10003

宮殿8





「どう? 気持ちいいかな? ○○君?」
「はいぃ……きもちひぃぃ……」

……ここは、どこだ?
俺の前で、二つの肉体が絡み合ってる。
鍛えた身体をベッドに横たえる男と、男に跨り、淫らに腰を振る女、いや、淫魔だ。

淫魔はその美しい肉体を男の上で踊らせ、赤い髪をなびかせ汗を飛び散らせながら妖艶な笑みを浮かべ、快感に悦ぶ男を見ていた。
男の手は淫魔の大きく白い乳房をつかみ淫魔に合わせ腰を動かしている。
これは淫魔によって行われている食事だ。助けなければ。手を伸ばして止めようとするが、手が伸びない。これは夢か?
「アッ……もうっ……ゴ、ご主人サマァ!!」
切羽詰まったような男の喘ぎが響く。

「あれ、もう限界なのぉ?」
「ハイッ!! もう……イグッ!!」

「ふふっ。しょうがないなぁ。もう最近はすっかりかわいくなって、戦士だったとは思えないくらいエッチだよぉ。あ、でも元から
エッチだったもんね?」
助けようとした手は伸びないが、この男は助けられる事を望んでいないのかもしれない。
悦びに喘ぐ男の声は、助けなどまったく求めていない声だった。
男の腰が勢いよくそりあがり、全てを捧げているのがわかる。
こいつは一体だれなんだ? そう思い、脚を動かそうとするが、脚はなかった。
だが代わりにまるで目玉だけが動いているかのように、ゆっくり二人にと近づいていく。
二人が俺に気づく気配はない。淫魔は騎乗位で精を搾りとったばかりの男のペニスを、今度は谷間に挟もうとしていた。
「はぁっ……はぁっ」
「さぁ、次はコッチで精液貰おうかなぁ」
ベッドの隣に立ち、ベッドに沈み込んでいた男の顔を見る。

俺はこの顔を知っている。ああ。知ってる。だが、いや、そんなまさか……馬鹿な……





「おっ、目が覚めたんだねぇクラくん?」
「なっ……はっ……?」

気づけば夢は終わり、目の前にストラがいた。
……そうか、俺は皆を逃がそうとして、せっかく一匹淫魔を追い詰めたのにストラに邪魔されて、そして……


ズキ、とペニスが快楽を思い出してうずく。

「ごめんねぇ、さっきはあんな卑怯な事しちゃって」
そう言ってニヤニヤ笑うストラは、髪とそろいの赤い服を着、ベッドに腰かけていた。
大きな鏡が四方にかけられ、あの城の頂上を思い出す。
「くっ……」
俺は手を後ろでに縛られ、椅子に固定されていた。脱出はできそうにない。
「そう怖い顔でみないでよぉ。気持ち良かったでしょ?」
「なんで殺さねぇんだよ……」
俺のその問いに、ふふ、と笑みを浮かべ脚を組み替えるストラ。
「せっかくの因縁のクラ君なんだから、あんなもったいないやり方で終わっちゃうのはいやだからねぇ。ちゃんと、盛り上げてからの方が
愉しいでしょ? どこかの城のてっぺんで私のペットになっちゃった子みたいにさぁ」
「お前っ……!!」

ギリギリと歯を食いしばるが、どうすることもできない。怒りが、俺の理性がストラの色香に飲み込まれる事を防いでいた。
「俺をどうする気だ……」
「心配しなくても後でちゃんと解放してあげるよ。思いの丈を全部私にぶつけて、最高の快感を私にちょうだい?」

俺の方にゆっくりと近づき、顎をなでられる。
「んっ……」

軽く口づけされ、鼻の頭を舐められる。
「さもなきゃ、君もタチバナくんみたいに快感によがり狂わせちゃうからねぇ」
その笑みは、信じられない程に淫らだった。







ストラはそのまま部屋から出ていく。



「くそっ……」
その言葉は、誰にも聞かれなかった。そして、夢で見た男が誰なのか、どうしても思い出せなかった






「この辺りかなぁ?」
ストラは、クラを監禁した部屋を出た後、適当に宮殿の中をぶらついていた。




「ルアをみつけないとねぇ……まぁ居なかったら勝手にやっちゃうけど」
この後の「愉しみ」のために。














「むっ……」
「んんっ……!」
ファルはタチバナのためらいのない先手に慌てていた。
「んんっ」
激しくキスをされ、口の中に舌が這入りこんでくる。
「ん、っ……」
その感触で頭にぼうっともやがかかるようだった
(ほんとに、淫魔みたい……)
ならばもう、戦って勝つしかない。
(ごめんなさい……)
ファルは決意し、その手をゆっくりとタチバナのペニスに這わせていく。
「っ……!」
「ぷはっ……やっぱり、そんな怖い顔しててもおちんちんキモチイイんですよね。ならもっとよくしてあげます」
ビクッ、ビクッとこらえ切れないペニスの動きを見定め、タチバナが感じるポイントを探り当てていく。
(今は何かされているとはいえ、元は人間、元に戻せるはず……!)
「カリの所をやられるのがいいんですか? それとも先っちょの所をぐりぐりされるのがいいんですか?」
ファルはその決意を隠し、淫らな笑みでタチバナを見つめる。
細い体に美しく伸びた手脚、 細い指先がペニスの上をくるくると動く。
「くぁっ……」
「あ、可愛い声……」
とぷ、とペニスの先から先走りが毀れてきた。
タチバナの手がファルの胸を愛撫してくる。
(ゃっ……)
指の先から熱が伝わってくるやさしい動きに、ファルは喘ぎを漏らしそうになる。
(私の弱点っ……覚えてるんですね……)
「タチバナさん……」
ペニスを扱く手を休めずに、タチバナの耳元でささやく。そのまま見つめ合い、
「ん……」
ファルは口から涎をたらした。それは二人の間を通りファルの手に落ちる。
「もっと気持ちよくしてあげますから……まかせてください」

タチバナのペニスが大きく脈打つ。

ファルがタチバナの乳首に舌を這わせ、やさしく舐め上げると、タチバナの息が震えているのがわかった。
(よし……!)
ファルはチロチロと刺激し続けながらタチバナの様子を見る。
「……はっ」
「あっ!」
だが、ファルが少し身を縮めたのを利用して抱きしめるようにタチバナが身体を密着させてきた。
「やっ……! 積極的ですねっ……」
そしてゆっくりとタチバナの手がファルの秘所に近づいてくる。
「んっ……」
クチュクチュと予想以上にやさしい責めが続き、さらに唇が奪われ胸が愛撫される。
(……ほんとにタチバナさんだ……)
「やぁっ……ぁ……」
段々秘所を責める指の動きが激しくなってくる。グチュグチュとかき回される卑猥な音が響き、ファルの声に艶が混じる。

ファルもペニスを扱く手の動きを緩めず、正面からのぶつかり合いになる。

「はぁっ……ぁっ……」
「ははっ……やっぱりタチバナさんはエッチですね……変態さん……」
喘ぎ声が混じった声で、タチバナに話しかける。
「かっ……」
ペニスの震えが大きくなってくる。私はまだ耐えられる。このまま……
「おちんちんをこうされるの好きでしたよね?」
ファルは唇の拘束が離れたすきにしゃがみこみ、胸のふくらみの上でペニスを滑らせる。
「くっ!」
「気持ちいいんですね……」
胸と秘所を責められていた手から解放され、タチバナの両手は宙をさまよっている。

「タチバナさん……」
「くうぅ……」
「淫魔の所から戻ってきてください……」
グチュグチュと竿を扱きながら、亀頭を滑らせる。
ボタボタとカウパーが溢れてきていた。
「私が淫魔なんかよりいっぱい気持ちよくしてあげますから……」
「ぁぁ……」
唾を亀頭にたらし、さらに激しく責めていく。
ビクンッ!! ビクンッ!とペニスが快感に反応し、ファルがやさしく陰のうをゆすると、射精の感覚がこみ上げてきているのがわかった。
「さっ、悪いのは全部吐き出しちゃいましょう……そして、もう一度戦士に……」

「グァァッ!! ガァァァ!!」
「なっ!?」
ファルが勝利を感じたその瞬間、タチバナが吠えた。
激しい射精を予感したが、ペニスからは精液は溢れてこない。
「お、おれは……もう戦士じゃない……」
「……タチバナさん……?」
「俺は……ス、トラ様の……ペット……なんだ……」
(なんだかまずい!)
直感的にファルは危機を感じた。




1、このまま激しく責める。


「ほらっ……思いっきりだしちゃいましょう……ね」
焦りを隠し、ファルは今までの責めを続けた。タチバナの両手からは力が抜けているし、大丈夫…… 「ストラ様以外に負けるのは……禁じられているっ……!」
「きゃぁっ?!」
だが、力が抜けていたはずの両手が動き、タチバナが腰をまげてきた。
胸を愛撫され、乳首をこりこりと弄ばれる。
「ひゃぁっ」
思わぬ責めに、手から力が抜けた。
「はぁっ……ハァッ……」
隙を逃さず、タチバナはしゃがみこんできて、ファルを抱きしめながら押し倒す。
(まずい……)
「あッ……アァァン!!」
体勢を立て直そうとするが、遅かった。

タチバナの限界まで勃起したペニスに、中心を貫かれる。
「んっ……」
「やぁっ! まっ……めぇ!」

正常位の姿勢に持ち込まれ、どうする事も出来ない。射精直前だったとは思えない力強い動きに、ファルは翻弄され始めた。
ギチギチとペニスを締め上げて迎え打つが、身体の芯が熱くなってくる。
「はぁっ…あぁっ……」
乳首を吸われ、胸を愛撫されるが、ファルはなすすべがない。
「ああっ……んっ……」
渾身の力を振り絞って上半身を起こし、タチバナを抱きしめ、上半身を自分の身体の上に引きずり落とそうとするが、
「フンッ!」 「きゃぁっ!!」
まったく勢いの衰えない突き込みに喘ぎ、力が抜けていく。
(そんなっ……ああっ……だめ……)
一気に逆転した形勢をどうしようもできず、締め挙げたペニスが果てそうな感覚はまったくない。
(ど、どうして……)
牡に征服されていく身体を実感し始め、あきらめが広がっていく。


必死に快感に耐えるが、頭の中が真っ白になっていく。
じりじりと追い詰められていくファル。
「だめ……ダメ……!!」
(イク……!)
「アアアアア!!!!」
身体がそり上がり、頭の中がスパークした。

「オオオッ!!」
同時にタチバナの咆哮が響き渡り、勢いよく射精を始めた。

注ぎ込まれてくるそれは、淫魔にイカされてしまった時と同じく、身体をさらに熱く淫らにし、屈服へと導くものだった。
「ひッ!?」
達している最中だというのに、まったくそれを意に介せずつきこんでくるタチバナ。

「ダメェ!! これ以上ァッ!!」



激しい快楽に翻弄され、自我が曖昧になっていく。
(このままじゃぁ……誰かァ……)
だんだん理性が死んで行っているのがわかる。意識がおぼつかなくなっていき、ファルの理性は意識を放棄した







タチバナは靄がかかったような思考の元、ただひたすら腰を振り続けていた。
目の前の女が誰なのかどうしても思い出せない。
だんだん女の顔が快楽で崩れ始め、喘ぎやよがり声が大きくなっていく。
(こいつを……倒せば……ご褒美が……)
その思いだけでタチバナは腰を振り続け、女を毀した。









2、一度観察する




何かを感じ取り、ファルは一度胸での責めを止めた。
訓練の時は、これで何度か勝ちをさらった事はあった。今も効いている気がする。けど、何かおかしい。

「ひゃっ?」

タチバナは力が抜けていたはずの両手を下に落としてきた。
(やっぱり演技だったの?……なら)
「んっ……」
ファルはタチバナのペニスに吸いついた。
上から責めて来るタチバナに対して防御は棄て、ペニスを舐めまわす。
「くっ?!」
胸を弄んでくる手を無視して激しい水音を響かせる。
「ああっ!」
タチバナの脚がガクガクと震え始めた。
「思い出させてあげますっ」
袋を手でやさしくゆすり、頬がへこむほど強く吸い込んだかと思うと、やさしく口の中で亀頭を舐めまわし、竿を扱く力を強める
「ああっ…ああっ……」
タチバナの脚に入っている力が抜け始めているのがわかった。
「クソォ!」
尻もちをつくように倒れ、タチバナがファルから逃れようとするが、
「っ!」
「オウッ?」
ファルはそれに合わせて前に飛び込み、なおもペニスを放さない。
「ぷはっ……これくらいで私から逃げれるなんて……思わないでください……!」
「ク、クソ……オマェ……「すいつき……むすめ」?」
 初めてタチバナから会話をしようとする声がファルに聞こえた。
「ぷはっ……そうですよ……やっと思い出してくれましたね……」
訓練だろうがなんだろうが、一度口に含んだら相手が達するまで絶対に放さない。それでついたあだ名だった。
「ソウカッ……おれは……いや、オレはペット……ヒッ!?」
「細かい事はっ……後でいいです……!」
カリに歯をあて、竿を扱き、一瞬口から解放すると鈴口を指で押しこんで再び口に誘う。
タチバナが激しく喘げばやわらげ、反撃しようとしてくれば痛み一歩手前の快感をつくりだして力を吸い取る。
「ふぁぁっ……」
力なく喘ぎ、タチバナが上半身を床に預けた。
股は大きく開かされ、ファルがひたすらペニスを責めあげてくる。手を伸ばそうにも届かない。タチバナは喘ぎながら絨毯をつかみ快楽に耐えるしか
なかった。
「さぁ……いつでもいいんですからね? タチバナさん?」
「ク、カッ……」
そのまま、ファルの責めが続いていく。
水音が響くと、タチバナの喘ぎが部屋に響く。
異常なまでの耐久力を誇ったタチバナのペニスも、もう本当に後がないのが伝わってきた。
脚が痙攣のような動き方をして、ペニスの脈打ちも大きく、不規則になっていく。
「くそぉッ…クソォ……」
敗北を悟り、タチバナは涙をながしていた。
(どれだけ心を犯されてしまったの?)
元のタチバナさんにもどってくれるのか、ファルにはわからなかったが、
「こっちみてください」
そのタチバナに、ファルが責めを一度辞め、話しかける。
そして、顔だけ起こす事のできたタチバナの淀んだ目に向かっていった。
「タチバナさん……戦士じゃなくても、ペットじゃなくても、私がびっくりするくらい気持ちよくします……だから」
「う……」
「今は眠ってください……全部わすれて……」
愛情と尊敬をこめて見つめると、タチバナの目から少しだけ淀みが取れた気がした。
「んっ……」
そして責めを再開する
「ああっ……あっ……」
タチバナはもう抵抗しなかった。




タチバナが大きく身体をそらせると、激しく精が噴き上がる。
「んんっ!!」
とても飲み込める量ではなく、ファルは口を離し、竿を激しく扱きあげる。
「ウオオッ!! アアアッ!!!」

咆哮を上げながらビクンビクンと脈打ち精液を放ち続け、タチバナは悶えた。
「全部……出してください!」
ファルはその声に劣らずに叫ぶと、亀頭にやさしくキスをした。
「アウッ!!?」
ひときわ勢いがます射精。
全て終わるのに長い時間がかかった。







「ふう……ふう……」
ファルは肩で息をしながら、立ちあがった。マントをはおる。
タチバナはそのまま気絶をしていた。
「いったい……ストラってのは……」
タチバナさんをここまでにしたのだから、余程恐ろしい淫魔なのだろう。
「おい、君は?!」
「っ?!」
急に後ろに気配を感じ、振り向いた。
「敵ですか?」
「いや、敵じゃない。人間軍の戦士だ。コウという」
「よかった。私はファルといいます……」
「っ?! タチバナ!」
コウはタチバナにかけよるが、反応はない。
ファルはコウに説明をした。
「くっ……ストラ……」
説明の最中は黙って聞いていたコウだが、拳をつよく握り、怒りをあらわにした。
「とりあえずタチバナさんはここに寝かせておきましょう。リル隊長が心配です」
そう言って駈け出して行くファル。
「おい! ちょっと待て!」
タチバナに毛布をかけ、聞かずに行くファルの後を追った。


「キャァ!」
「今度は何だ?!」
ファルの悲鳴が遠くから聞こえ、コウが近づいていくと、牡とメスの混じり合った匂いが強烈に漂ってきた。
「どうした?! 大丈夫か?」
「な、なんで……?」
ファルがへたり込むドアの前あで駆け寄って見ると、だれもいない。
「どうしたんだ? 誰もいないじゃないか」
「誰もいないのがおかしいんです……さっきは確かに皆……」
「本隊には?」
「戻っていたのなら私が気づくはず……」
不安を露わにするファル。
「一体……」
ファルの慌てぶりを見て、コウは肩をやさしくたたく 「大丈夫だ。オレは一度仲間と合流してリル隊長を探そう。それとも本隊の所に戻るか?」
「……」
「大丈夫だ。タチバナもなんとかしておくし、ストラもきっちり落とし前をつけさせてやる」
力強く言うコウ。
「いえ、私も宮殿の方に行きます……無事を確かめないと……」
ファルはゆっくり立ちあがった。
「そうか……なら行こう。もうすぐ全部が終わる」




二人はゆっくり元来た道を戻っていく。


戦いは終わりに近づいていた。



お久しぶりです。坂下です。今現在は坂下 一という名前で自分のサイトを開きまして、そこにずっと続きを載せておりました……
ここに挙げていなかったのは単純に忘れていたからです。ごめんなさい。
ですがこのお話は完結まで載せるべきだろうと判断して載せます。(中途半端は気分悪いですしね)いまだ完結はしておりませんが、明日からなるべく早いペースで載せていくので、お暇だったら読んでください。

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