夢魔との初戦闘を終えた僕は夢魔対策委員会の本部に向かっていた……。
それにしても…いまだに胸がドキドキしている……。
いくら夢魔とはいえ…あんなに美人な女性と絡んだのは初めてだった…。
「あぁ……なんか凄い疲れてるな……。」
夢魔と素肌同士で接触しているだけでも精気は吸い取られていってしまう。
射精に比べたらほんのわずかな量だけど…それでも相手の体力を奪うだけの効果はある。
長時間夢魔と接触していた人間はそれだけで体が動かなくなってしまう。
「ハァ…ハァ……。よ…よし……ついた。」
〜夢魔対策委員会・本部〜
ここはかつて巨大な医療施設だった。
広大な土地と最新の機器を揃えたこの街最大の病院。
しかし数年前にあった夢魔の大量襲撃の時に壊滅的な打撃を受け…多くの犠牲者を出した。
委員会は夢魔の研究と犠牲者の治療のため、
もはや施設として機能しなくなっていた建物を土地ごと買い取り…対策の拠点とした。
その後医療施設としての機能は回復し、今も施設内の医療エリアで療養している人が数多くいる。
施設各所には立ち入り禁止エリアがあり、そこには過去の惨劇の記憶が数多く残っている。
夢魔ハンターを雇用しているのが対策エリア、ここの半分は彼らの住居スペースとなっている。
僕は広大な敷地を抜け対策エリアの建物内に入る。
「ふぅ…ただ今狩りから戻りました〜。」
そこで偶然入り口近くにいた人が話しかけてきた。
「おう、そうか…無事だったか……。」
彼女の名は「ミレイ」この委員会を指揮するトップの一人だ。
身長は僕よりも若干高く、すらりとした長い足、小さく整った顔をしている。
胸はそこまで大きくないけど…スタイルはかなり良い。
かなり美人なほうだとは思うんだけど……。
いつも態度が他人行儀すぎて親近感が湧かない…でも一部の男性ハンターには人気らしい。
なんでも次の委員長候補の一人なんだとかなんとか。
「えっとですね…女性型夢魔一体の無力化に成功しました。」
「ほう…良くやったな。それでなにか収穫はあったか?」
僕は夢魔との戦いでの出来事を話した。
彼女が特に驚いたのは夢魔のあの能力のことだった。
「壁を抜けてくる奴が現れたのか……厄介だな…今後対策マニュアルを見直す必要があるな。
とりあえず良くやった、ゆっくり休むといい。」
そう言うと彼女は僕の肩を軽く叩いた後、足早に立ち去っていった。
あの人…僕らハンターの顔なんて一々覚えてないんだろうな……まぁかなり人数いるし……。
ハンターはみな胸元に小さなバッジを付けているから大方それで判断しているのだろう。
「はぁ……。」
それにしても……委員会は夢魔が壁を抜けることをいままで知らなかったのか…?
遭遇した時によくありそうなシチュエーションだと思うんだけどなぁ……。
それとも偶然そういうタイプの夢魔が現れなかっただけなのか……。
多少の疑問を感じながら僕は自分の個室に戻っていった。
「あぁ〜疲れたぁ〜!!」
僕は吸い込まれるようにベッドに倒れ込む。
洗い立ての柔らかいシーツが僕の体を優しく受け止めてくれる……。
同じベッドでも…夢魔と戦う時とは全く違う……やっぱり良いなぁ…安心する……。
初戦闘後で心身共に疲弊しきっていた僕はそのまま眠ってしまった。
あぁ……疲れたなぁ………なんとか勝ったけど……ちょっとだけ…気持ち良かったなぁ………。
………………………………。
…………………………。
「んぅ……?」
なんだろう…仄かに甘い香りがするような…………ん……。
ドタッ……ドタドタッ……!!
人の走る音が聞こえる……一人……二人……いやもっと………?
「お………………………が………ぞ!!」
外が騒がしい……なんだろう……声が………。
「………夢魔が…………………た……!!」
ん………夢…魔……?
「おい!!敷地内に夢魔が現れたぞ!!」
えっ……………!!
その叫び声に僕は慌てて飛び起きる……!!
「夢魔…まさかまたあの時みたいに……。」
脳裏に数年前の事件の様子が過る……。
僕は直接現場にはいなくて、中継で映像を見ただけだったけど……。
喘ぎ声や叫び声……もう……とにかく悲惨な映像だったのを覚えている……。
みんな玄関付近に向かって走っている……。
僕は部屋を出て人々が走っている方向に向かう……施設内に侵入されるなんて……。
夢魔から施設を防御するための仕組みがあるとか言っていたのに……。
防弾ガラスに改良された建物の入り口の扉を開いた次の瞬間……!!
「んっ……!!なんだ……!!ごぼっ…ごほっ……。」
思わずむせ返るほど強烈で濃厚な女の甘い香りが鼻をつく……。
外の空気が薄っすらとピンク色に染まっている……。
広場には人々がドーナツ型に円を作っている……どうやら夢魔はその中央にいるみたいだ……。
「ち、ちょっと失礼……。」
僕は人の波をかき分けるようにしながら円の中央に向かう。
円の中央には一人の女性型夢魔が立っていた……。
彼女の背中には黒い翼が生えていて、夢魔がよく着用している黒い下着のような鎧を着ていた。
柔らかそうなおっぱいは強く主張するように前に張り出していて、
お尻は上向きにキュッと締まっている。
それに……見ているだけで陶酔しそうになるほど美しい顔をしていた。
何よりも特徴的だったのは……肩まである長く美しい銀色の髪だった。
「んわっ…………!!」
彼女は周囲にとてつもなく濃い香りを漂わせていた……。
みんな彼女からかなりの距離を取って円を作っている……。
彼女に近づこうとしていたのだろうか……円の中に人が何人か倒れている……。
「さぁ…先ほど言った人間を早く差し出しなさい……。」
彼女が甘い言葉で囁く……円の内側にいる人間の大半が彼女に見とれている……。
先ほど言った人物……? 誰か重要な相手を探しにきたのか…?
委員会のトップの誰かを差し出せ…とか…そんな感じのことだろうか?
「え……?」
周りにいた人達が僕のほうに一斉に注目している……え……なんで……?
ドンッ!!!
突然誰かが僕の背中を強く押してきた……!!
「ちょ………うわっ………!!」
円の中に放りこまれてしまった……夢魔が僕のほうを見ている……。
「あら………貴方…ですね…♪ さぁ…こちらにいらっしゃい……♪」
夢魔が甘く妖しい言葉で僕を誘惑してくる……!!
さっきより近づいてしまった分……彼女の香りが濃厚さを増している……。
【A 夢魔のほうに向かう】
【B なんとかして足を止める】
【A 夢魔のほうに向かう】
あぁ……なんて……綺麗な人なんだ………。
僕は言われるがままフラフラと夢魔のほうに向かう……。
彼女に近づくほど、周囲に立ち込めている香りは甘く濃くなっていく……。
息を吸い込む度に胸の奥がじんと甘く痺れていく……。
うぅっ………頭…が……クラクラする………足が…フラフラ…して……。
「あら…危ないところでしたね……♪」
彼女の近くまできた僕はバランスを崩して倒れ込みそうになる……。
夢魔はそんな僕を優しく抱き留めてくる……。
柔らかくてしっとりした細い腕が僕を抱きしめていく……。
ぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅっ…♪
「あぁっ……。」
思わず声が出てしまう……温かくて柔らかくて……心地の良い締め付けだ……。
あぁ……気持ち良い……ダメだ…体から力が抜けていく……。
「貴方ですね……私の妹をイカせたのは……匂いがまだ残っていますよ……♪」
妹……? あぁ…あの夢魔の……姉妹なのか……うぅっ……。
甘い香りと共に視界が濃いピンク色に染まっていく……。
「昨晩あの子には魔力を抑えて狩りをするように言ったんですが……。
まさかこんな人間ごときに…イカされるとは……。」
魔力を……抑えて……? そう…だったのか……。
さっきから呼吸する度に…彼女の甘い香りを吸い込んでしまっている……。
甘く耐えがたい疼きが体の奥底からどんどん湧き上がってくる……。
次第に何かを考える事が出来なくなっていく……。
「名乗るのが遅れましたね……私の名はウィステリア・ミスト。
私の妹がこんな程度の男に無力化されるなんて………。
今日はあの子の代わりにお返しをしに来たんです……♪」
そういうと彼女は僕を抱きしめながらその美しい顔を近づけてくる……。
淡い薄紫色をした妖艶な唇……それは恐ろしく危険な色香を放っている……。
柔らかそうなしっとりと濡れた唇……妖しくほんのりと微笑んでいる……。
まるで食虫植物のようだ……見ているだけで……生命の危険を感じる……。
あぁ……なんとか……しな……っ
んちゅぅぅぅぅぅぅっ…♪
…………………………っ!!
「んぅぅぅっ……!!」
ドク…ドク…ドク…ドク……♪
唇を重ねられた瞬間…僕はイってしまった……ハズだった……。
イったはずなのに…精液が出てきていない……ペニスはヒクヒクしながら絶頂を迎えている…。
「んぅっ…♪ んふっ…♪」
ちゅぅぅっ…ちゅっ……んちゅぅぅぅっ…♪
彼女が僕の唇を咥えこみ返してくる……うぅっ……。
わずかに唇を離す度に甘く優しい吐息が鼻をくすぐってくる……。
あまりの幸福感に僕は涙を流していた……そしてまた次の絶頂の感覚がやってくる……。
「んぐうぅぅっ…!!」
ドクッ…ドクッ…ドクッ…ドク……♪
僕はウィステリアにキスされたまま2度目の絶頂を迎えてしまう……。
またも精液が漏れ出てこない……絶頂と共に唇が心臓のようにドクドクと脈打っている……。
く…くちびるから……吸い取っているのか………。
「んふふ……♪」
彼女は僕の体をガッチリと抱きしめたままキスをし続ける……。
全身がガクガクと震え…何かが唇から抜けていくような感覚を覚える……。
んちゅぅぅぅぅっ…ちゅぅぅっ…ちゅぅぅぅぅぅぅぅっ…♪
「ん…んぅ………ぅ……………。」
ドク…ドク…ドク…ドク……。
僕は力なく体を震わせながら絶頂する……相変わらずペニスから精液は出てこない……。
唇が射精したときのペニスのようにドクンドクンと脈打っている……。
ちゅぅぅぅぅっ…ちゅぅぅぅっ…♪
ぁ………ぁ……ぁ………。
ピクピクと痙攣する僕を彼女はさらにキツく抱きしめてくる……。
僕は彼女に唇を咥えこまれたまま何度も何度も絶頂を迎える……。
「んぅ……ぅ………んっ…♪」
ちゅぅぅぅっ♪ んっ…んちゅぅぅぅっ♪
ウィステリアの甘く柔らかな唇に大切な何かを吸い取られていく……。
脳がとろけてしまいそうな感触と感覚……。
僕は本能的に彼女から逃げようと体をヒクつかせる……。
「んちゅっ……あら…どうしました…? 貴方妹を倒したのでしょう…?
この程度のキスで絶頂してしまうなんて……本当に屈辱ですわ。」
「ひ………ぃ………た……たす………け………。」
キスで何度もイカされてしまった僕はまともに話すことが出来ない……。
甘く鈍い痺れが唇から全身へと広がっていく……。
僕は植物に捕えられた虫のようにヒクヒクと体を震わせる……。
「全く情けない……もういいですわ……。
このまま貴方の命をこの唇で吸い取って差し上げます………♪」
そういうとウィステリアはまた僕の唇に吸いついてくる……。
あぁっ………もう………やめてぇ…………。
柔らかくしっとりとした甘い唇が僕の唇を包み込む……。
んちゅっ………じゅちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ…♪
彼女の強烈な吸引キスが始まる…僕の唇を吸い取ってしまうような勢いで唇を吸ってくる……。
抱きしめられたまま僕の全身がピクピクと痙攣しはじめる……。
甘く美しい彼女の唇に全てを捧げようと体が絶頂に向かっていく……。
「ん………ぁ………。」
ドクッ…ドクドクドクドクドクドク…♪
吸いつかれたままの唇が激しく脈動する……体中の大切なものが唇から彼女の中に出ていく……。
僕は時折体をビクンと震わせながら何度も絶頂する……。
ちゅぅぅぅぅぅぅっ…じゅちゅぅぅぅぅぅぅっ…♪
ウィステリアは僕をガッチリと抱きしめたまま容赦無く唇を吸い続ける……。
体がゆっくりと干からびていくのがわかる……。
僕は涙を流しながら何度も何度も彼女の唇の中でイキ続ける……。
僕はウィステリアの腕の中でミイラのようになるまでキスされ続けた……。
ちゅぅぅぅぅっ……ちゅぽっ…♪
「んふふ……ごちそうさま……♪」
犠牲になっている哀れな残骸とそれを抱きしめる妖艶な夢魔……。
周りの人間は強烈な甘い香りに包まれながら…おぞましい光景を見てただ…絶望するしかなかった。
《《−バッドエンド−》》
【B なんとかして足を止める】
僕は誘惑に抗おうと足を止める……。
「うぅっ……で…でも……。」
彼女の強烈な香りを吸い込んでしまった体が勝手に彼女のほうに向かおうとする……。
ダ…ダメだ……足が震えて勝手に前に進もうとしている……。
なんとか震えを抑えようと前かがみになるも……僕の体は彼女を求めてしまっている……。
「おい!!行くな!!」
何かが僕の肩をガシッと掴んで円の外側に引き寄せてきた……。
振り向いたそこにいたのはミレイさんだった……。
「バカ!!しっかりしろ!!」
ミレイさんが僕の頬を平手で叩いてきた……。
「うぅっ…いたっ…………あれ…………ミ…ミレイさん……。」
顔に走った痛みで目が覚める……。
驚いている僕にミレイさんが話しかけてくる。
「大丈夫か…? あの夢魔が言っている人間とはお前のことなのか?」
「い、いや……よくわかりません……。」
急にあの人間と言われても………。
困惑している僕に突然夢魔が語りかけてきた。
「昨晩貴方が戦った相手……覚えているでしょう…?
彼女は私の妹……私は姉のウィステリア・ミスト。
妹には昨晩魔力を抑えて狩るようにと指示をしましたが……。
まさか……貴方のような…私の言葉で操られてしまう程度の人間に……許しません……。」
ウィステリアが怖い顔でこちらに微笑みかけてくる……。
あの夢魔のお姉さんだったのか……あれでも魔力を抑えていたなんて……。
でも…なんでそんなこと……いやいや…今はそれどころじゃない。
「お前が昨晩倒したと言っていた夢魔のことか……。
マズいな……あれは恐らくハイクラスのサキュバスだ……。
周りを見る限り…今このクラス相手に戦える人間は残っていない……。」
有能な人材は長期任務についていることが多い……今はハンターも不足している状況だ……。
だから今本部にはミドルクラスに対応出来る人間しか残っていないんだ。
でも…じゃあこの状況…どうすれば……。
「あの…この本部には…夢魔対策の防御があるって聞いたんですが……。」
それを聞いたミレイさんが怪訝そうな顔をする……。
「あぁ……本部エリア内は一応人間の匂いを完全に防げるようにはなっている……。
だがそれで防げるのはロークラスとミドルクラスまでだ……。
ハイクラス相手じゃ効果が無いんだ……。
アイツらはなぜか匂いに関係無く人間を探知することが出来る……。」
そうだったのか……確かにまだ夢魔についてはわからないことが多い……。
夢魔はなぜかあの事件以来集団での急襲を一度も行っていない。
困惑している僕達の中からしばらくして声が上がった。
「まったく……本部にハイクラスとはな………。」
人の波をかき分けて中央に向かっていく人物がいる……!!
その人物は彼女の香りに惑わされることなくその前まで辿りついた……。
「あぁ…良かった……アイツ帰って来てたのか……。」
ミレイさんが落ち着いたようにため息を漏らす……アイツって……。
ウィステリアが目の前の人間を見て顔を曇らせる……。
「あら……随分涼しい顔をしてらっしゃるのね……♪」
「あんたみたいな奴らがいるから…私達は……。」
夢魔の前に立ったその人物は…なんと女性だった……
次回へ
【ハンター用語】
「夢魔対策委員会」
人類の新たなる脅威である夢魔に対抗するために作られた組織。
全国各地に支部があり、数多くのハンターを雇用している。
ハンター育成用の施設もあり、構成員は男性7割、女性3割ほど。
男性型夢魔のインキュバスと戦うための女性ハンターも在籍している。
「吸精キッス」
唇から生命と精気を吸い取る夢魔の技。
受けている間はいくら絶頂しても精液が漏れることはない。
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