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光の宗教と闇の宗教 2

「選手っ、位置へ!」

 光の宗教と闇の宗教の戦いの場所は「星の殿」だ。
 昼だというのに薄暗い板張りの道場で、四本の大黒柱に囲われたスペースに薄いグリーンのウレタンマットが敷かれて簡易性のコートができてる。

 コートを挟んで両側にずらっと修行衣の男女が相対して正座しており、マットのすぐそばには3人ずつの少年少女が薄い浴衣で正座していた。彼らが選手で光翼会は男と女が1:2、黒踏宗はその逆だ。

「見てみぃや、光のガキんちょ。やせっぽっちょとチビばっかりやんけ。ちゃんと飯食わせとんのかいアイツら」
「顔もまるでお坊ちゃんや。弱っそー。毎朝トーストとか食ってそうな顔やろが」

「黒踏の選手はデカイのばっかりですわね。お姉様」
「えぇ、まるで知性が感じられない。とっくみあいのケンカか何かと勘違いしてるんじゃないかしら」

 ひそひそと寸評をかわしあっているのは後ろの大人達だ。だが試合が始まれば場は静かになる。スポンサーの目が光っているので。
 両団体は、分裂する前の根源は同じ。仙術と西洋神教のミックスによる特殊宗教団体である。そして金持ちが彼らに期待するのは仙術の奥義『抗老化の法』そしてその先にある『不老不死の法』の主に2つ。
 より修行や研究の優れている方にこそ、多くの援助を与えたいというわけだ。ゆえにその成果が計測されるこの試合、幹部から子供達までかける意気込みは半可ではない。


「一っ回戦! 黒踏宗、煉藤(れんどう)餓鬼丸選手!」
「へい!」
「いったれぇガキ丸〜!」
「たたんだれぇ、敵びびっとるでー!」
「うぉっほん!! えー……光翼会、卯白(うしろ)さゆり選手!」
「……はぃ……」
「ほら、大丈夫。ファイトだよ」
 泣きそうな彼女の背中をぽんぽんと優しく叩いたのは光の3人目の選手、網島みち子である。

「始めぃ!」
 審判のかけ声と同時に餓鬼丸が跳ねた。
「おらぁ、捕めぇた!」
「ひゃっ」
「女なんて簡単じゃぁ。押さえつけて突っ込むだけじゃからのぉ」
「いやっ、やめてっ」
 餓鬼丸が荒々しくさゆりのもすそを広げると雪ウサギのような肌があらわになった。イヤイヤをするさゆりの両手を強引に左右にかき開き、閉じかけた両足の間に膝を挟んで押し広げていく。

「嫌がってるんも今のうちじゃ、ひぃひぃ言ってお前んほうから腰ふるわ!」
「やっ、やだよぅっ……」
 ぺっぺと唾を吐くと股ぐらの方へと塗り込んでいく。大熊に捕食される子兎、誰の目からもそう見えた。そして今、雄々しくたくましい一本の牙が兎の柔肉へと突き立てられる。
「おら、暴れても痛いだけやで。力抜けや」
「んーっ、やーっ……」
「ん〜……きっつ! わいのデカチン全部入るんかこれ」


「……気をつけろガキ丸!」
 一喝したのは黒踏宗の3人目、つまり大将の陣都雄大である。この勝負は互いの後ろに控えた長老が右手を挙げて「ギブアップ」の意を表した時点で勝負が決まる。陣都は相手方の長老格の老婆に手を挙げる気配がない、それどころか全てが想定内であるかのような余裕のある顔つきなのを見てとって思わず声をあげたのだ。

「だいじょぶや雄大、こいつ雑魚さけ、あと3秒もかから……たっ! たたたたた!」
「ふっ、ふっ、……」
 異変はよく解らないうちに起きていた。
 びくんっ、と巨体が一跳ねしたかと思うと抽送の動きが中断される。口元をもごもごと動かしていた。
「審判、反則や反則! 針入っとる!」
「は、針じゃないよ……! 私、電気が出るだけなんです……」
 かぷっと肩口に口づけをする。
「しびびびびび!」

 すっかり動きを奪われた男の下敷きから脱出したさゆりは、中腰になって餓鬼丸を見下ろした。ぴくぴくと痙攣した姿は電極をさされた実験のカエルを連想させる。
 二本指でそっと餓鬼丸のヒジのあたりを持ち上げようとすると、ティッシュをつまみ上げる要領ではたしてそれは軽々と持ち上がった。細くて小さな指先で両方の腕を彼の背中で交差させると浴衣の帯でしゅっしゅと蝶々結びの手錠で縛る。

「うーん……しょっ、と」
 餓鬼丸の体を半回転させ仰向けにさせると、
「貴方がさっきまで私にしてくれた事……全部貴方にもしてあげますね?」
 いたいけな少女による逆調教の始まりだった。


 距離を置こうとして尻餅のまま後ずさる餓鬼丸の足首を少女が掴む。
「『ほら捕まえた』……でしたっけ?」
「くぅっ……」
 さらに逸物を太ももに挟んで隠そうとするのを膝で断ち割って横に広げる。しびれが残る彼の膂力は女の力にさえ抗えず女から「力ずく」で服従させられる。
「えーと、……『男なんて簡単です。押さえつけて可愛がってあげれば良いんですから』……かな。あはっ」
 足首を脇にかかえると、白いつま先が股間をノックした。ヒンヤリとした感触が心地よい。
 ぺたぺたと泥だんごをこねるような動きで彼の分身が育てあげられてゆく。股間を小刻みに甘踏みをして、ときおり上下にすりつけるような摩擦がくわわる。そして貧乏揺すりのような振動を与えてやると男の口から短いあえぎが漏れた。足を横にスライドさせると、ぷんっとペニスが宙へと跳ね上がり、その裏スジを親指と人差し指の間に捕まえ挟んでごしごしごしとスライドさせる。もう片方の足が陰嚢へと伸び、足の甲に乗せてころころしたり、あるいは横から押し揉んでみたり縦横無尽にもてあそばれる。その間にも竿をしごく動きに横ひねりが混ざったり、時には亀頭を指の腹で叩かれたりして刺激に飽きが与えられない。
 白ユリのように可憐で儚く丸みを帯びた少女の顔からは想像もつかぬような、容赦なく残忍で、絡みつくような足コキだった。
「あ、あかん……」
 さゆりのつま先が加速する。ラストスパートのつもりだ。陰嚢は左足でぐにぐにと揉みしだかれている。上へ上へと精液を押し上げようとするかのような嫌らしい揉み方だ。竿の裏スジをこすり上げる右足の動きはコースこそ単調だがスピードが速い。
「あっ、あっ、あっ」
「観念して、イッちゃって下さい……!」
 ふいに左足の中指から小指の爪が餓鬼丸の太ももの付け根に突き立てられて、それが射精のスイッチとなった。
「ぅあぁあぁぁぁぁぁぁぁ!」
 びゅるーっ、びゅるびゅるぴゅるぴゅる、びゅるるっ、びゅるるっ
 竿がしごかれ続けるかたわら、突き立てられてぐりぐりされる足の爪から甘い痛痒感が差し込んできて我慢がすべて無力化させられた。奔流が止まらずいつまでもいつまでも白い噴水を吹き上がる。


 二人はぜぇぜぇと荒息をついた。
「え……?」
 声を挙げたのはさゆりである。黒の衣の長老がいまだに右手を上げていない。


 絶頂は「タオ」の放出だ。タオの抜けは仙気の抜けであり、術もつかえず身体能力もガタ落ちになる。特にこの餓鬼丸のように全開で抜かれてしまった場合はパワーはほとんど全部そぎ落とされてしまったハズだ。瞑想や薬香でタオを回復するまで選手としては使い物にならないだろう。
「大老……どうしてっ?」小声で抗議したのは隣に座る黒衣の幹部格だ。
「なぁに。餓鬼丸の目が死んでおらんのでな」ふぉっふぉと静かに笑い、老人はいたずらっぽい瞳を試合場に投げた。


 マットの上ではさゆりが幹部の列を注視しながら餓鬼丸のしぼんだペニスと自身の足を懐紙で拭き取っていた。
「終わりじゃ、ないんですね……」
 餓鬼丸がとがった目つきでさゆりを見上げる。肩を何度か動かすが後ろ手に組まれた紐の手錠はどうやっても外れないらしい。
 トロンとした目で彼女は男の股ぐらに入り込んできた。男の尻餅は相変わらずだが、今度は太もものあたりを両脇に抱え込み、体も前屈みの体勢である。
「仕方ないですけど、貴方が壊れるまでおちんちんをいじめてあげちゃいます」
「……」
 キス寸前の距離にさゆりの顔が近づいた。彼女の短く切りそろえた髪から香るユズの香りと少女の肌のミルク臭が餓鬼丸の理性を打撃した。さゆりが口をぱくぱくさせると、中に黄緑色の小さな光球が2つ、動き回って回転しているのが目に映る。そうしてそっとささやいてきた。
「見えますか? これ。私、体の中に軽いプラズマを起こせるんです。今から貴方のおちんちん食べちゃいますけど、口の中でこの小っちゃい球がおちんちんとぶつかったり離れたりして、そのたびにチリチリッてするんです……」
「……」
「気持ち良いですよぉ〜。ちょっとかき混ぜただけでどんな男の子もすぐ出しちゃいますからね。貴方のそれ、空っぽになって血が出ちゃうまで、う〜んとシェイクしてあげますね。……ううん、血が出ちゃっても止めてあげません。降参しなかったらどういう事になるか、ちゃーんと偉い人達に教えてあげなくっちゃ」

 少女の口が屹立に近づく。短い髪を耳の後ろにかき上げ、あーんと口を開けて餓鬼丸のそれを含もうとした……が、
「え?」
 突如餓鬼丸の両脚が持ち上がった。女と男の体の間へ引き戻されると上からムチ打ちのようにしなって女の両肩に降り落ち、そのまま太ももが彼女の頭を締め上げる。二人はもつれて床に横倒しになったが頭部のロックは外れない。
「いったた……男の子っていっつもこうですね。ぶったり蹴ったり乱暴ばかり」
「…うっさい、わしは死んでも勝つんじゃ……」
(まずは体力を回復せんことにはどうもならん)
「でも……」
 さゆりが舌を伸ばすと彼の陰嚢にタッチした。
「あぅ!」
 痺れるような感触が走った。ベロの先がそっととタマ袋をつつくと快感に足の力がゆるんでしまう。その隙にさゆりの頭が少し前方へと滑り込む。口とペニスの距離がわずかに縮んだ。
「うぅ〜っ、くぅーっ!」
 ギリギリと歯を食いしばり懸命に耐えるが力を抜けば抜くほど少女のベロが陰嚢に近づき、よりダイレクトな責めを急所に受けてしまう。ずりっずりっと髪が太ももをくすぐりながらも女の頭は進軍をし、もうすぐ片方のタマがまるごと口の中に含まれてしまいそうだった。
 ペロペロと大きく舐め上げられる陰嚢からはザラザラした舌の刺激が送り込まれて、尻の穴から広がるようなゾワゾワ感が広がってくる。舌の上で手玉に取られるように優しく転がされていると、自分の魂ごとこの小柄な少女の舌の上で思いのままに操縦されてる気分になった。浴衣をすっかり脱がされて裸なのもマズかった。人間は裸にされると見栄や矜恃まで取り払われて、心を相手に支配されやすくなってしまう。
 あれほど尖っていた餓鬼丸の目元が次第に丸みを帯びてゆく。
「ぺろ、ぺろ、ちゅぱっ、しゃぶっ…………ぷはぁっ。不思議ですよね。男の人って力も強くて動きも速くてそのままなら絶対に女より強いのに、おちんちんと快感のせいでこんな小さな女の子に支配されて、負けちゃうんですから……あむっ」
 ついに舌の先が幹の根元をつるりと撫でる。
「あがっっ!」
 足の力が完全に緩んで解けた。また太ももを女の両脇でがっちりとホールドされる。あとはこのままフェラでがっつり絞られるだけだ。
「このまま負かせてあげますね」
 ぱくっと開いた口が餓鬼丸の勃起を含もうとするが、彼の瞳はわずかに潤んでいて、それをいくらか期待するような気配が見え始めていた。主導権を明け渡してしまった人間の目だ。

「……うーん、そろそろかの」
 黒踏会側の長老が袖を解いて片手を上げる準備を見せかけた時――



『根性見せろ!餓鬼丸!!』


 真冬の山に響き渡る猟銃の銃声のごとく。陣都雄大の一喝が場を支配した。彼はコートの脇で腕を組み大人しく正座しているが、視線は静かな闘志に満ちている。
 審判の男が顔をしかめる。いくらチームの大将といっても性技の試合中に大声を出す行為は褒められない。いや、ムードを壊すという点において反則ですらある。黒踏宗の陣営には、長老へ警告が告げられるだろう。


 さて出来事は一瞬だったが、餓鬼丸の目に燃えさかるような光が戻った。

「うぐぉぉぉおおおぉぉぉぉ!」
 吠え猛(たけ)て身体を後転させる事一閃、縛られた両腕をめいいっぱい突っぱね上げたまま床に押しつぶされる格好で転がったため、ゴギュッという嫌な音と共に肩が逆関節で「一回転」した。
 あまりの光景にさゆりは怯えた。
「おら、待たせたのぉチビ子。ここからがワシの本番じゃ……!」
 体の前側にきた両手をヒジから曲げて、帯紐のいましめを番犬のようにギザギザした歯で食いちぎる。
「今度こそ突っ込んでかき回してぐちゃぐちゃにしちゃるさけぇ……お、おろっ」
 だが転倒した。後ろに投げ出された両脚がガクガクと小さく痙攣している。


「さゆりちゃんの足責めで、すっかり腰が抜けちゃってたのね」
 ため息混じりにつぶやいたのは光翼会側の幹部の一人。巨乳の妙子だ。

 額を押さえて、黒踏宗側が右手を上げた。
 審判からのストップが入る。チャンスとみて飛びかかってきたさゆりに、股間を食べられてしまう寸前だった。


『ただいまの勝負っ、光翼会!』

 自陣に戻った泣き顔寸前のさゆりの髪を、大将のみち子がわしゃわしゃっと撫でた。
「おー、よしよし。頑張ったね。怖かったね。もう後は大丈夫だよ」
 みち子の胸の中でふぇーんと泣いた。

 黒踏宗のベンチの方からは
『なんで止めたんじゃアホー』だの『足が駄目でもあんなの余裕で勝てたんじゃ』といった怒号らしき残響が、山びこのようにこだましてくる。きっと治療のために運び出されたとこなのだろう。


 インターバルの後に中堅戦だ。

 光の宗教と闇の宗教。人に「合成」させるべき上位精神体の種類において仲違いした二つの宗派。
 決着はまだ解らない。
 よく解んにゃい。

 アイデアと構図だけ渡して、文章が上手い人に書いてもらえるのが理想なのデ、
万が一「あぁこの表現(orアイデア)の部分だけ、ちょっと転用して自分の作品に使いたいな」
っていう『インシュパイァァ』みたいのがあったらガンガンやっちゃってくれると本望です(-ω

 ほんと実際にやってみると、すとーりー書くのって死ぬほどムズかっすぃーです…… o⌒TL

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