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とあるハンターのおっぱい敗北記:第十五章

 なんだか少し息苦しい。

 だけどそんなのはどうでも良い位良い匂いがする。

 なんだろうこれ?ミルクかな、蜂蜜かな、バニラかな…いや、どれも違う。

 僕はこの匂いを知っている。確か…飲み物だった気がする。

 飲み物なんだから舐めてみよう。

 はむ。
 ぺろぺろ。

「あんっ♪」

 あれ?今の声は…

 ぱちり。

 目を開けると目の前にあったのは肌色の巨大な谷間だった。
艶かしい肉の曲線で出来た三角型の穴はとても深そうで底が全然見えない。
なんだか見ただけで吸い込まれていく気がして、目を離す気になれない…

 あれ?さっきのはラクタちゃんの声だから、この谷間は…

 がばっ!

「おはよう、お兄さん♪」

「も…もまみょう…ん?」

「きゃっ、くすぐったい♪お兄さん、まずはボクのおっぱいを口から
出さないと喋れないよ?何が言いたいかは分かるけどさ」

 おっぱいを、口から…?

 うわ!僕ラクタちゃんのおっぱいを頬張って甘噛みしているじゃないか!
さっき舐めようと思ったのはこれか…!寝ぼけて欲望のままに行動して
いたのが恥ずかしい。慌てて口を離したけど、自分の顔が赤いのが分かる。

 そんな僕の姿はラクタちゃんには…魅力的だったんだろうか?
くすくす笑う様子はとても嬉しそうで、嘲りなど一切無い慈愛に溢れている。

「お兄さん、まだ恥ずかしいの?」

「う、うん。まだと言うか、最初っから恥ずかしいままだよ…」

「じゃあお兄さんはきっと恥ずかしがるのが好きなんだね。軽いマゾかな?
このままだといくらエッチな事をしても恥ずかしさが減らないかもね」

「うわ…それは流石に怖いと言うか、なんと言うか」

「良いじゃない。お兄さんは何時まで経っても慣れたり飽きたりする事が
無いって事だし、ボクはそんなお兄さんの可愛さを堪能出来るんだし♪」

「ううう…」

 やっぱり僕が恥ずかしがるのを見るのは楽しいらしい。しかも
そう言う事をサラッと言って悪びれもしない。何気にラクタちゃんって
天然のSなんじゃ…ここまでデレデレなのがSと言えるのかは怪しいけど。

 それにしても、今の状況って…セックスの後眠って、起きて、
寝転がったままのんきな色話をしている。これってどう考えても
情事の後の恋人たちの甘いひと時だ。誰に聞いてもそう言うだろう。

 だけど僕の恋人は人間じゃなく乳魔なんだ。

 その事実を頭の中で転がしてももう殆ど罪悪感や後悔を感じられない。
時々頭の後ろが僅かにちくりとするだけで、それも痛みになる前に
泡の様に消えてしまう。代わりに脳内で大きな声をあげているのが
乳魔でも良いじゃないか、いやむしろ乳魔じゃないと嫌だと言う思考。

 そうだ、負けたのが乳魔で本当に良かった。僕は特におっぱい星人じゃ
無かったけど、ごくごく自然にそう思えている。今度はラクタちゃんは
おっぱいで何をしてくれるんだろう?ああ、おっぱいに甘えたいなあ。

「えへへ〜…」

 こうやって欲望に負けている間も、僕はラクタちゃんをボーッと
見詰めている。くるくると表情が変わる喜怒哀楽が激しい彼女の顔は
見る度に新しい発見がある。今のちょっと照れた様子なんかも
とっても可愛いなあ。こんなに可愛いのに、物凄くエロエロで、
底無しにデレデレなのに、無邪気に恐怖を与えてくる。

 これが淫魔と恋人になるって言う事なんだろうか…

「ん?」

「え?どうしたの?」

 ふと僕は気になった事が出来、名残惜しいながらもラクタちゃんから
体を離して自分の体をくんくんと嗅いだ。すると危惧した通り
ぷ〜んと不快な臭いが鼻に飛び込む。そういえば体もベタベタだ。

「うえっ…臭いや、僕」

「あ、そうか。何日も眠っていたもんね」

「いや、それだけじゃないよ。ネピアさんに捕まる前は僕は一週間くらい
野宿生活をしていたし…ラクタちゃんは臭く感じないの?」

「ん〜、人間の体臭ってボクらにとっては濃い方が良い位だし…」

 これまた知らなかった事だ。だけど人間にとっては淫魔の体臭は
とてつもなく芳しい香りになるんだから、これまた当然かも知れない。

「あ、でも人間って頻繁に清潔にならないと病気になっちゃうんだよね?」

「う、うん。極端に汚くしていたらそうなるな。そうなる前に
ベタベタしていて気持ち悪いから綺麗にしたくなるけどね」

 とくにセックスの後には。体液を吸収できちゃう淫魔はこういう面では
便利だな…人間の体液以外の汚れは落とさないといけないんだろうけど。

「お風呂って本当はセックスの為の場所じゃないって知った時は
ビックリしていたよ!ボクだけじゃなくて同年代の皆も!」

「あ、えーと…うん、そうだよ」

 マジか。どうなっているんだ淫魔社会?これからは僕がこの社会に
慣れないといけないんだろうけど…ギャップに出くわす度に驚きそうだ。

 ん?何時の間にかラクタちゃんの目がキラキラ輝いている?

「それじゃお兄さん、行こっか♪」

「え?何処へ?」

「何言ってるの、決まってるじゃない♪」

 ま、まさか…

「お・ふ・ろ」

 や、やっぱりぃいいいいい!!

 ハートマークが聞こえてきそうなラクタちゃんの提案で僕の心臓は
飛び上がったかも知れない。素敵な、もとい、嫌な予感はしていたけど!
ラクタちゃんは僕と一緒にお風呂に入る気だ…うっ、想像しただけで勃起が。

「ま、待って!まさか一緒に入るつもりなの!?」

「え!まさか一人で入るつもりだったの!?」

 まるで僕がおかしい事を言っているかの様な態度なのはラクタちゃん
らしいと言うべきか。風呂はセックスの為の道具だと考えている
淫魔からすれば僕の方がおかしいんだと考えるべきか。いや、
今は悠長にこんな事を考えている場合じゃない。

「ダメだよそんなの!それじゃボクがつまらないじゃない!」

 な、なんて直球な…欲望丸出し過ぎて逆に反論できない。

「大丈夫!優しくするから、ね?無理やりイかせたりしないよ。
お兄さんには絶対苦しさや疲れなんか感じさせないよ。ボクそう言うのなら
大得意なんだから、ね?ね?ボクずっと楽しみにしていたんだよ!」

 ラクタちゃんは明らかに興奮している。さらけ出したままのおっぱいの
乳首はピンッと立っているし、頬はどう見ても染まっているし、心なしか
息も少々荒い。ヤバい、何を言っても説得出来そうにない。

「そもそもなんで嫌がるの?」

「えっ?」

 なんで…だって?

「お兄さん、ボクとイチャイチャするのまだ嫌なの?さっき
大好きって言ってくれたのに、まだ魅了が足りないの?」

「い、いや。好きだよ。もう十分過ぎる位魅了されているよ!」

「じゃあ、なんで?」

 なんで…だろう。そう言えばなんで僕は躊躇しているんだろう?
あれだけしぶとかった淫魔ハンターとしての意地だとかも流石にもう
無くなっている筈だ。現に溺れたらダメだ、なんて頭が言い出したりしない。

 ラクタちゃんとお風呂。これだけで頭が真っ白になりそうな程興奮する。
だけど同時に顔が真っ赤になりそうな位恥ずかしい…と言うか、顔が熱い。

「あ、やっぱり恥ずかしいから?」

「うん…は、恥ずかしいよ」

「くすっ。本当に恥ずかしがりやさん。いくら恥ずかしいのを喜んでいる
マゾさんでも、ちょっと不思議な位恥ずかしがるんだね?」

 やはり僕の躊躇する理由は恥ずかしさに他ならない。原因は何だろう。
同化の力で童貞インキュバスの心境がずっと続いているんだろうか?
ハンターとしての罪悪感や使命感が全部恥ずかしさに変わったんだろうか?
恥ずかしいのが嬉しいから自分から恥ずかしがっているんだろうか?
恥ずかしがるとラクタちゃんが喜ぶから無意識にそうしているんだろうか?

 これも分かりそうにない。もう分からない事だらけで頭が疲れる。
ただひとつ分かるのは、恥ずかしさが原因だったら…

「それじゃ、恥ずかしくなりにレッツゴー♪」

 ぐいっ。

「あ、ちょっと…」

「た〜っぷり恥ずかしくしてあげるからね♪」

 やっぱり。恥ずかしさが躊躇している原因なら、ラクタちゃんが
諦める訳がない。そして僕も拒めそうにない…ああ、年下の女の子に
腕をおっぱいに抱えられて風呂場に連れて行かれる。
そんな自分の有様が情けなくて、でも嬉しくて…ラクタちゃんの
言う通り、僕ってマゾなんだろうか。ううう、もどかしい。

 等と考えている内にあっと云う間に脱衣所だ。例えラクタちゃんが
解放してくれてももう後戻り出来そうにないのが恐ろしい。

「は〜い、脱ぎ脱ぎしようね〜♪」

「ちょ、ちょっと、自分で脱げるよ!」

「ダ〜メ、お兄さんの世話はぜ〜んぶボクがするの♪」

 うああ、脱がされる…反射的に拒んでみても、密着したまま
脱がされると考える前に体が動いてパジャマを外すのを手伝ってしまう。
ああ、もうチンポをさらけ出しちゃった…当然の如く完全勃起状態だ。

「うんうん、健康優良で何より!」

「あ、あんまり見ないで欲しいな…」

 まるで処女の様なセリフが口から出てしまう。裸体を見られると
それだけで犯されている様な気分になるなんて、初体験だ…

「そう?もうちょっと堪能したかったんだけど…ま、いっか。
ボクだけが服を着ているのは不公平だもんね」

 しゅるり。
 ぱさっ。
 ぶるんっ。

「うっ…」

 な、なんて言う堂々とした脱ぎっぷり。激しく揺れるおっぱいを
見ているこっちが恥ずかしくなってしまう。これじゃまるで童貞だ。
さっきは処女みたいだったし、一体僕は何なんだ。

「さ、入ろう入ろう♪お風呂は気持ち良いよ〜」

 こんなにドキドキする入浴は初めてだ。トラウマになるかも…
たまにはエロ無しのシーンでも。
このシリーズだと射精していなければエロ無しにカウント出来るシーンです。

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