「ああ、あ、はあっ!はあ、はあっ!はあああっ、ふううっ!」
出産とはどんな生物でも大変な負担を伴う危険な行為なのだろう。
男の俺はただ見ているだけしかないが、妻が苦しんでいるのは
それだけで分かる。ざまあみろ、と思おうとしてみたが失敗した。
「あああ、貴方!貴方!手を、手を握って…!」
妻に手を求められた俺はそれを素直に差し出した。今なら何時もと
違って拒む事もできるだろうが、今は彼女を安心させないといけない。
俺のささやかな野望を叶える為には彼女を油断させないといけないんだ。
「あああ、生まれる!生まれるわよ貴方!私達の娘が!」
間も無く膣が痛々しい程広く開き、そこから頭らしき肉塊が姿を
魅せ始めた。一度出始めると後は早く、肩、腕、胸、腹、腰、尻、
そして足とすらすら出てきて…新しい命がこの世に生まれた。
俺と妻が分かち合った血肉で出来た娘がたった今産声を上げたのだ。
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
これがもし最愛の女性との娘だったら俺は純粋に感動していただろう。
事実俺は娘を見る目を丸くし少なからぬ興奮を味わっていた。
だが実際は俺の心に満ちる感情は感動よりも絶望と恐怖に近かった。
そして俺の妻は女性ではなく淫魔であるのが現実なのだ。
淫魔に挑みかかり捕われた元淫魔ハンター、それがこの俺。
淫魔に娶られ婿にされ、たった今父親にもなってしまった。それが俺。
「ふぅうう〜…ふぅうう〜…ふぅうう〜…ああ、きつかった。
でもいよいよ母親になれたと思うとなんともいえない充実感だわ」
そして俺にはゆっくり絶望する暇すらなかった。恐るべき事に妻は
出産直後にも関わらずむっくりと起き上がり、清々しそうに
体を伸ばしたのだ。やはり淫魔は人間と違って物理的な損傷で
死ぬ事など有り得ないのだろう。それが出産でさえあっても。
チャンスは今しかない!彼女が油断している今しか!
生まれたばかりなのに彼女と全く同じ秋の紅葉の様な
赤茶けたさらさらの頭髪!泣き止み始めてあどけない表情に
なりかけている僅かに未熟ながら異様に整った顔!
どんな極上な絹でも太刀打ちできないであろう程滑々で
艶やかな肌に覆われたまだとても歩けなさそうな弱弱しい体!
娘の全てが俺に訴えた。大事にしてねと。今すぐ殺せと。
「うぁああああああああああーーーーっ!!!」
弱った四肢に絶叫で鞭を入れ、娘を両手で掴む!
震えながらも一気に頭上に掲げる!
後は放り投げるだけだ!勢い良く手を離すだけだ!
ぎゅっ!
「うあ…」
「貴方…何をしようとしたの?」
そして俺は失敗した。妻の抱擁を受けた瞬間体は俺の物では
無くなり、掲げた手は腕ごと下りてきて俺と彼女の間に娘を投げ出す。
「きゃっきゃっ!」
娘は喜んでいた。高い高いをされたとでも思ったのだろうか。
「ごめんなさい…私のせいだわ。貴方はまだ苦しんでいたのね」
妻は悲しんでいた。娘を殺そうとした事を怒らずに謝ってきた。
「まだ貴方は人間の心から逃れられていなかったのね。ごめんなさい」
「やめろ…」
「私がもっとちゃんと愛していれば、貴方がこんなに苦しむ事は無かったのに。
余計な罪悪感や使命感なんか忘れさせる程愛してあげるって誓ったのに…」
「やめろ…!」
「貴方はもう淫魔ハンターでも人間でも無いのに、私の夫なのに…!
貴方が幸せじゃないのは一重に妻の私が至らないせいだわ…!」
「やめろぉおおおおおお!!」
俺は叫んでいた。俺なんか愛するな、俺に謝るなと万感の思いを込めて。
俺は彼女を憎みたかった。俺は彼女から憎まれたかった。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい…!」
彼女が謝罪する度に心が切り刻まれる様に痛む。
彼女が涙を流す度に心が硫酸を浴びせられた様に焼ける。
この世の何よりも愛しい妻が悲しんでいる。淫魔である俺の妻が。
「やめてくれえ!俺は君の娘を殺そうとしたんだぞ!謝るな!
悪いのは俺なんだ!君じゃない!頼むから謝らないでくれえ!」
「いいえ、私のせいだわ。夫を幸せに出来ないのは妻として罪なのよ」
俺はもがいていた。彼女の深い深い愛の底無し沼に首までつかりながら、
憎しみと言う藁が何処かに浮かんでいないかともがき続けてきた。
彼女に捕らえられ、愛され、娶られ、犯され始めたその日からずっと。
そして最後のチャンスを失った。心が泣いている。もう休みたいと。
ちゅっ。ちゅっ。ちゅっ。
「ああ…」
娘を寝台に降ろした彼女がキスの雨を顔に降らせてくる。
たったこれだけで信じられない程気持ちよく、安心してしまう。
俺が大事にしていた心の欠片が柔らかく溶かされていく…
あまりの心地よさに四肢が崩れ、彼女にもたれかかってしまう。
「ごめんなさい…今、楽にしてあげるからね。もう苦しまなくて良いのよ」
ちゅっ。ちゅっ。ちゅっ。
「ふああ…」
愛しい。彼女が愛しい。最愛の妻が愛してくれる。夫として
これ以上幸せな事がこの世にあるだろうか?いや、無い。
しっかりしろ!抵抗しろ!魅了を跳ね除けろ!お前は人間なんだ!
淫魔と戦う淫魔ハンターなんだ!断じて淫魔の夫等では無い!
「ほら、横になって…」
「うん…」
彼女がベッドに寝かせてくれた。そして後から抱き上げてくれた。
なんて暖かいんだろう。なんて柔らかいんだろう。
何をしている!何を言っている!体は許しても心は許すな!
「今から貴方がもう苦しまなくて良い様にしてあげるわ」
「…え?」
何をされるんだろうか。暗示?洗脳?何でも気持ち良さそうだ。
彼女の愛し方は何時もとても甘くて優しくて、幸せにしてくれる。
楽しみにしている場合じゃない!楽しみにしちゃいけない!
「人間であった事なんて、もうどうでも良いの。貴方はもう私の夫。
そして私の娘の父なのよ。それを自然にしてあげる」
「どうやって…?」
ああ、頭がボーッとしている。でもそれが幸せなんだ。
これから彼女が何をしてくれるか上手く想像できないが、
すぐに分かる。きっと気持ちいい。とっても楽しみだ。
なんだか気になる事もあるが…何だっただろうか?
「あー、あー…」
あ…俺と彼女の娘が近寄ってくる。這い這いしている。可愛いな。
まだ生まれたばかりなのにもう這い這いが出来るなんて、流石…
淫魔!!
「く…来るな!」
「うー?」
「来るなぁあああ!!」
止めろ!俺をそんなつぶらな瞳で見るな!俺はお前の父親じゃない!
俺は人間だ、俺が淫魔を娘に持てる訳が無い!訳が無い!!
そう叫びたいのに。立ち上がって走り出したいのに。逃げたいのに。
すりすり…
「大丈夫、大丈夫よ…貴方の娘よ、怖くないわ…」
「ああああ…ちがあう…」
彼女の手足に撫でられるだけで、体をすりつけられるだけで
身も心も自由が利かなくなる…まるで睡魔に包まれる様な…
俺の理性が、俺の人間たる証が眠らされてしまう!
「違う…違う…!」
「何が違うの…?貴方と私とこの子は家族なのよ?」
「違うっ!俺は、俺は人間だ!俺が新たな淫魔を生み出す訳がない!」
「いいえ、貴方は淫魔よ。私のとっても愛しい夫の淫魔…」
「俺は人間を守る人間なんだ、人間を滅ぼす淫魔じゃなぁあああいい!!」
「貴方は淫魔よ。だって、貴方は今から私たちの娘を育てるんだもの。ほら」
かぷっ。
「うっ!?」
何時の間に!俺の…違う!彼女の娘が俺のペニスを頬張った!
軽く歯を立てられながらしゃぶられている…!
「ほら、出してあげて?この子はお父さんの精液が必要なのよ」
「………!!」
誰が出すものか…!彼女になら喜んでいくらでも精液を差し出すが、
俺は夫であっても父じゃない!娘になど精液を出して堪るか!
そうだ、これは俺の戦いだ!ここで精液を出さなければこの娘は
育たずに飢え死にする!そうすれば俺は人間だ!淫魔じゃない!
「じゅっ、じゅっ…」
「う…く…!」
甘噛みまじりの吸引が、軽い痛みをアクセントとした快感を紡ぎだす。
「じゅっ、じゅっ…」
「くう…?」
だが、それだけだ。しきりにちゅうちゅうと吸われるだけで、イきそうにない。
何故もっと舌をすりつけて来ないのだろう?何故唇で圧迫してこないのだろう?
袋はほったらかしだし、竿にも触ろうとしない。ただ吸っているだけだ。
「あらまあ、この子ったら。生まれたばかりにしても下手だわ」
そうか!いくら淫魔と言えど、生まれたばかりなら弱いんだ!下手なんだ!
彼女の魂ごと吸いだされる様なフェラチオには遠く及ばない。
これなら我慢できる!射精せずに済む!我慢すればいいだけだ!
「んじゅう、うじゅる…」
「う…う…う…」
大丈夫、我慢できる。むしろこの程度ならイこうとしてもイけない。
比べ物にならないフェラチオに慣れているんだ、これなら…
きゅっ!
「ひっ!?」
「駄目よ貴方。この子に意地悪をしちゃ駄目」
乳首が!彼女に乳首をつままれた!弾かれただけで頭が
真っ白になる程開発された乳首がこすられる!
「んんっ!」
ペニスが!ペニスが膨張した!彼女に乳首をいじられたせいで!
ダメだ、行くな、出すな!こんなフェラチオで出すんじゃない!
「出してあげて…?この子に、飲ませてあげて…?ふうっ」
「ああっ!」
首に息が!くすぐったい!体が震える!ああ、ダメだ、出るな!
ダメだダメだダメだァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
びゅるっ!ぶしゅっ!びゅっ!
「んんん〜っ!!」
「ああ、あ、ああ、ああああ!!」
そんな…出ている…出してしまっている…娘に、精液を、与えてしまった…
おおお…飲まれている…とても美味しそうに飲んでいる…!?
育っている!僅かずつだが、目に見えて大きくなっている!頭も、体も!
ぱちっ。
目を…開けた…彼女とそっくりな目…だが、瞳の色は俺と同じ…
「ふふっ…美味しかった?」
こくっ。
「ひゃっ!」
「そう、じゃあもっと一杯貰いなさい。今度は舌でナメナメしながらよ」
こくっ。
「ううっ!」
娘が俺のペニスに吸い付いたまま頷く物だから、俺のイッたばかりのペニスが
萎える事を許されない。しかも既に彼女の言葉を理解している…まさか!
「んじゅっ…れろれろ…」
「うぁああっ!」
やっぱり!今度は吸うだけじゃなくて舐めてくる!さっきより格段に気持ちいい!
もう本能だけじゃなく、学習まで…これが成長!?これが育つと言う事なのか?
「んちゅっ、ぺろぺろり…」
「う、ああ、いいっ、気持ちいい…!」
気持ちいい!舌で舐められるのが気持ちいい!ただのフェラチオの筈なのに、
彼女のテクニックにはまだまだ遠く及ばない筈なのに、驚く程気持ちいい!
「タマタマももみもみしてあげなさい。そっと、優しくよ」
「ん〜…」
さすさす…くにくに…
「あああう、ああああ!で、出る…!」
何故だ!確かに気持ちいいけど、こんなの我慢出来る筈なのに!
我慢出来ない!出したい!出してあげたい!飲ませてあげたい…!!
どぴゅうっ!びゅるるるっ!
「ん〜…ん!んぐ、んぐ…」
ま、また…出してしまった…なんて気持ちいいんだ…それに、不思議な
安らぎと満足感が…恐怖と罪悪感が減っている…なんで…
「んん〜…美味しい!」
あ、また大きくなった…これがこの子の声…綺麗で、可愛い…
「そうでしょう?パパの精液は最高でしょう?ね、もっと飲ませてもらいなさい」
「うん!パパ、もう一回ちょ〜だい!ね、良いでしょ?」
「………」
もう一回…だと。もう一回飲ませて、この子を更に育てるのか…?
それって、素晴らしい事なんじゃないのか?自分の娘に美味しい物を食べさせ、
成長を見守れる。これって凄く幸せな事なんじゃないのか?
違う!俺は…俺は娘に精液を…飲ませてあげたい…飲ませては駄目なのに!
「あれ〜?パパ〜?」
「パパは恥ずかしがりやさんなのよ。でもパパも貴女に美味しい精液を
出してあげるのは大好きなのよ。だから安心してお飲みなさい」
「そうなのか〜。分かったよママ!」
何を考えているんだ俺は!俺は人間…なのか?本当に淫魔じゃないのか?
違う!駄目だ!どうなってしまったんだ俺の心は!?俺が、俺じゃなくなる!
ああ、あの子がまた俺のペニスを…しゃぶってもらえる…飲ませてあげられる!
「んちゅっ!」
「はあぁああ…いい…」
気持ちいい…相変わらず彼女に比べれば下手だけど、彼女の物とは違った
愛情が込められている…心が酷く温かくなっていく。満たされる…
「ちゅう、じゅる、ぺろ…パパ、気持ちいい?」
「ああ…いいよ、気持ちいい…」
違うんだ、俺は君のパパじゃ…パパじゃない…パパになりたくないのに…
ああ、でもとても美味しそうだ。俺がこの子をこんなに幸せにしているんだ。
俺も彼女もこの子も幸せ。何もかもが素晴らしいじゃないか…
「それじゃ、また出してくれる?」
「………ああ。もっと、吸って、良いよ…」
「は〜い!んじゅぅうううう…!」
気持ちいい…!出る、いや、出す!俺が、出してあげるんだ、この子に!
ぶぴゅうっ!ぴゅるるる…
「んぐ、んくっ…あれ、少ないよ〜?」
「う…ごめんよ…」
流石にもう量が減ってきたか…もっと、飲ませてあげたいのに…
あ、でも飲ませれば飲ませる程この子が成長して、いずれ人間を襲いだして…
あ、でも飲ませれば飲ませる程この子が成長して、皆幸せになって…
ダメだ、もう訳が分からない…俺は、淫魔なのか?人間なのか?
俺は父親なのに娘に十分精液を飲ませてあげる事も出来ない…
俺は淫魔ハンターなのに他の人間を淫魔から守る事も出来ない…
「うっ…うううっ…う、ううううう…!」
「わ、パパ、どうしちゃったの!痛かった?」
「大丈夫よ、パパは疲れちゃっただけ。そうよね?パパ」
「ううう…もう、嫌だ…苦しい…」
「パパ〜、泣かないで〜」
「苦しい時は家族で一緒に寝ましょう?大丈夫、ゆっくり休めば
疲れも悲しみもみ〜んな消えてなくなって、楽しい明日が始まるのよ」
寝る…それも良いかも知れない。夢も見ない程深く寝てしまえば、
もう考えなくて済む。一晩妻と娘の匂いと体に包まれて眠れば、
きっと朝になる頃にはもう人間の心なんて消えてなくなっている筈…
「明日はお祝いにしましょう。一日遅れになるけれど、娘の、
そして私たちと言う家族の誕生日なのだから。ね?」
「わ〜い!一杯気持ちよくしてあげるからね、パパ!」
そうか…俺は寝たら、もう人間じゃなくなって、淫魔として生まれ変わるのか…
それは嫌…じゃない。もう苦しみたくない。幸せになりたい…うん、寝よう。
「おやすみ、あなた」
「おやすみ!パパ」
「ああ…二人ともおやすみ」
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