「ねえ、ホントにやるの?」
奈津美が消え入りそうな声で問う
「大丈夫だよ奈津美」
このやり取りも何度目になるやらと思いつつ、辛抱強く説得しつつ目的の場所に向かう
付き合いだしてそろそろ半年になるこのカップル
智明は小さな工場勤務、奈津美は親からの仕送りとアルバイトでの収入を元にデザイナーの学校に通う生活
そんな二人が同棲を始め、やがては結婚・・・となるのは必然だったのだが、好事魔多し
智明の勤務先が突如倒産。夜逃同然だった為、給料は払われること無く。それが3ヶ月前
同棲を始めた矢先。マンションの敷金等を払って貯金は残り少なく、かつ智明が慌てて始めたバイト程度では焼け石に水
奈津美は一時学校を休学して生活の為にバイトを増やして何とかやりくりする始末
それでも都会は色々金がかかる
そうこうしている内に貯金も底を尽き、それぞれの知人友人に頼み込んで借財をしなければならなくなった
このままでは金融業者に金を借りるという最悪の選択肢を選ぶ事になる
・・・そんな折、バイトから帰宅してインターネットで今より割のいい仕事を探していた智明は、妙な求人を見つけたのである
『【付き合いだして間もないカップル求む】
条件:付き合いだして半年以内の〇〇歳までのカップル
期間:12時間程度
報酬:〇十万円(但し、当社の出す条件をクリアした場合のみ。失敗した場合は寸志のみ。後、双方に罰則を科せられます)
連絡:п磨磨磨|****−**** mail:****@YAHOO.CO.JP』
怪しい事この上ない内容だが、半日で〇十万稼げるというのは切羽詰った今の状況では非常に魅力的に映るのは道理だった
奈津美を説き伏せ、お互い休みを合わせて取り、電話とメールにてその求人の仕事先へと向かいだした。そして冒頭部の会話の繰り返しである
会社が倒産したと奈津美の実家にバレれば、結婚どころか別れさせられる可能性だってある
もう選択肢なんてないのだ・・・
駅から徒歩30分。節約しなければならないのでタクシーもバスも使えない
流石に疲れたが、目的のビルの前に辿り着いた
二人、息を整えて指定の3階へ
戸を叩くと
「どうぞ」
という気さくな感じの返答が返ってきた
室内には一人。年の頃は30。丸型のサングラスをかけた細身でスキンヘッドの男が座っており、二人の姿を認めると立ち上がって諸手を揚げて歓迎の意を示した
「ああ、お電話くださった北川さまですね。お約束の時間より随分早いので社の者かと思い失礼しました。私、社長の飛騨克己と申します。ささ、まずはおかけください」
促されるまま、ソファーに座る二人
運ばれてきたコーヒーを口に運びつつ、一息
ここ暫くお互いバイト三昧でこういった時間はなかったのだ
一息ついた所で、仕事内容の説明が始まった
・
・
・
「・・・すいません、もう一度言っていただけますか?」
説明が終わった後、暫く惚けた様になった奈津美は、何とか自分を取り戻し飛騨に再度説明を求める
「ですから、男性の方に目隠しをしていただき、その男性器を数名の女性に順番に口で刺激していただいた後、その数名の中から彼女を当てていただきます」
「・・・・・」
「・・・・・」
やはり聞き間違いではないらしい
智明は唖然とし、奈津美は耳まで真っ赤にしている
「そ、それに何の意味が?」
智明の質問に飛騨はニカッと爽やかな笑みを浮かべて答える
「いえね、離婚に浮気の多い昨今、本当にお互いを分かり合って信じてるカップルがいるのかを見てみたくなりましてね。まあ、成金の道楽と思っていただいて結構」
・・やはり金を持っている人間と言うのはどこか違うらしい
あとは・・
「あ、あのさ、奈津美・・・」
自分はともかく、恥ずかしがり屋の奈津美にはキツいかもしれない
しかしどう言ったらいいものやら・・・と思っていただのが
「トモくん!が、頑張ろうきゅ!?」
今舌噛んだよこの娘・・って頑張ろう?
「奈津美、今なんて?」
「ら、らから、がんまろうれっれ・・」
涙目で言う奈津美。ちなみに今彼女は「だ、だから、頑張ろうねって」と言った
「でも、本当に良いのか」
選択肢はないが、好きな子に本当に嫌な事をさせるのはやはり気が引ける
「うん。だって、トモくんだもん。私を間違えるなんてないだろうし・・///」
・・・極まった!俺は今感極まった!
「あの〜、すいません。仲が良いのは結構ですが、外野を無視して抱き合うのは勘弁願えますか・・」
心底困ったという顔で飛騨が呟き、それを聞いてワタワタと慌てて離れるバカップル
「では、引き受けてくださるということでよろしいでしょうか」
「「ハイッ!」」
見事にハモった
ともあれ、契約書の内容を確認してサイン
あとはこの訳の分からないゲームをさっさとクリアして、まとまった金をゲットして帰還だ!
二人は気合に満ちていた
「あの〜・・・」
「何か?」
「目隠しだけでは?」
智明は事務用の椅子(肘置き無しver)に足を広げさせられた状態で目隠し&拘束されていた
「ああ、手で触れたりされるとそれで判別される事もありますので」
「・・・・・」
まあ道理である
とりあえず動く事も出来ない事だし、頭の中でルールを再確認する事に
1・女性は彼女を含めて5人
2・順番はクジで決定
3・女性は男性器以外に極力触れないようにする事。喋るのも禁止
彼女を当てられなかった場合は、男女共に罰ゲーム
結局罰ゲームの内容は不明だった(内容を告知する場合報酬は半額となると言われた・・)
まあいい。当てるのは難しくないはずだ
そして、ゲーム開始の合図
一人目の女性が部屋に入ってきたようだ
ゆっくりとした足音が自分の前で止まり、跪いたのが気配で分かる
逡巡の後、ペニスがそっと握られ、暫く優しく撫でられた後、舌がゆっくりと這っていく感触が伝わってきた・・・
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