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宮殿(レベル3)



「なんだあれは……男しかいないのか」


宮殿の中、ノアは門から入ってきた戦士達を見て苦々しげに言った。

「あら、私はうれしいけどねぇ」



ストラが隣でほほ笑むと、ノアが去っていく。


「どこへいくの?」

「人間の収容所の方だ」

「ここに居れば絶対に消されないよ?」

淫魔は淫らな夢を見せる。

つまり女の夢には男が、男の夢には女の淫魔が出る。

戦いも同様。
つまり女の戦士がいなければノアはそもそも認知され得ないのだ。


無論例外もあるが、今回はない。

「そんなもの、面白くもなんともない」

「そう。いってらっしゃぁい……」
ノアはゆっくりと溶けるように宮殿から消えた。




2


指輪を持った百人が厳選され、門の前に立っていた。
「指輪がないと、この淫魔達の結界を突破することはできない。よろしく頼む」

総隊長がそう言って、俺達を送りだす。

「いいか、確認する。今回は五人一組。目的は淫魔との戦いに終止符を打つこと、だ」



門をくぐりながら、隊長が言う。

「つまり、見つけた淫魔は一匹残らずせん滅することを目的としている。編成は先ほど言った通りだ。今回は逃げる事が許されない。
指輪の数にも限りがある。勝つか、負けるか。その二択だ」


勝つか……負けるか……シンプルじゃないか。あの時のように、勝負が先延ばしされたりはしない。


「わかりやすくていいじゃねぇか。なぁムラ」
「カイ……能天気だな」

カイとナカムラが戦いの前とは思えない調子でしゃべっているが、カイがナカムラの事を「ムラ」と呼ぶのは戦いの時だけだ。

あのキャスルの戦いでの生き残りは、カイとナカムラが同じ組、俺とコウが同じ組となり、それぞれ三人の戦士が着いた編成となっていた。





俺、コウ、ヨシダ、ジェイ、ウラという編成だ。

ジェイ、ヨシダ、ウラはそれぞれ別の国の戦士。ベースキャンプで意気投合していた所を見たことがある。
「皆、よろしくな」
「ああ」
「決めようぜ」
コウが言うと、皆明るい返事を返してくれた。



宮殿をぐるりと囲む塀と門をくぐると、庭が広がっていた。荒れ果てていると思っていたが、存外きれいに整えられている。


「なんだこれは……」
「迷宮か?」

だが、そのせいで人の背丈以上に伸び、刈りそろえられた植物によって仕切られた通路が、人間が使っていた当時そのままで残っていた。直線距離にすれば大した大きさの庭ではない。
なのに、この迷路の所為で、玄関までが遠く感じられる。

「偏屈な趣味の持ち主だったんだな」

「大迷惑だ」
そして真ん中には、時計塔。

コウとカイが口ぐちに言う。

まったくのデタラメな時間をさしていて、襲われた当時のままであるという事がうかがえる。


緊張感が高まってくる。


「仕方ない。まずはひと固まりで宮殿内部まで行くぞ……ついて来い」

隊長が先頭になり、ゆっくりと迷路へと入り込んでいく。


右へ、左へ、

ちょうど百人全員が迷路の中に入った頃だろうか。


不意に、迷宮が形を変え始めた。

「なんだこれは!?」
「一体?!」
道を作っていた植物の壁が動き、壁だった所に道が、道だった所が壁が。
あっという間に寸断されてしまう百人。
「くそっ! なるべく固まれ!!」

どこからか隊長の声がする。

カイとナカムラとも寸断されてしまった!


「落ち着くぞ!」
コウが叫ぶ。


俺の班は二人、ウラとジェイとはぐれてしまった。クソ!

突然の事態に混乱を隠せない戦士達。その時、
「何、軽い遊びだよ」
声がした。
「なんだ!」


声のした方、中央の時計塔、
青い髪をした淫魔がその先端に腰かけていた。


「いらっしゃい、人間の戦士のみなさん」


若々しい淫魔。ちょうど成人を迎えたという程度の年齢か、
瑞々しい肌と締まった肉体。

成熟した肉体と幼い心を兼ね合わせたような雰囲気を醸していた。
「最後の戦いにふさわしい……良い精を持った人たちだね」


「何だ貴様は! なめるな!」
隊長の声が響く。

「私はアイネ。フフッ。舐めてなんかいないよ」

おそらく隊長が居るであろう方向を見、笑いかける淫魔。 「この館の元の持ち主の人は変わった趣味の人だったんだ。せっかくだから、これで愉しく遊ぼうよ」

「何をっ……!」

「まずはゴールまで行かないと、淫魔を滅するなんて夢のまた夢だよ?」
そういうと後ろにある宮殿の扉を示す。
「宮殿にはもう少数精鋭、本当に淫らでしょうがない私達の仲間がそろってる」


つまり……あの向こうに敵のボスが……それにタチバナが!


「この庭で大人数の皆から一遍にザーメンもらうのもいいけど、ここまで私達を追い詰めた皆に敬意を表して、
それに最高のザーメンを持つ人の顔を見ながらじっくり搾りたいし……」
指を鳴らす。


「まずはここで、バトルロイヤル、かな? 思いっきり愉しんで?」
そう言って笑った。



再び迷路が変形を始める。
「なっ……!」

「いらっしゃい……」

「素晴らしい人達ね……」
開いた道の先、隠されていたくぼみから、淫魔が続々と出て来る。
各所で淫魔の淫らな声が響いてくる。


「私も……」

アイネと名乗った淫魔も時計台から降り、迷路の中に消えて行く。隊長の声がした方だ。

「くっ!! とにかくドアの方まで行くぞ!!」
「わかった!」
「了解!」


コウの号令で走る。
迷路からの脱出が始まった。

淫魔の声がしない方へと走り、近づき、引き返し、迂回し、回る。


「あひっ、アヒィ!! デルゥっ!!!」
「カルロ!! ウッ!!? 」
「あぁん、よそ見しちゃだめよ」
「セキタ君のサンドイッチかんせぇ……いつまで持つかな?」

「クウゥゥゥ?!」
仲間の声が響く。


「ああぁん!! イクウゥゥゥゥ!!」
「よし! 行くぞ!」

仲間の絶頂の声、淫魔の断末魔、肉と肉がぶつかり合う音、ねちょねちょとした水音、

すぐ壁の向こうで仲間が戦い、倒し、イカされている。

あっという間に庭は饗宴の間と化した。
声に反応して、ペニスが固くなっていくのを感じる。

俺達三人は戦闘を避けに避け、進んでいた。
「無駄な戦闘は避けたいが……っ!!」
少しずつ近づいてくるドア。
クソッ!!
「行きどまりだ!! もう一回さっきの所へ、!」
叫び、引き返す。
が、
「あら、逃がさないわ」
「えぇ。良い精液の香りがするわ」
「どの方がいいかしらね……」


三匹の淫魔に道をふさがれてしまった!
対面する六人。
「やるしかない……!」

「行くぞ!」

宮殿での最初の戦闘……

三対三、つまり目の前の一匹を倒せばいい話だ。


「じゃあ私の相手は君ね……私はミヤ、よろしくね」
「……」

「あら、つれないのね」
目の前にいる黒髪の淫魔が身体を見せつけるようにくねらせながら歩み寄ってくる。


隣ではコウが早くも淫魔と抱き合い、ヨシダが淫魔の乳房を揉みあげていた。
決して背も高くなく、乳房が大きいわけでもないが、滑らかな肌と淫媚な雰囲気が、隣の淫魔達と相まって高まってくる



「はむっ……」
正面から抱き合う。
むちむちとした淫魔の肌の感触が全身に広がり、勃起したペニスが淫魔の腹に当たって滑る。

舌を絡ませ、すすり合う。
しびれるような快感が口から広がる。
「あぁん……いいわぁ」
ミヤという淫魔は嬉々としてオレの舌を舐めて来る。
クッ……
首筋を愛撫し、尻を揉みまわす。

手から伝わってくるのは、艶めかしい肌の感触。

ミヤの手が二人の間に挟まっているペニスの亀頭を着く。
「うッ……」
もう片方の手は、陰のうをさする
じんわりと広がる快感。
強い……!

城での戦いの時より、数段強い実力者である事がわかる。

「ぷはっ……さぁ君? ちょっとペニスがやばいんじゃない? すごい事になってるわよ」
「うるさい……」
ミヤが肉体を揺らすごとに、腹にぶつかっているペニスからカウパーが垂れて行くのがわかる。


目の前には挑発的な視線を飛ばすミヤ。

昔の俺だったならとっくに射精していてもおかしくはない。

けれど!

乳房をやさしく揉み、乳首をつまむ。
「あんっ!」
上を向き、喘いだミヤの唇をふさぐ。
「あっ……」

ミヤの手が守りのために上に上がってくるタイミングを見計らい、尻を愛撫していた手を素早く秘所にあてがう


「キャッ?!」


「どうした? お前の方がやばいんじゃないのか?」

「何を言っ……あっ」

挑発に応じてきた唇を再びふさぐ。
ミヤの熱い吐息を口に感じる。



あの戦いから後、決して遊んでいたわけではなかった。

タチバナすら堕としたストラに勝つために、鍛練を欠かしたことはなかった。


テクニック、言葉責め、体力、精神力、決断力を鍛え上げてきた。


「お前如きでつまづくわけにはいかないんだよっ……!」
思い切り乳房を揉みあげ、秘所に指を突き入れ、かき回す


「だっ、誰が私如きですって……あっ! ヒギッ!?」 よがり方が尋常でなくなってきた。
これなら……

「ウウッ!!」 だが、それは隣からの喘ぎで中断してしまった。
「あら、ヨシダさん……どうしました?」

隣に視線をやると、ヨシダが背の高い淫魔に植物の壁に押し付けられ、乳首を弄られながらペニスを激しく扱かれていた。

ヨシダも秘所を責め、胸を揉んでいるが、明らかに不利なのはヨシダだ。

「こんなに張り詰めて……苦しそうです。今楽にしてあげますからね……」
「ヒィ!?」
ガチガチに張り詰めた亀頭が掌で撫でられている。

ヨシダの目から理性の輝きが弱くなり、射精をこらえているが、これは時間の問題なのかもしれない。



まずいっ……

1、助けなくては



「よ、ヨシダ……」
俺は考えずに手を伸ばす。すぐに体勢を立て直せば……


「ちょっと、舐めすぎじゃない?」

「クッ?!」 だが、それはあまりにも無謀だった。

胸を愛撫していた手を伸ばしていた。手は二対一。
たちまち秘所を責めていた手を振り払われる。

急いで伸ばしていた手を戻し、まずはミヤを捕まえなくては……
「アアッ!!」

だが、それより早くミヤが俺回り込んでいた。
「あらら。めったにないわよ? こんな格好」

ミヤの嬉々とした声。
ミヤは俺の背中に密着し、硬いペニスを扱きあげ袋を揉みあげてきた。
「クッ! ウウッ!」

「フフッ、私如きには負けないんでしょ? ならしっかり耐えてみなさい……」

ミヤは背中から耳元にそう囁くと、ペニスを扱くテンポをあげてきた。


振りほどこうとするが、叶わない。

あっという間に頭の中が射精をこらえることで精いっぱいになる。

「…………!!!」

遠くからコウの声が聞こえる。
だが、何を言っているのかわからない。


「ヨ、ヨシダ……耐えっ……アヒッ」

無我夢中で目の前のヨシダに声をかける。

だが耳を甘く噛まれ、舌でなめまわされる。
喘ぎ声が勝手に漏れて行く。

(キモチイイ……!!)


ヨシダはそんな俺を見ていた。ゆっくりと表情が緩み、涎が垂れて行く。


「さぁヨシダさん。精液いっぱいくださいな?」 その顔を見て、淫魔がくすぐるような声で誘う。 「ああっ!! アアアア!!」


目の前でヨシダが絶頂した。



ペニスから大量の精液が溢れ、ヨシダを責めていた白い肌の淫魔をけがしていく。

「あら一杯出るわ……さて、指輪はどこかしら……?」


ヨシダを守るべく、魔力を使っている指輪が現れ、光る。

「ふふ……頂戴な?」

「ウアッ……アアアア!!!!」


指から引き抜かれ、ヨシダの喘ぎ方が変わる。



「なーに見とれてるの? 自分のペニス、見てみたら?」

後ろから声がする。

「あなた、自分の戦いより、他の人が気になっちゃうなんて、やさしいねぇ」


自分のペニスを見ると、ガチガチに張り詰め、天を仰いでいた。

精液を搾りだすかのように動いているミヤの手。

「アアッ……」

声が……止まらない。

「でもそれは弱さ……さぁ、君もザーメン出しちゃおっか?」
淫魔のささやく声に、ペニスが反応する。 精液が根元まで昇ってくるのがわかる。
それを搾りだすように動く手。


俺のあげた咆哮と、精液が迸るのは同時だった。


「ちょっとすごいわね……中々こんなザーメン巡り合えないわよ」


嬉々とした声が後ろから響く。
その間も激しくペニスを扱きあげる手は止まらず、信じられない量の精液を搾りだされていた。


「指輪も……すごい魔力だわ。これは大物ね……」



引き抜かれた指輪。止まらない射精。


「さぁ、ドンドン出して?」
「ガアアァァァァ!!!!」



かすかな罪悪感と共に、俺は意識を失った。




2、信じる


いや、ここで助けに行って自分がつぶされたら元も子もない……!

「ヨシダがんばれ! すぐ助けるぞ!」

そう言って、目の前の淫魔に集中する。

「あら、いいのかしらっ?……アアッ!」


「かまわねぇっ……仲間は強い……!」

尻を撫でまわす、背中をやさしく愛撫する。 震えるミヤの身体。


「助けに行かなきゃイッちゃ……アンッ!!」


顔を固定して、ミヤの目を見つめる。

喘ぎ、うるんでいた。

「そんな喘ぎ声で言われてもお見通しだよ……お前の方がヨシダよりイキそうだってことくらいな」


秘所を責めるリズムをあげ、乳房を揉みあげ、唇をむさぼる。


「こんな……こんなァァァァ!!」



淫魔の身体が硬直し、ビクビクと震え……消えた。


「大丈夫か!?」

コウがこちらに来た。
ほぼ同時に勝ったらしい。

「ああ……ヨシダを助けるぞ」

二人でヨシダの元へと向かう。

「ふふ……さぁヨシダさん……はやく……」


ヨシダを責める淫魔はこちらに気づいていなかった。 「良く耐えたな」
「後はまかせとけ」
淫魔の背中越しに、ヨシダに声をかける。

「なっ! ミヤ! マヤ!」

淫魔の焦った声が響くが、応える淫魔はいない。


「助かるっ……」
ヨシダの顔に理性が戻り、淫魔の責めが止まった。

「……精鋭の百人というのは、本当らしいですね……」

「そうだ」


ヨシダを解放すると、こちらを向いた。
「なら……最高の快感をくださいますか?」

淫らな顔でほほ笑む。

「不本意だが、まかせとけ」


残りの一匹を絶頂させるのに、時間はかからなかった。




しばらくすると迷路が入れ替わり、
道が開き、ドアが見えた。


「行くぞ」
「ああ」



三人は、ゆっくりと屋敷へと入った。
ちょっと間が空いてしまいましたが更新です! コメントが多くてやる気がでます! ありがとうございますー 多分結構話全体が長くなる予感w やっぱり淫魔系とかに強く惹かれているのを書きながら実感します

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