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激闘! クリスマスファック! 《前篇》

こつっ、こつっ、こつっ。
 規則正しいリズムが、私の中で刻まれている。速すぎず、遅すぎず、固く尖った穂先が私の奥を穿っていく。
「強くなった……んっ、じゃない……、貴明くん」
 最奥までしっかり挿入された彼のモノを締めつけ、体を捻る。
 自分の体については、形、温度、圧力、全部把握している。それどころか、彼の弱い所も責め方も。
 だから私がこうして角度を調節してあげれば、彼はペースを乱して簡単に射精してしまうはずだった。
「そうはいきませんよ、先輩」
 彼の反応は素早かった。
 脇に抱えていた私の右足を肩に担ぎ上げると、胸の前で太股を抱き支え、それを手掛かりに私の体を横向けてきた。
「うっ……」
 本当に強くなった。
 正対度の高い正常位型松葉くずしから、側位型松葉くずしへのスムーズな移行。右方向へ向かう私の体を、逆の左側へ転がす力強さは、半年前の彼にはなかったものだ。
――そしてこの狡猾さも。
「っ、油断も隙もないわね……」
 私はクリトリスに伸びてきた彼の右手を、紙一重で押さえた。
「さすがですね」
 それ以上執着することなく手を引っ込めた彼は、防御の及ばない太股を優しく撫で、より結合の深くなった処で腰を振っている。
 こっ、こっ、こっ。
 文字通り、私の奥深くを揺さぶるリズム。
 徐々に体が昂ぶってくるけども、これはまだ前段階。今無理に動くよりは、どこかでペースの変わり目を掴んで反撃する。
 私は太股から先に下りてこようとする手を払いながらその時を待つ――


******


 12月24日、全国学生バトルファック選手権大会。通称“クリスマスファック”。学生バトルファッカーの頂点を決めるこの日、この場所で僕は紗江子先輩と対峙していた。
 ドーム球場のグラウンドにはマットが敷き詰められ、9m四方のラインで区切られたスクエアが4面設けられている。
 そのうちの一つ。外野席に最も近いスクエア。対角線の向こうに先輩はいる。
 伝統高らしい、やや古めかしいデザインのセーラー服。紺色の襟に広がる黒髪は艶やかに流れ、膝丈のスカートからは、上品な佇まいの膝小僧がわずかに覗けて見える。
 切れ長の目を伏せがちにしたまま、先輩はスカーフを解き脱衣籠に落とした。
 ただそれだけの動きに言いようのない色気があるのは、間の取り方、屈む角度、足の運び、スカーフを放す指先、全てに神経が通っているからだ。
 “バトルファックは脱衣から始まる”当たり前のようでいて、先輩ほど忠実に実践しているファッカーは少ない。
 清楚に上品に。そして淫靡で艶めかしく。なにより優雅に。去年、さんざん先輩に叩き込まれていたことが、懐かしく思い出される。
 先輩は上着のファスナーを上げ。下に着ていたのはシルクのスリップキャミソール。光沢のある生地と紺のプリーツスカートの対比が眩しい。
 顔にかかった髪を手櫛で整えつつ、上着をたたむ先輩。膝を閉じた上品な立ち方で足が長く見える。
 スカートのファスナーが大きく引き下ろされる。ホックが外れ支えを失ったスカートが広がりながら落ちた。
 やはり下にはスクールペチコートを着けている。露出度はさほどでもないのに、柔らかい生地が妙に艶めかしい。
 背中を向けた先輩は、長い黒髪をゴムで括っている。
 一度もこちらに視線を向けない彼女に対し、僕は凝視といっていいほど見つめ、視線を送り続けた。当然服の脱ぎ方に構ってはいられず、先輩の教えを守ってはいない。
 そんな僕の視線に、先輩はちょっと戸惑ったようだった。三つ折りソックスに伸びる手が一瞬止まる。
 これこそ僕が転校してからのBFでたどり着いた脱衣法だ。所詮男子には女子が男子を誘うようには脱衣できない。ならばいっそ――。
 興奮を隠さず、戦う意志を視線に乗せて、スリップやペチコートを脱ぎ、徐々に露わになっていく先輩の体にぶつけてやる。
 下着を脱いで露わになった胸の柔らかなラインをなぞり、たおやかな腰の曲線をたどる。ショーツに手がかかり少し突き出される、やや小ぶりなヒップ。その奥の暗がりに力を込めた視線を突きさす。
 ショーツを脱いだ制服の下にしまい、全裸になった先輩は開始線のある中央へと向き直った。
 心中は分からないが、少なくとも外見に僕の視線に対する動揺はもう無い。
澄ました顔で胸を張り、まっすぐ足を踏み出す先輩。久しぶりに真正面から見る先輩の体は、美化された記憶も追いつかないほど美しかった。
 どれだけこの日を待ったことか。
 先輩が相手のクリスマスファック。
 もう観客席の応援も耳に入らない。


***


 開始線での握手。
「今からそんなに興奮していて、勝負になるのかしら?」
 私は珍しく試合開始前に対戦相手に声をかけた。熱すぎると言っていい貴明くんの視線を受け続けていたことで、自分でも気付かないうちに浮ついていたようだ。
 にやり。
 見透かしたように、彼が笑った。
「ずいぶん図太くなったじゃない」
 口をついて出た二言目。
 泥沼だ。思わず口にしてしまってから気付く。
 私のバトルファックをよく知る彼には、動揺していますと告白しているに等しい。
 観察するまでもなく彼の興奮は、はっきりと股間に見て取れる。でも、心理的な優位は相手に築かれてしまったようだ。
 立てなおす隙もないまま主審の試合開始の合図がかかる。
 矢のように飛び出す対戦相手。
 テイクダウンを狙った、レスリングタイプのタックル。
 一拍遅れて私は姿勢を低くして彼を受け止めた。

***

 先輩がタックルを真正面から受け止めてきた。
 バトルファックで暴力はご法度だ。僕は衝突の衝撃を緩和するため急制動をかける。
 ガシッ。
 互いが相手の首の後ろに右手をかけ、左手でその手首を掴む。
 力任せの首相撲なら男子が圧倒的に有利だが、そこはバトルファック。暴力と判断されてしまえば、主審から指導を受けることになる。あくまで相手の動きを封じる程度に力を押さえなくてはならない。
「むっ……」
 不意に唇が柔らかく塞がれた。首相撲の姿勢のまま、首を傾げて下から抉りこむように先輩がキスしてきたのだ。
「れるっ……んっ、ちゅっ……」
 機先を制して先輩の舌が差し込まれてきた。
 踊るような舌使い。先輩の舌先は僕の口内で華麗にステップを踏み、頬の裏の粘膜を突き回しねぶってくれる。
 くすぐったいような、もどかしいような、敏感な口の中を這う甘美な感触。すばらしいキスだ。
 でも、このキスは本来の先輩のキスではない。彼女はもっと優しいキスを好む。特に序盤では。
 いきなりのディープキスは主導権を奪うための戦術なのだ。
「んっ、くっ……」
 そしてそれは成功していた。
 首相撲の姿勢では深い口づけをかわすこともできず、この甘美な刺激から逃れることはできないからだ。
「んちゅっ、……ふふふ。ちゅっ、ちゅっ」
 僕が先輩のキスを受け入れ、逆に口内に侵入していた舌を吸い上げようとした瞬間、図ったように彼女の舌は口の中から撤退していた。
 笑顔の先輩がからかうように、啄ばむ口づけをくれる。
 その反応の速さに、僕の方もうれしくなってしまう。
 これこそ僕が恋い焦がれた、バトルファッカーとしての先輩なのだ。


***


 目を丸くしている貴明くんの顔を見て、本来の余裕を取り戻した私は、去年、一年生だった彼がBF部のドアをくぐった時のことを思い出していた。
『はじめまして、泉貴明といいます。伝統ある鳳学園BF部に憧れていました。よろしくお願いします』
 強豪校としてなる、うちのBF部に入部してくるには、あまりに初心な少年だった。
 サイズの合っていない学生服は少し袖が余っていて、子供子供した顔は中等部でならした他の新入部員に比べとても頼りなかった。
 でも、私は彼の素質に気付いた。理屈ではなく感覚としか言いようがないが、彼のはにかんだ笑顔にたまらない魅力を感じたのだ。
 彼を鍛えれば、クリスマスファックの学校優勝も夢ではない。
 私は自分の直感を信じて、彼にマンツーマンのコーチングを始めた。
 2年生ながら学園のエースだった私の判断とはいえ、周りの部員は始め半信半疑だった。しかしそれも、貴明くんの成長によって彼らの見方が変わっていくこととなる。
 私自身も彼へのコーチを通してバトルファックを磨くことができた。
 二人はいいコンビだった――はずなのに。
「悲しいわ、なぜ転校なんかしたの? まだ教えたいことがあった。君となら学校優勝も夢じゃなかったのに……」


***


 ギリッ。
 僕は思わず奥歯を噛みしめていた。
「無駄な私語は禁止ですよ、先輩」
 先輩の右手首を掴んでいた左手をはなし、そのまま下にスライド、豊かなバストに手を添える。
 整った形からは想像もつかない、ふゆんとした優しい感触。手首を返し、乳房の上に掌で円を描く。
「はっ……」
 先輩が小さく息をついた。
 体が彼女の好きな触り方を覚えているのだ。
 手になじむ感覚。先輩とのマンツーマンレッスン。そのめくるめくような体験が思い起こされる。
 入部の翌日“初めて”を奪ってくれた先輩。それからは時間の許す限り、二人で肌を重ねた。
 すでに全国トップレベルのファッカーだった先輩が与えてくれる快楽は、他の先輩や新人戦の相手とは比べ物にならないものだった。
それを“初めて”で味わえたことが良かったのだろう。僕はあっという間にホープとして注目されることになった。
 順風満帆の部活動生活。何も不満に思うことなどないはずだった――先輩の本当の姿を知るまでは。
 それは10月の関東大会のことだった。
 決勝リーグに進み、強豪校の男子ファッカーと闘う先輩。
 飛び散る汗と飛沫。計り知れない快感は二人の頬を緩ませ、同時にそれに耐える苦痛に歪む。目まぐるしく攻守が入れ替わり、悲鳴とも嬌声ともつかない声が響きわたる。
 終盤、こみあげる絶頂感を堪え、オーガズムに達しようとする体を会場の目に晒しながらも、相手に跨り腰を振る先輩の姿は、戦女神と呼ぶにふさわしい気高さと気概に溢れていた。
 そして僕は気付いてしまった。僕が先輩としていたのがただのセックスであったことを。先輩を抱き、抱かれても、決して二人は闘っていなかったということを。
 闘ってみたい。先輩と本当のバトルファックを。
 次の年、2年生になった僕は、関西の学校からの引き抜きに応じ、転校した。


***


 手の熱を伝えて、乳房全体を温めようとしているかのような手つき。安易に乳首を責めず、まわりを解してくる。
 私はすぐさま反応した。
 左手を彼の背中にまわし、抱きつくようにして間合いを詰める。胸を合わせるようにして押し付け、愛撫のための空間を殺すのだ。
 掌に伝わる、思い出よりもずっと逞しくなった背中の感触。私は背骨の数を数えるようにして指先を這わせる。
 同じように彼の大きな掌が私の脇腹を撫でてきた。間合いの悪い胸への愛撫に拘らず、効果は薄くとも、広く自由に触れる性感帯を狙う手つき。
 肋骨や腰骨、お尻と腰の境界と、淡いタッチで彼の左手がなぞる。
 私は彼の耳元や頬にキスを繰り返しながら、胸を押し付け興奮を煽り、機会を窺う。
「おっと」
 隙をついたつもりだったが、滑り込ませた左手は空を切った。彼が腰を引いて勃起をかばったのだ。
 しかし中指の先に一瞬触れた感触がある。ファーストタッチが取れたのは幸先がいい。


***


 鈴口の先を掠られ、ファーストタッチを取られた。これで先輩は間合いを正確に測っただろう。次からは正確な攻撃が飛んでくる。
 バトルファックにおいて体力に勝る男子ファッカーは、体位の選択等、闘いの流れのイニシアチブを取りやすい。反面、分かりやすく責めやすい最大の弱点を抱えているため、戦略の幅が狭くなりがちである。
 間合いを測られたままの触りっこは不利と判断。
 僕は真正面から先輩に抱きつき、背中で両手をクラッチ。そのまま抱き上げてからのテイクダウンを狙う。
 それを受けてひし、としがみついてくる先輩。
 顔面が柔らかい膨らみに挟まれる。首に巻きついた細腕、胴を締める太股の感触も心地よい。甘い体臭が鼻の奥を麻薬のように痺れさせる。
 力が抜けそうになるのを堪え、ゆっくりと膝を折って、先輩の体をマットの上に静かに下ろす。


***


 とてもソフトなテイクダウンだった。
 ここがマットの上でなく、ベッドの上だったなら、それだけで蕩けてしまいそうな優しい扱い。
 胸に顔を埋めた貴明くんは、私の体を撫でまわしてきた。
 太股の外側を何度も撫で擦った手が、お尻まで可愛がってくる。腋の下をくすぐった指がこそこそと乳房の上に忍び寄り、二の腕まで含めた広い範囲をマッサージしてくる。
「んっ、んん……」
 さすがに声が漏れる。筋肉までしっかり揉みほぐしてくる力加減は、県予選レベルの娘ならこのままイカせてしまいそうなほど巧みだ。
 しかしこの手の愛撫は、意識の反らし方さえ心得ていれば問題なく耐えられる。
 私は体を撫でてくる手を無視して、貴明くんの背後で組んだ手足のクラッチを組みなおした。タランチュラ・ガードポジション。獲物を捕まえた蜘蛛の姿にちなんだ、女子ファッカー必須の技術だ。
 一見不利な体勢だが、実は男子の習性を踏まえた実用的な技術でもある。
「くっ…」
 案の定、貴明くんは居心地悪そうに腰を揺らし始めた。
「ふふ、触ってるうちに興奮してきちゃう癖は、まだ治っていなかったみたいね」


***


 “触られる”ことへの感受性が強い女子ファッカーに対して、“触る”ことへの感受性は男子ファッカーが圧倒的に強い。そこを先輩に上手く突かれた。
 甘く見たつもりはなかったが、先輩の肌のさわり心地があまりに良すぎる。
 わずかに汗の滲んだ肌はしっとりと手になじむ。天使の羽毛を詰めたかのような乳枕の弾力に、思わず勝負を忘れて甘えたくなってしまう。胴に絡みついた張りのある脚は、定期的なトレーニングの賜物で、そこらの柔らかいだけの女体とは違う、バトルファッカーの、闘う者の体そのものである。
 先輩の体の魅力の前に、僕の逸物は触られもしないのに痛いくらいに張りつめてしまった。触らせることが、先輩の攻撃となっているのだ。
 この状況。僕の方からの打開策は二つ。
 一つは現状の体勢を受け入れ、より強い刺激を相手に与えていくことだ。
 具体的には乳首、クリトリスへの愛撫。しかし、先輩のタランチュラは固く、意外にこれが難しい。
 ぴたりと腰を押し付けてきているので手を差し込む隙間がなく、お尻から回すにはやや距離が遠い。顔を抱く力も強く、乳首を口に含むこともできない。指での乾いた乳首への愛撫は強くするのは難しく、今やっている程度の優しい刺激には先輩は耐えてしまう。
 ならば、と僕は二つ目の方法をとった。


***


「くっ、なんて、力……」
 貴明くんは私の膝に手をかけ、なんと力まかせに割り開いてきた。
 もちろん男子ファッカーの中には怪力をほこる人もいる。でも、一般的な男子であれば、足を使えば腕の力に逆らうことぐらいはできる。
 それなのに貴明くんは、不自然な姿勢のまま私の脚力を上回る力を加えてくる。線の細い印象のあった彼が、ここまでの腕力をつけていたというのは驚きだ。
 私の内腿はプルプルと震えているのに対して、彼の腕にそれがない。このままでは体力を無駄に消耗することになりそうだと悟った私は、力比べを諦め、足のクラッチを解いた。
 次いで、膝を自由にするために素早く大開脚。貴明くんの手が外に流れる。
 すかさず膝下をM字に立て、マットを足裏でかくようにして、体を下へ勢いよくずらす。
 あわよくばそのまま腰を寄せてインサート。それが成らずとも、完全勃起した彼のモノは腰をぶつけるだけで気持ちよくなってしまうはず。
 私の体は脳裏に閃いたシナリオを忠実に再現する。バネ仕掛けのように跳ねあがる腰。しかして、貴明くんの逞しくなった腕がそれを阻んだ。
 腰骨をしっかりと捕まえてくる大きな掌。その両手の親指が足の付け根に沿って内側に入ってくる。
 私はすかさず彼の首の後ろのクラッチを解き、右手は首に残したまま、左手を狙われている股間の守りに向かわせる。
 片手では貴明くんの上体を十分に引きつけておくことができず、胸の谷間に捕えていた彼の顔が逃げていく。と同時に、左膝にかかる重圧。
 また膝を割り開かれてしまう。
 距離をとるためマットを蹴ろうとした右足が、膝の裏に差し込んだ手に掬われ、脇に抱えられてしまった。――まずい、逃げられない。
 膝の内側を押され、マットに押しつけられた左足を貴明くんが跨いだ。
 体を丸めようとしても、膝を離れた手が肩を押さえてきて叶わない。
 ――挿入れてくる気だ。
 私は挿入に備えて身構える。“挿入れさせる”のと“挿入れられる”ことの違い。挿入れられるとしても備えがあるのとないのとでは大違いだ。
 いつ挿入れてくるのかタイミングを計る。でも局部を注視しすぎるのは厳禁だ。挿入を見せつけられると受け身になりがちであり、第一表情を読まれる。それよりは目を合わせ、顔色を窺って表情を読むのが大事だ。
 案の定視線を上げるとばっちり目があった。
「ずいぶん乱暴じゃない?」
 膝を無理やり割り開いてきたことをなじっておく。
「いろいろ勉強しましたから」
 これもテクニックのうち、と悪びれることなく言い切った。
「それより、そろそろ挿入れますよ」
 まさかの宣言。真っ向勝負。
 ぐっ、と入口に力が加わり彼が入ってきた。
「くうっ……」
 とても固く――熱い。
 

***


 何者をも拒むかのようにきつく絞られた先輩の膣口。しかし入口さえ抜けてしまえば、膣壁と襞肉は柔らかく、潤いもあって挿入自体は容易だった。
 ぬるり、と滑りの良い道。一気に奥まで押し込み、勢いよく腰を振ってもギリギリ射精を堪えられそうな心地よい締めつけ。温度。ここで一度攻めておくのも悪くない、と思わせる絶妙の環境である。
 でも僕はあえて勢いを殺し、ゆっくりと時間をかけて膣道を進んだ。
 全国レベルの女子ファッカーなら、膣圧操作などお手の物。先輩の実力も言わずもがな。この緩さは誘いと踏んだのだ。
「そんな手にはかかりませんよ」
「やっぱり、そうよね」
 返事は分かりやすい形で帰ってきた。いくらも進まぬうちにいきなり肉の道が狭まり、入口と同じレベルの圧力が加わってくる。
 おそらくは奥まで誘い込み、腰を振らせ、気付かれぬよう徐々に膣圧を上げていく戦法だったのだろう。嵌っていれば終わっていた。さすがにこの圧力の中、腰を大きく動かして耐える自信はない。
 とは言え、先輩も成功するとは思っていなかったのだろう。挿入速度を遅滞させただけで満足しているのが表情から見て取れる。どうやらインサートでは思ったほどのイニシアチブをとることはできなかったようだ。挿入れる側だっただけに惜しい。
 だが、依然として両足を制した結合姿勢は僕の方に利がある。ピストンでは同じ轍を踏まない。
 僕は手始めに、奥に入ったまま、ゆっくりと、小刻みに腰を揺らしていく。
クリスマスに向けた一発ネタ

競技の雰囲気をだすために、男女の視点を何度も入れ替えながら書いてみました。
複数視点というには落ち着きがなさ過ぎる気もしたのですが、どうだったでしょう。
読みづらいようだったら後篇で対処したいです。

ご意見、ご感想お気軽にお寄せください。

クリスマスまでには後篇も上げれそうです。

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