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宮殿(レベル5)




「アアアア!!! ガアアア!!」


狂ったように叫ぶ一匹の男の淫魔。
「ほら、もっと出してちょうだい?」


その身体にまとわりつくようにいる女。

「ヒグッ!?」


もはや力抜け、うつぶせに倒れる淫魔のペニスの前に座り、豊かな胸に挟み、磨りあげる。


とめどなく精液が巨大なペニスから溢れ、淫魔は女のなすがままだった。
「キサマッ……」

「あん……我慢できなかったの?」

後ろからもう一人の淫魔が這うように手を伸ばし、その胸を揉みあげる。女の後ろに座りこむ形になる。


ペニスは谷間から解放されるが、淫魔は息も絶え絶えで動けない。
「じゃあほら……」

「グゥゥゥ?!」

両手を重ね合わせ、さらに沈み込むように強く揉ませる。

後ろから責めあげていた淫魔の息もあがっていた。

三人の周りには、おびただしい量の精液が飛び散っていた。

「こんなんでもうダメなんて、あなた童貞の淫魔なの?」

「ナニヲッ……」


挑発に乗り、淫魔自ら強く胸を揉み始める。

「アアッ! あぁんっ、いい!」

甲高い声を上げる女、

「ドウダッ! アガッ!?」

「つーかまえた」

淫魔が力を入れるためさらに距離を縮めたすきに、手をすばやく後ろに回し、すでに絶頂を繰り返し、赤く腫れあがるペニスを捕まえる。

「クソォ! クソォ!!」

胸から手を離し、距離を取ろうとしてもペニスが握られていて動けない。そもそも立つ力が淫魔には残っていなかった。

「ほら、クソなんて言わないで淫魔さん?……んっ」

「アッ……アァ……」

動かない淫魔を放り、後ろに身体ごと振り向き、ペニスを口に含むと、淫魔は観念したように喘いだ。








人間を飼育していた巨大な施設の中、リルは男型淫魔を次々と仕留めていた。




口で、脚で、胸で、中で、

あさましい快楽の獣などに負けはしない。強い決意のもと、リルは快感にあらがいながら戦っていた。
「はい。ごちそうさま……」

やがて二匹の淫魔が動かなくなり、塵となって消えると、パンパンとよごれを払って行く。

ちょうど出会い頭での戦いだった。牢の中にいる戦士達を助けようとした時、後ろから襲いかかられたのだ。

鍵をとり、開ける。
「あ……」

「もう大丈夫。出入り口の方へ向かって頂戴」


先ほどまでの戦いを忘れるような笑顔で笑いかける。

「は、はい……」


その声に従い、戦士達は半ば茫然としながらも、進んで行った。





それからしばらく経った。

「ファル。どんな感じ?」

「ほぼ完了です。数はこちらが優勢で、入口に近い部屋から制圧していっています。

人的被害は少々ありますが、隊長が盛大にかましてくれたおかげで、皆の士気も高いですし」

入口付近で助けた人の整理をしているファルに尋ねると、返事は良好だった。


「ただ、気になる事があります」

「何かしら?」

「一つは救助されるのが、さらわれていた貴族や王族、傭兵団の隊長等、権力のある者ばかり」


その通りだ。調べてみると、多少やつれていたりはするが、男女とも、発見されるのは有力者ばかりだった。

ただ単に精を求めていたわけではないと言うのか? リルは少し不安になってきた。

「それともう一つ……見てください」

そう言って外へと続く救出された人の列を眺める。

「あまり元気がないわね」

「そうなんです。無気力というか、なんというか」

 喜んでいない……?

里に帰り、家族や友人に会えるというのに、何か皆一様に表情が暗い。

「ここは本当に飼育場だったんですか? というより、淫魔が人間を飼育する意味ってあるんですか?」

「ファル……あなた知らないでいたの?」

「すいません……何分座学は苦手で。私の故郷が無くなってから、ずっと戦いどうしだったので」

ため息をつきながらリルが語り始めた。

「淫魔は人の夢に寄生して数を増やすのよ」

「夢?」

「初めは魔界からの召喚術のミスだったと考えられているわ。けれど、召喚者はその最初の淫魔を御す事ができず、逆に虜となった」

数限られた魔法を使う者の中で、魔の魅力に魅せられた者がいた。かれが生んだ最初の淫魔が、全ての始まりだった。

「淫魔は力で倒す事ができないから、イカせるしかない」

「そう。淫魔は召喚を続けさせ、夜な夜な精を求めさまよい、搾っては捨てを繰り返す中で、気にった者を見つけると」

「見つけると?」

「夢の中に入り込む」

「入り込む?!」

驚きの顔を浮かべるファル。

「そう。もちろん夢の中に入るなんて真似、簡単にはできない。人間との適合もある。
淫魔はその肉体を使って身体と心、両方を虜にして、初めて夢の中に入り込み、そして契約させる」

「どんな……?」

リルはファルの瞳を覗き込みながら言う。
「新たな淫魔を生むために、淫らな夢を見ろ、という契約」

「夢……を見るんですか」

「淫魔はそれまで搾りとっていた人間の精と魔力を夢で混ぜ合わせ、魔界へのゲートを作り、新しい淫魔を生み出す」

だからこそ淫魔は様々な形を持ち、何より美しい。人が夢でしか会えないような肉体を持って生まれる。

「だから厳密には私達は淫魔を殺しているんじゃなくて、力を奪って魔界に送り返しているの」

「そうだったんだ……」

「憶えておきなさいよこれくらい」

頭をはたくと、ファルはえへへと笑う。

「じゃあ飼育場っていうのは……」

「どちらかというと、調教場ね。契約を結ばせる。
もちろん精を補給しないといけないから、その意味合いもあるんでしょうけど。普通、用済みになれば淫魔は容赦なく殺すわ」

 一度ゲートを作りだした人間の夢はもう使えない。だから淫魔にとっては無用の長物だ。
「じゃあさっきの人達はまだギリギリのラインで抵抗していた人達だったってことですね」

「ええ、もしくは精を集めた指輪の生成装置になっていた人達」

けど、あの人達の無気力さにはどうもひっかかった。
もしや、契約する、精の供給機にする以外の行いがなされていたとしたら……


「でも、どちらにしろ今日で終わりにすればいい話よ」
「そうですね」

そう、もうすぐ終わる。長い戦いも……

その時、建物の奥の方から、叫び声が聞こえてきた。
「?」

「行きましょう!」

何が起きたのか? ほぼおおむね制圧したはずだが……
すぐに二人が走りだす。建物の奥へと。








建物の最深部は、VIPルームになっていた。

牢というより、中から開けられないだけのかぎ付きの部屋が並び、豪華な内装で、そこに特に力のつよい人間達が閉じ込められていた。

「イヤァァ! 離して!! 離してぇ!!」

「落ち着いてください!」

その一番奥の部屋、突きあたり。その前で、解放されたはずの女が、隊員の手を振りほどこうと暴れていた。

「どうしたの?」

「いや、この方、かつてのコーカサス王国の姫君なんですが、ここから離れたくないと。もうこの建物の中には淫魔がいないと何度も言っているんですが……」


姫は我を忘れたように暴れ回っていた。

「確かコーカサス王国は王が女淫魔の虜となり、淫魔との同盟を宣言したのを皮切りに起きた反乱で、国そのものが消えてしまったんですよね」

ファルがいった。

王国ひとつがすべて淫魔の手に落ちたこの出来事は、各国の利害を超え団結を促した事で良く知られていた。ただ、その時王の一家は全て死んだと考えられていた。

「私はノア様に忠誠を御誓いしたの! ノア様が来るまでここから動かないわ!!」

「ノア? 姫、ノアとは誰です?」

リルが近づき、姫に問う。だが、話がまったく要領を得ない。

「一体……」

「ノア様!! ノアサマァ!!!」




「呼んだか姫よ」


ひときわ姫が大きな声で叫んだとき、応えるように男の声がした


「何っ?」

全員の注目が突如起こった声に集中する。



「姫がいた部屋ね!」

「ローラとミヤマ、ケイがいるはずです!」

「じゃあなんで男の声が?」

「私のせいだな」

ドアが開く。




そこには男の淫魔がいた。屈強な身体を惜しげもなくさらし、端正な顔立ちで、薄く笑っていた。

「なっ、ローラ!」

両腕でローラを抱いていた。

「アークのようなものしかいないので心配になってな。姫の部屋に方陣で移動した所、この者どもとぶつかったので遊んでやった」


全裸のローラは眠っていたが、身体中から汗が噴きで、長い銀色の髪の間から見える顔は赤く染まり、
なによりむせかえるようなオスの匂いが染みついていた。
ノアの身体の後ろに見える姫の部屋のベットは乱れ、そこに身体を投げ出したようにケイとミヤマが倒れ伏していた。
「ノア様!」

「叫ばずにそこで待て」

姫は酔ったように目を座らせ、はいと言い、座り込む。


「この子たち、いや、この施設に居た人達に何をしたの」

「何も、強いて言えば、淫魔の素晴らしさを教えていた」

「素晴らしさ?」

「如何に優れているか、人間より数段賢く、理性をもってこの大地を治める事ができるかを。そして、淫魔との夜伽がどれほど良いものかをな」

ノアは目を細め笑う。
(こいつら、まさか……)
「ファルッ!!」

「は、はいっ!」

「急いで皆を連れて逃げなさい! 隊に合流して、そして助けた人達を隔離するように伝えるの!!」

「えっでも貴族ですよ?」

「いいから!」

鬼気迫る声でリルが叫ぶと、はいっ!と叫びその場にいた隊員とともに走り出す。



「必ず戻ってきますから! ご無事で!」





そう叫ぶファルの声には応えずに、目の前のノアと向き合う。

「一人とは、いい度胸だ」

「止めないわけ?」

「お前はそれを許すのか?」

そう言って笑うと、ローラをそっと床に置き、耳に手をかぶせ、何か口を動かす
(連絡魔法……)

人間の術者によって、遠方へは飛ばせないはずだ。ということは、
「他にまだだれかいるのね?」

「一人でなければならない道理もあるまい。姫、すまないがこの者を介抱してくれるか」

座り込んでいた姫に言う。
「はい!」

救助に来た人間の言うことはまったく聞かなかったのに、淫魔のノアの言う事に、姫は逆らわない。

「三人をどうするつもり!」

「どうもしない。生きている。ただ、起きた時、誰の味方かはわからないがな」

ローラを引きづりながら、奥の部屋へと消えて行く姫。


ノアがゆっくりとリルに近づいていく。
「お前にも教えてやろう、淫魔が、私がどれだけ素晴らしい存在であるかを」

「……望むところよ」

 ローラ達が三人がかりで勝てなかった相手に勝つ可能性はあるか、でも、やるしかない。

リルはノアと対峙した。










「はぁっ……はぁっ……」

ファルは全速力で走っていた。もうほとんど撤収は終わっている。早く合流せねば、貴族達の事だ。
すぐに解放され、国に戻るだろう。連絡用の術者をつれてくるべきだった。
だが、隊長がすごい形相でそれを阻止しようとしていた以上、きっと何かまずい事が起きる。
「あと、ちょっと……」

あと一つ曲がれば後は直線だ。そうすれば……
「ガァ!?」


だが、それは阻まれた。

突如廊下のドアが開き、そこから黒フードの男が飛び出してきたのだ。
「杖?!」

そいつは杖をつかっていた。一番前を走っていた隊員は飛び出したと同時にみぞおちをつかれ、気絶した。
「くそっ!なんで人間が! おいお前!」

こちらの装備を確認するが、
(皆護身用の短剣しかもっていない!)
「命令だ。通すわけにはいかない」

「このっ!」

ファル以外の五人は男の戦士だ。理由もわからないが、動きを止めるくらいなら……
だが、甘かった。
喉を貫かれ、腹を突かれ、頭を叩かれ、五人いた仲間が次々と倒れて行く。


その動きは鍛練されたもので、見とれるようなリズムを保っていた。

「あ……あ……」




あっという間に全員が気を失い、残ったのはファルだけになっていた。
そして黒いフードが落ちる。
「あなた……タチバナさん?!」

目の前に居たのはかつての仲間だった。

私と同じく故郷を滅ぼされ、訓練場では共に訓練をした仲だ。

(だけど……淫らな気が強すぎる……淫魔とほとんど変わらない!)

身体中から淫らな気が溢れている。

「私です! ファルです! 憶えてませんか……んっ!」


両手をふさがれ、唇を奪われる。
「んっ……くっ」

「んむっ……」

ざらざらとした感触の向こうに、いつもの性なのだろうか、快感を覚える。

「ぷはっ……何をするんですか……」

身体がほのかに熱くなってくる。これは人間とではなく、淫魔とやった時に憶える感覚。
この人は今私を狩ろうとしている。戦わなくては。
(でもタチバナさんは行方不明になってたはず……なんでここに……まさか)


「主の命令だ。お前をいただくぞ」

「主って誰ですか! 憶えてないんですかっ!」

再び迫ってくるタチバナ。




ファルは戸惑いながらも戦いの姿勢に入った。




遅れましたが続編、あげました。サイトでキャッスルの加筆とかしてたら遅れました。待ってくださっていた方、申し訳ありません。BFっぽくないので、二つ一気に更新です。
感想等ありましたらお願いしますー

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