時の表情、無茶苦茶好きです。一生懸命な台風氏ってなんでこんなにええ表情なんやろう・・・)
その言葉に、牧師の口元が微かに綻んで。
「・・・・・・・・無理なんやトンガリ・・・・」
いっそ穏やかとも言える表情で静かに呟かれた言葉。
今まで決してこの男の口から零れることがなかった自分の未来への諦めの言葉を耳にして、顔色を変えて激を飛ばす台風氏。
この辺り、感想は書くまでもありません。だって全部台風氏が代弁してくれてます。
もうまんまですよ、アレで。
完全白紙委任状態です。そうだそうだその通り!と背後でボンボン振ってエールを送るより他ありません。
絶対に死ねないと言っていた男のこの弱気な発言。
なんで、どうして、ここまできてそんなこと!
そう強く思う一方、静かに呟いた牧師の表情の今までにない穏やかさに言葉を見失いそうにもなり。
認めたくない。認めたくはないですけど、人一倍生に固執していたはずの牧師がこぼした諦めの言葉は重たくて。重すぎて。
もの凄く嫌な予感に腹の底の辺りから冷たい気配がゾワゾワと這い上がってきて、胃がどうしようもなくキリキリと痛んできます。
そして台風氏の激に応じる牧師の言葉をまたずして、台風氏を襲うお付きの人の爆弾付き飛剣攻撃。
その爆風で身を隠していた物陰から吹き飛ばされる台風氏。援護射撃をしながら「来い」と叫ぶ牧師。
闘いの合間に織り交ぜられるのは冒頭から引き継がれた台風氏のモノローグ。
深いところでは真逆に意見が対立する、でも更に深いところには自分とひどく近しいものを抱えている。
そういうことに台風氏はキチンと気付いてくれていました。
そして「すべてをやりとげた明日をこの男と共に分かちあいたい」とまで思ってくれていた。
・・・・そうだろう?と牧師に心の中で呼びかける台風氏の言葉に、ああ、牧師はちゃんと台風氏の中で特別な存在として意識されていたんだなぁ。
その他大勢とは別のところにキチンと居場所があったんだということがはっきりと感じとれてとても嬉しかったのです。
なのに。
吹っ飛んだ台風氏に駆け寄ろうとして攻撃を受けバランスを崩し、走りこんできた勢いのまま前方に吹っ飛ぶ形となった牧師の体をとっさに台風氏が抱きとめたその時。
台風氏の手のひらに伝わってきたその感触は。
未来への希望とは程遠い残酷極まりないもので。
(「ぐずり」って・・・・・・もう明らかに筋組織とか細胞とかそういう体を支える一切合財のものがボロボロになっているとしか考えられない
じゃないですか・・・・・・(T_T))
反転した画面がそのまま台風氏の受けた衝撃の大きさと絶望の深さを物語っていて、同時に牧師がどれだけボロボロになって闘っていたのかが
分かってしまって。とっくの昔に牧師の体は限界点に達していたんだと、そう気付かざるをえない状況で。
衝撃のあまり、牧師の体を抱えたまま身動き出来なくなった台風氏に無情に襲い掛かる飛剣の雨。
肩に背中に無数の刃が突き刺さっても、身じろぎ一つせず、攻撃を避けることも反撃することも忘れてしまうほど茫然自失な台風氏を庇うように、
体を支えられた姿勢のまま台風氏の肩越しに反撃を試みる牧師。
名を呼ぶ牧師の声さえもこの時の台風氏の耳には届いていたのかどうか。
力を込めて体勢を立て直し、牧師の体を支えていた腕を静かに離すと。
攻撃を仕掛けてきたお付きの人たちを振り向きざま一瞬の連射で撃ち伏せて。
彼のことです、殺してはいないとは思いながらも一瞬やってしまったのではと感じるほどその攻撃は容赦なく見え。
鬼気迫る気配を立ち上らせながら、そのままラズロ目掛けて放たれた一発の弾丸は、鼻先を掠めぬくギリギリのライン。
射抜くような視線をその一発の弾丸とともにラズロに叩きつけた後、何も言わずにホルスターに銃をしまい、台風氏は踵を返します。
すれ違いざま、牧師の肩に手をかけて呟いた一言は
「・・・ぶっ潰してやれ」
・・・・・・・・・・・・・・・平和主義者で不殺が信条のこの男の口から、こんな台詞が出るとは。大声で叫んでるわけではないですが、押し殺したようなその呟きがかえって内にこもるものの激しさを物語っていて。でも、驚きを感じる一方で、この激しさも確かに台風氏の一部分だったなと腑に落ちるところもあり。
『ぶっ殺してやれ』のホンの一歩手前、解釈によっては同義ともとれるこの台詞をどれほどの思いで呟いたのか・・・。
その言葉を受け、遠ざかる相手の気配を背後に感じながら
「すまんなあトンガリ・・・」
と呟いた牧師の本当にすまなそうなその様子がこれまた痛くて痛くて仕方がなくて。
自分の我がままを聞き入れて身を引いてくれたことに対する感謝より、我がままを聞き入れさせたことで訪れる結末がどうやっても相手の心を傷つけてしまうこと
に対する罪悪感の方が牧師の中では強いのではないかと。(本当にどうしてこの人は・・・)
ふと思い出したのはマキシマム1巻、エリクスと名を変え別人としてリィナやおばちゃんと生活していた台風氏を探し出し、連れて行くというその時に、
おばちゃんに謝っていた牧師の姿。
居丈高になるでなく、かといって自分のやろうとしていることをやめるわけでもなく。
謝りながら自分のやるべきこと、やりたいことを押し通す。
押しとおすから許しは乞えない、それでも自分のやり方が相手を傷つけてしまうことも分かってて。
分かった上で言うんですよ、この男は。「手を出すな」って言った後に「すまんなあ」って。
・・・こんな言われたら止められないじゃないですか。
卑怯モノ・・・と責めたくて責められない。だって全部本人自覚済みなんですもん・・・。
空を舞う一羽の黒い鳥の影。
それは外伝で牧師が見ていたあの鳥と同じでしょうか。
自由であるがゆえに安心して羽を休めることも眠ることもできずボロボロになっていくあの鳥と。
それはそのまま牧師の姿を暗示しているかのようで。
天を仰ぐ台風氏の表情は読み取れず、それゆえに漂う悲壮感がいや増してしまうのですが。
そして再び一対一でラズロと対峙する牧師。
二人でかかってこなければ面白くないというラズロに
「そこが望み通りギリギリの場所やで」
と宣告する牧師。
三台の黒パニッシャーから怒涛の勢いで打ち出される銃弾の雨を縦に構えた自身のパニッシャーで防ぎながらラズロの懐目掛けて飛び込もうとする
牧師の姿で今月は幕となるわけですが。
読み終わった後、しばらくの間はひたすら放心。
感想とかも全然思い浮かばないで。
こんなところでこんな状態で切られてこの後1ヶ月間をどのように過ごせばよいとおっしゃいますのん状態で。
時間が経つにつれて飲み込んだものがジワジワと溶け出してきてエライきつかったですね。
なんや性質の良くない遅効性の毒薬でも盛られたような気分でしたよ・・・。
牧師の状態がもうどうにもひどい状態だということが台風氏のあの態度から伝わってきてしまって。
嫌だ嫌だ絶対嫌だと言いながら、それでも心の予防線に覚悟を決めといた方がエエンやろかとメチャメチャ右往左往してた時もありました。
お話の流れとしてはここで巨大な代償が支払われることで、引き返せない切羽詰った緊張感がこの作品に宿るということも予想は出来るんです。ラスボス戦がまだ控えてますしね。
そんなことをしばらくふにゃふにゃ考えてたんですが、ある日嫌になって全部放り投げてみました。
そんなこたぁ作者と編集者に考えてもらえばええんじゃっっっっ
私は一ファンとしてこの作品に望むものを、自分の気持ちを貫いたったらええんじゃいっ
牧師は死なない。死なれてたまるかこんなところで。納得なんかできるかちゅうんじゃっ
そう開き直ったら少し気分が楽になりました。
我侭ですか。我侭ですね。でもいいんです我侭でも。
だって自分の気持ちの底の底まで掻き回してみて、色んな理屈をこねくり回しても牧師が死ぬことだけはどうしても納得できなかったんですもん。
台風氏と牧師。
この二人にはそろって生き残ってもらわんといかんのです。
そしていつかちゃんとお互いの気持ちを言葉として語って伝えあって欲しいんですよ。
モノローグでお互いがお互いをそれぞれキチンと思いあってるっちゅうことは読んでる私たちにはいやが上にもヒシヒシと伝わってきているのですが、
テレパシストでない彼ら同士はまだそれを知らないわけですし。
大切な部分はまだ何も言ってないでしょって。
ただし、今はダメ。語っちゃって伝えちゃったら満足しちゃってそのまま退場とかなりそうで怖いから。
そんななるくらいなら一生黙っててもらって構いません。
伝えあうのは「すべてをやりとげた明日」でいい。
今の不安な時間を通りすぎて何もかも解決して落ち着いた頃に「あの時実は」って語って茶化して笑いあって欲しい。
そういう場所まで絶対二人で辿り着いて欲しいんです。
今がどんなに絶望的な状態であったとしてもあきらめて欲しくないんです。
2003年3月号インスパイアもの小説『通過点』の後ろの方でも書いたんですが、牧師は今、未来の光へ向かって暗闇の中を駆け抜けている最中なのだと思うのです。
だからそこに行き着いて欲しい。
今はただそう願うばかりです。
今後どんな展開が待っていても目を背けずに最後まで見届けたいという気持ちに変わりはありません。
でもヘタレですから望まない展開がやってきたらきっとベッコベコに凹みまくります。
そうならないことをホント祈るばかりです。
来月号の発売を他の多くのファンの方々同様、恐れおののきながら待ちたいと思いますです。
<追記>
牧師が持ってるパニッシャーが変形して、タコスケラズロの三台パニッシャーに負けないくらい装備満載なシロモノに早変わりするんもありかなと思い始めた今日この頃。
「ニコラス・ザ・パニッシャー」の通り名が伊達じゃないとこ見せてやれ、なぁ牧師!(半分本気)
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