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ある田舎にて

ある日のこと、わたしが家の付近をフラフラ散歩し、
明乃野という所を過ぎて、駒木田と云う所にある文化史料館に
フラフラ入った時に見つけたものです。
なかなかのものであったので少しここに書かせていただきますが、
これから書くのは現代語に近い訳を私が書き留めたものなので、
色々と元文などが違っていたりするかもしれませんが、ご容赦ください。
雰囲気だけ解って頂ければ幸いと存じます。



慶長4年と或から、1600年頃の話であろう。
相模の国、下総にて、ともある。
何が事の起こりかは、今となっては知るすべもないが、
五十程の郷士が集まり、皆、白い裃を身に付け、じとと事の成り行きを見守っている。
皆の輪の中には、二間、三間(3×5メートル位)の板畳がしかれ。
周りには赤々と篝火が燃え。
香木が焚いているのか、辺には強い匂いが漂っている。

板畳の上には、白い薄衣を着た男と女。
相向かい合っている。
男は年の頃23、4、立派な丈夫。
グイと女に近づき。
「鹿田宗兵衛が家来、横田次郎衛門が息子、横田平市なり、これよりその方を打ち倒し
淫辱せしめるが、恨みなきよう!」
と、名乗る。
名乗りを受け、女性(にょしょう)がずいと前に出る。
「今松木十郎の娘、せい、其の方こそ恥をかく前に身を引いたらいかがか?」
年の頃16,7とあるから、今の年齢で14,5かも知れない。
男の身の丈が六尺と有るから、180以上はあるのだろう。
対して女性の方が、『五尺を上回り』と有るからもしかすると160ぐらいかもしれない。
いずれにしろ両雄立派な体格であったは想像に固くない。

立会いの者が掛け声をかけ、ズイズイと合間を詰め。
気合と共に平市がせいを押し倒す。
やはり体躯に勝る男が圧倒的に有利である。

『白猫を甚振る山犬の如し』
と、注釈があるから、所詮男が力に任せ女の薄絹を乱暴に剥ぎ取っていくのが、よくわかる。
やがて、平市はせいの‘口吸い,(キスのこと)をはじめ、両の乳房を揉みしだいていく。
ジリジリとせいは体を動かし、平市の攻め手を逃れようとしながら、腰を動かし始める。
動かしながら平市の‘腰物,に自分の体を擦りつける。
慌てて、平市が体を離そうとするを、得たりとばかりにせいの手がするりと、平市に伸びる。
堪らず、平市がその手を払おうとするも、及ばず。
せいの手は平市の逸物を握りしめる。
平市だがさるもので有り。
せいの女淫に手を伸ばし、指をいれ、エイエイと責め立てる。
平市とせいの、欲情ためのわずかなる悲鳴が、はたして、板間の上に響く。
やがて、

せいが自分の中に差し入れようとしたのか? 
はたまた、平市が『頃や良し』と見て決めに来たのか?
逸物を女淫の中に差し入れた。

二人から同時に悲鳴が上がった。

だがひときわ大きく挙げたのは外でもない。

平市であった。

せいの女壺が想像のそれよりも大きく異なっていたのだろう。
そのあまりの快楽に平市悲鳴を上げたのだ。

最早逃れられぬ平市をせいが責め立てる。
やがて、大きく‘気を吐いて, 平市が倒れ込む。

立会いがせいの勝ちたるを告げ。
せいは平市より離れる。
立ち上がり、深々と郷士に頭を下げたる時、股を平市の吐いた‘精,がツイと垂れ落ちる様は、
真に妖艶にて淫猥なり。



文章はここで終わりです。

二人が何者であるのか?
なぜ二人が大勢の見守る中、戦わねばいけなかったのか?
負けた平市はどうなり、また勝ちを収めたせいはその後どうなったのか?
それらを書き記した物は何もありません。
なので私があれこれ書くより、
お読みいただいた方々が、想像していただくのが、興があっていいかもしれません。


ですけども、女と男の戦いというのは、遡れば日本書紀にも出てきますし、

案外色々と深い物なのかもしれません。

お久しぶりとか始めましてとか。

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