3728

封淫記1-5

『封淫記』
第一章 五話 「魔の才能」
リアス・シリア『タイム・ダイム』
メイ・ドメイド『スイートポイズン』

西大陸へのポートキーの中継地点であり、数少ない町の一つでも
ある『エルモア』。小さな宿屋が一件と数十世帯が住む程度の小
いが平和な町だ。だが、この小さな町にも淫魔の手は伸びていた。
「メイ、本当にこの宿屋だけでいいのか?どうせならあの坊やが
来る前に町全体を私らのものにした方が速いんじゃないのか
い?」
「それでは、弟様に余計な気づかれてしまいますわ。今回は
私とあなたの二人で、誰にも気づかれずにロック様の命を頂く…
それが肝要ですわ」
エルモア唯一の宿屋の一室で二人の淫魔が話している。一人は以
前ロックを襲った事があるリアス・シリア。そして、もう一人の
メイド服姿の淫魔がメイ・ドメイドだ。彼女たちの足元には干か
らびたこの宿屋の主人であろう男が倒れている。
「あなたは一度弟様にお会いした事があるのでしたよね?どのよ
うな印象でした?」
「そうさねえ…はっきり言ってぱっとしない奴だったよ。顔も味
も好みだったけど…『強さ』は感じなかったね」
「そうですか…なら、この場で私達が食べてしまっても問題ない
ですよね」
「あ、先に言っておくけどね。あの子に先に目をつけたのはあた
しだよ。『命』を貰うのはあたしだからね」
「はいはい、お好きにどうぞ。私はあなたにお膳立てして少し頂
いたら帰りますわ」
傍から見れば二人の若い女が談笑しているようにも見える。だが、
良く見てみると二人の目は獲物を狙う獣のそれであった。

 ロックは重い足を引きずるようにしてエルモアへ入った。此処
のところ何日も野宿が続いていた。久しぶりに柔らかいベッドで
眠れる…そう思うだけで嬉しくなってくる。そう、淫魔を警戒し
ながら浅い眠りを繰り返す必要もないのだ。当然だが、ロックは
まだ自分の旅の目的が淫魔にばれた事も、その為に自分が淫魔に
狙われる事になったのも知らない。
「おいでませー」
宿屋へと入ると、一人のメイドがロックを迎えた。
「一人だけど・・・部屋あるかな?」
「はい、二階の一番奥の部屋へどうぞ」
メイドに連れられてロックは階段を上がっていく。案内された部
屋は大き目のベッドと机が一つ置いてあるだけの粗末な物だった
がロックには十分な物だった。
「お食事をお持ちしますので先にお湯をどうぞ」
メイドは一礼して出て行った。ロックは言われるがままに風呂場
へと向かう。廊下へ出ると前方からローブを被った女とすれ違っ
た。
「ふふ・・・どうも」
女は一礼するとロックの隣の部屋へと入っていく。何処かで聞い
た事のあるような気がする声だったが思い出せないままロックは
軽く頭を下げて会釈して素通りしてしまう。良く思い出していれ
ば自分の命を狙った淫魔の声を思い出すことが出来たかもしれな
いが、今のロックは湯に浸かって疲れを取ることが頭のほとんど
を占めていたのだ。それに、こんな街中に淫魔がいるはずがない
という油断があったことも確かだ。

 風呂からあがり部屋に戻ると、部屋には豪華とは言えないが体
力のつきそうな食事が用意されていた。かなりのボリュームだっ
たがロックは瞬く間にそれを平らげてしまった。すると、疲れが
あったからか急激に眠くなり、ロックはなんとかベッドに辿り着
くとそのままベッドに倒れこみ眠ってしまった。

「おい、全然起きないぞ?睡眠薬入れすぎだったんじゃないか?」
「まぁ、それならそれでこのまま搾ってしまえば・・・」
「それじゃつまんないだろ。私の能力で折角また子供にしてやっ
たってのに・・・」
耳元で賑やかに響く女の声でロックはハッと目を覚ました。いつも
警戒しながら寝ていたお陰で、こうした反応は速くなっていた。声
の主から一気に距離を取ろうと飛び跳ねるように起き上がった。が、
思っていたほど足に力が入らなかったのか二人の人影との距離が思
うようにとれない。
「おっと、逃がさないよ!」
影の内一人がロックに飛び掛る。大きな体が素早くロックを組み伏
せる。暴れるが、全く抵抗できない。この感覚にロックは覚えがあ
った。
「まさか・・・」
闇に目が慣れてくる。ロックは自分を押さえつけている人物に覚え
があった。以前ロングフットで襲われて、手も足も出ず犯された淫
魔…相手の体を抱きしめる事を条件に性的に幼い状態まで若返らせ
る能力『タイムダイム』を使うリアス・シリアだ。(ロックは名前
は知らないが)ロックは自分の体が依然と同じ状態に追い込まれて
いるのを否が応でも知らされた。基本的に女性である淫魔に力でま
るで敵わず、その細い体を巨体に感じてしまう…自分の体が小さく
なっている証拠だ。恐らくは11、12歳位まで若返らせられてい
るのだろう。
ロックを捕らえているシリアの背後にもう一人、宿屋のメイドが控
えている。メイドはロックと目が合うとにこりと微笑んだ。
「お早う御座います、ロック様…今はロック君かな?」
「お前も・・・!!」
「ええ、淫魔です。勿論能力者のね」
ロックは驚愕する。メイが能力者だったことにではない。彼女が自
分の名を知っていた事に驚愕したのだ。
「な、何故僕の名前を!?」
「だって、ロック君はヨミ様の復活を邪魔しようとしているのでし
ょう?」
メイは微笑を崩さず言った。ロックの顔が青ざめる。自分のことが
淫魔に知られている。それはつまり、彼女たちが今までの淫魔と違
い『食事目的』ではなく『ロックを殺す事を目的』にしていること
を意味していた。(食事でも最終的には死ぬけど)
「私達の悲願を邪魔する…そんな男にはキツイお仕置きが必要だろ?
この前は最後まで出来なかったけど今日こそはお前の全てを頂いて
やるよ」
シリアはロックの体を無理矢理引き起こすと自分の膝に座らせ、両
腕を後ろ手に縛り上げてしまう。さらに暴れられないようにロック
の足に自らの足を絡め動きを封じる。
「離せぇ!こ、このっ!!」
ロックは身を捩るが身動きがろくに取れず、シリアの膝から抜け出
す事すら出来ない。
「ふふ、この前のこと忘れたのかい?そんなことしても無駄だよ…
さあメイ、始めようか」
「はい、ロック君。ちょっと失礼しますね?」
メイはロックの前に椅子を引っ張ってくるとそこに腰をかけた。そ
して靴と靴下を脱ぐと、シリアによって剥き出しにされたロックの
ペニスへと足を伸ばしていく。
「足でなんて…!?く、くそっ!!」
「そうですねぇ、普通ならもっと本気を出しますけどぉ…今の子供
のロック君にはこれでも刺激的過ぎるんじゃないですか?」
ロックは屈辱に顔をしかめた。しかし、体だけでなく精神まで若返
っているロックには『女性と接する』と言う行為自体が刺激的なも
のになっている。ましてや今相手にしているのは淫魔である。存在
しているだけで男を誘惑している…そういう生き物なのだ。今のロ
ックに抗えるはずもない。まるでメイの足に引き寄せられていくか
のようにロックのペニスは勃起して行く。そして、絶妙な間合いで
足を待ち受けさせていたメイの足の裏に亀頭が僅かに触れる。
「くすくす・・・ほらね?自分から私の足にキスしちゃいましたよ」
「まったく、ガキのくせに足で興奮するなんてとんだ変態坊やだな、
おい」
二人の淫魔の蔑みに、ロックは目を伏せるしかなかった。必死に自
らの心に静まれと繰り返すが、下半身はその声を無視しメイの足か
ら発せられる冷たく、少し固い肌の感触を存分に堪能している。
「あらあらあらあら」
メイが大きな声で笑う。そして体を曲げてロックの耳元に顔を近づ
けて囁く。
「もう、我慢汁が滲んじゃってますよ?足に触れているだけでこん
なになっちゃうなんて…ロック君はマゾなんじゃないですか?」
メイの囁きが脳に染み込んでいく。そして、その声がロックの精神
の『壁』を打ち破るのをロックは確かに感じた。
「な、何言って!!」
口で必死に抵抗して見せたが、致命的に遅かった…そんな焦燥感が
ロックの心に渦巻いて消えない。
「マゾじゃないってか?こんなにされて感じてるのにか!?」
「あふっ!!」
シリアが背後から片手で、ロックの乳首を痛いほど捻り上げる。い
つもなら苦痛以外何も感じないその行為に、ロックは快感を感じて
しまっていた。喘ぎ声を漏らしたロックの頭を優しく撫でながらメ
イが囁く。
「やっぱり、マゾみたいですね…ふふ」
メイはゆっくりと足を動かし始める。ロックの我慢汁で濡れた足の
裏はロックの亀頭を抵抗なく責めていく。少しすると、すぐに『ヌ
チャヌチャ』と言う音と共にロックにとてつもない快感を塗りつけ
てくる。
「うふふ、凄い感じ方…マゾの上に足フェチですか?この変態っ!」
「うっぁぁっ!!ち・・・が・・・」
メイがロックのペニスを軽く蹴り上げる。その衝撃に一瞬弾け飛び
そうになったのをロックはかろうじて堪えた。メイの顔に意外そう
な表情が浮かぶ。
「違いませんよ。あなたは、足フェチですよ。足で責められて喘い
で喜んで射精するマゾのど変態ですよ!」
メイは遊ばしていた片足を玉袋に持って行き多少強めの力を加えな
がら本格的に足コキをはじめた。さっきまでのような嬲るような感
じは何処にもない。ただ、機械的に射精させる事だけを目的とした
激しい動きだ。ロックの奥からどんどんと若い滾りが競りあがって
来る。若い体は我慢など許してはくれなかった。
「あぅぅっ!」
放物線を描いて白濁液がメイの足を汚していく。
「ははっ、相変わらず可愛い声で鳴くな」
「これで分かったでしょう?あなたは足フェチの変態だって」
メイの言葉がまたもロックの中に染み込んでいく。途端にロックは
メイの足に異常な興奮を覚え始めた。あの足に触れたい、足で弄ば
れたいと言う感情が止め処なく湧き上がってくる。
(な、何故・・・僕は・・・こんなっ!)
自分の中の異常な感覚をロックはひっしに打ち消そうとするが、そ
の感覚はどんどんと大きくなって消す事は出来ない。
「『僕はマゾでも足フェチでもないのに…』って思ってます?でも
今のあなたはまさにマゾで足フェチの変態…不思議ですねぇ?何故
でしょう?」
「ま、まさか・・・」
「正解。これが私の『スイートポイズン』の力です。私が口にした
ことは真実になる…ただし、相手の精神を上回ると言う条件があり
ますが」
メイは淫靡に微笑みロックを見下ろしている。その笑みは既に勝利を
確信した余裕の笑みだった。
メイの『スイートポイズン』はメイの言葉に少しでも(もしかしたら
そうなのかもしれない)などと思ってしまったが最後、その言葉が現
実にしてしまうと言う能力なのだ。
「普通ならそうそう精神の勝負で勝てはしないんだけどな…でも今の
私の能力であんたは精神的にも子供に戻ってるからね」
シリアが背後から耳元で囁いてくる。この二人が同時にやってきた理
由がやっと分かった。二人の能力はお互いの力を相乗的に高めるのだ。
「じゃあ、次は早漏君になってもらいましょうか…ロック君、あなた
は早漏なんですよ…」
「黙れっ!!」
メイの言葉を聞かないようにする事は出来ない。ロックは心を強く持
とうと必死だ。メイの顔を強く睨む。だが、そんな様子を見てもメイ
は動じない。
「心を強く持てば大丈夫って思ってます?そうですね。それも正解で
すよ。でも…『事実』を見せられちゃったらどうかなぁ?」
メイの言葉を合図にシリアが後ろからロックのペニスを鷲掴みにし荒
々しく扱き上げる。
「そうそう!今からお前がいかに早漏かってのを見せてやるよ!」
「あうっ!!」
シリアはロックのペニスを扱きながら、メイの足に亀頭を擦り付けて
行く。
「どうだ!?この足フェチ野郎!御望みの足に触れられて幸せだろ?」
ロックの背筋がピンと伸びる。快感に引き攣っているのだ。足に触れ
るといつもの数倍の快感を感じてしまう。それに、言葉責めも堪らな
い。もっと嬲られたくてしょうがない、その気持ちをロックは自らの
使命を思い出すことで必死に耐えていた。
「ふふ…我慢してますね…いい表情ですわ。そんなあなたの絶望に染
まった時の顔…見てみたい…」
メイの足が動き出す。シリアはその脚の動きに合わせて手コキのリズ
ムを変えていく。
「手コキと足コキ同時に味わえるなんて贅沢だな?さてさて、早漏君
に何処まで耐えられるのやら」
「僕は…早漏じゃ…ないっ!」
「こんなに我慢汁でヌルヌルなのに…まる射精してるみたいに噴出し
て…この変態!足でされて恥ずかしくないんですか?」
「ううう・・・うるさい!!」
「そうねぇ、じゃあ早漏じゃないって言うなら後15秒我慢して見てく
ださいよ」
「じゃあ、俺が数えてやるよ。1、2、3、4、5、6・・・」
シリアのカウントが始まる。秒数が進むにつれて、二人の足と手の動
きも早くなっていく。ロックは身をくねらせながら何とか堪える。
「10、11、12、131415!」
カウントが終わる。耐え抜いたロックは開放感と共に盛大に射精する。
シリアの手が射精を長引かせようとするかのようにペニスを扱き上げ
尿道からも精液を搾り出していく。
「あらあら、本当に耐えてしまいました」
「やるねえ、坊や」
思惑通りにならなかったにも関わらず二人には余裕が有るようだ。ま
あ、イカすも殺すも気分次第というこの状況ではそれも当然だと思え
るが、思ったとおりいかなくて気分を害すと言う事もないようだ。
「でもさ、坊や…15秒も16秒も早漏には変わらないと思わないか?」
「私たちは射精してくれればなんでもいいですけど、『僕は…早漏じゃ
…ないっ!』って言っておきながらこれは…ねえ?」
ロックは自分が嵌められた事に気がついた。再び自分の心の中に罅が入
ったのを感じる。騙されたのだと自分に言い聞かしてもどうなるもので
もない。
「あ・・・ぁぁ・・・」
絶望の表情を見せたロックに、メイは追い討ちをかける。ロックのペニ
スを足で挟むと2〜3回無造作に擦り上げた。
「あぁぁっ、くっ、うぁぁっ!!」
それだけでロックは三回目の射精を迎えてしまう。我慢するのをやめた
わけではない。必死に耐え様としている。だが、もう体が言う事を聞か
ないのだ。
「早漏君の出来上がり…ですね?」
「それにしても結構搾ったのに全然薄くならないな…マゾで早漏で、そ
の上絶倫ってか?淫魔にとっては最高の男だね?殺すのは惜しいねぇ」
シリアは拘束を解くと、ロックを地面に転がした。淫魔に「生命力」を
搾り取られたロックは機敏に動く事が出来ず、無様に地面を這うだけだ。
「さあロック君、メイドさんにオチンチン見せて下さいね?」
メイは這いつくばっていたロックを仰向けにする。体は動かないが、ペ
ニスだけは力強くそそり勃っている。勃起していては命が危ないと言う
のに、体がまるで言う事を聞かない。
「やめ・・・て・・・」
ロックは蚊の鳴くような声で懇願しながら、手でペニスを隠そうとする。
その手をメイの手が払いのける。
「あらあら、こんなに勃起してて…いいんですか?また射精させちゃい
ますよ?・・・殺しちゃいますよ?」
メイの瞳に残忍な影が宿る。シリアはそれをニヤニヤと眺めているだけ
だ。
「ほらっ!」
メイの手がロックのペニスを強く握る。それだけでロックのペニスは、
ピュッと我慢汁を噴出して喘ぐ。メイから発せられる殺気に、ロックは
完全に飲まれていた。生まれてこの方、殺気などというものを浴びた事
がないのだから無理もない。恐怖のあまり声も出ず、首を振って助けを
請うばかりだ。
「握ってるだけで感じてるんですか?私の手の僅かな収縮にも耐えられ
ないんですね。それではどの道、目的を達成する事なんて出来ませんよ。
ここで死んじゃいなさい。さぁ、握っていてあげるからこのままイッちゃ
いなさい」
メイは更に強くロックのペニスを握った。その痛みさえも今のロックに
は堪らない快感となる。
「あぁっ・・・」
「タマタマから昇ってきましたね?熱い液が…栄養たっぷりのお食事が…」
メイの目がロックを見据える。目を合わせると、まるでその瞳の中に自
分自身が閉じ込められているかのような錯覚に陥る。
「あぁ、あぁぁぁっ・・・」
「ほら、もうダメだ。早漏になったあなたに我慢できるわけない。あっ、
ビクビクってしてきましたよ?」
睾丸が収縮し、射精の戦慄きをはじめる。こうなるともう、自分の意思
では堪えようにも堪えられない。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
「どうなるの?どうなっちゃうの!?言いなさい!」
「あああああああああああぁっ、イクっ!イッちゃうぅぅ!!!!!!」
ブシュッと言う音と共にロックのペニスから精液が噴出した。メイは手
に付着したそれを、見せ付けるように舐め取っていく。
「握っていただけなのに…これだから早漏君は。んっ、美味し・・・」
「はいはい、お前はそこまでな。後は全部あたしのだ」
シリアが二人の間に割ってはいる。メイは不満を漏らそうとして、何か
の気配を感じ振り返った。だが、そこには何もいない。メイの背筋に一
筋の汗が流れ落ちる。
「そう・・・ですね、約束ですから。仕方ないですね」
「?やけに素直だな?まあいいけどよ」
「それでは私は先に本部に戻ります…私がいなくても能力は生きてます
から」
メイは背に翼をはやすと、部屋の窓を開けてまるで逃げるようにして飛
んでいく。あの言い知れぬ感覚は何だったのか。恐怖とも言えないほど
巨大な何か…それは人が天災に襲われたときの絶望感にも似て…

シリアは舌なめずりをしながらロックに跨っていた。ロックは度重なる
搾精に気を失っている。
「ふふ、この前は邪魔が入ったけど今日はそうはいかないよ…坊やの童
貞、奪ってやるからね」
手でペニスを固定し、熱く滑った蜜壷に添える。それだけでロックのペ
ニスは鈴口に精液を滲ませている。気絶していても、メイの能力が生き
ている以上、早漏状態であることには変わりないのだ。その花園はロッ
クの全てを飲み込もうと淫らに蠢いていた。
「メイの能力に侵された状態で淫魔の中に入れたら…もう死ぬまで射精
止まらないだろうね…坊やが気絶してるのが残念だよ。快感に狂う顔が
見たかったのにさ!」
シリアが腰を落とそうとしたまさにその時、ロックの右手が素早く動き、
メイの喉笛を掴んだ。
「かはっ!?」
凄まじい力で押さえつけられたシリアの喉が悲鳴を上げる。まるでさっ
き少年の力ではない。シリアを掴んだそのままロックは立ち上がる。
『全く・・・面倒をかけさせるな・・・』
ロックの口から出たその声は、ロックの物ではなかった。透き通るよう
な声。少女の様でもあり、また年をへた女の様でもある不思議な声だ。
「な・・・んだ・・・?」
『これでわらわの血を引いていると言うのだから悲しくなるな。潜在能
力は飛び抜けていると言うのに。心根がいかんな、心が弱い』
シリアのことなどまるで無視して謎の声は誰かに語りかけている。
『そうそう、わらわが助けてやれると思うなよ?距離があると一苦労な
のでな。仙道はわらわの得意とするとこでは無い故にな…こんな淫魔な
ど、このように一瞬で屠って貰わねば困るぞ?』
声と共に、ロックの左手がシリアの蜜壷に添えられる。そして、『グッ
ドフィンガー』の光が輝く。だが、いつものロックのものとは威力がま
るで違った。
「あひっ、いひぃぃぃっ!!!!」
シリアの体がだらしなく弛緩する。そして潮を噴くと、絶頂に達し光の
中に消える。
『さっさと南の大陸へ来い。わらわはそこで待っておるでな。それまで
にはもう少しマシな男になっておれよ?まったく、童貞なんぞを後生大
事に取っておくから一人前になれんのじゃ…さっさとそこらの女か淫魔
相手に捨てるがいい。ふふ、ではな…』
声が途切れた途端、ロックの体ががくりと崩れる。
「・・・」
あまりの事に声も出なかった。『声』が体を支配している間も、意識だ
けはずっとあった。それに、この感覚は以前にも感じた事がある…恐怖
はまるでない。むしろ慈しみすら感じる…しかし、混乱よりも疲労感が
勝ち、ロックはそのまま朝までベッドの中で眠るのだった。

世界の某所・・・
「帰ってこないわね?」
メイの目の前で、ナギが心底愉快だと言わんばかりに笑っている。
「あの状態で…逆転されるなんて…ありえません…」
メイの声に力がない。去り際に感じたあの感覚が、メイに絶対の自信を
与えなかった。
「私の弟だもの。これ位して貰わないと困るわ」
ナギはとても楽しそうな様子だ。今にも鼻歌でも歌いだしそうだ。
「・・・仲魔がやられたかも知れないのに、随分楽しそうですね?」
「そうね。とても悲しいわ。可哀想なシリア…そして可愛いロック。悲
しくて愛しくて、私が張り裂けてしまいそう…クククッ!楽しくて堪ら
ないわ!!」

ナギの笑い声が木霊する。多くの謎を抱えながらロックの旅はまだまだ
続く・・・ 
                     封淫記 第一章 五話完
久々です。遅くなってすみません…が、アルカディア作製を速める予定なので続きはまた遅くなるかも。
最近、一さんやわしゅんさんなど新しい方々も加わって盛り上がってきて何よりです。

[mente]

作品の感想を投稿、閲覧する -> [reply]