全員を解放し、来た道を戻る。
「全員! 気を抜くな……!」
本隊長が号令をかける。
「タチバナの所まで早く行かないと……!」
城主の間を駆け抜け、左のドアを開ける
廊下を進むとうっすらと光の線が見えた。近づいていくにつれて濃厚な甘い香りが漂ってくる。自然と皆の脚が止まった。
近づくにつれ、かすかに聞こえてくる嬌声、軋みの音、肉と肉が交わる淫らな音。そして男の咆哮。
考えたくはない光景を思い浮かべてしまい、そしてペニスが固くなった。
ゆっくりとドアを開ける。
「ああぁ……くうぅ」
広がっている光景は、淫らなものだった。
四方に鏡が設置されていて、中心にはベッドがあった。その上で、二つの肉体が交わっていた。
男が沈み込み、股間の部分に淫魔が頭を沈みこませていた。ジュルジュルと水音が響き、男の顔が快感にゆがむ。淫魔の手は男の乳首を刺激し、男はその手を払いのけようとせず、快感に従順にシーツを掴んでいた。
その様にクラ達のペニスが天を仰いだ。理性は早く動くんだと鳴り響いていたが、あまりにも淫らな光景に動くことが出来ない。
淫魔は男のペニスを責めながらクラ達に視線を流した。その目が小さく笑う。
「……ぷはっ。ふふ、次は中で搾ってあげる……」
淫魔は卑猥な音を立てていた口からペニスを解放すると、おもむろに男にまたがり、はれ上がったペニスを膣へと導く。
「んあぁん!」
男の上でダイナミックに動き出す。大きな乳房が激しく動き、身体が上下する。男はクラ達に気づく様子もなく、淫魔の胸に手を伸ばす。男の手にあまる乳房が自在に形を変えた。
「クウアアアッ……!!」
「あぁん……!」
男が叫ぶと、そりかえり、腰を高く突きあげた。精を捧げているのがわかる。淫魔は全身に精液を浴びて、ヌルヌルと濡れ光っていた。
ベッドに沈み込み、精を捧げるその姿は、快楽に支配され、淫魔の虜になった男だった。
戦いではなかった。淫魔による、淫らな搾精だった。皆、動くことが出来なかった。
「ああぁ! はぁ!! クラくん!! いらっしゃぁい……一足、遅かったねえ」
交わりを解かないまま、ストラが嬉々とした声で言う。
「キミがリザと戦っている間に、タチバナくんはワタシにメロメロのペットになっちゃったよぉ……」
その目は自らを倒しにきた男を籠絡し、虜にした悦びに満ちていた。
「放せ……!タチバナを……!」
クラの声を聞いて、ストラが高く笑う。
「解放してあげても、この子はワタシから離れたがらないよ。すっかり素直になって、可愛いよねぇ?」
そういいながら沈み込むタチバナの身体を指先でゆっくりとなぞって行く。
「気絶しちゃったみたい」
「くっ……!」
「ふふ、でもワタシはおかげで満足したよぉ。私も疲れたし、今回は痛み分けってことにしてあげる」
「なんだと!」
クラが声をあげると、
「なんなら、全員搾りとってあげてもいいんだよぉ?」
エロティックな、勝利を確信した声でストラが言う。
「この人数差だぞ……!」
向かっていこうとすると、後ろから腕を掴まれた。
「放せ!」
「落ち着くんだクラ! あの淫魔かなりの奴のはずだ。アイツ一人を助けるために、今俺たちが何人やられるかわからないぞ!」
「へぇ、コウくんはわかってるみたいだねぇ」
実際、仲間の何人かはストラの包み込むような淫媚さにあてられ、鼻息を荒くすることしか出来ていなかった。ペニスを触られあっけなく精を捧げる姿が容易に想像できた。
笑いながらストラが指をかざすと、奥にあるクローゼットの環が光り出した。タチバナの身体が浮かび上がる。
「来たかったら、いつでも来るといいよ……私は本国の中心地に居る……」
ゆっくりと光りの環に進んでいくストラ。
「……いつか、倒す……!」
「期待してるよ……」
ほほ笑みながら環の中に消えていく。
クラは怒りをたたえ、その姿を見ながら、タチバナを見ながら、消えていく環を睨んだ。
(……結局あの戦いで生き残った人間は最後に合流できた人達だけだった。コウとは涙を流しながら再開を喜ぶことができたが、タチバナに礼を返す事ができなかった。
結果として人間は土地を取り戻し、指輪の存在を知った。淫魔に対して有効な手段と言えるだろう。ものすごい戦果をあげた戦いだったとも言える。
だが、失ったもの方が大きい)
三年経ち、クラ達生き残りは淫魔の「本国」と言われる土地への人間の侵攻軍の中にいた。
(待ってろ……今度こそ……取り戻す!)
この戦いでこそ全てを取り戻す。クラはそう決意を固くしていた。
人間の侵攻の雄たけびがあがる。
クラはその中で無意識にタチバナを連れ去った妖艶な淫魔の姿を思い浮かべていた。
ペニスが脈打ったことにクラはまだ気づいていない。
Please don't use this texts&images without permission of 坂の下のレベル1◆jGSpiy3fwIw.