■二日目
時間的には一瞬であっても、転移は体に負担がかかる。寝ついてしまえばそこから先は六人ともぐっすりだった。
かくして、あっという間に空には朝日が昇り、寝起きの良い子から順に起きだしていく。
だが『寝る子は育つ』という格言を実践している訳でもないのだろうが、なかなか起きない寝ぼすけが約一名いた。
「……お姉ちゃん、起きて。朝だよ」
「んに。リリーあともうちょっと〜。おねがい、5分だけー」
全く起きてくる気配のないベルを見かねて、とうとうリリーが声をかける。
得てして『あと5分』という奴ほど、その5分が全く当てにはならないのだが、ころんと頭の位置を変えてベルは猫のように丸くなった。
「でもお姉ちゃん、もうみんな起きて待ってるよ。ね、おきてよぉ……」
「にゃあ……本当にあと少、しぃ」
困った顔で背中を揺するリリーと、しっかり抵抗するベルという、我が家にいる時と全く変わらない朝の風景を繰り広げる二人。
だがその時、いつまで経っても起きないベルの頭上に何かが降ってきた。
「べーるー! おっきろー!!」
ぎゅむ。
「わぁ! しゅ、シュガー何するんだよ!? ……んぶっ」
抗議を完全に無視し、まだ毛も全く無いつるつるの秘部をベルの顔にシュガーがグイグイと押し付ける。酸欠からか段々と顔が真っ赤になり、ひっくり返った亀よろしくバタバタと手足を動かすベルを見て、慌ててカリンとリリーがシュガーを引き離した。
「おっはよ〜」
全く悪びれた様子もなく、手をひらひらさせて微笑むシュガーにベルが怒鳴った。
「シュガー、こういう起こし方やめろー! ボクをころす気!?」
「だいじょぶだいじょぶ、あたし達ってこんなんじゃしなないもん」
確かにシュガーの言うとおり、剣で斬りつけようが、魔法で焼かれようが屁でもないのが淫魔である。無論、だからと言って窒息させれば怒るのも当然だが。
けれどベルの怒りも大きな腹の虫ですぐにかき消えた。
「ん……おなか、すいたぁ……」
幼い子供特有のぽっこりしたお腹を撫で回していると、カリンが様子を見にやってきた。
「あ、ベルもようやく起きたのね。じゃあさっそくみんなで出かけましょうよ、わたし達だけでやるはじめての狩りへっ」
「あはははっ。こんなわくわくしてるおねえちゃん、ひさしぶりに見るー!」
普段はおしとやかなカリンもつい声が弾んで、興奮を隠しきれない様子だが、それは殆どの子がそうだった。
「最初はなにを使おうかなぁ……私もとっても楽しみ。……あ、なんだか考えてたらちょっとぬれてきちゃった……」
袋の中に詰め込んであるメルル愛用の淫具の数々を眺めながら、色々と思いを巡らせているうちに興奮してきたのか、メルルの股から足へ、つーっと透明な何かが流れていた。
子供であっても淫魔である。人間の子とは根本的に違うのだ。
ただしまあ何事にも、例外というのはあるもので。
「……ね、ねえ。みんな、こわくない?」
胸の前で両手をぎゅっと組んで不安そうにリリーがぽつりと呟いた。そんなリリーの気持ちを吹き飛ばすように、ベルがリリーの髪の毛をくしゃくしゃにかき回す。
「リリーはほんと心配さんだなぁ。ボクがちゃーんと守ってあげるし、リリーはどーんとしてればいいの! さ、いこいこっ」
まだ不安げなリリーの手を強引に引っ張って歩き出そうとするベルの前に、リーフが無言で立ちふさがる。
「……? どうしたのリーフ?」
「ベル。街道の方向は反対」
「し、しってたもん!」
顔を真っ赤にしてプイと横を向くベルに、みんなが笑った。
******
「……この辺なら」
街道の方からは樹木が影になり、反対にこちらからは様子を伺える場所を探して、リーフが足を止める。
「でも、どうやって捕まえよ?」
「そうね。人間をおそう方法はいっぱいおそわってきたけど、どうしようかしら」
ベルとカリンが頭を捻る。
気づかれないよう後ろに回り込んで押し倒す。強烈な淫気をあてて動けなくさせる。
魅了して逆に惹き付ける。などなど色々と親は教師などから教えては貰っているのだが、いざ実践となると緊張するなという方が無理だろう。
「はいはーい! くぱぁっていっぱいひろげて『おにいちゃん、いれて』っておねがいすればいいとおもう〜」
だが皆が神妙な顔で考え込む中、シュガーの能天気な声が周囲に響いた。
「はい却下。あのねシュガー……自分から淫魔だっておしえて、どーするの」
「えー」
シュガーの提案は当然ながら、カリンに1秒で切り捨てられた。
「人間には『ちっちゃい子だいすき!』って、へんたいさんが沢山いるのは知ってるけど、みんながみんな……って訳じゃないもんね」
メルルの方からも冷静な意見が返ってくる。その時だった。
街道を一人の恰幅の良い男が通っていく。それもパッと見るからに何の力も無さそうな一般人で、護衛もなし。まさに子供達にとっては絶好の餌である。
しかし悠長に作戦会議をやっていたら、このまま逃げられてしまうのは明白だった。
「どうしよう、すぐに行かないと逃げちゃう」
焦る皆を前に、カリンが立ち上がった。
「じゃあわたしがお母さんと一緒に来たときにやった方法で、ちょっとやってみるからみんなは見ててね」
「で、でも……カリンちゃん一人で……大丈夫……?」
おろおろするリリーに、カリンは笑いかける。
「心配しないで、ふつうの人間ってすぐに出しちゃうもの。ただお願いがひとつだけ。シュガーを捕まえててね」
「りょーかーい。言われるとおもったから、もうばっちり」
あたしもおねえちゃんと一緒に行くー! と足をじたばたさせるシュガーを、ベルが後ろから抱きかかえている姿を見てから、カリンは軽い足取りで一人街道へと向かった。
******
「……くそ。何故わしがこんな危険な橋を渡らなければならんのだ」
周囲を注意深く見渡しながら男は街道を一人進む。
男はこの辺りの街では、かなり名の知れた豪商であった。
だが先月大商いに失敗し、とうとう事業が破産確定となった為に、私財を裏で換金して街から高飛びの真っ最中だった。
金銭に余裕のある者は移動の際、淫魔に襲撃される危険から必ず護衛を雇った上で、馬車などで移動するのが常だ。
しかし、男の破産はまだ公表されていないものの、借金取りは確実に網を張っていると判断し、男は裏をかいて単身で街を出たのだった。
「連中もまさかわしが一人で街を抜けるとは思うまい。数時間も歩けばルートインの港町につく。そのまま船で国を出てさえしまえばわしの勝ちだ。海向こうの国でもう一度、一旗あげてくれる!」
男の読みは当たった。淫魔に食われる命の危険を犯してまで、男が街を出るとは思わなかったのだろう。顔見知りの衛兵に金を掴ませ、するりと街を抜け出す事に成功したのだ。
早朝は淫魔もそれほど活動が活発では無い。文字通り自分の命をコインにした賭けである。
だが男は大事なことを忘れていた。
不運続きで事業を潰したばかりの今の自分には、運が絶望的にないという事を。
パタパタと駆け寄ってくる足音を聞き、男は慌てて周囲を見渡す。
まずい淫魔か……!? だとしたら全力で走って逃げなければ!
だが、男の視界に入ったのは、10に届こうか届くまいかという感じの、黒いドレス姿の貴族の令嬢のような少女が不安げに俯く姿だった。
「……お嬢ちゃん、どうしたんだい?」
「……ママと……はぐれちゃった……う……ひっく」
瞳に大粒の涙を浮かべる姿、そして立派な服を着ていた事もあり、男はつい張り詰めていた警戒を解いてしまった。
まだ子供の為に淫気がパッと近づいた位では分からない事など、多くの事が災いしたのだが。
『ふぅ……驚かせてくれる……。しかし迷子の親探しなどしてられんな』
降って湧いたこの厄介事をどうしようかと、男は考えを巡らせる。だが、流石に完全に無視して見捨てるのも良い気分では無かったのだろう。
「この道をまっすぐ行くと、15分もすれば街に着くよ。後は衛視のおじさんに聞けば、ちゃんと探……ん……!?」
街までは近いので、てっとり早く街への道だけ教えて衛視に押し付けるつもりだったが、男の言葉は途中で遮られた。
カリンの小さな唇が男の口を塞いだからだ。
男の思考が止まっている間に、まるで熱いナイフがバターを切るよりも易々と、カリンの舌は奥へとあっさり侵入し、口腔内を満遍なく蹂躙していく。
「ん……ちゅ、んん……」
「――!? っ……!」
それは時間にしてほんの数十秒程度のキスだった。だが、カリンが唇を離すと同時に男の膝はカクンと折れ地面に横たわった。
「おじちゃん、わたしのキスはどうでした? えへへ」
「ち……力が……入ら……ん」
身動きが取れなくなったのを確認してから、カリンが『みんなおいで〜♪』と手を振ると、木陰に隠れていたシュガーとベルがやってきた。
「おねえちゃんすっごーい!」
「ほんとほんと。カリンだったら、一人だけでも何とかなっちゃったりして」
ここにきて、ようやく男は自分の置かれている状況を完全に理解した。
「淫……魔……!」
逃げなければ精液を搾り取られて殺される。その事が分からない人間などいない。
膝に力が全く入らない中で、男はまるで芋虫のように無様に地面を這いながら、それでも少しでも遠ざかろうとする。
だが男の僅かな希望を打ち砕くように、その前に別の影が下りた。
「残念でした。もうあなたはぜったい、逃げられないよー」
「あ、あの……。苦しくはしないので……いっぱい、出してください」
「ひぃっ!!」
メルルとリリー、そして無言で佇むリーフの三人が男の逃げ道を完全に塞ぐ。
「それじゃあとりあえず、みんなで脱がせちゃいましょう」
カリンの言葉が合図となり、子供達は一斉に男にのしかかる。
瞬きをする合間に、男はあっさりと全裸にされてしまった。
「あれ? おじちゃん、ボクたちのはだか見てこーふんしてるんだ。変態さんだねー」
男根が天を向いてはちきれんばかりに膨張しているのを見て、ベルがからかう。
「そ、そんな訳があ……う、うぐぁ……!」
男の否定の言葉は、ベルが素足で男のモノをぐりぐりと刺激すると途中からあえぎ声に変わった。
「ほーら、先っぽこんなぬるぬるにしてるもん。やっぱり変態さんだぁ」
ふざけるな、淫魔と言ったってまだガキじゃないか……今にみてろ……!
心の中で罵るが、今の男に無駄口を叩いてる余裕はない。
歯を食いしばりながらも男は必死に耐え、反撃の機会をうかがっていた。だがやけくそで飛びかかって来そうな気配を感じたのだろう。パッとベルは足を離す。
しかし、ホッとしたのも束の間、すぐにカリンが丁寧に棹を舐め上げ、メルルが玉袋を微妙な力加減で優しく揉みながら吸いあげる。
「んん……出していいんですよ? そうすれば、頭がまっしろになって、ずーっと気持ちいいままでいられるの」
「……むぐ……んぅ……ねっ」
男は既に、二人の言葉を否定する余裕さえ無かった。
強烈な射精感を、手の爪を腕に思いっきり食い込ませその痛みでぎりぎりどうにか耐えているような状態だったのだから。
「ありゃりゃ。カリン、思ったよりがんばるね、この人間」
「そうみたい。やっぱりまだ、お母さまみたいにはいかないんだなぁ……。でも、あと少しだと思うけれど」
カリンの言うとおり、このまま続けていても1分後には全て終わっていただろう。
けれど、しばらくうずうずしながら黙って見ていたシュガーが、間に割って入ってきた。
「えへへ〜。じゃああたしのおまんこで、ぎゅーってして出させてあげちゃおっと!」
「あ、こら! シュガーはまだ中でするのは早いわ、やめなさい!」
子供であってもシュガーも立派な淫魔。前戯の必要などあるはずもない。
カリンの制止にも構わず、シュガーは上にのしかかると、大きく脈打つ男根を自分の割れ目へとあてがい一気に腰を下ろした。
膣壁をまくりあげて、すっぽりと中に納まる男のペニス。
「くぅん……おじちゃんのおちんちん、はいったぁ……」
「う、動かすな出る……!」
挿入直後からシュガーの秘肉はきゅうきゅうと精液を求めてしまり、今にも射精しそうになる男だったが、それ以上に意外だったのはシュガーの方だった。
「あ……かはぁ……! お、おちんちん……おっきい、きもちいいよぉ……!」
これまで淫界で子供達が食べていたのは、淫界に連れられ身も心も熔けて堕ち切った、養殖用の人間である。
快感に対する耐性など皆無で、蕩けきった笑みを浮かべたまま精液を吹き上げ、やがて死に至るだけの相手と、まだ呪縛もされておらず反撃する気力の残っている人間では、天と地ほど違うのだ。
男をなめきっていたシュガーは挿入してすぐ、その考えが大間違いである事を知った。
「く……! こ、こんな所で……死ねるかぁ……!」
カリンとのキスで碌に動けなかった体も、時間が経って力が戻ってきたのだろう。
追い詰められて窮鼠と化した男は、最後の力を振り絞って腰を突き上げる。
未発達な乳首に吸い付かれた状態のまま、太い男根がシュガーの秘部を突き上げ何度もこね回される中、ぽたぽたと愛液を滴らせながら、シュガーは一気に高められていった。
「ひぅ……あっ、あーっ、おじちゃんやめてぇええ! お、おねえちゃんたすけて……あたし、いっちゃうよぉ……!」
性器が擦れ合う卑猥な音が響く中、口の端から涎をたらしながら、シュガーは姉に助けを求める。
だが、シュガーが嬌声の混じった助けの声を上げるよりも早く、リーフが動いていた。
「……彼の者の動きを止め、我々の責めを助けよ……!」
早口で呪を呟き懐から小さな黒檀の魔法の杖を出すと、リーフは男に向けて杖を小さく振る。すると、それまで勢いよくずちゅずちゅと派手な音を立てて動いていた男の腰がピタリと止まった。
「……か……金縛り……こんなガキの淫魔が……!?」
大きく瞳を見開いて驚愕する男だったが、それも長くは続かなかった。妹の身の危険を察していたカリンが男の後ろに即座に回りこんでいたのだ。
「イきなさい!」
言葉と同時に、カリンの指が男の肛門に深々と突き刺さる。
「あ、あ、あああああああ!」
限界寸前の男に、全く経験の無い尻への刺激は耐えられるレベルを超えていた。悶絶しながらシュガーの中へ、どくどくと大量の白濁液を注ぎこむ。
「……あはぁ……。いっぱい……はいってる……」
幸せそうな顔をしてそれを受け止めるシュガー。それが収まってから、シュガーはそっと秘部から男根を引き抜いた。
「シュガー、しっかりしてシュガー! だいじょうぶよね!?」
「あ……うん。びっくり、したぁ」
とろんとした瞳をカリンに向けて、シュガーは小さく首を縦に振る。
無事なのを知って皆がほっと胸を撫で下ろした。間違いなく誰より一番ほっとしたであろうカリンはシュガーを抱きしめた後、そのまま一気に説教モードへと移行する。
「シュガー!! あれほど言ったでしょ、勝手なことするんじゃないって! リーフやわたしの助けがおくれたら、どうするつもりだったのよ……!?」
シュガーを抱きしめたまま大声で怒鳴るカリン。
しかし、そんな姉妹愛をバックミュージックに、男の運命は坂道を転がるように破滅へと向かっていく。
「友達のシュガーに、あーんなことしてくれたお礼だよ。『さんばいがえし』ってのをしてあげないとね」
「た、助けてくれ……! 金でもなんでも他の物は全部やるから命だけは……」
必死で命乞いをする男だったが、そんなものは完全に無意味だった。淫魔が欲しいのは、男の精液だけ。つまり男の命そのものなのだから。
「じゃあまず一回目〜」
グリグリと、先ほどしたよりもずっと強く足を押し付け、さらには先っぽを直接爪にひっかけ刺激する。
「で、出る、出るっ!」
柔らかい足の感触に加え、一度イき呪縛された男が抵抗できる訳もない。
噴水のように大量の精を吹き上げて男は射精した。
「いっぱいだしたねー。じゃあもういっかい」
「や、やめ……あ、ああああああ!」
顔にも飛んだ精液をベルは舌でおいしそうに舐めながら、今度は指と指の間にペニスを挟みこんでぎゅうううっと強く圧迫する。
「あがああああ、いく!!」
スマートとは言えない悲鳴をあげながら、5秒と持たずに男はまたも絶頂に達した。
「はぁ、はぁ……。わ、私にも妻と娘がいるんだ、だから……ひゃ、ひゃすけ……」
「べー! もうちょっとでシュガー消えちゃうとこだったんだから! ぜったい助けてなんかやんないもんっ!」
射精のし過ぎで意識も朦朧としているのだろう。
呂律の回らなくなり始めた男の最後の命乞いを、無情にもベルが一蹴する。そして今度はメルルとリリーが膝をついて、今だ大きくそり立ったままのペニスを、二人で同時に舐め上げた。
「あは。双子のちっちゃい女の子に、なめなめされるのってどうかなぁ?」
「一滴残らず全部出して……」
ぴちゃぴちゃと音を立て唾液をたらしながら、カリや尿道孔、そして裏側から全体へとなめ、咥えこみながら刺激していく。
「………………!!」
淫魔特有の、まるで膣に押し込んだ時に似た、ねっとりした生暖かい口の粘膜が男の物を包みこむ中、最早悲鳴を上げることも出来ず三度男は派手に精を吹き上げた。
「私もリーフも、かおべとべとだね。ねえリーフ、おいしい?」
「うん……とっても」
姉からの問いかけに、リーフは頬を染めて、嬉しそうに小さく首を縦に振った。
それから、一滴でも無駄にしたくないとばかりに、射精したばかりで小刻みに震える男のペニスを咥えこむとちゅーちゅーと吸っていく。その様はまるで、ストローでジュースを最後までのみほす子供の仕草のようだった。
「あ、あへ……は。きもちいい……もっ……と」
とうとう限界を超えたのだろう。
男の口から命乞いの言葉が漏れることは、もうなかった。理性も吹き飛んでしまったのか、壊れた笑みを浮かべて、男は快感に溺れ狂う。
「すっかりおちちゃったね。ほら、そんな隅っこいないで、リリーもおいでよっ」
それまでずっと、何もできずに様子を見ていたリリーもベルに呼ばれて、おずおずと側にやってくる。
「ええと……おじさん。どうして欲しい、ですか?」
呪縛された男など、何も聞かずに蹂躙してしまって全然問題ないのはリリーも知ってはいるが、それでもついつい聞いてしまうのは性格なのだろう。
「なか、なかに、つっこみた……い……」
「そうなんだ……じゃ、じゃあ私の中で、いっぱい出して、ください」
リリーは指で自分の膣を一杯まで広げると、半分ほど突き入れ優しく出し入れする。リリーとしては自分の前戯のつもりだったが、それだけで男は絶頂に達した。
「あ……中にはいってくるよ、お姉ちゃん……。うぅ……でもまだ奥までいれてないのに……それにちょっと薄い……」
「うんリリー、やっちゃえやっちゃえー」
気弱で臆病であっても、リリーもやはり淫魔の子。
性交を初めて自分の心に火がついたのか、リリーは既に射精人形と化した男の上に騎乗位でまたがるようにして、奥まで突き入れ抜き差しする。
「ひおぁああえあぉあ……!」
嬌声なのか悲鳴なのかさえ分からぬ声を上げて射精しながら、男はとうとう白目を剥いて気絶してしまった。
「……あ、ぅ」
それまで殆ど本能的に精を吸い上げていたリリーだったが、身じろぎ一つしなくなった男の姿に、我に返ったのだろう。
膣からペニスを引き抜くと、なんとも言えない複雑な表情で皆を見る。
「あれ? どうしたのリリーちゃん?」
メルルが不思議そうにリリーの方を見る。
まだトドメは刺していないよ? とでも言いたげだった。
尤も姉のベルは、リリーが何を考えてるのか分かってるのだろう。
『あーあ。リリーったら相変わらずだよ』と大げさに肩を竦めている。
「え、えっと、私こわくて……うぅ」
自分の手で絞り殺すのは気がひけるのだろう。リリーは目を伏せて俯く。
最後の一滴まで搾り取るのは淫魔の基本。それどころか、獲物にトドメを刺す最後の射精の時が一番興奮するという淫魔も、全く珍しくない。
リリーのような性格の淫魔が稀と言われるわけである。
だがその時、シュガーの手を引いてカリンが戻ってくる。
「うー、みんなごめんなさい……」
うなだれるシュガーの股間からは、溢れた精液がつーっとつたっている。ついでに頭には大きなコブが1ヶ。恐らくカリンに殴られたのだろう。
「迷惑かけてごめんね、みんな。って……わっ。この人間もう死んじゃった?」
「あ! そういえばカリンちゃん、まだだったんだっけっ。ごめん忘れてた! えーと、気絶しちゃってるけど、まだ生きてはいるよ」
「もうしょうがないなぁ。じゃあ最後はわたしにちょうだい」
頭を下げるメルルやベルを見て苦笑いした後、カリンは気絶した男を抱き起こす。そして一番最初のように唇を塞いだ。ただし今度は相手を窒息させる為。
そして男の顔が赤くなって来た所で口を離すと、男は強制的に意識を取り戻させられた。
「うふふ。おじちゃん。ね、わたしにどうして欲しいかな?」
「も、もっ、もっ……モット……」
カリンの問いかけに、何度も何度も男は首を縦に振る。完全に快感で脳がいかれたのだろう。
膨れ上がった男のペニスを、子供の中では非常に大きい部類に入るカリンの胸が優しく挟み込む。
「それじゃあ、さいごはわたしの胸でイってね、おじちゃん」
聞いていないのを知っていながら、あえて可愛らしくカリンが話す。
ぎゅうっと両側から胸で押さえつけて刺激しつつ、先をちろちろと舐め上げるカリン。
数秒後、最後に残っていた男の命の残滓とも思えるような精液が迸り、カリンの胸と顔を汚す。
やがて身体を大きく痙攣させると、男はピクリとも動かなくなった。
「みんな出しすぎよぉ、すごく薄くなっちゃってるもの」
「ごめんごめん。そうやって考えたら、シュガーが一番濃いのもらったのかな?」
「うんっ、おいしかったしすごいきもちよかった! あいた!」
嬉しそうに語るシュガーの頭をカリンが思いっきり叩いた。ちゃんと反省しなさい、ばか! という怒声もつけて。
「でも、ずいぶん大さわぎしたけれどみんな無事でよかったね、ほんとうに」
泣きそうなシュガーの頭をメルルが撫でながら、しみじみと言った。
「……うん。シュガーちゃん、無茶したらダメだよ……」
そしてシュガー以上に泣きそうなリリーに、頭のコブが二つになったシュガーもしゅんとなる。
ただ一人リーフだけが無言のままだった。
「まあでも、ご飯もたべおわったし……みんなでおさんぽにでも行きましょうか。人間の世界ってすっごく広いのよ。……あ、その前にあいさつしないとね」
カリンの言葉に、みんなもすっかり忘れてたとばかりに、子供達は既に物言わぬ死体と成り果てた男に視線をやった。
『ごちそーさまでした!』
淫魔も人間も食事後の挨拶は、全く同じ。
だが死体を前にしての、無垢で無邪気な子淫魔達の笑顔を、もし人間が見たならば。
間違いなく戦慄を禁じえなかっただろう。
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