数刻が流れ、時刻は昼にさしかかろうとしていた頃、アンナマリアたちはリビングに集まっていた。
イザベラは腕を組んで悩ましい胸を押し上げながら、首を回してアンナマリア、レリア、ジョゼフの三人の顔を見渡す。ひとりは無表情、かたや笑顔に、緊張した様子の者もいると反応は三者三様であった。
「さて、いよいよ時間的猶予もなくなってきた。今はこの家全体に人払いの魔法をかけて隠匿しているが、それもそろそろ限界……。いい加減、こちらから仕掛けようじゃないか」
声を弾ませて陽気に魔女が謳うと、勢いよくレリアが手を挙げた。
「待ってましたぁ! はーいっ、先生、それじゃあ一番手はあたしが行きまーすっ! やっぱり、何事も一番っていうのが大事ですからね。あたしがサクッと勝利を掴んで、ギヨたんとジョゼフくんにお手本を見せてあげますよ」
ふふんっ、とレリアは得意げに鼻を鳴らすとイザベラは苦笑した。
「やれやれ、レリアも威勢がいいなあ。最初からキミに一番手を頼むつもりではあったけどね。この中で唯一の純粋な淫魔であるキミが一番手には適任だ」
「先生もよくわかってますねえ。初見では遅れをとりましたが、今度はあの小生意気な淫魔たちをあひあひ云わせてあげますよ! もうギヨたんたちの出番なんていらないくらいなんですから」
不敵にレリアが笑えば、アンナマリアは怪訝な顔になった。
「……レリア、どうかしたの?」
「へ?」
「なんだか、様子が変」
「べ、別にそんなことないですよ! あたしは普通ですっ」
「そうは見えないけど……」
「ともかく!」とレリアはアンナマリアの言葉を遮った。「最初はあたしがもらいますから! ギヨたんとジョゼフくんはそこで大人しくしててください!」
レリアの強気な言葉に押し切られて、アンナマリアは釈然としていないまま口を噤む。ただ、引っかかっていたのはアンナマリアだけでなくジョゼフも同じだった。
「れ、レリアちゃん、なにをムキになってるの?」
「ムキになんかなってないですっ」
首を傾げるジョゼフに声を荒げたレリアの頬は、心なしか紅くなっているように見えた。
レリアはこれ以上の追求を拒絶するように大股でイザベラの方へと歩み寄る。
「さあ、先生。そういうことですから、あたしを転送してください。ばっちり敵を仕留めてみせますからね!」
「……難儀な性格してるよね、レリアは」
イザベラが眼を細めて頬を緩めると、レリアはますます取り乱した。
「な、なんの話ですか? もうこれ以上待たせないでください!」
「はいはい。……ああ、そうだ、レリア。その前に」
何事かを思い出したイザベラはレリアに躯を寄せる。
「まだなにかあるんですか?」
むすっ、とレリアは頬を膨らませて怒ると、イザベラは身をかがめてその額にキスをした。
「……へ?」
「いってらっしゃいのキス。たまにはこういうのもいいだろう?」
「ば、ばかなことしてないで早くしてくださいっ!」
イザベラの突然の行動に驚いて、レリアは顔を真っ赤にしてイザベラを何度も叩く。ただ、少女の小さな手で叩かれてもイザベラは痛くも痒いもないようだった。
「ははは、――それでは、武運を祈るよ、レリア」
そういって、イザベラはレリアの目の前で指を弾いた。
*
大々的な儀式は必要ない。
余計な呪文も必要なく、
起こった動作は一挙動。
それだけで、レリアの躯は一秒前までいた空間とは別の場所に跳ばされている。
距離を無視するという通常あり得ざる行為が容易であるわけもない。あらかじめ周到に準備を完了させていたのか、それとも魔女にしてみれば造作もないことだったのか。
どちらにしろ、レリアはわかり切っている事実を胸の中で吐き出した。
――そういえば、先生は化け物なのでした。
一瞬、レリアは暗闇に包まれた。その闇が払われたとき、既に周囲は見知らぬものになっていた。
鼻の奥に纏わり付く匂いがして、レリアは深呼吸してみる。甘い、香の匂いだ。そして、それに混じって、肺をねっとりと熱く満たして蹂躙しようとする匂いがあった。それはとても馴染みのあるものだ。
そこは石造りの部屋で、兵士が十人、二十人いても窮屈さを感じさせないだろうと思うほどに広い。壁にかけられている獅子の描かれた立派な絵画といい、王宮の一室であるのは間違いないだろう。
レリアの前で、ひとりの女が踊っていた。服としての役割も真っ当できそうにない薄い生地の服をはだけて、褐色の肌を震わせて腰を激しく振っている。
突然やってきたレリアに気付いているのか、それとも目に入らぬほど夢中になっているのか。女は甘い声をあげて、床の敷物に寝転んだ男の上で踊っていた。
「あっはあっ! いいよっ、おっきなのがボクの中で暴れてる! ほら、またイちゃって? そっちのキミたちもっ」
女の両脇にはペニスを突き出した男がおり、ふたりのペニスは女の手で扱かれていた。我慢汁と唾液にまみれた肉棒を男たちは女のすべすべとした頬に押しつけると、女はふたつの亀頭を一緒に呑み込んだ。
首を振って、ぷるぷるとした赤黒い肉を激しく唇と舌でなめ回しながら、竿を手で握りしめる。
まるで女が犯されているような構図だった。それでも、レリアにはどちらが事の主導権を握っているのか、悩むまでもなく判っていた。
「ん……っ、ほらっ、ほらっ、ほらっ、……イっちゃえ!」
しなやかなの腰を振りながら、女郎蜘蛛の笑みを浮かべて女は二本のペニスに吸い付く。膣と手で思い切り握りしめられたペニスは、それで決壊した。
男たちは唸り声を開けて腰を女に突きだし、その褐色の肌を白濁とした精液で真っ白に染め上げる。勢いよく飛び出した精液は女の口から溢れて胸に流れ落ちると、ナメクジの這ったような跡を残しながら谷間を滑り落ちて腹筋をなぞり、おへその小さなくぼみに流れていった。
「んくっ、んく……っ」
それ以上こぼさないように手で受け皿を作りながら、女はうっとりとした表情で喉を鳴らして男たちの子種を飲み干していく。その間にも女の女陰はぴくぴくと痙攣し、組み敷いた男のペニスから精液を吸い上げていた。
どさっ、と音を立てて男ふたりが倒れた。女の口へ精を放出していたふたりである。
より正しく云うなら、放出していたのではない。女の手管によって搾り取られたのだ。
ふたりには目も向けず、女は唇をてらてらと濡らす精液の残滓を舌で舐めとる。
「あーっ、満足っ! やっぱり盛りのついた戦場の男は精液の濃さが違うよね。いつ死ぬかわからないと、女の人をいっぱい孕ませようとして沢山精子作っちゃうのかなぁ? そんなに張り切ってもボクたちがおいしく食べちゃうだけで、なーんにもならないのに。人間ってなんでこう、哀れなんだろう。ね、キミもそう思うでしょ?」
中性的な、それでも女らしいかしましさを感じさせる少女はレリアに笑いかけた。
当の昔に事切れていた男の肉棒を膣から引き抜いて立ち上がる少女に、レリアは頷く。
「そうですねぇ。あたしたちにしてみたら、卵を産んでくれる鶏みたいなものです。結局、人間なんてがんばったって自分ごと全部あたしたちに食べられる程度の存在ですよ」
「だよね、だよね! 必死な顔でボクに腰を振って、感じさせてくれて、妊娠させようと精液を流し込んできて……。そんな子たちを堕落させて、引きずり落としちゃうなんて、とっても刺激的な遊びだよね。キミも淫魔だから、やっぱりそういうこと大好きなんだ、うれしいな」
「そうですねぇ、大好きです。特に気に入った男の子の上で腰を振ってあげたときのもどかしそうな顔なんて、思い出しただけでむずむずするくらいですよ。でも、あなたはちょっと勘違いしてますね」
「え、なに?」
「人間が家畜だけじゃなくて人間すら食い物にしてしまうようにですね。あたしはあなたみたいな身の程知らずな淫魔に躯で現実を教え込んであげるのが大好きなんですよ」
挑発的にレリアが微笑むと、少女は目を丸くした。
喘ぎ声がずっと反響していた部屋に流れるわずかは沈黙は、やはり少女によって破られた。
「面白いねぇ、キミ! 牢獄で会ったときは話せなかったから判らなかったや。いいよ、いいね、そういうの! うんっ、ボクも気持ちいいことは大好きだよ。だから、教えてくれるとうれしいかな、……ええと、キミの名前はなんていうの?」
相手の名を呼ぼうとして、少女はレリアの名前すら知らないことに気がついたのか、そう訊ねた。
「レリア。レリア・キッスです。あと、自分が名乗らないのに人に訊ねるのは失礼じゃないですか」
「あ、そうだったね。ごめんごめん、怒らないで。申し遅れましたっ、ボクは淫蕩のルクスリア。いっぱい楽しもうね、レリアちゃんっ!」
「……淫蕩というより、淫乱の間違いですよね。それに、色欲の間違いじゃないですか?」
溜息をついて、レリアは呆れた。
兵士のような荒々しさのない、踊りを生業とする者特有のしなやかな筋肉の付き方をした肢体にはランジェリーのような透けて見える服しか身に着けられていない。さらに、褐色の肌には精液が塗りたくられて、どこもかしこも壁際で揺れる灯を受けていやらしい光沢を放っている。ここで事切れている男三人以外にも、ルクスリアが躯を洗う手間すら惜しんで男と行為に没頭していたのは明かだった。
レリアの云いように、ルクスリアは訝しげに眉を寄せた。
「色欲より、淫蕩の方がえっちっぽいよね! ……ええと、淫蕩と淫乱って、なにか違うの?」
「淫乱は、ただ淫蕩に乱されて、振り回されてるんですよ。淫蕩は、人を惑わす現象そのものなのです。持論ですけどね」
「うーん、やっぱりわかんないや。だから、レリアちゃんの躯で教えてね。……そうだ、それならもっと人がいた方がいいよね! おーい、みんなこっちに入って来てー!」
ルクスリアが声を上げると、レリアの背後にある荘厳な装飾の施された扉が開かれる。
レリアが扉を振り返ると、五人ほどの男たちが入ってきたところだった。屈強な肉体を持った、レリアと比べたらクマみたいな大きさの男たちである。腰に剣をはいていることから兵士なのだろうが、それにしては口周りにみっともなく生えた髭といい、煤けた髪といい、あまりに粗野である。まるで手入れをしていない。
そこまで見て、レリアは男たちの目が虚ろなことで昨日のことを思い出していた。牢獄で襲いかかってきた淫魔のペットに似ているのだ。
「なるほど、あの牢獄の兵士たちはあなたが食べた残り滓だったというわけですね。それと、この人たちも」
道理で見た目が汚いわけである。何故なら、男たちはもう快楽を受けることしか頭には残っていないのだ。放っておいたら食事すらするかどうか。
「残り滓だなんて人聞きが悪いよぉ。あれはね、ただ、多めに手をつけておかないと数がすぐに減っちゃうからだもん」
「加減ができないなんて、さすが淫乱ですね。その性欲には淫魔でも脱帽しますよ。きっと、その淫らさだけで七つの大罪の位を名乗ることを許されたんでしょうねー」
「むむっ、ちゃんと他の淫魔たちをメロメロにして、淫蕩って呼ばれて良い? って聞いたもんっ! まあ、あんまり興味なかったんだけど……みんな涎を垂らしながら頷いてくれたよ。それでね、今からキミもそうなるんだよ」
にこっ、とルクスリアは場にそぐわぬほどの天真爛漫な笑顔を浮かべた。
「それじゃ、みんなー、えっちの時間だよっ」
緩慢だった男たちの動きが速くなる。レリアという見たこともない新しい少女に男は一斉に群がった。リンゴなんて軽々と潰せてしまえるであろう大きな手でレリアの腕を掴むと、男のひとりが床に放り出した。
レリアは尻餅をついて痛みに声をあげると、ルクスリアを睨み付けた。
「ちょっと、女の子はもっと乱暴に扱ってくれなきゃ困りますよ! それとも、激しくされるのがあなたの好みだったんですか?」
「うんっ、やっぱり男は活きがないとダメだよね。そういう人たちから搾ってあげるのが楽しいんだから」
「それは動感ですけどね」
賛同を示したレリアの前で、男のひとりが下半身を露出した。既に臨戦態勢となった垢まみれの剛直が目の前に突き出されて、レリアは目を丸くする。
「うわあ……お馬さんみたいな太さですね」
「ボクが選りすぐった兵隊さんだもん。たっぷり味わってね!」
ルクスリアの言葉を待っていたわけではないだろうが、ちょうどそれを合図にして男はレリアの髪を掴むと口へと乱暴にペニスをねじ込んだ。
「もがっ」
明かに口よりも大きな肉棒を押し込まれて、顎を外れそうになるくらいに開けたレリアは目を丸くした。
男は両手で頭を掴むと、腰ではなくレリアの頭を激しく動かした。蟲でも沸いていそうなくらいに茂った陰毛でレリアの顔を撫でながら、馬並みのペニスは舌と口内の肉を蹂躙する。
その間に別の男が背後に回っていた。尻餅をついたレリアの細い腰を掴むと易々と持ち上げて床の上で四つん這いにさせる。無防備に突き出された白いお尻に、意識のないはずである男は生唾を呑み込んでいた。
こちらもまた馬のように逞しい肉棒を取り出すと、幼い菊座に宛がい、一息で貫く。
「んー!?」
前戯もなにもなしでアナルにペニスを突き込まれて、別のペニスで口を塞がれたレリアは喉で悲鳴をあげた。
男がレリアのお尻に腰をぶつけると、ぱちんっぱちんっ、と柔肉が甲高い音を立てる。男はレリアの腰を掴む手の力を強めるとますますペースをあげてペニスでアナルを貫く。
ドリルのような亀頭に肛門を掻き分けられて、レリアの目が情欲に濡れる。地面につかされていた腕を目の前にいる男の腰に回すと、自分からペニスにむしゃぶりついた。
「じゅ……んんんっ! ん! ふっ、んぐ……あっ、はぁあああ……っ!」
呼吸をするのも忘れて獣のように男の肉棒を舐め上げれば、おおきな男の躯は面白いくらいに震えていた。クマと幼女といったほどに体格差があるというのに、少女の華奢な躯に、男はまるで戦場で命の危機に瀕しているときのように震えているのである。
それはレリアの菊の穴を犯す男とて同じことだった。
性欲を満たすためだけに腰を振る男は、いつしか腰を止めることすらままならなくなっている。例え腰が痛くなろうとも、休むことさえできないのだ。脳内の神経を巡る快楽に、男は逆に犯されていた。それが少しでも衰えてしまうと気が狂ってしまいそうになっている。もっとも、この快楽が既に男の気を狂わせているからこうもなってしまうわけだが――。
「ふっ……ふふっ」
レリアは妖しい笑みを浮かべて、男を上目遣いで見上げた。目と目が合い、男は心臓を鷲づかみにされたような錯覚に陥る。視界から脳内を犯されているような、甘く蕩ける視線。
そして、レリアは括約筋に力を込める。手で握りしめられたような強い締め付けに、アナルにペニスを突き入れていた男が呻いた。
「ひゃあ……おふぁりです」
終わりです、と宣言して、レリアは頬をすぼめてペニスに吸い付くと同時にかわいらしいお尻を捻った。
舌が蛇みたいに雁首へ絡みつくぬめりとした感覚と、ペニスを襞だらけな肉で締め付ける快楽に選りすぐりの兵士たちといえども耐えることはできなかった。
「んふ……っ、んっ!」
どぷっ! どぷんっ! どぷどぷっ!
男たちの精液が、レリアの口とお尻の穴に注ぎ込まれる。それでもレリアは休むことなく肉棒に吸い付き、お尻をふりふりと振った。
止まらぬ刺激に、男たちの射精もまたとどまる事はなかった。地盤を破って噴き出した間欠泉のように、男たちは尽きることない射精の快楽に声をあげた。
それが一分以上は続いたか。ついに男たちの射精は収まる。
同時に、男たちが力をなくして床に倒れた。そんな中でも、レリアは何事もなかったかのように立ち上がる。指についた精液を淫靡に舐めとるレリアの背中には、一対の羽根がマフラーみたいに揺れていた。
「今日はのんびり男の人と遊ぶつもりなんてないんですよ。――ただの性欲自慢な精液袋に用はありません」
高位淫魔であるルクスリアの躯に慣れさせられた男たちを瞬殺して、レリアは傲岸不遜に言い放った。
「さあ、あなたも遊んでないで付き合って貰いますよ」
そう、男三人の肉棒と戯れているルクスリアに言い放った。
レリアが男二人の相手をしていたときから、ずっとルクスリアは残りの男たちと性行をしていたのである。
最初からルクスリアに男でレリアを犯し尽くして屈服させようなどという肚はなく、楽しむための玩具として呼び出していたのだ。
後座位で男に性器を突かせて、残りふたりのペニスから口で精を啜っていたルクスリアは、にこにこと笑みを浮かべている。
「えへへ、そうだね。そんな、ふたりだけじゃ満足なんてできないよね。うん、わかった。じゃあ……ボクが気持ちよくしてあげるよ」
振っていた腰を止めて、ルクスリアは立ち上がった。ぬぷっ、と秘所から勃起したペニスが抜け落ちる。
「おっと。はい、ご褒美」
名残惜しげにビクビクと震えるペニスに眼を細めて、ルクスリアは足の指でその裏筋をなで上げる。
それだけで、どぷっ! と男の肉棒から精液が溢れだした。
足の裏を汚す暖かい子種の感触に満足して、ルクスリアはレリアの方へと向かう。白目を剥いて射精を続ける男にはもう目を向けなかった。
「それじゃあ、楽しくえっちしようね? うんと、やっぱり沢山気持ちよくなるなら、これがいるよね」
そういって、ルクスリアは愛液と精液に塗れた陰部に手をかけると、陰核をきゅっとつまんだ。すると、陰核は膨張をはじめる。指先ほどの大きさだったものは、あっという間に勃起した男のペニスへと変貌していた。愛液でべとべとになったペニスは、先程レリアが銜え込んだ男と同等の迫力がある。
「これくらいで、いいかな?」
「立派なものですねぇ。ええ、構いませんよ。あたしの中でたっぷり気持ちよくしてあげますから……」
レリアは自信満々に云いきって、昂揚で乾いた唇を舐めると床に座ってM字に股を開いた。
ルクスリアはレリアに覆い被さり、ペニスの先端をまだ精液で汚れていない性器に押し当てる。野良猫みたいに目を細めて、ルクスリアは相手の目を覗き込んだ。
「それじゃ、行くよ」
つぷっ、と亀頭が女陰に沈み込む。レリアの躯には大きすぎるペニスは、濡れていた愛液で驚くほど簡単に入り込んだ。けれど、簡単に挿入できたのはなにも濡れていたからではない。初々しい見た目に反して使い込まれたレリアの躯が、むしろその男性自身を淫らに求めていたからだ。
陰核が膨れあがってできた肉棒がレリアの膣肉を掻き分けて、ずんっと奥へと入り込んでいく。竿に加わる甘美な締め付けに、ルクスリアの頬が緩んだ。
「ああっ、すごい……こんな締め付け、久しぶり……っ」
「あたしの中にいれたのが運の尽きでしたね。あはっ、逃がしませんから覚悟してくださいね?」
捉えた獲物に微笑みながら、レリアは足を相手の腰に回してがっちりと捕まえる。そのまま力を込めて、一気にルクスリアを自分の方に引き寄せた。自分の意志とは関係なしに深く挿入されて、褐色の肉体は快楽に打ち震えた。
胸を反らせ、ぴんっと張った淡い色の乳首を突き出したルクスリアは熱く吐息を洩らす。肌を流れ落ちる汗は部屋に焚かれた香よりもなお甘い香りで、精の青臭さと香に汗が交わって、胸を焦がす淫蕩な芳香となって部屋に充満した。
レリアが腰を捻る度に、ルクスリアは面白いほどに喘いだ。膣をねじって襞で雁首を抉り舐めると、口の端から涎を垂らして快感に震えていた。
今にも流れ出すのではないかというほど瞳を蕩けさせたルクスリアの胸に唇を寄せて、レリアは乳首をついばんだ。
「ひゃっ、やっ、そんなとこ吸っちゃダメだよぉ」
それを無視して腰を揺すると、すぐにルクスリアの抗議は嬌声へと変わった。
胸越しに相手の鼓動を感じながら、レリアはルクスリアが本気でよがっていることを確信してほくそ笑む。
ルクスリアの敗因は慢心だった。
淫魔が持つ陰核の役割は、人間の女性と変わらない。性感を高め、快楽を得るために発達したものである。当然、他の部位に比べ殊更に敏感だ。
レリアに挿入されたペニスは、元はと言えばその陰核が強制的に発達させられたものである。膨張した陰核は、通常の男性が持っている肉棒よりもずっと鋭敏な神経を持っていた。例えるなら、ルクスリアの疑似ペニスは総て亀頭と同じ性感なのである。
それでも挿入した相手が人間の女であったなら、ルクスリアはなんの苦もなく犯しぬいていただろう。淫魔で一番敏感な部位といっても、精を搾るために生まれたような肉体である。生殖の付随機能として快感を覚えるようになった人間の躯程度に快楽で溺れさせられるようなことはない。
けれど、ルクスリアが挿入した相手は人間の女ではなかった。自分と同じ、男を籠絡して精液を搾り取り、天国へと導く搾精器官を持った淫魔なのである。
なのにそんな一物を淫魔の蜜壺に突き入れて、無事で済むわけがなかった。
「あたし、えっちを楽しむのは良いことだって思うんですけど。でも、相手を間違えちゃいましたねぇ?」
ぐちゅっ、ぐちゅっ、とレリアの腰を掴みながらルクスリアは必死になって肉棒で膣を突く。与えられる電流のような快感で、今にもその腰は砕けてしまいそうだった。
「ふぁ、ああ……すごい……こ、腰が止まらないよぉ」
「こんなに気持ちよくなったのは初めてですか? 男の人たちにいっぱい突かれても、こんなに気持ちよくなんてならなかったんですよね? いいですよ、あたしの中に全部出しちゃって。お布団に包まれて眠っちゃうような、そんな心地良さの中で果ててください……」
レリアは足に力を込めて相手と深く深く密着すると、トドメとばかりに膣の力を強める。
ねっとりとした蜜に塗れた膣肉が肉棒を包み込み、ルクスリアは一際高い嬌声をあげた。
「はあっ、だ、ダメ、イク……イっちゃ……ひゃ、あ、ひゃああああああああっ!」
レリアは自分の勝利に勝ち誇った笑みを浮かべて、ルクスリアの精を子宮で受け止めた。
どぷぅうう――っ! どくんっ、どくどくぅ――っ! びゅっ、びゅ――びゅ――っ!
「これで、あなたもあたしのとり、こ……にひゃう!? な、なんですか? や、やだ、来ちゃ……来ちゃうぅううううにゃああああああ!」
ルクスリアの元気が良い射精を受け止めた、そう思ったときにはレリアの頭からつま先にかけて稲妻のような快楽の衝撃が走っている。
それは、レリアが絶頂したことを意味していた。
肉棒から流し込まれる熱い、それこそマグマのようにぐつぐつと煮えたぎった濃厚な精。それはレリアがこれまで搾り取ってきた男たちとは比べものにならない射精の勢いと量、質があった。
その濃厚と云う言葉では足りないほどに濃い精子は拒むこともできずに子宮に流し込まれ、レリアの小さな躯では受け止めきれない精液がふたりの結合部から噴き出した。
「や、やだ、なんなんですか、これ……射精させて、射精されてるだけなのに、なんで……なんでこんなに躯が……ひゃああああっ!」
それでもルクスリアの射精は止まらない。快楽で緩んだ表情のまま腰を突き出して、何度も何度も精液をレリアに流し込む。ねっとりとした白いゲル状の液体に犯されて、レリアの小さな躯は幾度も跳ねて絶頂した。
びゅくっ! とペニスが震えて精を吐くと、ビクンッ! とレリアの躯は震えて達することを繰り返す。
「あ、あ、あ……っ」
目を大きく見開いて、半開きになった口から唾液を垂らすのはルクスリアではなくレリアだ。連続でいったい何回、何十回とイかされたのか。既にその口は肺が痙攣して出す喘ぎ声しか洩らすことはできなくなっていた。
そんなレリアの頬を褐色の手が撫でる。ルクスリアの表情には、まるで我が子を慈しむ母親のような包容力があったが、その仕草はどこまでも淫ら。
「えへへ……どう、気持ちよかったよね、ボクの精子。ホントはこんなに出すつもりはなかったんだけど……レリアちゃんの中が気持ち良いのがいけないんだよ? そうじゃなかったら、こんなにイかなかったんだから……って、聞こえてる?」
ルクスリアが腰を引いて、一気に奥まで突く。
「ひゃう!?」
「あはっ、聞こえてるね?」
「あ、ああ……」
反射的に涙を流しながら呆然としているレリアに、ルクスリアはくすくすと笑った。
「そんなに味わってくれると、ボクも出した甲斐があるなあ。実はね、ボクの精液にはすっごく強い催淫効果があるんだよ。なんでもね、ボクが呑んできた精気が凝縮されてるんだってさ。それがこんなに効果覿面なんておかしいよねえ、だってボク、このお城に入る人たちよりちょっと多いかなってくらいの人たちからしか搾り取ってないのに」
王宮ひとつに入りきらないほどの男の精液を飲み干してきた――。そんな途方もない言葉を、快感に朦朧となったレリアの頭で理解するには長い時間を必要とした。
「どうしたの、レリアちゃん。淫乱と淫蕩の違いを教えてくれるんだよね? ほら、続き、しよっ」
無邪気に笑って、ルクスリアがレリアと唇を重ねた。
「や、やめ……ひゃあっ!?」
キスしたまま、ルクスリアはずんっ、とレリアの子宮口を亀頭でノックした。絶頂の余韻さめやらぬレリアの躯にはあまりにも刺激的すぎて、また軽く達してしまった。
「やめてって、またなんで? ……あ、そっか。ずっと同じ体勢じゃつまらないもんね!」
「そういう意味じゃ……っ」
レリアの文句はルクスリアには届かず、あっという間にふたりの体位は変わっていた。
ルクスリアは背中を床に預けて仰向けになり、その上にレリアが跨る、所謂騎乗位となる。淫魔が男を犯すときによく使う格好だったが、今の主導権は跨っているレリアではなくペニスを銜え込まれたルクスリアにあった。
「あ、これだけじゃ物足りないかな? じゃあ、ふたりとも、レリアちゃんを楽しませてあげてっ」
ルクスリアが呼びかけると、ずっと棒立ちになっていた男ふたりが蜜に群がる蟲のようにふらふらと寄ってきた。屈強な男のペニスはルクスリアにおあずけを喰らっていたためか、既に臨戦態勢をとっていた。
「え、だ、ダメですよ、今は……はうっ」
レリアの言葉は男たちに届かず、無理矢理ペニスを口の中に入れられて頬肉に亀頭を押しつけられた。同時にふたつの馬並みペニスをねじ込まれて、レリアの顎は外れそうなくらいに開かれる。
「ほらほら、下からもっ、行くよ!」
リズミカルに突き上げてくる肉棒にレリアの華奢な躯はバネで押し出されるように跳ねる。
今まで感じたことのないほどの膣をペニスでかき混ぜられる快感。それ故にレリアは咄嗟に快感を受け流すことができない。
「んーっ! んーっ、んーっ、んーっ! んんんん――――っ!」
膣の締め付けが強くなる。それはレリアがまた絶頂を迎えた証拠だった。
男たちはレリアの髪の毛を掴むと、強引に腰を動かして口内を蹂躙する。頬肉に垢を擦りつけ、歯茎をなぞり、舌に竿を扱かせる。
強制される口淫と、突き上げてくる快感。それに文字通りレリアの頭の中は真っ白になっていた。
「ああっ、レリアちゃんの中って最高だよぉ! ボク、またイっちゃうねっ」
何度イっても疲れた様子のないルクスリアの叫びに、レリアは子宮が疼くのを感じた。
もっと、もっと精液が呑みたい――。
気持ちよくなりたい――。
漠然とそう思っていたとき、またしても濃厚な精子が子宮に飛び込んできた。
びゅっ、びゅっ、と勢いは衰えを知らずに膣内を白濁とした淫液で満たしていく。それに遅れて、口内で男たちのペニスが爆発した。
口の中に広がるむせかえりそうになる精の青臭さと、窒息しそうになる精液の量にレリアは目眩を覚えた。
「はう……は、ああ……」
イきすぎて躯に力の入らなくなったレリアは、男の汚い太腿に寄りかかって掠れ声を発するのが精一杯になっていた。
なのに、ルクスリアはまた思い切り下からレリアを突いて無理矢理たたき起こす。
ひゃうっ、と悲鳴をあげる少女に、ルクスリアは笑いかけた。
「……ね? まだ、お終いじゃ、ないよね?」
「あ……ああ……」
底なしの性欲に、レリアはしばし呆然とした。
「こんな程度じゃ、レリアちゃんも満足できないよね? だって、そうでしょ。ボクたち七罪を冠した淫魔は世襲でもなんでもなくて、実力で前任の人をたおしてなるものなんだから……。それに挑もうって淫魔が、こんな簡単に倒れちゃうわけ、ないよね?」
淫魔の社会は、人に比べると穏やかなものだ。彼女たちの社会には明確な競争はないのである。勿論、上昇思考は持っているが、それを最優先事項にすることはまずない。淫魔は淫らでふしだらにして怠惰な生き物なのである。
それは男に頼れば、彼女たちは何不自由なく生活をできるからだ。もし寄生している男が息絶えれば、また別の男のところへ。淫魔の美貌と床の技術は、どんな名家の子息にでも取り入れるだけの力があったのである。
その中での例外が七罪の名を冠する淫魔たちである。
それは高位淫魔として一級の実力があると認められる名誉の称号なのだ。そんな称号をとるためには、前任者を退ける必要がある。淫魔と淫魔で床の勝負である。
故に七罪だけは競争意識があった。さらに、七罪は挑戦者を拒めない、実力主義の頂点。
それだけの競争を勝ち抜いた淫魔の中の淫魔が、そう簡単に倒れるわけもなかったのだ。
「そんな……こ、このままじゃ……っ、あたし、頭がおかしくなっちゃ……」
にこにことルクスリアはボーイッシュな顔で笑った。
「なら、一緒におかしくなっちゃお?」
下から突き上げられて、レリアの口内で溜まっていた男たちの精液が溢れだし躯を真っ白く汚していく。
「ひゃっ!? あ、ああ……っ、あうぅうう……」
もう四肢に力は入らず、レリアの下半身はルクスリア、口は男たちの好きなようにされるだけだった。
レリアの躯に注ぎ込まれる精気は、既に数千、いや、万にも届こうかという男から搾った精と同じ量があった。ルクスリアの肉棒から溢れる精液の密度はそれだけ法外だったのである。いくらアルコールに強い者でも度数が百もあるものを摂取すれば倒れるように、いくら淫魔といえどもこれだけの濃さの精液を一度に叩きつければ無事では済まない。
そんな精気を溜め込んで平然としていたルクスリアはレリアとは比べものにならない精気の許容量があるということで、基本スペックからして差は歴然だったのだ。
レリアの躯ではルクスリアには遠く及ばない。
そのことを拒みようがないほどに躯へ刻み込まれた。
「レリアちゃんはかわいい声で鳴いてくれるねっ! そんなにボクのおちんちんが気に入ったのかな。それじゃ、もっとイってもらおうかな」
このままでは、犯されてルクスリアの餌となってしまう。
レリアの躯では勝てない。
しかし、ここにきても、まだ揺るがないひとつの事実があった。
ルクスリアの敗因は慢心である。
小さく揺れるレリアの胸に伸ばされたルクスリアの腕が掴まれる。押しとどめたのは他ならないレリアだ。
「あれれ、まだがんばってくれるの?」
「はい……あと三分間だけ、付き合って貰おうかと」
汗と精液に濡れた顔で笑うレリアに、ルクスリアは不思議さで目を丸くした。
「ええ、あと三分だけ……」
レリアの背中から生えていた一対の翼が窓もない部屋の中でゆらゆらと揺れはじめた。
風が吹いていた。
最初は微風。どんどんと風は強くなっていき、前髪が持ち上がって額が見えるほどになっていく。
その風の中心にはレリアの躯があった。
口の中からぬるりと男たちのペニスを離すと、レリアは唇を蛇のように舐めた。
「……付き合って貰います。あたしの本気よりも、もっとすごいものを感じさせてあげますよ」
そうして、少女の躯に変化が生じた。
胸が膨らんでいく。見た目相応の控え目な胸が、ふっくらと姿を変える。
現れるのは、片手で掴んでもこぼれおちてしまうほどに大きな乳房。
変化はそれだけではなかった。
胸の変化に同調して、レリアの躯が大きく変化していた。
手足は長く、舞台の女優のように細く、逞しく、優雅な肉つきのそれに。お尻は思わずむしゃぶりつきたくなるほどの曲線を描く。
数年かけての成長を数秒の間に圧縮すればこうなるのか。短く切られていたオーロラ色の頭髪は腰の位置よりも低く、座っていれば床に落ちるほどに長い。オーロラを夜空から切り取って編んだ帯のようだ――そう幻想を抱かせる、超常的な美しさだった。
いつの間にか、ルクスリアの肉棒を膣で銜え込んでいるのはレリアではなく、彼女の変化した情熱的な美女になっていた。
唖然としているルクスリアに、美女はくすりとほほえみかけた。
「――さて。この躯を使うのは久しぶりなのだけど。改めて挨拶をした方がいいかしら、ルクスリア?」
「え、え、レリアちゃん、だよね……?」
「そうよ。もっとも、この躯のときは襲名した名前を名乗っていたのだけど……そうね。ややこしいから、あたしのことはレリアと呼んで貰って構わないわ。ルクスリアがふたりいては面倒だものね」
「る、ルクスリア? それって、ボクと同じ……もしかして!?」
思いの外察しの良いルクスリアに、レリア――と自称した女性はほほえんだ。
「ええ、お察しの通り。先代の色欲――淫蕩のルクスリアよ。あなたとは初見だけどね」
先程、ルクスリアは自分が淫蕩と呼ばれるために淫魔たちと戦ったと口にしていた。だが、それはおかしい。七つの大罪の襲名は、襲名者を倒すことで得られるものである。他の淫魔たちにわざわざ認めさせる必要はない。
「まあ、それも当然よね。あたしは何年も前に行方をくらましてしまったんだもの。人間にでも倒されたんじゃないかって、騒動にでもなっていたかしら?」
「そ、そりゃすごい大騒ぎになって……って、なんでそんな人がレリアちゃんになってたの!? しかも、敵になってるし!」
「別に称号があったとしても、あたしたちは味方というわけではないでしょう? 利害が違えば敵にだってなるわ。それに、あんなちっちゃい姿になっていたのは……ふふ、あなたたちの思っていた通り。あたしが人間に負けたからよ」
「嘘……」
「あら、ホントよ。もっとも、あれは人というより魔女だけど。しかも、その上で力を封印されて、あんなに小さな躯にされて助手としてこき使われたんだから……。でも、ちゃんとあのときはあの人をイかせてみせたけどね。あんなに気持ちよさそうにしてる顔を見たのはあれが最初で最後だったわ……」
頬に手をあててうっとりとするレリアを呆けながら見ていたが、はっと我に返るとルクスリアは豊満になったレリアの胸を掴んだ。
うなじを撫でてくるように色っぽい声をあげるレリアを前に、ルクスリアは完全に調子を取り戻していた。
「よく考えたら、レリアちゃんが誰だったかなんて関係ないよね。だって、もっと楽しめることには変わりないんだもんっ」
舌なめずりをして、ルクスリアはまた下からレリアの躯を突き上げる。幼い見た目のためにふわふわと軽かった前までのレリアと違って、今のレリアは十代後半の完全に成熟した躯。そのため、ペニスに加わる感触もまた違ったものになっている。レリアが重くなって、より奥までペニスがねじ込めるのだ。
両手でレリアの乳房を揉みしだいて、膣の中で肉棒を暴れさせる。ぐちゅぐちゅと蜜壺をかき回す音とレリアの喘ぎ声が卑猥な合唱となって石壁に反響していた。
「んあっ! ああ……っ、まったく、人の話くらい最後まで聞いてから動きなさいな。これだから堪え性のない淫乱はっ」
「レリアちゃんだって、ボクの精液と愛液で中がぐちゅぐちゅだよ? イきたくてイきたくて、我慢できないんだよね! ほら、君たちもぼーっとしてないで……お尻とかおっぱいとか、使ってあげて!」
ルクスリアがレリアの乳房から手を離すと、男のひとりが前に回り込んだ。ルクスリアをまたいで、男は肉棒を正面からレリアの胸へと押し当てる。
ぷにっ、と亀頭に伝わる感触にペニスが射精する間際のように脈打つ。乳房を乱暴に掴むと、そのままペニスを挟み込ませた。
レリアの口から溢れ出た精液で濡れた胸の谷間に極太の肉棒が潜り込む。すっかり大きくなった乳房は、しっかりと男性自身を銜え込んで離さない。
ペニスを包み込む極上のクッションのような乳房の圧力に、男は腰をがくがくと震わせながらレリアの胸を突き上げる。
「んっ、久しぶりのおっぱいなんだから、もっと丁寧に扱ってほしいわ……んあっ」
白濁塗れになって泡を立てながらじゅぽじゅぽと胸の間から顔を出す亀頭を眺めていると、レリアの菊座にもう一人の男のペニスが宛がわれた。
躯が小さかったときに別の男に射精させた精子が、まだ後ろの穴にも残っていた。レリアのアナルは簡単に男のペニスを受け入れる。
ずんっ、と一気に奥までペニスを突き入れられた。その衝撃にレリアは躯を仰け反らせて喉の奥から嬌声を洩らす。
「あっはぁ! 淫魔と男のおちんちんで一緒にされると……すごいわね……っ」
「それがボクにも伝わってくるよ……レリアちゃんの中もきゅんきゅんって締め付けてくる! ボクも気持ちよくて……またイっちゃうね!」
乳房と膣とアナル。同時に三つをかき回さす肉棒の速度はフィニッシュとばかりに動きを早める。
「イくよ、イくよ、レリアちゃん! 全部受け止めてね!」
「んんっ、ああ……あたしも……っ! あああんっ」
レリアの腰を両手で掴んで何度も突き上げていたルクスリアは、形の良いお尻に力をいれて思い切り肉棒を押し込んだ。
大量に出された白濁と愛液の混じり合った混合液で濡れた膣に締め付けられる感覚に酔いしれながら、また精液をレリアの中にぶちまける――。
「あは……出てる、沢山レリアちゃんの中にでてるよっ」
どく……どく、どく……っ! 放出される精液は今日一番の量で、子供を育てる子宮の中をあっという間に白濁とした子種だけで満たしてしまう。
「あ……ああん……っ」
同時に達したレリアの膣が甘くペニスを締め付ける。きゅっ、きゅっ、とまだイっている最中の肉棒を刺激して、それがさらにルクスリアの射精を助長した。
たっぷりと放出される媚薬のような精液に、レリアの美しい顔が艶美に蕩ける。その顔を目掛けて、レリアの胸でペニスを刺激した男も射精した。
胸が変形するほど力を込めて肉棒を圧迫すると、男のペニスから飛び出した精子がレリアの顔を真っ白に染め上げる。ドロドロの砂糖細工でデコレーションされていくレリアは、射精を続けるペニスに唇を押しつける。ぷにぷにと弾力のある唇で亀頭に吸い付き、夢中になって精液を呑み込む。
「んん……っ、んー! んふ……っ!」
獣のような激しさで首を振り、ペニスから一滴残らず精子を搾りだそうと自らの手で胸を圧迫する。
そして、レリアの臀部に腰を寄せながら、最後の男もまた限界を迎えていた。
アナルの中に流れ込んでくる、汚らしい男の精子。直腸に直接叩き込まれるどろりとした粘液の感触に、アナルはきゅっと勢いよく絞まった。
性器と、排泄器と、口。レリアはその三つへ同時に子種という白濁を注ぎ込まれていた。
「あはは……これで、ちゃんと先代の淫蕩も堕としちゃったんだ……。これで、誰もボクに文句なんて云わないんだね……」
射精をしながら、ルクスリアは頬を緩ませたまま自分の成した行為の結果に酔いしれる。
「あら、それはどうかしらね……」
「え?」
そういったのは、胸に挟んだペニスから顔を上げたレリアだった。
胸に精液を注いでいた男が直立不動になったまま動かなくなっていた。それをレリアが横に押すと、抵抗なく地面に倒れる。自我をなくした肉人形は精を搾り尽くされて息絶えていた。
もうひとつの何かが倒れるどさり、とした音。レリアの菊座に挿入したまま、最後の男も力尽きていた。
「射精、まだ止まらないみたいだけど?」
「あ、あれ……そんな、おかしいな……なんで、ずっと止まらな……あぁあうっ」
戸惑っているルクスリアのペニスを膣が締め付ける。
「止まらないわよねえ。だって、そうしているんだもの」
「ふぇ……?」
「だってあなた、淫魔としての力はあたしよりも凄いのだけれど。技巧もなにもないじゃない。大方、周りの淫魔たちもこのおちんちんだけで喘がせてただけなんでしょう?」
「そうだけどっ」
「格下ならそれで瞬殺できたでしょうけどね。自分と同等の相手にこんな敏感でかわいらしいもの挿入しちゃったら……それこそ淫魔と人間くらい差が出るに決まってるじゃないの」
レリアが唇についた精液を舌で舐めとる。高位淫魔であるルクスリアですらぞくりとするほどに艶然な仕草だった。
「光栄に思ってね……これが、人間と同じ立場で感じられる、淫魔の妙技よ」
ぐにぐにとレリアの膣が動き出す。襞が上下に、左右に、あるいは捩るように、包み込むように、ぐにぐに、ぐりぐり、ぐにぐに、ぐりぐり……。
「や、や、やめ……っ! だめぇ……しゃ、射精がとまらないよぉ……!」
「止めて欲しいの?」
レリアが首を傾げて、腰を持ち上げる。膣から開放されていくペニスに、ルクスリアは胸を上下させて荒く呼吸を繰り返した。
「ひあ、あ……や、やめ……」
「うふふ、だーめっ」
体重を乗せてレリアは一気に腰を落とした。
ずぷんっ! とルクスリアの肉棒が襞に擦られながら呑み込まれる。とまらない射精で神経がむき出しになったも同然なペニスに与えられる刺激は淫魔をも狂わせた。
「や、あ、あああああああああっ! 頭っ、ボクの頭っ、飛んじゃうよぉおおおお!!」
どくんっ! どくんっ! どくんっ!
びゅくっ! びゅるるっ、びゅるっ!
どぷっ、どぷどぷ……っ、どぷんっ!
「あ、あう、ああ……」
大きくなったレリアの膣内にも入りきらなくなった精液が結合部から流れ出す。床の敷物も吸収しきれないほどの白濁液が水をぶちまけたように床に広がっていった。
「あ、ああ……」
「ふふ……」
終わらない快楽で気絶したルクスリアの頬をレリアの指先が撫でる。それは自分の跡継ぎに向ける賞賛のような行為だった。
「あなたが油断してくれなければ、この姿でも負けていたでしょうね。力を封じた状態で仕掛けて、正解だったわ……」
んっ、と声を出して足に力を込めるとレリアは立ち上がって膣からペニスをぬく。そこで躯に力が入らなくなった。
床に尻餅をつく――そのときには、もう少女の姿に戻っていた。
本来の姿に戻ってちょうど三分が経過していた。
「先生ったら……キスするついでに封印を緩めてくれるんなら、もっと長い間動けるようにしてくださいよね」
不満を零して、レリアは床に大の字になって寝転がる。もう起き上がることすら億劫だった。
レリアは自分に失望していた。
ひとりで他の全員も相手をする。そう啖呵を切ったくせにルクスリアひとりを倒したくらいでこうも疲れて果てている自分自身が、どうしようもなく情けなくなかった。
――あたしが無理をすれば、ギヨたんは何もしなくて済んで、寿命は少しでも延びるかもしれない。
魔が差したと表現のできる思考だった。
レリアも自分らしくない考え方だと自覚していた。
しかも、アンナマリアはいうなれば自分の獲物を奪おうとする敵である。それこそ、この高位淫魔たちよりもレリアにとっては脅威度の高い敵である。
なのに、どうしてだろう。
友情? 同情? 愛情?
考える。
……どれも、違う気がした。
友情と云えるほど綺麗なものはふたりの間にはなかったし、同情に至ってはそんな感情を抱く理由がない。アンナマリアは自分の意志で決断した。その道を哀れむのは、なによりも彼女を冒涜することだとレリアは思っていた。愛情は論外で、それに類した感情は一切持っていない。躯を重ねたことはあっても、あれは淫魔にしてみればじゃれているようなもので、スキンシップの一環なのだ。
では、他になにがあるか。
レリアは目を閉じる。
自分を駆り立てた感情がなんであるのか、やはり名前をつけることはできなかった。もやもやと、ぐるぐると、胸の裡で巡る霞みのような気持ちの揺らぎは掴もうとしても指の間をすり抜けていってしまった。
掴もうとしても、逃がしてしまう。それが大切なものであるはずなのに、自分では理解できない。
胸に喪失感が浮かぶ。判るはずの感情、掴めなければおかしいはずの感情を取り逃してしまったが故の悲しみ。
ふと、抱いた感情がアンナマリアに向けている感情と同じであることに気付いた。
ああ、そうだ、とレリアは笑う。ようやくちぐはぐだったパズルのピースが揃った。
――あたしは、寂しかったんだ。
たとえ、出会ってから数日としか経っていなくても。アンナマリアがいなくなってしまうことが寂しいのだ。
安心したら、レリアにどっと疲れによる眠気が押し寄せた。
少し、眠ろう――睡魔に身を委ねる。
意識が闇に落ちる寸前になって、レリアは自分とアンナマリアの関係を表す言葉を思いついた。
そう、ふたりは――くだらないことでも争うような。
そんな、悪友だ。
first battle.
レリア・キッス VS. ルクスリア
Winner レリア・キッス
To be continued Second battle...
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