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転生?それが何だというのですか、お兄様?

「お兄様やっと二人になれましたね」
「暴れないでください それともまた肢体を椅子に打ち付けられ雁字搦めにされたいのですか?」

時間遡行しても無駄なのだ

タイプリープ
時間を遡りあらゆる可能性を模索した

同時存在、量子論にいう状態の重ね合せその世界に存在し、状態の重ね合わせ・状態の収束
その世界に存在せず、状態の重ね合わせ・状態の収束

やつはその全てのパターン変化のシミュレートをどうやら一度に全て行え、必要な検索結果のみを抽出 のみならず

淫魔の頂点とされるSランクに位置するものの実現化力
そもそもこいつの意図に反する出来事が顕現すること自体が殆どまず有り得ないのだ

精奴とされるものは2ランク上の淫魔に娶られる それがこの世界の常識である
簡易的によく使われる数値、1ランク百倍程度とされる 2ランク上だと1万倍だ
では確率的に1万1回やれば勝てるのか というとそういうことではないらしい

やつの思いの一万に希釈された一の思いとでも言おうか
その一の思いもあらゆる可能性の篩にかけられ
やつの都合のいい現実に常に書き換えられているのだ

こちらが時を遡り、1回ずつしらみ潰しに可能性を模索しても全く話にならないのである

許されることといえば
いっぱいちゅしてください などとおねだりするくらいのことだ
精奴は皆そのように洗脳されていくのだ

前回の転生の記憶はまだ残っている
実の妹に20年も拘束され1歩も動けず犯され続けた

転生し自由の身となったはずだったのだが、気付くとそこは淫魔の世界だった
だが精奴とされるものの待遇もそこまで悪くはないようであり、時を司るレアスキルまで得ていた


意味がわからない
何故何度時を遡っても俺とやつを残しそれ以外は皆殺しにされるのか
この世界に来て一度目は死力を尽くし闘った だが、刃がやつに届く そんな事象が起こるわけがない
やつの前で剣を抜けば地割れに飲み込まれかけ、剣を手離し辛うじて難を逃れる
例えやつの前でなくともやつを倒す意思を持って杖を手にすれば風が吹き漂流物が舞いいわゆる
バタフライ効果によって杖は手元から消え質屋に流れる そういうことなのだ
暗殺者が隠し持つ刃を構え襲い掛かった途端に足が縺れその場にひれ伏し、むぎゅうと言いながらおみ足を舐める
恩顧をこうむったのかは遠目では定かではなかったが
暫し喜んでおみ足を舐め続けるという現象を目の当たりにしたこともあった
この世界では精奴隷が淫魔を倒せれば 逆に主となることが出来るとされる
だがそんなことが日常的に起こるはずはない
公になるのはせいぜいCランク以下の淫魔で数年に一度あるくらいだろう
性技による勝負も勿論挑んだ やつは執拗にキスをしてくるんだ
それだけで力が抜けて抵抗出来なくなる 勝負と言えるものではなかった
もうだめだ抵抗する気力もない 俺の中で何かが弾けた

「お兄様」
「ちゅ(はーと)」
「いっぱい子供を作りましょうね(はーと)」


100年が経過した
男が生まれる確率は1/1万とされるが10万人程になったのか ようやく産まれたようだ
S淫魔の妊娠は特殊なのかまではわからないが、
お腹の中である程度育ってから3-4歳程度の幼体として転移して生まれてくるようだ

「お兄様 男の子が産まれました
ここには私達しかおりませんし 兄弟姉妹仲睦まじく愛し合って素敵な世界になるといいですね♪」

やつ、妹が何を言おうとしているのか悟った
夢の世界からなのか「お兄様おしおきです♪」という言葉が耳鳴りのように響いてくる
「実の妹だから? 実の妹とは愛し合ってはだめだとどうして思ったのですか?」
「今は姉しかいないですが、これからこの子の妹がいくらでも産まれてきます」
「男の子はもう産まれません そう決定しました」
「この子が姉と妹と愛し合うのは当然のことでしょう?」
「お兄様(はーと)」

後でわかったのだが、20年程妹に監禁された記憶というのは
そもそも時系列があるのかも定かではない 並列的に別世界に転生していたりするのかもしれないのだが
どうやら推定数千万回は前のもののようだ
あの時は転生すれば終わりだと思いやつ――妹の姿を模る得体の知れない何か
を相手取り相当の啖呵を切っていたようなのである
この記憶を引き合いに出してきたので思い出した いや思い出させられたのだろう
おそらく夢や記憶は時空とは別の次元にあり 淫魔は夢や夢の記憶といったものを自在に操る
さらには転生の記憶といったものを深層に追いやることも思い出させる事もやつには容易なのであろう
前回の転生時俺が何かやつの逆鱗に触れてしまったのか
平時から事ある毎にこうして見せしめにしているのか いずれにしても本来最早どうでもいい遥か昔の話に思えた

「妹と愛し合ってもいいというのはわかった」
「だがそれは義務ではないはずだ」
100年経ちいろいろな思いが薄らぐなかではあったが
この何をされるかわからないやつを相手によく言えたと思う
この機を逃してはならない、やつ――妹に今度こそわからせてやるんだ
「愛し合うとはそういうことではないんだ もっとお互い……」
上唇に人差し指をそっと当てられ制止される
「いえ義務です」
「妹が愛しているといえば愛する お兄様が妹を愛するのは義務なのですよ」
なんだってー
もう付き合ってられない 解放してください
「お兄様が何を考えているのか全てお見通しです」
「お兄様は未来永劫私のもの(はーと)」
あぅ、いきなりキスされて今日も5時間このままでした
お兄ちゃんにはわけがわからない
なんで義務なのかそのうち説明してくれるのかな
口内をぐちゃぐちゃに犯され 何も考えられないまま意識を手放した



◆◆◆―――――――◆◆◆―――――――◆◆◆



クローン?屍術?
産まれた男の子――皇子ということになるのだろうか は外見の遺伝情報のみ
いややつらのことだ魂までも模倣しているのかもしれない――を模倣した
瓜二つの子を誕生させ姉の一人が皇子の育ての親となるようだ
こいつのことはクローン皇子と呼ぶことにする
皇子はレベルドレイン等でニランク半下に調整され 健やかに育っていく
その間妹が一人だけ産まれ クローンの皇子とその妹のみが皇女として育てられる
皇子の姉達は育ての親以外にもメイド・従者等の裏方として、皆一様に舞台裏に退いていく

やがて一般の家庭の子として育てられた皇子が
調度品など妹用に誂えられた豪奢なそれでいて落ち着きのあるシックな豪邸に招かれる
妹は兄と知ってか皇子のことを「お兄様」と呼ぶ、
皇子は兄役であるクローン皇子が自分にそっくりなのでそう呼ぶのかと気にも留めていないようだ


何か覚えがある――まさか?
後ろから仄かに頬を赤く染め瞳を潤わせる薄暗い影を感じる
「お兄様」
暗闇の中輝きを増す双眸 気配を感じるが金縛りにあったように振り向けない

「お兄様は妹と愛し合ってもいいと認めました」
ひぃぃ
不意に後ろから手を回され抱きつかれていた
ぎゅうぅぅ

言質を取られこうして妹の闇に落ち続けている?
やつ――妹を止める手立てはもうない
しかし、最後の砦となったが心まではやつに屈してはいけない 決して屈しない
俺はそう誓いなおした

「お兄様 何を抵抗したいのですの? 私以外に愛せる人がいるんでしたら言ってみてくださりますか?」

今までの様々な記憶 想いが走馬灯のように浮かんでは消える
いない、妹以外に深い結びつきがあった人物、そんなものは存在しない
存在を許されていないんだ 全て妹が押しのけてしまうのだから

だが、それと妹を愛するのは別問題だ 
ツインソウルやソウルメイトといったものは勿論わかっている が
それも義務などでは決してない 決してないんだ

「ちゅぅぅぅ(はーと)」
気付くと、そのままベッドに押し倒されいつものように激しくキスをされていた

あ、無理でした……
この瞬間俺の誓いは音もなく崩れ去り瓦解していた

「冗談はやめてくださいね、お兄様(はーと)」
「はい……」

今回の転生でもまたいいようにされたようだ 次だ次はわからせてやる

「お兄様?」
「はい……」

「ん(はーと)」
「ちゅぅぅぅ(はーと)」



◆◆◆―――――――◆◆◆―――――――◆◆◆



妹魔王END


SSS
妹魔王
それがやつの今のクラス

平時のやつはS-SS程度にみえる
第二段階では星の力――星目がその力の一部なのかもしれない、第三段階では妹魔王の力を解放する

原初の淫魔
この世界はSSSSS(S5, Fifth S)までの枠があるそうだが
あの妹はその領域にまで到達するのだろう 到達していて力を少しずつ解放している?
とにかくあの妹はそういうやつだ 何度時間を遡っても決まって淫界全滅など誰が信じられる?

後で判明したのだがSSSになっても上位の淫体はなくソース帰還となるようだ
故にSSS以上のものを原初の淫魔と呼ぶらしい
一度ソース帰還してしまえば、ソース 源の存在にとって
SSSとして顕現するのかSSSSSとして顕現するのかは特に問題ではないのかもしれない

この世界にSSSが顕現した実例は聞いたことがないらしい
少なくとも現時点では原初として世界に存在するのは妹魔王のみのようだ


小さい頃のやつはS、星の力を継承しSSに
二ランク上であることはわかっていた

俺が実妹だと気づいたその日
やつは真の力、妹魔王の力を解放したのだ

無理だった
蠱惑的な眼差し 魅了、誘惑
何が行われたかは定かではないが
キスのみで籠絡するには十分だったようだ

俺は妹を愛している?
記憶にはないが転生前には必ず籠絡されているのか

その状態からやつ――妹に有利な勝負の約束をさせられ転生しているということか

そもそも俺は何をわからせようとしていたんだ
お互いに愛し合う?
愛し合っているじゃないか

妹を倒そうとしていたはずだ だがそれが何だったのかは最早わからない

通常、高ランクである程 転生前の記憶を有する
特に、AAAクラス以上の淫魔は高次の魔眼を使う 魅了、幻夢、空間転移や
自身の夢・記憶 アカシックレコードなどもこの領域にあると思われる――神聖空間も行き来出来るとされる

メイド役を演じているあの妹の娘、皇子の姉達にそれとなく聞き込み判明したものだ
皇子の姉達は時が来ればそれぞれ淫界の女王クラス あるいは淫女王として独立するようだ


「お兄様(はーと)」

その考えに至ったその日、幻覚を見せられた やつらはその瞳の力で幻夢を自在に操るのだ

犯罪に厳しい世界のようだ
俺が中学生程度と思われる妹にわからせようとするがいつも思いとどまる
性犯罪というものがあり、罪を犯せば数十年牢屋に入れられる そういう世界だ

そのうち妹にキスされるようになり、騎乗位で犯され子供が産まれるまでの夢

ひぃぃ
気付くと又後ろから抱きつかれている

妹を愛すること以外に意識を向けてはだめなのだろう
やつは少しずつそのことを俺に認めさせていくのだ 妹の事しか考えられなくなるその日まで

抵抗する気力など疾うに失われている

「お兄ちゃんが全部悪かったんだ」
「愛している」

最初から妹を受け入れていればこのような無駄な抵抗はせずに済んだのだ
先程の夢の古代エジプト? では普通のことだったらしい

「はい(はーと)」

俺は実妹にそっと口付けをした

何かが終わり新しい何かが始まる 世界が変わったのだ そう感じ確信した
妹魔王を中心に……
第89話 最後に残ったものまでの感想(20/4/28)
https://ncode.syosetu.com/n7437dj/

妹魔王END追加(20/5/2)

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