性闘士 第七章 BAD END
<2.単刀直入に話す>
ここは単刀直入に話そう。
エマをあまり待たせるのも忍びないし、俺も疲れているのだ。
俺は少し考えてから口を開いた。
「トウカ、これから俺は忙しくなる。
お前につきっきりという訳にはいかなくなるんだ。
だから、世話をしてくれる人を見つけた。」
そこまで言ってから、トウカが涙を流し俺の言葉が信じられないというように呆然としていることに気づいた。
言葉が単刀直入すぎたんだ。
でも言っていることに間違いはないのだ、撤回する訳にもいかない。
俺ははじめて見るトウカの反応に、どうしようかと逡巡している間にトウカが口を開いた。
「イヤですお兄さま。
お願い、トウカを捨てないで。」
俺はトウカを捨てるなんて言っていない。
俺はなんとか誤解を解こうと説得するも、冷静さを欠いたトウカには言葉が届いていないようだった。
「お兄さま、どこにもいかないで。
ずっとトウカの側にいてください。」
トウカの目には俺は写っておらず、どこか遠くを見ているようだった。
光を失った瞳でうわ言のように俺を求めている。
少しの間だが、俺は自分が招いた事態に無責任にも恐怖を感じていた。
その僅かな隙にトウカは俺の目前まで迫っており、気づいた時には既に押し倒され、両手首を床に押し付けられていた。
隙を突かれて押し倒されてしまったが、力では圧倒的に俺の方が上だ。
俺は焦ることなく両手首を押し付けているトウカの手をはねのけようと力を込める。
俺は全力を込めたが、トウカの手をはねのけるどころかびくともしない。
俺は何故こんなにもトウカが力強いのかと疑問を抱いたが、すぐにそれは間違いだと気づいた。
俺の力が弱くなっているのだ。
続く連戦で、俺は既にトウカを押し退けることができないほどに弱体化していたのだ。
押し退けることができない以上、トウカに解放するよう頼むしかない。
そう思い口を開けたところで、トウカに唇を奪われた。
「お兄さま、抵抗しないんですね。
嬉しいです……ちゅっ」
頬を赤らめ、トウカは初々しくキスをする。
次いで、性経験のないトウカには似つかわしくない、貪るような情熱的なキスが始まった。
俺は何度彼女とこうなりたいと願ったことだろう、その度に理性で押さえつけてきたのだ。
柔らかいトウカの唇、艶かしく蠢くぬめった舌、俺の胸板に押し付けられている豊かな胸。
それら全ては俺の想像以上の威力で、俺の理性を崩壊させていく。
俺はなけなしの理性を総動員するも、悲しいかな俺の愚息は硬さを帯びていく。
「ちゅっ…じゅるるるっ……ぷはぁっ……お兄さまのよだれ飲んじゃいました。」
俺の唾液をすすり淫らに微笑むトウカに、これ以上劣情を催さぬよう俺は顔を背ける。
「トウカ、やめるんだ。
一時の感情に流されるようなやり方では後で後悔する。」
もっと自分を大事にしろと言葉を続ける。
トウカはどう見ても様子がおかしいのだ、尚更拒まなくては。
「お兄さま、本当にやめて欲しいならトウカを力づくで押し退けてください。
そこまでされたらトウカは諦めますから。」
トウカは俺の言葉が気に食わなかったのか、上気した顔で不機嫌そうに言った。
俺は少しでもトウカに分かってもらおうと目一杯力を込めて抵抗する。
「ふふ、この形だけの弱々しい抵抗は何ですか?」
俺の気持ちは伝わらない。
それどころか、嫌がっている振りをしているだけだと確信を持たせてしまったようで、再びトウカの表情に喜びの色が見える。
「そうじゃない、今日は体力を使い過ぎて力が入らないんだ。」
俺はこれ以上勘違いさせる訳にはいかず、状況を説明して止めるよう諭した。
「お兄さまは体力を使い果たすほど何をしてたんですか?
今日は試合ではないですよね。」
レジスタンスで活動をしていたなんて言えば、トウカの不安を煽ってしまう。
かと言って彼女に嘘をつくことができず、俺は口ごもってしまう。
「それに、本当にイヤならこうはなりませんよね?」
そう言って微笑むと、トウカは既に硬く張りつめている俺のイチモツにぐりぐりと股間を押し付けてきた。
「男性は興奮するとここが大きくなるって書いてありました。
お兄さまはトウカに攻められて興奮しているということですよね?」
トウカは俺の両手首を押し付けたまま俺の眼前まで顔を近づけ、満悦の表情で熱のこもった吐息を漏らす。
この状況に興奮している訳ではなく刺激に反応しただけで、生理現象だ、俺の意思は関係ないと説明する。
本当のところはどっちなのか分からない。
そうあって欲しいという願いのようなものだが。
トウカにとってはどっちでもよかったようで、満悦の表情は崩さず適当に相槌を打っていた。
「それではお兄さま、邪魔な服は脱がしちゃいますね。」
トウカは上体を起こして、俺の服を脱がせにかかる。
これはまずいと弱々しく抵抗を試みるも力では敵わず、あっという間に衣服を剥ぎ取られてしまった。
「これがお兄さまの……」
トウカはごくりと喉を鳴らすと、痛いほど怒張している俺のペニスへと顔を近づけ、匂いをかいだ。
先ほどまでうっとりとしていたトウカの表情が、瞬く間に険しいものへと変わっていく。
「お兄さまはトウカを放ったらかしにして、こんな遅くまで誰とお会いしてたんですか?」
トウカは険しい表情から一転して、優しい微笑みを浮かべている。
見慣れたいつもの優しい表情とは違い、目が笑っていない。
そうか、3階で遭遇した淫魔との闘いは挿入戦に持ち込んだから愛液の匂いが残っているんだ。
正直に話すことも、トウカに嘘をつくことも出来ない俺はただすまないとだけ言い、目をつぶった。
「お兄さま、それでは答えになってません。
本当はこんなもの使いたくなかったんですけど仕方ないです。」
俺が目をつぶっている間にどこから持ち出したのか、トウカは首輪を手にしていた。
それもただの首輪ではない、団長が作った証である刻印が刻まれている、隷従の首輪だ。
なぜトウカがこれを持っている?
団長は何故トウカにこれを渡した?
数々の疑問が頭をぐるぐるとよぎるが、すぐに切り替える。
今のトウカはどんな行動に出るか分からない。
質問に答えさせられるだけでは済まないだろう。
俺は力の限り抵抗したが、トウカの片腕であっさりと制圧されてしまった。
力を使い果たし荒い息をつくコウに、トウカは首輪をしっかりとかけた。
「お兄さまもこの首輪のこと知ってるみたいですし、説明は要りませんよね。
お兄さま、今日は誰と会っていたんですか?」
トウカは未だ不機嫌な色を浮かべたまま、俺に問いかける。
俺は意に反して洗いざらい全てを話してしまった。
「そういうことだったんですか。
お兄さま、これからは片時も離れずトウカの側にいてください。
治療は受けませんから試合にも出なくていいんです。
お兄さまさえ側にいてくれれば。」
トウカの俺への愛情は盲目的だ。
治療を受けずにずっと俺といたいと、以前にも冗談交じりにそう言っていた。
それがただの冗談でないことはすぐに分かったので、トウカのことを思い条件を課したのだ。
隷従の首輪の強制力に打ち勝つには強い信念が必要だ。
死んでも嫌だという程の強い信念が。
トウカの死期を早めるとしてもこの魅力的な命令に、強い信念で抗うことはできなかった。
「嬉しい……本当にこれからはずっと一緒にいられるんですね。」
噛みしめるようにうっとりとそう呟くと、トウカは衣服を全て脱ぎ捨てた。
一目で分かるほどきめの細かい肌は、雪のように白く美しい。
程よい大きさに実った胸は、先端だけが綺麗なピンク色を帯びている。
久しぶりに見る彼女の裸体は、以前とは比べ物にならない程美しく、女の色香を放っている。
トウカが月明かりに照らされ、一層美しさを増して神聖さすら感じる。
「お兄さま、早速ですが挿れちゃいますね。」
処女であるうえ、ロクに前戯もせずに挿れてしまえばどうなるかなんて男の俺でも分かる。
それ以前にこんなことはしてはいけないと、俺はトウカを説得する。
「お兄さまは黙っててください。
早くこれ、消毒しないと……んっ」
俺はトウカの命令通り、これ以上言葉を発することができなくなってしまった。
トウカは俺の上に乗ったまま、ペニスをゆっくりと飲み込んでいく。
相性がいいのか、それとも愛する人との交わりだからか、トウカのナカは淫魔のそれに引けを取らないほど気持ちいい。
「あっ…んんっ……いつもより硬くなってます。」
俺とトウカが既に何回も交わっているような口ぶりだ。
当然俺の記憶にはないのだが、そうなると必然的に俺が寝ている時だろう。
そういえばやけにぐっすりと眠れることが度々あった。
そういう時に限って目覚めた時はひどく体が疲弊していたのだ。
俺はどういうことなのか問い質そうと口を開くも、言葉を発することはできずもどかしさに苛まれた。
「はあっ…はあっ……お兄さまも気持ちいいですか?」
愛液を分泌しながら、淫らに蠢く膣壁が肉棒を揉みくちゃにする。
トウカは上気した表情で一心不乱に上下に腰を振る。
純粋に愛情のみが込められた交わりははじめてだ。
愛しいという感情がこの快感を過剰にしているのだろうか。
それにしてもこれは気持ちよすぎじゃないか?
俺の体はトウカの命令を律儀に守り、歯を噛みしめて喘ぎ声を押し殺している。
「命令してたのすっかり忘れてました。
お兄さま、もう口を開けていいですよ。」
トウカからのお許しがでたが、俺は情けない声を上げまいと必死に歯を食いしばる。
何故こんなに気持ちいいのか、少しでも気を抜けば喘ぎ声が漏れてしまいそうになる。
「お兄さま、意地を張らないで。
お兄さまの感じている声を聞かせてください。」
その命令が、首輪の強制力を以て俺の口から喘ぎ声を上げさせる。
一度喘ぎ声を漏らしてしまうと不思議なもので、快感がどんどん膨らんでいく。
「あっ…はあ、はあ……お兄さま、お兄さま。
トウカは幸せです。
これからはどこにも行かせません、ずっとトウカと一緒です。」
俺の口からはただ喘ぎ声のみが漏れ続け、次第に思考が麻痺していった。
もう数回果てた後だというのに、あっという間に上りつめていく。
「うぁっ…くぅ………トウカっ、イきそうだっ。
抜いて、くれぇっ。」
なんとか理性を振り絞り抜くように懇願するも、トウカは嬉々として絶頂へと導いていく。
「イって、お兄さまっ……トウカのナカに出してっ。」
ーーーーぴゅっ、ぴゅーっ…どぷっ、どぷっ
数回目とは思えない程の勢いをもって、たっぷりと精液が流し込まれていく。
「あぁ、トウカのナカに入ってきてるのが分かります。
でもまだまだ足りません。
最近放ったらかしにされてた分、埋め合わせして下さいね?」
薄れて行く意識の中で見たトウカに普段の面影はなく、まるで淫魔のように見えた。
コウの意識が途切れた後も行為は止まらず、トウカが満足するまで延々と続けられた。
その後も、コウとトウカは文字通りひと時も離れずに二人で暮らした。
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