大会前日。
西校男子代表、白田冬彦は食堂にいた。
白田は緊張感の無い男だ。
明日が大会だというのに少しも普段と変わらない。
他校の代表と比べて、圧倒的に勝利への執着心が低い。
BFの選手としては珍しい、ゆったりした雰囲気の男だった。
体つきは悪くない。良く締まった体をしている。
西校のBF部内では"草食系ゴールデン・レトリバー"と呼ばれている。
褒められているのか貶されているのか不明瞭だが、
本人は気にしていない。
食堂で一緒にカレーを頬張っている友人の金子は、
白田のそういうところが気に入っていた。
「なぁ、白田。今度の大会、どうなると思う?」
「BFの?」
「他に何があるんだよ。
今年の代表はすげぇ奴が多いよな」
「そうだよなぁ、
学生のレベルじゃない奴ばっかりだよなぁ…」
実際に今年の選手は優れた選手が多い。
一つの学年にこれほど有望な選手が多く集まるのは稀だった。
マスコミでも今年の大会は大きく注目されている。
「お前、そんな奴らと戦えるの?
西校代表白田冬彦は」
「ひよこに迷惑掛けないように頑張るよ」
***
放課後。西校BF部部室。
小森ひよこは白田や他の部員と共に戦略を確認していた。
初戦でどの学校と当たることになるかは当日まで分からない。
今年は強い選手が多い。どの学校にも注意が必要だ。
だが、特に注意したいのは東校だ。
昨年の優勝校でもある東校には滋賀亮がいる。
練習試合で軽くプロを倒したこともある男だ。
容姿も体力も技術も完璧。
オールマイティ。何をとってもトップクラスの選手だ。
果たして自分に倒せる相手かどうか。
トーナメントの中でなんとか滋賀亮の弱点を探したい。
初戦で東校と当たってしまっては、どうしようもないが。
「ひよこー」
「名前で呼ばないでよ、犬」
「くぅーん、くんくん」
「うぇ。なんであんたそんなに緊張感が無いのよ、鬱陶しいわね」
「ひよこが気合入りすぎなんだと思うけどなぁ。
そろそろ、帰らない?」
「もう少し戦略を確認して、少し練習してからね」
小森ひよこは努力家だ。
彼女ほどに練習熱心な選手は他に居ない。
四六時中、張形で効果的な触り方を練習する彼女にとって、
男性器に触ることは性的なことではない。
興奮は生まれず、相手を効率良く射精させることだけが頭の中を満たす。
誰もがすぐに精液を漏らしてしまいそうな手つきに加え、
相手の弱点をすぐに探って大きな絶頂へと持っていく。
そういう戦い方をひたすら極めている。
更に男なら誰もが魅了されてしまうような体。
一度、劣勢になると弱い面もあるが、
小森ひよこは今大会の注目選手の一人だ。
***
白田と小森が家路に付いた頃、
秋校の女子代表、東雲さくらは男子代表の桂木裕輔と寄り添っていた。
この二人は入学する以前から付き合っている。
天才的なセンスを持ったカップルだと多方面から注目されている二人だ。
「ん〜、私が気をつけなきゃいけないのは、
やっぱり東校の滋賀亮かな。冬校の杉野も気になるけど」
「杉野広ね。キスからの丸め込むような責めが武器だったけ?
さくらが負けるとは思えないけどね」
「ふふっ、気をつけなきゃって言うのはね、
圧勝出来ないかもってことなの。
やるからには徹底的に叩き潰してやりたいでしょう?
悲鳴をあげるぐらい何度も射精させてあげたいの」
「怖いねー、さすがは秋校の女王様」
「裕輔も似たような趣味の癖にー、ドSな変態さん。
誰か目をつけてる子とかいるんでしょう?
徹底的によがらせたい、って」
「バレたか。誰だと思う?」
「小森ひよこでしょう?」
「さすが!! よく分かったね!!」
「ああいう、努力して努力し抜いた子を叩きのめすのは、
それだけでイッちゃいそうなくらい楽しいじゃない?」
「まさにその通り。
俺たちと当たる前に西校が脱落したらショックだよ」
***
大会当日。
日本BF連盟会長の声が会場に響き渡る。
「これより、▲▲年度BF大会をはじめます!!
予選を勝ち抜いた全八校によるトーナメント、
勝ち残った学校の生徒には栄光と膨大な賞金が与えられます。
皆さんが素晴らしい戦いを見せてくれる事を期待しています」
会場には円形のリングが一つ。
床は柔らかい素材で出来ている。
そのリングの中央に会長が立っていた。
「ルールは公式ルールです。
選手は各校男子と女子の2名。
各校の男子と女子が戦い、
達していた時間の合計で勝敗が決まります。
一秒間の絶頂を三回与えるより、
五秒間の絶頂を一回与える方が勝つわけです。
言うまでも無い事ですが、絶頂しているか否かは
最新のカメラと審判により正確に判断されますので、
ご安心ください。
絶頂時間は0.01秒まで計測されます。
ですからサドンデスの延長戦が行なわれる事はほとんどありません。
この辺りは最近のルールですから、
父兄の皆様方はご存じない場合もあるかもしれませんね。
試合時間は30分2ラウンド。
ラウンドで男女が入れ替わります。
順番はくじにより決定されます」
会場には人が溢れている。
代表選手、応援団、家族、マスコミ、そして大勢の一般の観客。
ルール説明が終わり、もうすぐトーナメント表が開示される。
誰もが高揚した気持ちでいた。
「それでは、トーナメント表を発表しましょう。
皆様、ディスプレイをごらんください」
***
開会式が終わり、西校の選手控室にて。
小森ひよこは既に服を脱ぎ、
入場用のマントに身を包んでいた。
「毎年思うけど、学生の大会なのにすごい賞金出してるよな。
スポンサーってのは偉大だなぁ」
「そんなことよりトーナメント表を気にしなさいよ。
第一試合、私たちなのよ?
しかも相手は冬校。強いわよ」
「そうだな、冬校は強いぜ!!
白田も小森さんも苦戦するかもな」
「金子は控室に入って来るんじゃないわよ。
私は犬と話をしてんのよ」
「そう言うなよ。一般向けに配られたトーナメント表を持ってきてやったんだから。
ついでに西校BF部一の情報通である俺のメモも添えといたぜ」
――西校 白田冬彦 (何でもこなす熱意不足)
┤ 小森ひよこ(手コキ上手な努力家)
――冬校 杉野広 (キスで相手を丸め込む)
石川詩織 (フェラで男を搾り尽くす)
――春校 河合浩 (愛液飲むのが大好きな変態)
┤ 三好志奈子(捉えどころのない女)
――南校 乾猛 (ピストンの鬼)
天宮ゆり (犯罪的ロリ)
――秋校 桂木裕輔 (天才カップル)
┤ 東雲さくら(天才カップル)
――北校 佐藤太郎 (後輩食い男)
鮫山香織 (BF好きというかセックス好き)
――夏校 宮城孝之 (地味)
┤ 玉川美野里(猫っぽいセクシー)
――東校 滋賀亮 (オールマイティー)
桃井桃子 (夢心地のパイズリ)
「北校の佐藤太郎が後輩食いって何?」
「北校の可愛い子は片っ端からそいつが味見しちまうらしいよ。
BF部とか関係無しに。子供出来ちゃった子も結構いるとか」
「避妊薬飲まないでやってんの?
なんでそんな屑が退学にならないのよ。本当なの?」
「さぁ。噂だからな。
それよりだ、白田。
お前が初戦で戦う冬校の石川詩織、かなり強いぞ。
連続して攻められるとヤバイ。
一回、二回の射精じゃ済まないぜ」
***
冬校、控え室にて。
女子代表の石川詩織は写真を見てうっとりと指を舐めた。
「白田冬彦…ふぅん…
広ちゃん、どう思う?」
「どうって、何が?」
「西校の白田って子の精液、おいしいかな?
顔つきと体つきからすると、
すっごくおいしそうなんだけど」
「そんなの俺が知るわけ無いだろ。
俺は小森ひよこを抱く事で頭がいっぱいなんだよ。
話しかけんな」
「広ちゃん」
「なんだよ」
「広ちゃんは負けても構わないからね、
私がたっぷり白田くんから搾りだしてくるから」
そう言って石川詩織はまたうっとりと笑った。
その表情があまりに扇情的で、杉野広はぞっとする。
***
入場前、小森ひよこは白田冬彦に囁いていた。
少し背伸びして白田の耳の近くで話そうとして、
大きな胸が白田の腕に当たる。
「犬。本当に頑張ってくれないと困るからね。
大差で負けたら許さないから」
「あぁ、ひよこに迷惑掛けないように頑張るよ」
「真面目に言ってるのよ」
「真面目に言ってるんだけどな」
***
リングに冬校代表杉野広、西校代表小森ひよこの二名が上がる。
二人ともまだマントで体を隠しているが、
マント越しにも、小森ひよこが魅力的な体型をしているのは明白だった。
胸の膨らみや腰の曲線を見せつけ、
冬校の杉野ににっこりと微笑みかける。
「すぐに射精させちゃうから、よろしく」
「それは楽しみだ。
じゃあ、俺が出した時間の倍は天国見せてやるよ」
二人同時にマントを脱ぎ捨てる。
会場中から歓声が沸きあがった。
「それでは第1ラウンド……はじめ!!」
先に攻めたのは杉野だった。
正面から小森の体を抱きしめ、
腕の中の彼女に優しく口付けをする。
濡れた唇と唇が触れあい、ゆっくりと密着し、また軽く触れる。
小森の喉の奥から小さな声が漏れた。
二人の唇の動きは艶かしく、
抱きしめられて歪んだ小森の巨乳は非常にいやらしい。
試合開始早々に、会場は熱を帯びてくる。
小森ひよこの大きな強みは手コキだ。
それを封じるために杉野はしっかりと小森に密着する。
こうして敵を封じ込めながら戦うのが杉野のやり方だった。
杉野の舌が小森の唇を軽く舐めると、
その舌を求めるように小森が舐め返す。
甘い吐息が小森の口から漏れる。
あっけないものだ。
もうキスに溺れ始めている。
我慢出来ない様子で小森の腰が杉野に押し付けられる。
小森を迎え入れるようにヒップに手を滑らせていく。
形の良いお尻を杉野に掴まれて、小森はまた小さく声を漏らした。
小森の腰が柔らかく動き、すべすべしたお腹がペニスを圧迫する。
そのまま上下に軽く滑ると、小森の肌に透明なカウパーがねっとりと付着した。
惚けたように杉野を求めていた唇がゆっくりと離れる。
その瞬間、杉野は名残惜しいと感じていた。
そう感じてしまっていた。
直後に大きな快感に捕らえられる。
「ぅあっ…」
「こんなに硬くしてカウパー垂れ流してたのに、
自分が優勢だと思ったの?」
小森の腰が離れ、二人の間に滑り込んだ手が綺麗な指がペニスをなぞっていた。
中指がカウパーに触れ、先端から根元まで滑っていく。
指先で触られただけだというのに、
杉野は熱い肉の中に捕らわれたような心地した。
責めていたつもりがいつの間にこれほど高ぶり、脱力していたのだろう。
小森の手を動かせまいと慌てて腰を引き寄せようとするが上手くいかない。
指先が絡みつき根元から精液を搾るように動き、先端は手の平で撫で回されていた。
カウパーが肌と絡み合い、ぬちゃぬちゃした音を立てる。
杉野が再びキスをしようとすると軽く避けられて、そのまま頬を舐められた。
「開始してからまだ十分も経ってないのに、
もう出しちゃいそうなの?
手の平にあなたのカウパーがたくさん溜まってるんだけど」
「お前だってキスであんな…にぃっ」
小森の手の動きがリズミカルなものに変わる。
一定のリズムで、押し込み、搾り出すように美しい手が動く。
カウパーが飛び散り、観客が完成をあげる。
咄嗟に杉野は反撃に転じようとしていた手を止め、
小森から離れようとする。
大きな射精感が急激に上り詰めていた。
ぬちゃぬちゃぬちゃぬちゃ――
上半身はしっかりと小森に抱きしめられている。
小森が激しく手を動かすのに合わせて、
押し付けられた巨乳が小さく揺れる。
小森を引き剥がすのよりも精液が迸る方が早かった。
「く、あぁっ…!!」
大きな快感に背筋が反り返る。
どばっと精液が迸り、濃厚なそれが小森の腹部をべったりと汚す。
杉野は手でこれほど感じさせられた事は無かった。
まだ精液が迸る。
誘い出すように小森の手が動かされ、
射精を止めることを許されない。
「もう出ちゃった。まだ出るでしょ? ゆっくり、たくさん私の手に出して」
何回もどくどくと精液を迸らせ、ようやく射精が終わる。
だが、小森の手は次の精液をそのまま搾り出すべく、
容赦なく杉野を責める。
「小森選手、9.72ポイント!!」
「少し触っただけなのに10秒近くイッちゃったんだ?」
息をつく間もない。
射精後の責めに耐えかねて、杉野は再び逃げ出そうとする。
このままでは一方的にやられてしまう。
一回体勢を立て直さなくては。
「イッたばかっりでこんなに激しく触れるのは嫌?
嫌じゃないでしょう? 触ってればわかるから、
あなたがまた精液漏らしそうなこと。
今度は何秒間イッてくれる?
いいよ、短くても。その代わり、何回も何回も何回も射精させてあげるから」
皺の一本一本に精液を塗り込むように指を動かしたかと思えば、
精液が泡立つぐらい激しくペニスを扱く。
強弱をつけながら確実に二度目の射精に追い詰められていた。
「ぃ…ちっ…このまま負けるかよ」
杉野は小森の可愛らしい耳にキスをした。
激しい責めを受けているとは思えないような、
甘ったるい優しいキスを耳に受けて、小森の体が小さく震える。
それは密着している杉野にしか分からないような小さな震えだったが、
それで彼には充分だった。
触れるか触れないかの軽いキスをしながら、
小森の耳を唇で味わう。
どの辺りが弱点なのかすぐに分かってくる。
小森の手の動きは変わらない。
だが、目の前の女の体の奥が熱を増しているのをはっきりと感じた。
杉野は引いていた腰を戻し、小森の脚の間に手を伸ばした。
耳へのキスに気を取られた小森は対応することが出来なかった。
腰や太ももを愛撫しながら、熱く濡れたそこに指が到達する。
触れていないのにこれだけ濡れているとは。
手技が得意でも基本は他の女と同じ、
抱きしめてキスをするだけで俺に溺れるのだ。
杉野の指がぐっしょりと濡れた秘所の表面を滑る。
小森は堪らない様子で声を喘ぎ声を漏らした。
今まで強気な調子で責めていた小森が漏らしたその声は、
非常に甘く杉野の脳に染みこんだ。
最初のキスもはっきりと効いていたことを確信する。
それを隠すべく、急戦を仕掛けてきたのだ、この女は。
耳へのキスを続けながら、愛液を絡めた指先で膣の入り口で円を描く。
次から次へと愛液が溢れてくるのを指先で感じる。
そのままクリトリスの方へ撫で上げる。
抱き寄せているヒップが小さく震える。
行ける、良い反応だ。
このまま攻めれば…
「ん…ふふっ…
そうやって、自分の手と口が相手を感じさせてると思ったとき、
一番興奮するんでしょう?」
喘ぎながらも嬉しそうに喋りだす小森の言葉に、
杉野は嫌な感じがした。
いや、はっきりと危険を感じた。
「心臓はバクバク、
呼吸の感じも変わる。
何より、ココの反応が全然違う」
ペニスを握る力が強められる。
少しの間、意識しないでいた小森の指の感触を強烈に感じる。
神経に直接快感を流し込まれてるみたいだった。
精液が煮えたぎっている。
もう、力を抜くだけで精液が溢れてしまいそうだ。
「キスは上手。とても上手かったわよ。
頭の中がとろけそうなぐらい気持ちよかった」
秘所に触れる手に意識を集中できない。
小森の声は甘いが、既に弱者を叩きのめす余裕を孕んだ甘さだ。
「だけど、そうしてるときにあなた自身が熱中しすぎて興奮しちゃうんじゃ…ねぇ?
私があなたの唇や指を感じて声を漏らしたとき、
あなたのここに凄い量の血が流れ込んだの。
今までよりも更に硬く張り詰めて、
精液も凄い勢いで作られて…少しも気付かなかったでしょ?
自分がイキそうなのに気付かない程、私を責める事に熱中しちゃってたわね。
おかげで、さっきよりもたくさん精液が搾り出せそう」
耳に小森の唇がそっと近づく。
杉野には歯を食いしばって耐える事しか出来ない。
そんな杉野を面白がるように、小さな声で囁き始める。
「でも熱中しちゃうのも仕方ないかしら。
好みの女性が自分の手で感じてくれたら嬉しいものね。
あ、私のこと好みなのは黙っててもわかるからね。
目を見て、声を聞いて、触れてみれば、すぐわかるの。
私みたいな子、大好きなんでしょ?」
嫌に甘く声が染み込んで来る。
もう耐える事が出来なかった。
「否定しないでね。
私も、あなたみたいな人のこと好きだから」
音を立て、栓が外れたかのように精液が噴出した。
勢い良く飛んだ精液は小森の胸の膨らみまで白く汚す。
「だから、この射精を頑張って長引きさせてくれたら、
私の中でもいかせてあげる…
たくさんキスしながら、奥まで注ぎ込んで欲しいな」
手による追撃は激しくない。
だが、杉野は射精を止めようとすることが出来なかった。
力むことが出来ない。
甘い快感と誘惑によって、中からも外からも妨害される。
指先が竿を搾り上げ、延々と射精が続く。
無意識のうちに、もっともっと射精しようと筋肉が伸縮する。
「そう、そう、頑張って、いっぱい出して…」
勢い良く迸っていた精液が、
ようやく溢れるだけになっていく。
「もうひと頑張り…こんな約束したことは他の人には黙っててあげるから」
じっくり時間を掛けて、ようやく最後の一滴が搾り出される。
「小森選手、18.40ポイント!!」
審判の声を聞いて我に返る。
体力を根こそぎ奪われたような気分だった。
18秒以上もいかされてしまった。
それも敵の誘惑に踊らされてだ。
最初の射精と合わせて既に30秒近く奪われている。
まずい。よくない。
(しっかりしろよ杉野広。
これ以上差をつけられれば、詩織が俺を許すはずがない…
もう少しもいかされるわけにはいかない。
反撃だ。反撃してやる)
「今からやる気になっても、
もう反撃の時間は無いよ。
時間の感覚が分からないぐらい気持ち良い30分だった?」
第1ラウンド終了を告げる鐘が鳴った。
「第1ラウンド終了!!
西校、27.12ポイント!!
冬校、0ポイント!!
選手を交代し、3分後第二ラウンドを開始します!!」
杉野広は呆然と立ち尽くしていた。
攻めていた時間が長いのか、攻められていた時間が長いのかも分からない。
小森ひよこと肌を重ねる事にそこまで熱中してしまっていたのか。
こんなことは今まで無かった。
「そうそう、謝っておくね。
私、あなたみたいに自惚れてる癖に小心なところがあって弱い人、
少しも好きじゃないのよ。ごめんね」
そう言って笑う、精液にまみれた小森ひよこはとても魅力的だった。
白田がリングから降りた小森に暖かい濡れタオルを渡す。
本来、これは選手ではなく後輩達の仕事だが、
白田はこういったアシスト的な仕事をやりたがる。
体液をだいたい拭き取った小森にマントを掛けてやりながら、
他人には聞こえない音量で囁きかける。
「お疲れ。やっぱりひよこは強いな。
でも、大丈夫か?」
「ふぅ…ふぅ……当たり前でしょ……
私に話しかけないでいいから、
石川詩織を倒す事に集中して」
(体が熱い……
もうちょっとでいかされちゃうとこだった……
少しぐらいイッちゃっても負けにはならないけど、
やっぱり私としては完封勝ちしたいもんね。
白田がどうなるか、わからないし)
リングの反対側では杉野広がうな垂れていた。
後輩たちは励ましの言葉を掛けながら彼の体を拭いているが、
石川詩織は彼を見下ろして笑っていた。
「負けても良いって言ったけど、
惨敗にも程があるんじゃないかなー、公ちゃん。
30秒取られたのはまぁまだ良いとしても、
それで相手のことは1秒もいかせてあげられなかったなんて。
清清しいまでのボロ負けだよ。
冬校の評判が下がっちゃうよ。
KO負けじゃ無かっただけ、マシだけどね」
「っ……惜しいところまでは」
「言い訳は聞きたくないの、公ちゃん。
今日のメインディッシュは白田くん。
あの子の精液をお腹いっぱい飲んでくるね。
だけどね、公ちゃん?
試合が終わった後のデザートは公ちゃんだよ」
「なっ…」
「明日以降に支障が出る?
大丈夫、今日駄目だった公ちゃんはどうせ明日も使えないよ。
準決勝も決勝もKO負けされないようにだけ気をつければいいよ。
だから、今夜、何も感じなくなるぐらい可愛がってあげるから、
覚悟しといてね、公ちゃん。
こんな負け方したんだから、失神したぐらいじゃ許してあげないよ」
石川詩織はそう言い残してゆっくりとリングに上がる。
残された杉野広の胸の中は屈辱と恐怖で満たされていた。
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