グレース山口の

読書感想文の
   書き方


こんにちは。グレース山口です。

そろそろ夏休み、課題図書も図書館に並び、読書感想文コンクールにはりきる人、いまから宿題が憂鬱な人、みんなはどうかな?
今回は、読書感想文の書き方についてお話してみます。
   書く気にならない
 はい。いきなりですが、書く気にならない人、多いですよね。
 読んだ本がおもしろくても、その感想文を書くことは、おもしろくないかもしれません。まじめに書こうとすればするほど、おもしろくなくなるかも。すこしふざけてみませんか?
「・・・の場面では、読んでいるぼくまできんちょうして、おしっこにいきたくなりました。でも、続きを読みたいのでがまんしました」
「わたしは・・・に向かって、知らず知らずに、がんばれがんばれ、と言っていました。・・・が相手をやっつけたとき、わたしもガッツポーズをしてしまいました」

「おしっこに行きたかった」「ガッツポーズをした」こんなことは、本人にとっては、とくにおもしろいことではないかもしれません。でも、読む人には、思わず「にやり」としてしまう、おもしろさがあります
 学校の先生も、感想文コンクールの審査員も、真面目そうに見えるどんな人も、おもしろいことは好きです。書くのが苦手な人は力を抜いて「ちょっと笑わせてやろう」そういう気持ちで書くと、とてもいい感想文が書けるかもしれませんよ。

   原稿用紙三枚も書けません!
 そうですね。これも悩みですね。
 本全体から受けた印象で、感想文を書こうとすると、行き詰まることが多いようです。いちばん感動したことを最初に書いて、あとが続かなくなるのもありがちな失敗。
 それを避けるには、印象を受けた箇所をいくつか選び、個別に感想を書くといいかもしれません。その短い感想の字数を足して、三枚分になったら並べましょう。並びの最後に置くのは、もっとも印象に残ったことがいいですね。ふつうなら、その本のテーマとなるべきところ、おおむねお話の最後あたりについての感想が、感想文の最後になるのでしょう。でも、それにこだわる必要はありません。ふつうの人とちがうところで心を動かされたなら、それも個性であり、かえっておもしろいのです。
 個別に書いた文章が、つぎはぎで、カッコよく並んでいないような気がする?
 それでもいいのです。大人の人は、たぶん、子どものみんなより、文章を読む能力がすぐれているので、飛び飛びの感想でも、ちゃんと理解できます。
 文をくっつけていくときは「そして」とか「それと」などの接続詞を使いすぎないようにしたほうがいいでしょう。接続詞なしで次の場面の感想が始まると、文につながりがなくなるのではないか、と心配して「それと」「そして」と書く人が多いのですが、ないほうがカッコよくなる場合が多いです。
 余裕がなければ、そこまで気にする必要もありませんが、ワンランク上の文章を目指すつもりがあるなら、接続詞の省略にチャレンジしてみましょう。

   読んだあとごはんを食べると
       大事なことがわかる?

 三枚も書けないという人とは逆に、あれもこれも書かなくてはいけないような気がして、けっきょくなにを書いていいのかわからない人もいるでしょうね。
 ごはんを食べてみたらどうかな?
本を読んだばかりだと、内容をみんなおぼえています。ごはんを食べたり、お風呂に入ったり、そのあとでまだおぼえていることが、本があなたにくれた大事なことかもしれません。ごはんを食べても、まだ全部おぼえていたら、寝てしまいましょう。翌日、あるいは何日かたっても、まだおぼえていることを書いてみましょう。

   手紙を書くつもり
 文章というのは、だれかに読ませるために書くものです。
 学校の教科書などは、不特定多数(特に決まった人ではなく大勢)の人々に読ませるために書かれています。そういう文章はだいたいつまらないですね。感想文は、だれに読んでもらうために書くのでしょう。決まりはありません。決まりがないから書きにくい。自分で決めてしまいましょう!
「せんせい、わたしは、・・・を読みました。八月三十一日のことです。とっても暑い日でした。机に向かっているだけで汗が出てきました。本なんか読みたくなかったけど、宿題だからしょうがなくです。でも、いやいや読んでいるうち、わたしはだんだんと・・・」
「タカシくん、ぼくが夏休みに読んだ本の感想を書くよ。この本はすごくおもしろい。話もそうだし、絵もいいと思う。内容はちょっと暗いけど、君も読んでそんはないんじゃないかな。なにしろこの本ときたら・・・。一言では言えないから、順番に言うと・・・」
「おばあちゃん、元気ですか。わたしは元気です。今日は夏休みに読んだ本のことを書きます。・・・という本です。・・・が・・・して・・・するという話です。話の場所が、おばあちゃんの住んでいるところに似ているので、教えてあげたくなりました。それに、すごくおもしろいのです。とくに ・・・」

 こんな文、感想文じゃない? そんなことはありません。
「読書感想文 ○○を読んで(おばあちゃんへ伝えたくなったこと)」
などとタイトルをつければ、大丈夫。とてもわかりやすい、いい文章になると思いますよ。

     文章はオナラと一緒
 自分のオナラってくさくないですよね? 作文も同じです。自分で書いた文の、下手なところは、自分ではわからないものです。できたら大人に読んでもらって、へんなところを教えてもらえるといいですね。

     本を選ぶ
 みなさん、本を読むの、好きですか? 「好き」という人、たぶん少ないんじゃないでしょうか。宿題じゃなければ、読まないし、感想文なんて、絶対に書きませんよね。
 本というのは十中八九おもしろくありません。けれど百冊の本があれば、一冊くらいはおもしろい本があるかもしれません。あなたがつまらないと思った残りの九十九冊の本も、ほかのだれかにとってはとてもおもしろいかもしれないし、その逆も。
 先生や、友達が「おもしろい」と奨めてくれた本が、つまらなくても、きっとあなたにおもしろい本が別にあり、それは他のどんなものよりも、あなたにとってたいせつなものになるかもしれません。本とはそういうものなのです。
 おもしろい本を読めば、感想文は書きやすいでしょう。それはあなたが、たくさんのことを感じられるからです。
 では、どうしたらおもしろい本を選ぶことができるかな?
 学校の図書館に行き、本棚の前を歩いてみましょう。気になった本があったら手にとります。表紙を見ます。おもしろそうだ、と思ったら、最初の文を読みます。そこでまた、おもしろそうだ、と思ったら、その本はきっとおもしろいでしょう。
 そこで「おもしろくない」と感じた本は、たぶん、いっしょけんめい読んでも、おもしろくないので、無理をしないほうがいいと思いますよ。
 本を選ぶには、自分の直感を信じましょう。
「課題図書」や「推薦図書」にもこだわらないほうがいいかもしれません。
「読書感想文コンクール」の「課題図書」は特定の出版社の新しく出版された本が選ばれることが多いのです。それ以外に、何十年も前から、子どもたちを楽しませ感動させて来た本は、たくさんあります。
「自分は何年生だから、こんなくらいの字の本」などということも、こだわらないほうがいいと思います。大きくなって、絵本のような本を読むのには抵抗があるかもしれませんが、どんなに簡単に見える本であっても、すぐれた本には、いつも新しい発見があります。極端な話をしますと、小学1年生のときから、高校生になるまで、毎年同じ本で感想文を書いてもよいのです。大きくなれば、それまでと別の感じ方があり、それによって自分の成長を感じることもまた、楽しいことですね。

   マンガで感想文?
 マンガやテレビアニメはおもしろいですね。でも、マンガで感想文はだめ、ということになってますよね。なぜでしょう?
 ほとんどのマンガは息抜きのためのおもしろさを追求しています。読んだ者が、よけいなことを考えないですむように、つくられています。だからわかりやすく、多くの人に受け入れられますが、だれが読んだって、おんなじことしか感じません。わざわざ人に伝えるほどの感想は、たぶん持てないのです。
 もちろん感想文を書く対象としてふさわしいマンガもありますが、子ども向けのものですと、なかなか見つからないかもしれません。
息抜も必要です。マンガやアニメも必要です。でも、大人がわざわざ子どもに奨めなくても、みなさん好きなように読んだりみたりしてますよね。だから、大人の人は「たまにはしっかりした内容のものを」と思って、みなさんに「本を読んで感想を書きなさい」と言うのでしょう。

   よい感想文
 みなさんは作文をするとき「この本を読んで、多くの人はこう感じるだろうから、それがこの本の正しい読み方だ」と分析して、自分も(正しく)「そう感じました」などと書いてしまっていませんか?
 あなたの文章を他の人が読むとき、もっとも関心を持ち、もっともおもしろく感じるのは、あなた自身について書かれたところです。
「正しい感じ方」を探すのではなく、あなた自身がどう感じているのか、あなたの心の中を探して文にしましょう。
 あなたがその本を読んで感じたこと、それはあなたにとって、当たり前の感じ方で「わざわざ文章に書くほどのことではない」そう思うかもしれません。でも、もしかしたら、あなたの感じ方は、他の人にとって、とても珍しいものかもしれません。
 たとえば「こんなことを書いたら、笑われるかもしれない」などということを思いついたら、それこそあなたの書くべきことです。あなたの感想文を読んだ人が笑ったとしたら、あなたは「笑われた」のではなく、あなたが「笑わせた」のです。
 珍しがられるのは嫌?
 笑わせるのも恥ずかしい?
 なんでもかんでも「他の人といっしょがいい」って、ぼーっとして、なんにも感じていないフリしていれば、それもたしかに、楽ちんですよね。
 でも、年に一度くらい、いつも心の底にしまっているものを、表に出してみるのもいいものですよ。「いまの自分」を自分自身くっきりと感じて、表現しようという努力は、とても大切なことです。何年か、何十年かたったとき、きっといい想い出として、残っていることでしよう。

   オリジナリティーを出そう
 たとえば悲しいお話を読めば、ほとんどの人が悲しく思います。
 そこで「悲しかったです」と書くだけだと、当たり前すぎますね。どう悲しかったのか? それが書けたらいいのですが・・・。なかなか難しいことです。
 といいますか、ほんとは、書けないのです、「心」とか「気持ち」というものは。
 それは、ぼんやりとして、実体のないものです。言葉も実体のないものですが、実のところたんなる記号で、心の複雑さにくらべたら、とても単純です。心の中を、直接、正確に書くことはできません。
 では、どうしたらいいのか?
 作文では、具体的なことを書いてみましょう。
 たとえば、本のある場面で、泣いたとします。

 あなたが泣いたのは、いつ以来?
 どれだけ泣いたの?
 涙はふいたの?
 涙のあふれた目で見た光景は、どんなふうだった?

 そんなことを書いてみましょう。
 文章においては、こういったささいなことがらを書くことにより、はじめてあなたの気持ちを表すことができるのです。
 自分の気持ちを伝えるために、なにを書くのが効果的か、はっきりわかれば素晴らしい文章が書けると思います。はっきりわからなくても、なにか具体的なことを書けば、きっとあなたの気持ちは、読む人に伝わることでしょう。
 上でも書きましたが、あなたは自分の行動を「わざわざ文章に書くほどのことではない」と思うかもしれませんね。でも、そんなことはありません。
 あなた以外の人が知りたいこと、読みたいこと、それは、あなたのこと、なのです。あなたが頭で考えて分析した「正しい本の読み方」ではなく、あなたのこと、それにもっとも価値があります。
 そしてそれを書きとめて記憶に刻むことは、あなたにとっても、とても価値のあることだと思います。

 では、この夏、あなたがすばらしい本にめぐり会えますように。
 すてきな感想文が書けますように。


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