性闘士 第八章
レジスタンスの活動があった日から、3日が経った。
この3日間で俺を取り囲む環境は大分変わった。
まず一つはトウカのこと。
最初はエマに世話をしてもらうのを嫌がっていたが、どうやら二人は相性がよかったようで、今ではかなり仲がいい。
二人の間に入り辛くなっているほどだ。
少し寂しくも思うが、これはとても良い変化だ。
本当にエマに任せてよかった。
俺も強くなる為にトウカが診断へ行っている間などの時間に、エマと模擬試合をしてもらっている。
エマの膣は化け物みたいな名器で、挿入に持ち込まれると100%負けてしまうのだが。
二つめはレジスタンスのことだ。
俺たちが淫魔の城を落としたという事実は凄まじい勢いで知れ渡り、入団希望者が格段に増えたのだ。
当然淫魔の耳にも入っているので、幾度か淫魔による襲撃があった。
色々な実験器具が並ぶこの団長室に、俺とアオイだけが呼ばれた。
「二人とも揃ったの。
さて、今ワシらは良くも悪くも注目されておる状態じゃ。
入団希望者は増え、淫魔からの襲撃も増えておる。」
「そうですね、でも淫魔の方はまずいですよ。
奴ら量産型ばかりが攻めてくるので、正直これ以上はキツイです。」
団長の言葉が切れたタイミングで、アオイが言葉を返した。
アオイの言う通りだ。
量産型には俺たちしか相手できないから、かなり疲弊してしまった。
唯一救いだったのは、奴らが結託して襲ってこなかったことだ。
大概の淫魔は本能のままに生きてるから、独り占めしたかったのだろう。
「うむ、全くその通りじゃな。
そもそも量産型と非量産型の比率は、圧倒的に前者が上回っておる。
圧倒的に魔力を扱える者が足りてないのじゃ。」
予想はついていたものの厳しい現実を突きつけられて、俺たちは黙り込んでしまう。
「そこで、じゃ!
ワシはずっと人間に魔力を宿らせる魔具を開発しておってのう。
とある淫魔の研究所にある魔具を手に入れればそれを完成できるのじゃ。」
それはすごいことだ。
俺たちの戦力は格段に増すことだろう、なんとしても成功させなくては。
「2日後に、そこの主が遠出するのでその隙を狙う。
そこで、お主ら2人にはその研究所に潜入して魔具をくすねてきて欲しいのじゃ。」
アオイも俺と同じ思いだっただろう、重要な任務だからこそ大勢で向かうべきだ。
俺たちが口を挟む前に、団長は言葉を続けた。
「研究所には主を除けば量産型しかいないという調べがついておる。
魔力を持たぬ者が行っても邪魔になるだけじゃ。」
そういうことなら納得だ。
話がひと段落ついたのか、団長が俺たちに質問はあるかと問いかけたので、遠慮なく質問する。
「団長のことだからその研究所の規模がどれくらいなのか調べはついてると思うけど、俺たち二人でなんとかなるんですか?」
「ワシは勝機のない戦いを挑む程愚か者ではないわ。
ただ前回以上の厳しい戦いになるとは思う。
じゃから強制はしない、お主らの意思に任せようと思っておる。」
団長が勝機ありと見たなら間違いはないだろう。
それに今回の作戦を知っているのは俺たちだけだ、情報が漏れる心配もない。
俺たちは迷うことなく闘うことを決め、この提案に快諾した。
この日はこれで話は終わり、俺たちはそれぞれ魔力向上に努めた。
そして今日は作戦決行の日、俺は見るからに怪しげな研究所入り口に立っている。
団長から送られてくる念話に集中し、実戦前のはやる心を抑える。
(二人とも準備は整ったようじゃな。
事前に言った通りじゃが、お主らには別々の入り口から侵入してもらう。
目標物を持って逃走されるという事態を避けるためにの。
それから前回同様になるべく短時間で済ませるんじゃぞ。
では頼んだぞ。)
団長の念話が終わると同時に、俺は歩みを進めた。
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