「ふふっ、不用意に突っ込んでくるから、こうなるのですわ。芝山君」
竜胆摩耶は自分に組み敷かれた芝山良時の快楽にゆだねまいとこわばる表情を見ながら、ゆっくりと腰を振り、股間の中に捕らえた良時のペニスと闘志を、1枚1枚薄皮をむくように剥ぎ取っていった。
すぐに限界が訪れる。というより、もしかしたら我慢をしなかっただけなのかもしれない。良時は屈服の白旗をあげ、自ら摩耶の膣に肉棒を打ちつけ、その中に果てた。審判は男子の絶頂を表す白い旗を挙げる。
「何やってんだよ! お前はBF初心者か!」
仲間の戦況を見守る男子代表たちは、半分悲痛に、そして、半分呆れたような顔で、良時に怒鳴りつける。
「無理もありませんよ。あなた方だって、私と戦えばこうなる運命なのですから」
くすっ。摩耶はそんな男子代表たちを一瞥しているあいだに、良時は摩耶の背中にタップする。
「ダウン! ニュートラ……」
審判がダウンを宣言すると同時に、良時はすっと立ち上がり、審判に一瞬だけアイコンタクトすると、振り返って下がろうとした摩耶の肩に手を伸ばす。
あらあら。そんなに魅力的ですか? 私。と挑発しようと口を開きかけた摩耶の唇には良時の唇が重ねられ、肌を密着させるようにかたく抱き合うような体勢になる。
基本的に、男は女の肌を感じるだけでその象徴を掲げ、誇示しようとする。それだけで致命的な状態となるBFでは、こんな体勢は自爆行為だ。観客も、審判も、だれもがそれを疑わず、摩耶の色香に暴走した良時の構図を疑わなかった……摩耶、以外は。
(「なっ、何? この、舌使いっ」)
良時の舌を迎え撃った摩耶は、激しくも的確に口内を責め立てる良時の舌に、パニックを起こしていた。見開く眼前に、ふっ。と余裕の笑みを浮かべる良時の顔が大きく写った。
摩耶は必死に冷静になった。摩耶は舌使いは得意なほうではない。良時の舌使いは狡猾で、まともに相手をしていたらこのままペースを握られてしまう。そう判断した摩耶はキスから逃れることを選択した。
とはいえ、がっちりと抱きしめられているこの状況では、脱出にはそれなりに力をこめる必要がある。摩耶は体をよじって何とか口を離そうとする。
「ぷはっ」
摩耶はあっさりと良時の唇から逃れる。いや、良時が逃れさせたというのが正しいだろうか。次の瞬間
「あっ」
という間に、摩耶は体をよじった反動を利用され、良時の腕の中で180度回される。後背立位。というより、良時が摩耶を後ろから抱きしめる格好になる。
摩耶は内心しまった。と思った。先ほどまでの体勢なら、まだ手は自由に動かせた。しかし、今摩耶の両手は良時が抱きしめ、肘より上は動かせないように押さえつけられている。まずは手の自由を取り戻そうと肘を曲げて良時の腕に手を伸ばそうとする。
「摩耶、さ。キスされるのとされないのと、どっちがいいよ?」
良時が抱きしめた手で摩耶の二の腕を優しく撫でる。
「芝山君のキス、すごく良かったよ。で・も、この体勢になったのはまずかったんじゃない?」
摩耶は大きくやわからな桃尻を良時のペニスに擦り付ける。摩耶の背後で熱く燃え上がる良時の魂の象徴が、摩耶の責めの気持ちを強くしていく。摩耶の最大の武器は、踊るように情熱的なそのヒップだ。その胸や腰に恐れをなして後ろに回った男子生徒は、例外なく昇天させてきた。
「んふふ〜♪ ちょっとぬるぬるしてきたんじゃな〜い?」
摩耶からは良時の顔は見えないが、きっと気持ち良いのを耐えているんだろうなぁ。と思っていると、
「摩耶……好きだぜ。お前のこと」
良時はそう言うと同時に、摩耶の右耳に息を吹きかけ、同時に右耳を舌で襲った。
「っつ……!」
びくっと体を震えさせた摩耶の体から一瞬力が抜ける。その隙を逃さず、良時は抱きしめた手でつん、つん、つん。とまるでつぼをつくように摩耶の腕、脇腹、臍などをすばやく撫でていく。
「っく!」
摩耶の体が硬直する。どうしてっ、どうしてこんなに気持ち良いのっ。
「愛してるからだよ。摩耶」
どくん。見透かしたような良時の優しい言葉に、摩耶の心臓が大きな鼓動を立てる。良時の愛撫は摩耶の気持ち良いところを掠め取るように次々と摩耶のの動きを奪い取っていく
「摩耶は、俺じゃ……駄目、かな?」
どくん。どくん。心音が大きくなっていく。摩耶は、愛されることが気持ち良いことに感じてきた。なに、私も芝山君のペニスをヒップで愛してあげれば良いんだ。摩耶は桃尻を動かし始めると、首を振って良時に答える。
「ありがと。俺の子供、生んでくれると嬉しいな」
あ、そうか。芝山君に中出しされてたんだっけ。摩耶はそう考えると股間がいとおしくなってくる。キスしよう。そんな声が聞こえて、摩耶は唇を良時に預ける。
情熱的なキスの中、摩耶は幸せで満たされて……
―イキたい。
そう、思った。それを感じ取ったのか、良時はポツリとつぶやく。
「さて、止めを刺してやるよ」
良時の言葉は摩耶には理解できなかった。気づいたら、抱きしめられていた身体の拘束は解かれ、優しくあお向けに倒されて……
「ああっ!」
良時のペニスが、摩耶を一貫きにした。
まるで試合開始当初、良時が摩耶に体とペニスを突っ込んだのと同じ構図だった。ただ、唯一異なるのは、迎え撃つ摩耶の身体は、いや、心すらも良時に愛されたい。と強く感じていたこと。
「いいっ! もっと! もっときてぇ! イカせて!」
乱れに乱れる摩耶は、流されるままに良時のペニスを受け入れ、自らの快楽のために腰を振り続ける。
「……!!」
程なく絶頂が訪れ、審判が赤い旗を揚げる。しかしまだ終わらない。良時は摩耶が求めるままに快楽を与えていく。2度、3度と絶頂が訪れる。
「そ、それまで! 勝者、芝山!」
審判が手を交差させて試合を止める。摩耶はすでに意識を繋ぎとめてはいなかった。
不思議な攻防を静まり返ってみていた観客の半数が、絶叫を上げながら歓喜の心を叫び倒す。
ふぅ。と一息ついた良時は、歓声には簡単に手を上げて応えると、副審の女子生徒に声をかける。
「悪いけど、後でこいつに『全部嘘だから本当に子供生むなよ』って伝えといてくれ」
じと目で睨みつける副審を見て、良時はにやっと見つめ返し
「俺がほんとに愛してるのは……お前だけだ。千尋」
千尋の肩をポン。と叩くと、良時は悠々とリングを降りる。
私は、竜胆さんみたいに甘くは無いわよ。千尋の心はどうやって良時を倒すのか。ということで埋め尽くされていった。
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