――俺は他より『いいモノ』を持っている。
自分がなぜモテたのか、考えて出てくるのはこれだけだ。不細工だとは言わないが、特別容姿が良いわけでもなく、金持ちでもない。勉強・スポーツが出来たって、多少優しくたって差はないだろう…。
『いいモノ』と言っても、特別ルックス(大きさ?)に恵まれていたかと言えば、そうでもない。客観的にみても平均ちょい上程度だと思う。それに、そんな事で男がモテるなら、世の中の女は『鼻のでかい男』に群がってしまう。
そう言った外見ではなく、違う何か…(ある人は『フェロモン』と言ったし、別の奴は『匂い』とも『雰囲気』とも言ったが)非科学的な、特別な力があるのかも知れない。間違いないのは、多くの女が俺に惹きつけられ、その全てが俺の体を(モノを?)求めてきた事だ。
そしてさらに、若い頃はただ猿のように腰を振っているだけだったが、数を重ねるにつれ気付いた。俺はどんな女もイカせる事ができたのだ。
俺と体を合わせると女は皆果てた。『果てる』なんて、どちらかというと男に使う言葉だとも思うのだが、それ以外にしっくりくる言葉が見つからない。
何人も相手にしてきた事での経験もあるだろう。相手の感じる『ポイント』は、お猿さんの頃には無理だったが、今ではまさに手に取るように分かる。『百聞は一見に如かず』そういう事だ。
まぁ、異性を惹きつけるのは良い事ばかりでもない。その時々でそれなりに面倒な修羅場や事件があったし、代償も少なくなかった。お釣りがくるといえば勿論その通りだとも思うが、そういった自分の能力や経験が少しずつ自分を歪めていった。
(身長155p、45Kgてところか…)
大見谷駅・西京線上りホーム、夕方5時。仕事帰りのサラリーマンやOL、学生が溢れる中、俺は一人の女性に目をつけていた。
膝上まであるロングブーツに、ニットのワンピース。丈は短く、ブーツとの間に覗く太ももが周りの視線を誘う。
緩めの生地が体のラインをぼかしてはいるが、それでも隠せない胸の大きさ(Eか…Fか)。腰のクビレからヒップのライン。スレンダーと言うよりは健康的な…、と言ってもお世辞でよく使う『ぽっちゃり』では決してない。世の男が一番好みのタイプだ。脚はロングブーツに隠れてはいるが、太ももの肉付きに比べ膝から下は細く、足首がクビレているのがわかる。『締まり』が良さそうだ。
髪型は緩やかな内巻きのセミロングで、毛先が胸元に降りていく。ブラウンの髪がふんわりと顔を包み、小顔を際立たせる反面、そこに付く大きい猫のような目、スッと伸びる鼻筋、グロスで光を跳ね返すふっくらした唇が、一層目立って見えた。
俺は、普通のセックスには飽き足らず、目当ての女を見つけては痴漢をする様になっていた。
西京線、通勤快速は駅と駅の間隔が長く、痴漢が横行する路線として有名だ。俺もそれに便乗し、常習的にその行為を繰り返していた。
電車がホームに滑り込み、電車とホームの人々が入れ替わる。俺は人ごみに押されるようにピッタリと女の後ろについたまま電車に乗り込んだ。向かいのドアの隅に背を向けて立つ。いい場所だ。
ドアが閉まり、電車が動く頃、早速俺は左手を動かす。女の腰元に手を下ろし、掌を押しつけると、女の体がピクッと反応した。
よく、『電車の揺れに合わせてさり気なく…。』とか『あわよくば気付かれず…。』なんて奴がいるが、間違っている。そんな事をして何が楽しいのだ。
『気付いたけれど逃げられない。』
『逃げたいけど…』
と相手を困惑させ、さらに、理性を失った相手が体を寄せてくるまでするのだ。『特別な力』がそうさせているのか、現に俺は今まで捕まった事など一度もなく、電車を降りて俺についてくる女すら複数いた。
落とした左の手のひらを動かす。掌を押し当て、円を描くように回す。女は身動きせず、程よい弾力が左手に伝わる。――良い肉付きだ。俺は指先に力を入れ、相手の左尻を揉みしだく。女の尻にキュッと力が入り、反応を見せる。
さらに弄り、女の尻からワンピースの裾を通り過ぎ、太ももを撫でる。外側から丹念にさすり、徐々に内側へ…。時折手の平を返し、手の甲も使いながらゆっくりと体に這わす。
相手の体が徐々に熱を帯びてくる頃だ。実際、女の体は逃げることはせず、ヒールによって突き出た下半身を自分に寄せて来ているようだった。
まだまだ慌ててはいけない…。太もも、尻、腰回りをジックリと撫でほぐす…。
すると、
――スッ――
女の右手が俺の股間に伸びてきたのだ。気のせいなどではなかった。股間をさすった手は俺の『状態』確認すると、後ろを向いたまま器用にジッパーを下ろしたのだ。ファスナーの入り口から手を滑らせ、パンツ越しにさする。モノの形を確かめるようにパンツごと指先を絡め、包み込む。
俺のモノはすぐに反応を始め、血液が集まっていく…。
帰宅前でガードが下がるとは言え…。最近はこういう女も増えたようだ。ウェルカムな相手に気が萎える奴が『同業者』には多いらしいが、俺はそんな事はない。向こうが立っていられなくなるまで相手する事にしている。
しばらくお互いの手が相手を弄っていたが、ふいに女が動かしている左手を支点にして、クルッとこっちを向く。俺の手が尻から離れ、女はグッと体を寄せて囁く。相変わらず左手は動いたままだ。
「あなた上手ね。もっと、楽しい事しない?」
俺にしか聞き取れない様な声で、しかしハッキリと言う。女の指先――人差し指が亀頭を撫でてくる。
「次で降りて。」
目を合わせたまま、ズボンから手を出し、ファスナーを上げるとゆっくりドア側に向き直す。
お預けを食らった犬が吠えるように、自分のモノが大きく脈動する。
女について行った先は阿加羽根駅西口から3分のラブホテルだった。女は『ユカ』と名乗り、前を歩いた。
部屋に入るとユカは、スッ、スッと立ったままブーツを脱ぐ。ユカがハンドバッグをイスに投げるのを見て、俺は体ごとドア脇の壁へとユカを押し付けた。そのままの勢いでヒールの分、背の低くなったユカの顔へと自分の唇を下ろしていく。
――くちゅ、くちゅっ、ぴちゅ、ぷちゅ、くちゅっ、ちゅる――
舌と舌が絡み合う音が響く。
キスは経験での差が一番よく表れる。自分から誘ってきただけあって、ユカのキスはなかなかのものだった。侵入してくる俺の舌を受け止め、受け流し、器用に自分の舌を絡めてくる。
口の外でもユカは俺の首に腕を回し絡めて体を寄せてくる。乱暴に押し付ける俺の事など意に介してないかのよう、まさぐるように下から求めてくる。吐息を漏らしながらも顔は妖艶に微笑む。決して『受け入れて』いるのではなく『責めて』いた。
俺はどちらに主導権があるのかを示すように、両手でユカの手首を掴み壁へと押し付ける。
「んっ…」
ユカの鼻から漏れる声を聞きながら、上から覆いかぶさるようにし、舌で、唇で、ユカの口を犯す。相手の歯の裏をなぞり、そのまま更に奥まで舌を這わせ同時に唾液を送り込む、
「んーっ…」
もう!と言わんばかりの慌てたような声を鼻から漏らしながらも、それを受け止め、俺の舌を迎え入れる。舌を絡ませながら口をすぼめるようにして吸い上げ、すぐさま今度は自分の舌を俺に押し込んでくる。
調子付かせたくなかった。素早い反撃に、受け入れるのを拒み、唇を離す。
「んんっ!なんで逃げちゃうのぉ?今度は私が犯してあげたのに♪」
「『口だけ』は一人前か?」
「ふふっ♪他も試してみる?」
上目遣いで言うユカを無視して、俺は相手の腰もとからワンピースをたくし上げ、下着姿にする。が、脱がし終えた瞬間には逆にユカが俺のシャツの裾を持ち上げる。上半身が露わになる。
「ふふっ♪いい身体ねっ♪」
ユカの右手が腹筋の凹凸を撫で上げ、胸板へと手を這わす。こちらを見上げ、反応を品定めするような目で覗いてくる。
「ふふっ♪」
ウットリと微笑み…相変わらず目はこちらに向けていた。
俺は右手をユカの背中のまわしを外し、ブラを外す。すぐに胸を愛撫する。
予想より随分大きかった。Gはあるだろう。いままで見てきたどれよりも柔らかく、それでいて張りがあり、丸い輪郭がしっかりと強調されていた。肌はみずみずしく、指が沈んでいくと、その一本一本に肌が吸い付くようだった。
「あなたは…楽しませてくれるかしら…?」
「嫌って程な…。」
「じゃあ私はあなたが『嫌』って言ってもやめない事にするわ♪」
嬉しそうに言う。
「ふふっ♪ココ…早く私にぶち撒けたいんでしょう?何回吐き出してもいいわよ♪今日は大丈夫だから♪」
ユカは、左手で俺の股間をさすりながらさらに続ける。
「あなたが音を上げるまで何度でも搾り取ってあげる♪」
こういう女を今までも何人も相手にしてきた。身の程をわきまえない、高飛車で傲慢な女を。こういう相手への対処は決まっている。『壊す』のだ。肉体も精神も屈服させ、身体全体で泣き叫んでもらうのだ。
「まずはお前を楽しませなきゃな…。」
「ふふっ♪本当に自信あるのね?じゃあ、こういうのはどう?」
右手で胸板を撫でながら続ける。
「『イカせ合い』『相手をイカせた方の勝ち』。負けた方は、そうね…奴隷になってもらう。」
「まるでお前が勝つのが前提みたいな言い方だな。」
意に介さずユカは続ける。
「どう?…まぁ受けても受けなくても、『結果』は同じになっちゃうと思うけど♪」
ふと、ユカの人差し指がカギ型に曲がり乳首を引っ掻く。クン…っと自分の顔がお辞儀するように反応する。
ピチャピチャとお互いの性器を舐め合う音が部屋に響く。ベッドの上にはシックスナインで密着する二人の姿があった。何が合図だったか、いつの間にかユカの提案した『勝負』が始まっていた。
「あんっ♪どう?私の口ま◯こは?いつまで持つかしら♪」
「お前が良ければいつまででも…」
言ったものの、ユカのフェラは確かに素晴らしく上手かった。キスの時にも体感したが、舌はこちらの予想超えて動き回り、ペニスに絡みつく。唇は吸い付くように、肉棒をシゴき、そして簡単に根元まで飲み込んだ。
「お前こそ溢れすぎて、俺の口で拾いきれなくなっているぞ?」
クリトリスを舌先で突きながら右手中指を膣に出し入れする。身体中の体液が集まってくるように愛液が溢れ出す。
「だって…んっ♪上手だから♪…それより、あなたこそ、腰が浮いてきてるんじゃない?」
ユカが右手の人差し指と親指に力を入れ根元からキュッと擦り上げる。
「ちッ…」
堪らずユカの尻をドンッと押し、自分は起き上がりながら、うつ伏せになっているユカの腰に右腕を回して引き寄せる。
「あんっ!」
驚いたような声をあげながらも全く引く気のないユカの腰に自分の腰を当てがうと、深々と自分のモノを挿入する。
――じゅぶーーーッ――
「あーんっ♪」
「――ッ!」
ユカの待ってましたと言わんばかりの演技がかった喘ぎと共に、思わず漏れそうになる自分の声。
「あれ?声出なかったね♪大抵の男は私と一緒に鳴いてくれるんだけど♪」
俺の反応に残念な声を出す。
深い…。それが最初の感想だった。よほどの巨根で無い限り、男のモノは女の膣に全て飲み込まれて当然だ。が勿論終わりもある。しかしユカのそれは、進んでも進んでも終わりの見えない、――稚拙だが、底なし沼の様だった。
また、突き進む肉棒をユカの内壁はいく筋もの柔らかい蔦が絡みつく様に、いくつもの小さな唇が吸い付いてくる様に迎え入れた…。ようやく亀頭が子宮を突いた時には体がブルっと震えるのが自分でも分かった。
「でも、身体は正直ね?ビクビクして♪」
後ろ向きのまま、見透かすように言う。
「今…気持ちよくしてやるよ」
囁くように言い、ズンッ、ズンッ、と大きく腰を送り始める。
「あんー♪そう♪そこっ♪あんっ!あん!あっ♪」
とピストンに合わせ大袈裟に反応してくる。
2分か、3分か…。ピストンは最高潮に達する。緩急のついたピストンにもユカはぴったりとリズムを合わせ、尻を押し付けてくる。往復するごとに体が脱力する様な快感に襲われながらも俺はピストンを強めていった。
正面の鏡に映るユカの瞳は俺を捉え、離さなかった。
演技がかった反応の奥に『本物』が混ざっているものの、恐らく決定的なものではない…。
バックは、男にとって征服欲と深い挿入感が得られ、興奮度は高いと言えるが、体の密着が少ない分、女性にとっては本気になるまでは感じにくい体位でもある。ユカ相手には関係ないとも思ったのだが…。
ズンッと大きく腰を突き出したのを最後にピストンを終わらせ、ペニスを抜く。
「ァんー♪なんで抜いちゃうのぉ?」
言いながらユカは仰向けになり、膝を立て、足を広げ、上目遣いで俺を覗き込む。
「前から突いて欲しいんだろ?」
腰を近づけ、下半身に力を込めて肉棒をゆっくりと突き刺す。
「んふふっ♪」
喜ぶように声を漏らすユカと同時に
「ぁ…」
と声が出ていた。
最初と違い不意打ちでない。俺は十分に覚悟して進んだが、それを上回る快感に今度こそ声を漏らす。
「良い声よ♪鳴けるじゃない、ちゃんと♪」
嬉しそうに微笑み、舌なめずりしながら、俺の首に両腕を絡めてくる。
ひと突きひと突きでせり上がってくる快感をどうにか抑え、力強く腰を打つ。
ユカの背中に両手を回しロックする。そのまま顔を胸に埋め、舌で乳房を刺激した。
「あっ♪ん!」
腕の中でクンっとユカの体が反った。そのまま責め続ける。体を密着させ腰を打ち付ける。単調な動きにならぬ様、浅く、深く緩急をつけながら、次第にストロークを速く、強くしていく。
「あぁん♪いぃ…♪あっ♪」
首に回していたユカの手から力がスッと抜ける。
「気持ちイイんだろ?もっと突いてやるよ…」
囁くように言い、体を起こしピストンに力を込める。
「あん、い…ゃ…♪あっ♪んはっ…っ♪んんー!」
見ると、一瞬ユカが眉をハの字に曲げ、何かに耐えるような表情を浮かべていた。見逃さず、ユカの両手首を掴みベッドへと抑えつけ、ユカを見下ろす。肩を広げて突き出た胸が、重力に屈する事なく形を保ち、ユサユサとピストンに合わせて動く。女を知らない男ならこの眺めだけでもイッてしまいそうだ。
――瞳は、未だ全てを飲み込もうとするユカの目がそこにはあった。
「あんっ♪ほん…とっ、ん♪イイっ♪ん、じゃ♪…コレは、どう?」
ユカが両股を大きく広げ、クイっと腰を動かすと、挿入角が変わりより深くペニスが飲み込まれていく。驚くより速く、今度はキューっとペニスが締め付けられる。
「――ッ!!」
慌てて腰を引くが、
「だぁーめ♪」
逃げられないよう、素早く両脚を俺の腰に巻きつけロックした。
(――まだ)
普通の男なら力が抜け、ガクガク腰を震わせながら、白濁した物を先端から溢れさせているかもしれない。が慌てずフッと息を整えると、半ば強引にユカの体を自分から見て左に傾ける。相手の右脚は股の下に、左脚を抱え、いわゆる松葉崩しの形になった。相手の自由を奪い、膣の締まりを緩める狙いと、相手の足を抱えて鋭く深いピストンをするのが目的だった。
が…。
「あんッ♪スゴイっ!いつまで…あんっ♪我慢できるかしら?ほらっ♪ほらぁ♪」
こんな体勢になってもユカは器用にキュッキュッと膣を締め付けてきた。俺のピストンに、合いの手を入れるように…。が俺も動きを緩めない。緩急をつけつつ、腰を『の』の字を書くように立体的に動かす。自分の恥骨を相手に押し付けるように突き出し、ピストンの度に相手のクリトリスを刺激した。
「んふっ♪まだ動くの?元気ね♪いいのよ?我慢しなくてッ♪あんッ!あんっ♪いぃ…♪」
余裕のある喘ぎだった。まるで自分で自分を盛り上げるような、声で俺を誘惑するような…。
「そんなにイイならもっと突いてやるよ…」
ユカの挑発に乗るように相手の脚を更に広げようとした時、
―――ジュルっ―――
何か、今までと違う感覚が襲ってきた。
――気がした…。
慌てて腰を止めると、
「どうしたのぉ?」
ユカが下から顔を覗き込んでくる。すぐに答えることができない。
(何かが…。気のせい…?)
相手の反応を見る限り、ユカが意識的に何かをしたのではないような気がした。
言葉が出てこない俺を尻目にユカが
「ん♪動かないなら!」
と、持ち上がった左脚で俺を押し倒し、そのまま体を寄せマウントポジションを取る。
手際よくペニスをあてがい、腰を落とす。攻守が逆転する。
ユカの騎乗位は言うまでもなく凄まじいモノだった。よくAVなどで観る、男の上で腰をスライドさせるような動きは一切しなかった。あれは正直、見た目だけで大して気持ち良くない。クリで気持ちよくなりたい、勘違いした女がよくするが、ユカは違った。
挿入角に逆らわぬ向きで、腰をしっかりと打ち付けてきた。上半身の動きがほとんどない為、真っ直ぐユカを見上げるとまるでユカは全く動いてないかのような錯覚さえ起きた。が続く強烈なピストン。
「ほらほらぁ♪もうイきたいんでしょ?んっ♪もっと奥まで、ぁん♪突いてあげる♪…ふふっ♪どこかで聞いた台詞ねっ♪」
「ッそ…」
あまり相手に責めさせる訳にいかない…。ユカを抱き寄せ両手を回し、片手はユカの背中側から肩を掴み、目一杯腰を振った。
「あんっ♪ウソっ!まだそんなにっ♪アンアンっあんッアん♪あっ!ちょっッヤっ!あん♪あーーーーーーっ!」
――フェイク。
「なーんてっ♪」
「ッ…」
「最後のひと踏ん張りってところかしら?フフっ♪ここまで持つ人も初めて♪…、じゃあ…♪」
ユカは動いていなかった。
にもかかわらず。
―――ジュルルルル―――
「――ッ!!」
ペニスがしごかれていた。
慌てて結合部を見る。ユカは動いていない。
「どう?私の膣こき♪これできる人は中々いないでしょ?」
先ほど俺が感じた妙な感覚は気のせいなどではなかった。
強烈な膣のぜん動運動…。根元から亀頭までを360度、舐めしごくように膣がペニスを擦っている…。中々どころかこんなことできる奴に出会ったことなどない。
(これはマズイ…これは…)
ふふっと微笑むとユカは、膣の動きはそのまま、先程と同じピストンをゆっくりと始める…
「ぅあッ!」
およそ普通の男が耐えられるとは思えない、極上の快感がペニスを襲う。ベッドの上でエビ反りに体を反らしたのち、その快楽から逃げようと腰を逆に曲げ、起き上がろうとする俺の肩口をユカの両手が押さえつける。相変わらず真っ直ぐ俺を見つめ、相手を飲み込もうと視線を送ってくる。
もう1分持てば良いほうだろう。俺は自分の腰に改めて力を込め、両手でユカの腰を掴み、下から強く突き上げる。
(―――ッ!!)
「きャッ!」
ユカの顔にも苦悶の表情が浮かぶ。感じている…?
相手の腰に左腕を回すようにし、ピストンを強める。右手はユカの左胸へ伸ばし乳房を揉みしだく。
「あ、い…ゃぁ…♪あっ♪はっん…っ♪んんー…」
イヤイヤと首を振りながらも、俺のピストンに合わせて腰を落とす。ふと気づくと俺の両腕がユカに掴まれていた。そのまま体を前に倒してくる。正常位でユカがされた様に、今度は俺が、まるで拳銃を向けられたような格好になる。
ユカの瞳がジーっと顔を覗き込んでくる。関係ない。俺は両手の自由がなくなってもなお、渾身の力で腰を突き上げていた。
が、
「ふふっ♪」
それでもユカは小悪魔のごとく微笑んだのだ。
ユカの顔が降りてくる。――キス。一瞬頭をよぎったが、すぐに違うと気付いた。
「やめッ…」
言うより前にユカの唇が左胸に落ち、舌が乳首に降りてきた。
「うあっ…ハァあぁ!」
体がビクンと震える。
「ココ弱いんでしょ?最初に触った時からビクビクしてたものねッ♪」
ユカはベロンと舌全体で乳首を舐めると、唇で乳輪を覆いながら舌先を硬くし、レロレロと乳首を突ついてきた。
「あぁ…あァッ…!」
ユカの舌はやはり強烈で、柔らかく、それでいて胸を貫くかのような圧力だった。
左胸から広がる痺れは上半身から全身を満たす。行き場を失うとソレは下腹部へと登ってくる…。あまりにも単純な二点責めだが、せり上がる射精感を抑える事は出来なかった。
「うふっ♪我慢できないんでしょ?イっちゃイ…♪そうなんでしょ?いいわよ♪いっぱい出してっ♪」
ユカの膣がギュッと音を立てて締まる。
「――っかぁッ!」
どびゅっ――――っびゅっ――びゅっどぴゅ―っぴゅっっぴゅ―ッ――
「あはっ♪イッたわねッ!あんっ♪ほらっ!あっ、ッッッすごいっ、まだ出てるっ♪あんー♪あはっ♪んあっ♪」
今まで経験したことのない長い射精。
「あんッ♪あははっ!ほんとすごい!ふふっ♪これからよ♪このまま、んっ♪…何度も犯してあげる♪」
俺は、体の全てを出し切ったかのように脱力する。妖艶に微笑みながらも嬉々として腰を振り続けるユカを見上げながら、目を閉じた…。
――30分後――
ユカの体が俺の上で跳ねる。何回目の騎乗位だろうか…。ユカは脚をM字に立て、膝を使って尻を大きく打ちつけていた。
「なん…でぇっ、何ッ…度もイッっ…てるンッ♪…のに…ぁん♪っッこんなにッ…イッ…♪」
しかし、よがっているのはユカの方だった。
言葉には不安と焦りが、息づかいからは苦痛と快楽が入り混じって漏れていた。
パンッパンッとリズムよく尻を打ちつけてはいるものの、ピストンする度にユカの理性がかき消され、比例してせり上がってくる絶頂感に体が震え、腰を落とすのをためらっているのが分かる。
顔ににじむ汗は顎へと流れ、閉まり切らない口もとから滴る唾液とともに、俺の胸板に置いている両手の間にパタパタと落ちていた。
最初の長い射精を全て受け止めたユカはそのまま腰を振り続けた。敏感になったまま責め続けられた俺は数分で2度目の射精を迎える。
「あはっ♪またイッたわねっ?あんっ♪また、ス…ゴく出てる…!元気♪ふふっ♪」
と、なおも腰を打ちつけてきた。
その後は落ち着き、お互いが息を整えると、まるで初めてかのように体を合わせた。
「まだ責める元気があるのね?イイわよ♪沢山吐き出しなさい♪」
お互いを愛撫し合い、バックでの挿入までは、まるでデジャブのような展開だったが、背面騎乗位→向かい合っての騎乗位から座位→正常位。と一度も結合を解くことなく、目まぐるしく体位を変えた。
俺は最初と変わらず力強く腰を突き動かしていたが、顔を火照らせ、肌に汗を滲ませながらも下から責め立てるユカに耐え切れず、3度目も中に精子を吐き出す。
「あんっ♪すごっい♪ィィ♪あんっ♪ビクビクいって…♪ほらぁ♪もっと締め付けてあげる♪あんっ♪ほらっ♪全部出して♪」
びゅるっと体が震え、長い射精が終わる。
そのまま俺が堕ちていくとでも思っていたのだろう。数秒のインターバルののち、なおもいきり勃つ俺のモノがユカの中をかき回し始めると、
「えっ!?」
とユカの顔が明らかに歪んだ。
ユカの目も口も、胸も腰も、肌も膣も…男をイカせるには一級品だ。ユカの身体全てが男を搾り取ろうとしてくる。およそ1時間ノンストップで責めてくる体力にも感服する。
だが…それだけだ。
自分がイク番になれば関係ない。数十分前まで強烈・自在だった締め付けも、今や自分の快楽の為に、ピストンに合わせてヒクついているだけになっていた。
1時間もしないうちに3回もイッたのは、さすがに予想外だったが…俺にはまだ『余力』があった。
「っイヤッ、これ以上はっ…ハぁッ♪…わっ…たし…ぁん♪…っもう…」
いつの間にか後ろを向き、腰を打ちつけていたユカがモノを抜き、俺の脚元に突っ伏す。俺は体を起こすと、首を左右に振りながらモゾモゾと四つん這いのまま逃げるユカを捕まえ、バックから腰を突き出した。
「あーっ!」
体を仰け反らせてよがるユカの腰に左腕を巻き付けロックする。空いた右手は後ろからユカの左胸まで回り込み、揉みしだきながら羽交い締めにする。
正面の鏡に映るユカの顔は、苦悶と恍惚の混じった表情で歪む。俺は未だにたぎる自分のモノをユカに出し入れする。亀頭を子宮に打ちつける。カリで中の愛液を掻き出すように腰を引く。
――初めから『勝負』などする気がなかった。
ユカは間違ったのだ。遊んでいる余裕などなかった。万に一つも本気で俺を堕としたかったのなら、ユカは最初から本気で戦わねばならなかったのだ。
ズンッと更に後ろから腰を送る。胸を揉みながら人差し指を立て乳首を押し込む。
ビクンッとユカの体が跳ねる。
「お前も…『ココ』が苦手だったんだろ?」
「そんっ、な、あハッ…あっんッ、ア…っ♪いやッ!」
否定などいらない、身体が教えてくれる。
「もう一つの弱点も…。」
ピストンも右手もそのままに、左手を結合部へと滑らせる。
「もうッ……本ん…とにっ…そこッは…ぁーっッ!」
ユカのクリトリスを中指の腹で刺激する。
「ァあーーっ♪」
ピストンに合わせたビクンビクンという大きな痙攣と共に膣口がキューッと狭くなる。
「これからだ…」
どこかで聞いた台詞…。
両手の先にある大きさの違う二つの熟れた『実』を指の腹で摘まみ、力強く腰を突き上げた。
「――――――――ッ!!!」
夜の始まりを告げるように、1度目のユカの絶叫が部屋に響いた。
――俺は他より『いいモノ』を持っている。
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