「落ち着いた…のかなあ?お兄ちゃん、大丈夫?」
「おっぱいの外に出すわよ?ゆっくりと息を吐いてね?」
ふわあっ…
「はぁああ…」
あ、おっぱいが離れた…寂しいけど、耐えられない程じゃない…
あのままでいると何だかそのまま何も考えられなくなりそうだったし。
ん?うわ、股間がびしょびしょだ。さっき射精していた…のか?
覚えていない。何が何だか分からなかったし。つまりそれだけ僕は
危険な状態にあったと言う事か…見て分かる程だったらしいし。
ネピアさんは今までは想像出来なかった程おろおろしている。
表面上は冷静さを保とうと努力しているのが一目瞭然で、それが返って
不憫に見える。私がしっかりしないといけない、と顔に書いてあるんだ。
ラクタちゃんは何時泣き出してもおかしくない程瞳を潤ませている。
あの光り輝く様な笑顔はなくなり、代わりにあるのはボクのせいだ、
ボクがもっとちゃんとしていれば、と言う後悔に満ちた嘆き。
ずきりっ。
「くぅっ…」
「どうしたの坊や!まだ苦しいの?」
「お兄ちゃん、何か言って!」
二人をここまで心配させてしまった事で走った胸にヒビが入る様な痛み。
それは愛する人たちを自分のせいで苦しめてしまった事による痛み。
この痛みをこの二人も今感じているに違いない。
「…すぅ、はぁ…大丈夫だよ」
とりあえず彼女たちを安心させたいからニッコリと笑ってみよう。
「…全然大丈夫じゃないじゃないの」
「無理はしないでってばぁ!」
う、無理か。僕の表情も相当痛々しいんだろうか?どうしたら二人を
安心させられるんだろう。僕自身が回復しないと駄目なのかな。
ん?これって…
「ごめん。本当は、まだ苦しい」
「やっぱり!ねえ、何処が痛いの、どう気持ちよくしてあげればいいの?」
「ラクタ…」
ラクタちゃんは分かっていないみたいだ。それはそうだろう。彼女は
人間と淫魔ハンターについて他者から習った知識しか持っていない事は
この一ヶ月で分かっている。それに対してネピアさんは僕が抱えた問題の
原因が分かっており、だけど対処法が分からなくて苦悩しているみたいだ。
「違うんだよラクタちゃん。気持ち良くなれば良い訳じゃないんだ」
「えっ?」
「坊や…キミは結局淫魔ハンターを辞められなかったのね…?」
「はい。僕自身驚いたけど、まだハンター魂は残っていたみたいです」
「そう…」
ネピアさんにとっても予想外だったんだろう。あの運命の夜、
僕はネピアさんに同化の力があると言う母乳をたっぷり飲まされて犯された。
そして僕はネピアさんをとても親しくて愛しい大事な女性と思う様になった。
更に念入りに淫魔ハンターとしてのプライドや意志力を溶かされ、文字通り
骨抜きにされていた筈だったんだ。
更にラクタちゃんと一ヶ月の間、どんな新婚旅行も色あせて見えそうな程
濃厚過ぎる甘い生活を送っていたんだ。僕自身最近はもう自分が
淫魔ハンターだと言う事を意識していなかった。いや、早く楽になりたくて
忘れようとしていたのかも知れない。
だが現実として僕は王国が亡んだと聞き、地獄の苦しみを味わった。
これは僕が未練がましい愚か者なのか、それともまだ屑ではない証なのかは
分からない。確かなのは、僕にとって淫魔ハンターだった事は
過去形にはなれても無意味な物として忘却する事は出来ないと言う事。
「じゃあ…じゃあ、お兄ちゃん、ボク達の事が嫌いなの…?
ハンターだから、淫魔は嫌いなの…?ボク達とは一緒に居られないの…?」
ううっ、ラクタちゃんが涙を目にいっぱい浮かべている。今すぐ
抱きしめて安心させてあげたい。そして心行くまで逆レイプさせてあげたい。
だけど、それじゃ何の解決にもならないんだ。きっと。
「いいや、違うよ。僕はラクタちゃんもネピアさんも大好きだよ」
「じゃあ、なんで!」
「…つまり、魅了され尽くしているのとは無関係に、坊やが自己嫌悪に
苦しめられているのかしら?自分で自分が嫌いなのかしら?」
「そうですね…自己嫌悪とはちょっと違うかも知れませんが、自分の中で
折り合いがつかないんです。自分の中で大切な何かとの折り合いが」
「何それ。ボク分かんないよ…」
額に手を当てて悲しげに目を伏せるネピアさん。頭を抱えて黙り込む
ラクタちゃん。二人ともなんとかして僕の苦しみを無くそうと頭を
働かせているのが分かる。でもそれは彼女達に可能な事なんだろうか?
僕も改めて問題を整理してみよう。僕は今、酷い罪悪感に苦しんでいる。
それは故郷を裏切った淫魔ハンターとしての罪悪感だ。だが、これは最早
どうしようも無いんじゃないだろうか。あの王国はもう淫魔の国で、それは
何をしても覆せない。万が一ネピアさんとラクタちゃんが協力してくれても。
それにもう一つひっかかる事がある。こっちは上手く言葉に出来ないが、
もっと大切な何かな気がする。だけど自分でも良く分からない。
この気持ちはネピアさんとラクタちゃんが僕のせいで悲しみ悩んでいるのを
見る度に湧き上がってくるんだ。一体何だろう?
あ。ネピアさんが何か悲痛な決意を固めた表情になっている?
まるで決死の任務を言い渡された淫魔ハンターみたいな…
「ねえ坊や、楽になりたい?」
「え?…どういう事ですか?」
「お姉ちゃん…まさか、お兄ちゃんを吸い尽くすつもりなの!?」
「いいえ、違うわ。ただ、記憶を弄くるだけよ」
すっ。
うっ。ネピアさんが着ていたドレスの胸元を広げた…大きな大きな
乳房の輪郭が覗き、今にも乳輪が見えてきそうで喉がゴクリと鳴ってしまう。
「私の母乳を飲ませ続けながら暗示調教を施せば、坊やの記憶を私たちに
都合よく変える事が出来るわ。例えば坊やは私の弟でラクタの兄で、
昔からここで仲良く暮らしていたとか、そんな風に変えてしまえば
淫魔ハンターとして勤めを果たせなかった事に苦しむ事はなくなるわ」
「えっ…」
ネピアさんってそんな事まで出来たのか?確かにそんな事をしてしまえば
どんな反抗的な人間も自分から喜んで淫魔の餌となる生活を営むだろう。
そもそも人間だと言う意識すら無くなるのかも知れない。
でもそんな便利な能力があるのに、今まで使わなかったのは何故だ?
今も使うのを躊躇っているのは何故だ?リスクやデメリットが大きいのか、
それとも、ひょっとして…
「でもお姉ちゃん!それって危険だって…!」
「いいえ。さっきは確かに危険だったけれど、今は坊やが納得した上で
素直に暗示にかかってくれれば、ほぼ安全に記憶を書き換えられるわ。
ある程度の矛盾は残ってしまうから、しばらくは注意が必要だけれど
このまま坊やが罪悪感に壊されるよりはずっと安全だわ」
「そうなの?…でも、それって…」
「ええ…そうよ」
まさか…いや、そうとしか思えない。だったらカマをかけてみよう。
「どうしたんですか?何を戸惑っているんですか?僕の記憶なんて、
ネピアさんとラクタちゃんには邪魔なだけなんじゃないんですか?」
あ。酷く傷ついた顔だ。それもこう言われても仕方が無いな、と
納得しているからこそ痛い顔。しまった、言うんじゃなかった。
「…坊やには信じて貰えないかも知れないけれど、それは嫌なのよ。
坊やの記憶を作り変えてしまったら、それはもう坊やじゃないもの」
「そうだよ!そんなの言い出したら、男なら外見と記憶を作り変えれば
誰でも良いって事になっちゃうじゃない!ボクそんなのヤだよ!」
ああ、やっぱり。でもカマをかけた成果はあった。
彼女は自分らなりに僕を愛し、僕の意思を尊重しようとしている。
そもそも淫魔は本当に人を愛せるのだろうか?僕の学んだ知識では
淫魔は以前は人間をただの狩る獲物としてしか見ていなく、愛を語る様に
なったのは比較的最近の事らしい。これは人間をより効率的に誘惑する為に
淫魔が開発した騙しの技術だとする説と、淫魔の愛は性質が人間の愛とは
違うので同列に論じてはいけないとする説に分かれていた。
だが今ネピアさんとラクタちゃんは僕の安否を気遣い、自分たちの
欲求との妥協を求めながらなんとかしようとしてくれている。
さながら難しい選択を迫られている人間の恋人となんら変わりなく。
これでは人間同士の愛情とまるで見分けがつかない。
この二人に限れば、人間を愛する事は大いに可能だと結論が出せる。
じゃあ逆はどうなんだ?
人間は淫魔を愛せるのか?
「お兄ちゃん?どうしちゃったの?」
「もう苦しくないの?」
今この場で僕はこの二人を愛せるのか?誘惑されて好きになるんじゃなく、
僕自身の心が自分で決めた結果、二人を愛せるのか?
あれ。待てよ。
僕はこの二人に何かしてあげた事があったか?
僕の出した精は彼女達の役に立ったんだろうけど、それは彼女達が僕から
搾り取っただけだ。僕自身が喜んで彼女達に提供した事はあっただろうか?
無い。
そうか、これだったんだ。僕がさっき感じていた言い表しがたい感情は。
僕はまだこの二人に、大好きな女性二人に何もしていない。
僕は淫魔ハンターである前に男だ。男ならどんなに無力でも、
どんなに情けなくても、愛する女の為に何かしてあげたくなるんだ。
例えそれが相手に全てを委ねる事が前提の関係でも。
それなのに僕は二人に全てを背負わせようとしている。
僕が元ハンターとして苦しんでいるのは自分たちが原因だと言う現実を認め、
僕の苦しみを分かち合い減らそうとしている。それなのに僕はまだ
何もしていないんだ。今にも泣き出しそうなこの二人の為に。
とりあえず、今出来る事をしよう。
「坊や?」
「お兄ちゃん?」
長い間黙り込んでいた僕は彼女達にはどう見えていたんだろう?
この乳魔どもめ、どうせ口ではそんな事を言っても結局は僕の記憶を勝手に
書き換える癖に。そんな僕の思考を想像して怯えていたんだろうか?
だとしたら、もうそんな苦しみは味わって欲しくない。
ちゅっ。
ちゅうぅ。
「ひゃっ…」
「!?」
まずは涙をこぼしかけているラクタちゃんの目元にキスをして、
大粒の涙を吸い上げる。うっ、涙なのに塩味が薄くて甘い。流石乳魔。
呆気に取られたラクタちゃんが泣き止んだのを見計らって今度は
ネピアさんに向き直る。彼女の方もぽかんと口を開けて固まっている。
もしかしたら初めてネピアさん相手に主導権を取れているのかも?
ちゅっ。
ぺろぺろ。
「やん…くすぐったいわ、坊や」
今度は子犬になった気分でネピアさんの目元をぺろぺろと舐めた。
ネピアさんがこういうのを喜びそうだなと思ったのも確かだけど、
気がついたらこういうキスをしていた辺り、不意打ちで主導権を取った所で
僕とネピアさんの関係は覆りそうにないな…
「二人とも…良く聞いて」
「分かったわ」
「う、うん」
よし。なんとか落ち着かせられた。後はもう包み隠さずに語るだけだ。
二人とも僕に真心をぶつけてきたんだから、今度は僕の番だ。
「淫魔ハンターとしては、僕は二人を許せない。憎しみも恨みも無いけど、
それでも今までの僕が生きてきた証を壊されたんだ」
「…そう、よね…」
「そんな…!」
僕にとって譲れない線。二人が消し去ろうとしたけど消せなかった過去。
僕の淫魔ハンターとしてのこれまでの人生。これはもう僕の一部だ。
切り離そうとしたら、僕自身も壊れてしまい僕ではなくなるだろう。
でも二人もそれは同じなんだ。二人は乳魔である事を辞める事は出来ない。
「だけど…だけど僕は二人が好きで好きで堪らない。大部分は誘惑された
力の影響だろうけど、それとは別に好きになっていっているんだ」
「えっ!?」
「…ふぇ?」
そして僕にとって二人はそれ以上に大事な存在となった。きっかけは
淫魔の力で誘惑され犯された事だけれど、段々と僕自身の意思で二人を
愛する様になって。今僕はそれを認める事を決めたんだ。
「僕はこの気持ちをもっと大きくしたい。洗脳された偽者の僕じゃなくて、
今ここにいる本物の僕として、ネピアさんとラクタちゃんを愛したいんだ。
だって、二人は自分に都合の良い僕を作り出そうとしなかったから…
自分から望んで虜になって欲しい、って言う二人の願いを叶えてあげたい」
だから僕はハンターとしての過去を捨てず、これからの未来を
歩んで行きたい。ひょっとしたら人間と淫魔の関係の懸け橋になれる…
そんな漠然な夢を胸に抱きながら、僕は誘惑されたからじゃなくて、
二人は僕を虜にしたいからじゃなくて、愛したいから愛したい。
愛されたいから愛されたい。そんな関係になりたいんだ。
我ながら随分青臭い事を言っている気もする。ひょっとしたら僕はまだ
自分が淫魔ハンターであると言う幻想にすがり、それを人間と淫魔の
平和的な共存と言う夢物語を追い求めて自己満足に浸ろうとしているのかも。
それでもいい。ロマンを無くしたら生きていく楽しみなんかない。
愛が要らなくて快感さえあれば良いのなら淫魔の餌食になればいい。
でも僕はそれは嫌だと思った。二人もそれを嫌だと思った。
だからきっと、僕達が誰も犠牲にならず一緒に居られる方法はある筈…
「………」
「………」
ん?二人の様子がおかしい…ぽかーんと口を開けたまま、頬をピンク色に
染めて、目がまた潤んできていて…あれ?服の胸の所に大きな染みが!?
ぷわ〜ん。
うっ…この飲み込まれる様な甘ったるい香り…母乳だ。二人とも
母乳を服から染みて出てくる程垂れ流しているのか?まさか、
二人とも発情しているのか!?え、今僕が言った事のせい!?
「坊や」
「お兄ちゃん」
「えっ?な、何?」
ふ、二人が無表情のままにじりよってきた…?本能的に後ずさったけど、
すぐにベッドの後ろの壁に追い詰められて…うわ、重そうに垂れ下がった
4つのおっぱいが迫ってくる!な、なんだこの迫力は!
「坊やの気持ちは分かったわ。だからもう洗脳なんてしないわね」
「有難う、お兄ちゃん。とってもじ〜んって来たよ♪」
にこおおっ。
どうやら僕の言葉は届いたらしい。それは良いんだけど。
ううっ、二人とも笑顔になったのに…なんだか今まで以上に怖い!
「でもね、私たち以外にそんな事を言っちゃダメよ?そんな独占欲を
爆発させる口説き文句を言ったら、すぐに犯されて拉致監禁されるわ。
坊やの美しい心を自分専用に塗り変えるまでね」
「お散歩中にもお兄ちゃんに色目を使っている淫魔が沢山いたんだよ。
ただでさえそうだったのに、これからはこんな優しさ全快のオーラを
プンプンさせているんだから力づくで奪って来る事さえあるかも!」
「だから、そうならない様にたっぷりと私達が染め上げるわね」
「ボクたち以外の淫魔に誘惑されても耐えられる様にね!」
「…あ、あのう、二人とも…?ちょっと、落ち着いて…待って、待って!」
「「待たない!」」
「きゃぁああああああああああああああああ!!」
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