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宮殿

あり得るかもしれない未来。





激しく絡み合う二つの肉体。
「はぁ……あぁ……ああああ!!!」
俺のペニスから何度目か忘れた精液がほとばしる。
「あぁん……いいよぉ。入ってくるよ……」
ベット深く沈みこむ俺の上には、一匹の淫魔。
腰を縦横に振りまくり、俺のすべてが快感で塗りつぶされていく。
淫魔の大きな乳房が激しい腰の動きと息に合わせて揺れ動き、赤い髪が汗をまとって幾筋もの束を作る。
俺は無我夢中に揺れる乳房をつかんでいた。どこまでも指がやわらかく沈み、快感が全身へと流れていく。
「……気持ちいい?」
「……は、はいぃ…………気持ちいィッ……!」
この快感をいつまでも味わっていたい。俺の心はすでにとらわれていた。
「ふふ……やっと君も分かってきたみたいだねぇ? 欲望に従順になることの素晴らしさが……」
勝ち誇ったような淫魔の声。

淫魔が倒れこんでくる。目の前にその淫らな笑みをうかべた顔が近づき、俺は視線をそらすことができなかった。

「サイコーだよ。君の顔。すべてから解放されて、気持ちよくてたまらないって顔」

そうだ……俺はもう戦う必要はないんだ。
戦士としての誇りや戦う理由も、すべてこの淫魔の淫らな誘惑の前に投げ出してしまった。



「君もやっぱり、私に気持ち良くしてほしくてここまで来たんでしょぉ?」
「クアァ!! ……そ、それハァ……」
淫魔の声に、ペニスがビクビクと反応する。
「嘘つかなくてもいいんだよぉ? オチンチンはもうワタシに素直になっちゃってるからねぇ」
「なっ……はっ……」
「あ、それとも……かなぁ?」
俺ののどをさする指。淫魔の吐息がかかり、耳元でささやかれる

もう逆らえない……! 

妖艶な笑みを浮かべる淫魔にすべてをさらけ出したいという欲望が抑えられない。

もっと、もっと気持ちよくしてほしい……!!
「はっ……ハイィッ……もっと……」

淫魔は微笑む。



一人の戦士の心は、妖艶な淫魔の前に限界を迎えていた。









「その男、どうするんですか?」

転送魔法によって本国の近くまできた淫魔は、籠に乗ってすすんでいた。
向かい合う少女の淫魔に向かってつぶやく
「どうって……私のペットに決まってるじゃない」

傍らに横たわる男を眺めながら満足そうに言う。
「ストラ様ほどの実力者なら、そんな男すぐに捕まえられるでしょうに」
「この子は私の責めに一番長く耐えたよ。それに……憎しみや自信を持って向かってくる相手が征服される様がたまらないんだぁ」
ぶるぶると震えるストラ。
「また……聞くに指輪の製造方法も各地で漏れたと聞きますし、人間たちはだんだん強くなってきますよ?」
あきれたように溜息を吐く少女。
「それが、楽しみなんじゃない……」
本国へと向かいながら、ストラはさらなる愉しみを思い、笑った。






三年経った。

その間に、あの城に残された指輪から作成方法が解析された。あれは人間から採った精力を元に体力や魔法を使うための出力装置だったらしい。
魔法使いたちが新たに人間のために指輪を作った。淫魔達と戦うさらなる力のために。
各地で人間の反撃がはじまり、追いつめられていた地域が息を吹き返したり、奪われた土地を少しずつではあるが、取り戻し始めた。
そして今、『本国』とよばれる淫魔が最初に発見された地域を攻略するため、各国が集めた連合軍が組織された。





その中心のある建物。かつて人間が使っていた建造物がそのまま点在する地点。
そこにある宮殿のもっとも奥に、淫魔達の幹部が集まっていた。
「あらストラ……いらっしゃい」
部屋に入ってきたストラを長い金髪の淫魔が出迎える。
「ルア、久しぶりだねぇ。あっちでは愉しんできたの?」
「当り前じゃない。たっぷり愉しませてもらったわ。あら、その子は何?」
ストラを超す身長とそれに見合った身体つきは、そこから放たれる甘い匂いはもちろん、性技のすさまじさも物語っていた。目は垂れていて、柔和な印象を与えているが、それはまぎれもなく人間を虜にするためのものだった。
豊満な肉体を撫でながら笑う。示した先に、一人の男がロープで縛られ、拘束されていた。
「奴隷にでもするつもり?」
「いや、どうやらあの方の場所を嗅ぎつけたみたいなの。さすがに人間達全員に知られると困るから搾りとっておわりにしようと思ったけど、ちょっと仕込んであげようと思ってねぇ」
「さっさと殺せ! どちらにしろ貴様らは死に絶えて終わりだ! 魔界に帰れ!」
捕えられた戦士が叫ぶ
集まっている淫魔達がクスクスと笑う。
「そんなに意気込まなくても、キミは生きて返してあげるよ?」
そういうと戦士のゆっくりと近づいてく。ロープに魔法が掛かっているらしく、男も立ち上がった。
「ただそのまえに、ちょっと愉しんでいこうよぉ」
強気な視線を保っていたが、ストラの身体に魅せられているのはすぐにわかった。隠しきれずペニスがそそり立っていく。
「じゃあちょっと失礼するねぇ」
男を連れ、部屋を出て行く。
「趣味の悪い」
「あら、ノア様は可愛がるのがお嫌いなの?」
男型の淫魔が舌打ちをしながらストラが出て行った方を眺める。マントに隠れてはいるが、屈強な体つきからは淫気と精力のすさまじさがわかった。
「ここまで人間が攻めあがってきた時に遊びなど」
「あら、あなたは負けるとでも思っているの?」
「まさか」
「じゃあなぜ?」
「私は人間の女にしか興味がない」
そういうと集まりの中心へと向かう。
「なんだ。つまらないわね」
ルアも後を追った。




「終わったの?」
幹部達がめいめいに散っていく中、ストラが戻ってきた。
「ストラはどうなの?」
ルアが尋ねると、淫らにほほ笑む。その後ろから呆けたような表情で先ほどの戦士が入ってきた
「たっぷり搾りとって、何もかもぶちまけてもらったよ。ついでにいろいろ仕込んであげちゃった」
ねぇ? と尋ねると、戦士はうなづいて、外へと出て行った。
「これから楽しくなるわね」

「えぇ。あの子たちも来てくれてるかなぁ」
「あの子たち?」
「こっちの話だよぉ」
ストラが窓から外を見る。そこには、人間達の部隊が広がっていた。

 人間達がやってくる。そのことに淫魔達は純粋に興奮していた。











「いよいよだぞ」
しゃがみこむ俺に上から声が響く。

「ああ、コウ」
コウ達生き残りを助け出し、代わりに友を犠牲にしてしまった戦いから三年。
俺達はいよいよ『本国』と言われる淫魔が最初に現れた土地にまで侵攻することが出来た。囚われた仲間達、奪われた土地を取り戻すこの上ない機会。

そしてその中心にある。かつての王国が使っていた宮殿まで攻め上がった。奇しくも、あの時とまったく同じ状況。

「あんまり気負わずにやるべきだ」
コウと同じく、助け出された生き残り、ナカムラが言った。冷静な思考にはこれまで助けられてきた。
「そうだな」
応えて、立ちあがる。
「カイの奴はどうしたんだ」
「いないな……一体どこにいるのか」
もうすぐ総隊長の演説が始まるはずだが……

「悪いな!」
道の外れからカイが現れた。
「どこに行ってたんだ」
「ヤボ用だよ」
屈強な身体を揺らしてカイが笑う。
四人の中でも力強い戦士だ。

「みな! いいだろうか!」

「お、始まったな」
カイが言う。

「いよいよここまで来た! 淫魔と呼ばれる悪魔を根絶やしにするのも目前である!今こそ悲願達成の時!」
総勢がどれくらいいるのかわからない、戦士達に話しかけ、指揮を鼓舞していく。

「悪魔の誘いをはねのけ、勇気ある者達が「指輪」の情報を持ち帰り、われらも同じように戦う事が出来るようになった。われわれはもはや負けを待つだけではない!」
俺達に視線が集中するのを感じた。


「突然始まったこの悪夢を終わらせるのだ! 行くぞ!」

掛け声がこだまする。

待ってろよ。タチバナ……

タチバナの姿を、そしてタチバナを堕とした淫魔の姿を思い浮かべた。

「よし!今から作戦を支持する!」

俺達の隊の隊長が指示を下す。

「われらの隊は正々堂々、正面から入る事になっている」
今度は正面からか……
「また、人間の収容所が宮殿の隣に確認されるので、こちらには別働隊が攻勢を仕掛けることになっている」
「私達の事ね」

声がした方を見ると、女性が立っていた。
「そうだ。頼むぞ。リル隊長」
「わかったわ」
リルと言われた女性は桃色の髪の毛をたなびかせながら言う。
「あ、女で淫魔と戦えるのか?」
カイが素っ頓狂な声をあげる。
「あら、有名な英雄さんじゃない。男型の淫魔のためよ。あなたバカ?」
リルは余裕を見せ微笑みながら言った。
見ると、後ろには女性と男性が混ざった部隊が編成されていた。
「なっ」

「君はちょっとは考えた方がいいよ」
「おいナカムラ!」
怒りをみせようとしたカイをナカムラがたしなめる。
この二人はいいダッグだ。

「そういうことだ。わかったかカイ」
「……了解」

隊長に言われ、不承不承でうなずくカイ。
「いずれにせよ、お前達には期待している。誘惑を払いのけ、淫魔を打ち破ってほしい」
「わかってます」
コウが力強く応えた。

俺も決意を新たにしよう。
今度こそ、決着をつける。

宮殿を見上げると、窓からこちらを見ている影があるような気がした。


戦いが、始まる。



キャッスルの続編という感じではじめてみました。やっぱり全体として一方的になるのかもしれないです笑

今回はエロない感じ。


一応自分のサイトにもあげていくつもりなのでよかったらまたお願いしますー

(ttp://searchlight2.x.fc2.com/index.html)

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