三年前、僕、リル・アルシアはあこがれの騎士団に入団した。毎日剣術、槍術、体術と、色んな武術の訓練をしたり、護衛任務を経験した。騎士団には2つの種類があり、護衛任務など、守衛を受け持つ白騎士団と制圧や討伐などの武力面での任務を受け持つ黒騎士団が存在する。僕は、白騎士団に入り、この三年で多くの任務についてきた。けれどひとつだけ残念なのは、僕が白騎士団に抱いていたイメージが少し違っていたことぐらいだ。僕は小さい頃から絵本なんかで[人を守るのが白騎士]なんかのイメージを抱いていた。けれど先輩たちは
「黒騎士団より安全」や
「白騎士団は印象がいい。」などの理由で白騎士団になったらしく、僕が憧れていた通りの白騎士はいなかった。これが現実なのかとあきらめ、せめて自分は正しい白騎士でいようと決意していた。
今日の任務は侯爵の護衛任務。町一番の占い師に他殺される未来を教えられた侯爵の家につき、一晩中警護していた。結局、他殺の犯人はその侯爵にクビにされた執事で無事に今回の任務は終わった。
「いや〜素晴らしい!そなたらがいなければ私はどうなっていたことか!」
任務終了後、侯爵の護衛任務についた隊は侯爵の振舞いを受けていた。滅多に見れないご馳走なんかが出てきてみんな大喜びだった。「申し訳ねーですね!侯爵殿!こんなご馳走を!」
「いやいや、皆がいてくれたからこそのこの命だ!せめてものお礼だよ!」
「いやあー、白騎士団でよかったっすよ!」
「ですよねえ。黒騎士団は嫌われてるからこんなお振舞いはしてくれないですから。・・・あん、どしたリル?喰わねーのか?」
「あ、いえ・・・こういうご馳走って食べたことないですから、食べ方が・・・。ほら、変にマナー違反しちゃうかもしれませんし。」
「ハハッ!そんなこと気にする必要はありませんぞ、若き騎士よ!むしろ私は一番食べやすい方法で伸び伸びと食べることがシェフや食材に対する一番の恩返しだと思いますぞ。」
「・・・。そうですね、じゃあ遠慮なく・・・。」
「ハハハ!いいぞリル!どうだ!のみくらべでもするか!」
「ちょっ隊長、いくらなんでもそれは・・・。それに僕まだ17ですよ?」
「あーそうか、そりゃ残念だ。ま、仕方ないな!」
皆思い思いにたのしんでいる。僕も自分の好きな食べ方で色んなご馳走を頂いた。滅多にに食べれないご馳走に僕も満足していた。 「お飲み物は足りていますか?」
「えっ・・・。」
振り向くとそこには綺麗なメイドさんが立っていた。ピンクのロングヘアーで背も高い。おとなっぽく、それでいて幼さも残る、凄く綺麗なひとだ。
「あっ、いえ・・・結構です・・・。」
不意に声をかけられたのと、その綺麗な見た目に戸惑ったせいで変な返事になっていた。
「ふふっ。かしこまりました。足りなかったらまた声をお掛けくださいね。」
にっこりとした笑顔で返事をされた。また、綺麗な声が透き通るように頭に響いた。本当に綺麗なひとだ。それに・・・なんというか、胸に目がいってしまう。騎士として、色欲は禁なのに、なぜだか見てしまうのだ。今までこんなことは無かったのに。
「では、皆さん!そろそろメインイベントを・・・」突然、侯爵の声が途切れた。そしてー。
「な、なんだ・・・体がだるい・・・眠気が・・・。」
いきなりドタッと侯爵は倒れ、眠り込んでしまった。「なんだ?いきな・・・り・・・。」
続いて隊長や皆も倒れ、眠り込んでしまった
「どうしたんですか?隊長!?みんな!?」
僕以外の人間がみんな、その場で眠り込んでしまった。それも唐突に。みんな、全然眠たそうじゃ無かったのに。
「なんで急に・・・あれ・・・僕・・・も・・・?」ドタッ・・・。
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「ううん・・・。ここは・・・」
僕は目が覚めた。どのくらい眠っていたのかわからない。見渡すと、ここはさっきと同じ大食堂。その代わり、みんなの姿はない。
「いったいなにが・・・とにかく、みんなを探そう。」
僕は大食堂を出て、大広間に出た。すると、代わった空気に気づいた。
「なんだろ・・・なんだか視界が薄い桃色に包まれてる・・・まるで桃色の霧みたいだ・・・。それになんだか・・・いい匂い・・・。桃とさくらんぼを混ぜたみたいな甘酸っぱい・・・香り・・・。」
僕は不思議な甘酸っぱい香りにくらくらしそうになった。決して不快ではない、嗅いでいるだけで癒されそうな香りだ。
「ふふ・・・そのままだとまた眠っちゃうよ?」
「えっ!?」
僕は不意に聞こえた声に振り向いた。
(あれ、この声・・・それに今のどこかで・・・。) 振り向くと、さっきのメイドさんがいた。
「えっあの、これってどういう・・・。」
「わからない?この霧は淫魔の体からでる淫霧だよ。」
「淫魔って・・・そんなまさか!淫魔なんて空想の・・・。」
「悪魔の法則って知ってる?いないことなんて誰にも証明できないんだよ。」
「それはそうですけど・・・・・・いやちがうっ!」「?なにが違うの?」
(なにを敬語なんて使ってるんだ僕は!彼女は敵ってわかったばっかりなのに!)
「・・・お前が淫魔っていうんならみんなはもう・・・。」
「みんなは・・・なに・・・?」
「えっ・・・」
不意に淫魔からたずねられて僕は戸惑ってしまった。なにって・・・淫魔がすることなんて決まってるじゃないか。
「だから・・・その・・・精気を・・・すいとって・・・。」
「ふふーん?なんだって?」
「だ、だから!お前がみんなを眠らせて・・・倒したんだろ!」
「ふふ・・・。可愛い。恥ずかしくてはっきり言えないんだ。大丈夫。みんなは転移魔法で別室に移しただけ。すやすや寝てるよ。いや、いびきとかうるさかったからぐーぐー寝てるかな?」
僕は不思議に思った。なんで精気を吸いとらないんだ?伝説だと男の精気は淫魔の好物なのに。
「私たち淫魔にも好き嫌いがあるの。精気の味は性格がでてね。私は吸ったことないけど・・・。自己中心的な性格は酷くしつこい味、例えるなら熟成チーズみたいな味なんだって。」
「は、はあ・・・。チーズ・・・。精気って味が例えられる物なの?」
「そうだよ。君だってさっきの私の淫霧、なにかに似た香りに感じたでしょ?そんな風に精気にも味があってね、私はフルーティーな甘酸っぱい味が好きなの。それで、何人も吸ってきた先輩に聞いたら恥ずかしがりやで優しい人の精気はそんな味がするんだって。で、白騎士ならそういう人がいそうだからメイドに変装して占い師を操って嘘つかせてここに誘って・・・まあ本当に殺害しにくるとは思わなかったけど。で、騎士の人たちに話しかけてたら君がビンゴだったってわけ。」
「な、なんで僕が・・・。」
「だって君、あの時私をみてすごいどぎまぎしてたし、恥ずかしがりやってわかったから。応対見てたら優しい人ってこともわかるし。それにぃ・・・。」
淫魔の表情が親しみやすい表情から淫魔特有の淫らな表情にかわる。
「君、私のおっぱい、ちらちら見てたでしょ?」
淫魔が自分の胸を手で揺らしながら聞いてきた。
「なっ!そ、そんなことは・・・。」
「隠してもダメ。私、淫魔だからエッチな視線なんかすぐわかるの。私、淫魔のなかでも胸に特化した一族でね。人に化けてても自然に胸から淫気が出ちゃうの。君が私のおっぱいを見てたのは淫気の影響だね。・・・ま、君がおっぱい好きなのもあるだろうけど?」淫魔がいたずらっぽい目で見つめてくる。
「う、うるさい!とにかく僕は、き・・・お前のエサになんかならない!」
剣を構え、臨戦態勢に入る。そう簡単には近づけないだろう
「うーん・・・なんか勘違いされてるなあ・・・。そういう一族もいるけど、私たち乳淫魔は人間をエサだなんてみてないよ。」
「じゃあ・・・奴隷か何かか!」
「・・・。お婿さん♪」
カッと淫魔の体が光り、メイド服はなくなり、淫魔特有の露出度の高い服に代わった。そして、胸も更に膨らんでいる。
「う・・・、なにがお婿さんだ!か、かかってこい!」
「ふふ、まーた胸見てる。さーて、どうしちゃおっかな。」
続く。
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