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スズと陽子

 あの1戦以来スズと黒田はクラスでもよく話すようになった。
今まで特に気づかなかったが黒田はクラスメートからは少し避けられてるようだった。
クラスでもほとんど他人と話しているところを見かけず、今も一人で机に座り紅茶を飲みながら本を読んでいるようだった。
(まっ帝都出身であれだけクールに振舞ってたら仕方のない事かもしれないけど)
と考えていると
「やっほースズ、黒田君との対戦はどうだった?」
ミサトが声をかけてきた。
「楽勝だったよ〜、黒田君ほんとはちょう弱くてさ〜」
と言いたくなるのをこらえて
「う〜ん、まぁ勉強になったかな」
(一応、お互い頑張ろうって言い合った仲だもんね!やっぱり真実を言っちゃうのはマズイし…、ただ気にかかる事が)
「ねぇミサトは前に黒田君が既に学内の娘を奴隷にしてるって言ったけど、あれってホントなの?」
「え?何言ってるの?今もほら」
ミサトの手が指す方向を見ると見慣れない生徒が紅茶を淹れている。
ストレートの黒髪に細く長い手足に高めの身長、そしてどこか高貴なお嬢様がいた。
(はぃ?)驚くスズに
「ホント黒田君ってひどいよね、いくら自分のほうが強いからって2年の先輩にあそこまでさせるって」
確かによく見てると彼女は影ながらといった感じで優雅に黒田の身の回りに気を配っていた。
「希花陽子(きはな ようこ)先輩っていうんだって、良いとこのお嬢様でBFの実力も優秀らしかったんだけど、
 少し前に黒田君にコテンパンに負かされちゃってね、いつか懲らしめないとな〜」
と言う親友の言葉も半ば耳を通らず、スズは紅茶のおかわりを注ぐ先輩お嬢様を見ていた。
〜放課後〜
「で?君はどうして上級生をこき使っているのかな〜?」
グリグリ
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ここは訓練室、スズが黒田をここに連れ込んだのだ。
「だいだい黒田弱かったじゃん、そんな君に奴隷ってどういうことかな〜?」
電気按摩の踏む足を強くする
「ひいぃぃぃぃぃ、そこやめ、やめてって、あれはあの女が勝手に勝負に負けた後申し出てきただけだって!
 だから、ちょやめてって」
本当のことらしいので、ひとまず脚を止めて解放してやる。
「ふ〜ん、あの女の弱みを何か握ったとか?」
「少しは信用してくれよ、実力で勝ったに決まっているだろ?」
「うそをつけ〜」
両手を使って玉と亀頭の部分を撫で上げるだけで
「はひぃぃぃぃぃ!!」
と黒田のよがり声が響く。
(こんなに弱いのに先輩に勝てるわけないじゃん!!)さらに攻め手を繰り出そうとすると
「あらあら、これはこれはお二人とも仲のよろしい事で」
「!!」
なにやら上品な声が聞こえてきたので、そちらを見ると、昼間のお嬢様がいた
「あんた、黒田の!?」
「あらあら、黒田様のご学友でございますか?私、希花陽子と申します、以後よろしくお願いします」
1つ年下のスズに対しても丁寧口調、いかにもお嬢様といった感じだ。
ほぇ〜と感心しているスズをよそに
「何か用か花子?」
どこか冷たくつきはなす黒田
「あらあら、黒田様ったら私の名前は陽子といつも申し上げておりますのに。
 この後、御一緒に買い物に行く約束だったではありませんか」
どこまでも穏やかな調子のお嬢様
「悪いが俺はスズと帰る、じゃあな、あら子」
そして相変わらず冷たい黒田をスズはにらみつけていると
「まぁ、それでは私もご一緒に…」
と黒田の手を取るかのように伸ばした手はそのまま黒田の股間にいきズボンの上から玉袋のところを撫であげた。
「うっ!」堪らず黒田は前かがみになる。
「あらあら、ごめんなさいませ、私の手がつい…」
ドジなお嬢様だな〜とスズは思いながら陽子の顔を見ると、
そこにはお嬢様然とした穏やかな表情はなくどこか優越感に浸った薄笑いがあった。
(え?)とスズが思ったころには、陽子の表情はさっきまでの穏やかな表情に戻っていた。
「それでは行きましょうか、黒田様」
「あぁ、行こうかスズ」
面倒そうに陽子を見た後スズに呼びかけると、黒田はスタスタと歩き始めた。
「ちょっと待ってよ〜」
慌てて二人を追いかけるスズの頭の中では先程の陽子の表情と二人の関係に対する疑問がうずまいていた。

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