やまき三春屋
2022.03.05訪問

あるデパートの店員さんがこう言っていた。

 「中合は百貨店。やまきは不動産屋。百貨店は百貨店が経営しないとねぇ。」



八戸市の中心市街地、十三日町界隈にある百貨店、三春屋。 2008年に創業450周年を迎える老舗百貨店。 ダイエー傘下となり、 ADS(アドバンスド・デパートメントストアーズオブジャパン)の経営となった後、 2005年12月1日に中合とADSの合併により中合三春屋店として新たなスタートを切った。

しかし、 中心市街地の空洞化の影響もあり1989年度にはおよそ140億円あった売上は2018年度はおよそ40億円にまで落ち込んでいた。 中合は、 三春屋の売り上げ回復施策の実施とともに店舗のあり方(要は閉鎖)も含めて検討を続けていた。 一方、 百貨店の再生モデルとして都内の商業コンサルティング会社「やまき」が中合三春屋店に興味を示し、 やまき側が2018年12月に中合に打診し、 2019年9月4日に譲渡契約を締結。

これにより、 2019年11月1日に新会社「やまき三春屋」が設立され、 三春屋の経営は2019年11月6日から中合から新会社に移行されることなった。

やまきが目指したのは、 新しい百貨店のスタイル。 コンセプトは変遷したものの、 「バーチャル店舗」「百五十貨店」「デジタルハイブリッド百花店」と新時代を駆け巡る言葉が並び、 当初は2021年春のリニューアルを目指して再生が進められていた。

しかし、 百貨店再生モデルの模索は、 迷走への始まりでもあった。 リニューアルは2021年春から秋、 そして2022年春へと延期が続く。 その間売り上げの落ち込みから、 百貨店事業の大幅縮小を図るため、 従業員100人を2021年8月に解雇すると発表。 しかし、 定評ある地下食費売り場を存続させるため翌月には40人を再雇用するとした。 その間、 改装のためフロアの配置換え等を順次実施してきたが、 その過程でテナント数が減少。 売り場には空きスペースが目立つようになったままであった。

2022年2月、 やまき三春屋は今春の改装一斉オープンの断念を発表。 続けて、 3月3日夜に、 2022年4月10日の営業をもって三春屋の閉店をすることとした。

期待を抱いての再出発のはずが、 三春屋の売り場の空洞化を招き、 結果店舗の閉鎖、 中心市街地の空洞化を招く結果となってしまった。

2022年4月10日(日)、 最後まで店舗前に残った買い物客に拍手で見送られる中、 百貨店三春屋は52年の歴史に幕を閉じたのである。



三春屋正面入り口。 閉店発表初の土曜日日中なのに出入りが少ない。 前日までは、 この入り口を覆うように『2022.03.30 GRAND OPEN』の張りぼてが施されていた。



三春屋南口は改装のためか、 閉鎖されていた。



1階フロアは、 変わらずデパートの様相を呈していた。 化粧品売り場や婦人小物雑貨など。 イオン銀行ATMの他に、 ろうきんのATMも設置されていた。 奥には、 夢へと駆け上がるデパートのエスカレーターが。



A HAPPY NEW 三春屋。 待ちに待ったが、 その日は来なかった...



新しいスタイルの百貨店を目指したやまき三春屋。 実態はテナントの相次ぐ撤退という形になってしまったのか。 店内は、 こうした閉鎖空間が目立っていた。 4月10日の三春屋最終営業日を待たず、 撤退するテナントもあるようだ。



デパートのエスカレーターは夢の空間へと導く階段。 しかし、 三春屋3階は完全に閉鎖されていた。 紳士服売り場は、 秋口にはもう無くなってしまっていたようだ。



上層階ほど空きフロアが目立つ。 目いっぱいの商品が並べられ、 デパートとして最終営業日を迎えられるとまだ幸せなのに...



5階フロアには、 会員制ラウンジが設けられる構想だった。 しかし、 コロナ禍ということもあり計画は延期。 ゲームセンター「とれとれランド」が入居した。



急遽の営業終了発表で、 高校指定制服承り会も中止に。 制服はぜひ三春屋でと考えていた親御さんもたくさんいただろう。



三春屋裏口にあった看板は撤去されていた。



三春屋のエレベーター内部。



5階にあるファミリーレストランPABLOは早めの時間にオーダーストップ。



同5階にある「らーめんふぁくとりーのすけ」の味噌ラーメン。 それはそれはおいしいこと。 入店時には私ともう1人の青年しかいなかったが、 その青年が退店時に店員さんに、 学生時代からよくここに通っていた、 最後まで営業がんばってほしい、 いつまで営業しているのか、 と店員さんに声をかけていた。 青年にとって、 思い入れのある恋ある店だったのだろう。 同店は、 三春屋閉店日の4月10日まで営業するとのこと。 そして、 必ず移転先を見つけて営業再開すると...

気がつくと、 店内満席に近い状態に。



三春屋地下の銘店コーナーは、 なんだか隅に追いやられている雰囲気。 地元銘菓なども売られているが、 日配品コーナーがそれだけ強いのか?



日配品生鮮食品コーナーはさすが、 Miharuyaの薄緑の買い物かごをもった買い物客で混雑していた。 ここが定評ある三春屋の地下食品売り場。 勢いが違った。



そして、 三春屋に別れを告げる。 三春屋は、 最後まで愛される三春屋であり続けてほしい。