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「生死を賭して」第二部 後編

「さあ、いらして下さい」
ケイはベッドに仰向けになると、膝を立てた脚をゆっくりと僕に向けて開いた。
両足の奥に見えるワレメを、吸いつけられるように凝視させられてしまう。
ケイのマンコはすでに艶やかに濡れ、侵入してくる男を捕食しようとしている。
僕はケイのマンコを凝視したまま、またも恐怖で身体が動かなくなってしまっていた。
ヤバイ……このマンコはヤバイ……。頭の中で、僕の本能がそう警鐘を鳴らす。
ここに入れたら最後、僕はケイにすべて搾り取られてしまうだろう。
「ふふ……。アラン先輩のおちんちん、縮み上がっちゃってるじゃないですか」
僕ははっとして股間に目を落とす。
ベッドに上がるまではあんなにギンギンだったというのに、今ではケイの言葉通り、
僕のペニスは情けなくも縮こまってしまっていた。
あまりの恐怖に、ペニスが、戦うことを拒絶してしまっていたのだ。
「どうしますか? ベッドを降ります?」
くそっ……。敵を目の前にして尻尾を巻いて逃げるなんて、できない!
僕はぎゅっと目をつむると、心の奥底に潜んでいたたったひとしずくの勇気を振り絞った。
そのほんのわずかな勇気は、僕の胸の中で激しい炎となって燃え上がり、熱い血潮を
ペニスへと送り込んだ。
「ふふ……」僕の股間が膨張していく様を、ケイが楽しそうに見つめているのがわかる。
やがて、ペニスがはちきれんばかりに膨れ上がり、天へ向けて意気軒昂に
亀頭を伸ばしきったとき、僕はカッと目を見開いた。
「さあ、早くきて下さい」
ケイの手が僕をいざなう。
僕は言われるままにケイに覆いかぶさると、マンコにペニスの先をあてがった。
そしてケイの身体を一気に貫く! ……と見せかけ、僕は亀頭の先で入り口の脇を弄った。
「……焦らしてるつもりですか?」
「ふん、入れてほしいんだろう?」


僕は口元に笑みを浮かべて言う。これだけのことを言うのでさえ、僕は必死だった。
背中をつーっと冷たい汗が流れ落ちるのを感じる。
「先輩の言葉責めなんて、私には強がりにしか聞こえませんよ。ほら、早くきて下さい」
「そうか。じゃあ、お望みどおり入れてやるよ」
僕はそう言うと歯をぐっと食いしばり、へその下に精神を集中させた。
そしてペニスの先をもう一度マンコへあてがうと、ついに挿入を始めた。
びしょびしょに濡れた秘肉を割って、ケイの下の口へゆっくりと侵入していく。
ああ……。せ、せまい……。
あまりの気持ちよさに、思わずため息が漏れてしまう。
とてもじゃないが、奥まで一息に刺し貫くことなどできない。
くぅ……想像以上の気持ちよさだ……。
すでに僕の背中はじっとりと汗に濡れ、極度の快感のために腰が小刻みに震えてしまっていた。
僕はすでに射精感の高まりを感じ始めていた。
「うふふ、どうしたんですか?」
そんな僕のすべてを見透かすケイの言葉。
「私の奥は、もっとキツいですよ?」
ええい、ままよ! 僕は運を天に任せると、一気に根元まで挿入した。
その瞬間、ペニスが溶けてなくなってしまうかのような快感が僕を襲った。
腰がガクガクと痙攣し、僕は自分の上半身を支えきれず、ケイの胸に突っ伏した。
二度の射精を直前に経て感度の落ちたペニスでなければ、間違いなく精を
吐き出してしまっていただろう。
ケイの胸に顔をうずめ、ゼイゼイと息を切らす僕。
「ふふっ、よく我慢できましたね。ほめてさしあげますよ」
「そ……そりゃどうも」
「あら、まだ強がりを言う体力が残ってたんですね」
「う、うるせぇよ……」


息が上がってまともに喋ることができない。挿入しただけだというのに
こんなに消耗させられるとは、なんて凶悪なマンコを持っていやがるんだこいつは。
「ほらどうしたんですか、アラン先輩。私を感じさせてくださいな」
「くっ……」
「動いてくれなきゃ、私をイかせられませんよ?」
「ちょっと……待ってろっ。今すぐヒイヒイ言わせてやる……」
激しい吐息の合間に、僕はやっとのことでそう言った。
「ダ・メ・で・す・よ。アラン先輩が来ないなら、こっちから責めちゃいますから」
ケイがそう言った直後、僕のペニスを包んでいたマンコが驚くべき変容を見せ始めた。
こ……これは……。
ケイのマンコがとてつもない強さで僕を締め上げてくる。
「くうぅぅぅぅっ!」
僕は思わず叫んでしまっていた。
「ふふ……」
さらに肉壁がまるで生きているかのようにじわじわと動き始める。
いろいろな部分の秘肉が、それぞれ意思を持つかのようにペニスに吸い付き、
擦りつき、締め付けてくる。
「ああああぁぁっ」
淫猥なぬめりを帯びた蠕動運動に押し包まれ、僕は感じさせられていく。
一気に射精の高まりへと導かれるような責めではないものの、じわじわと真綿で
首を絞めるように少しずつ、しかし一歩一歩確実に僕は追い込まれていく。
「クスクス……。アラン先輩、まだ一回もピストンしてないじゃないですか」
「くっ……」
「あはははっ。私をイかせてくれるんじゃなかったんですか?」
頭の上からケイの高らかな笑い声が聞こえる。
けれど、僕はどうにかして態勢を整えようとするので精一杯だった。
「アラン先輩をイかせるのなんて、これだけで十分なんですよね。くすくすっ」
ケイはそう言うと、さらに秘肉を激しく動かしてくる。
「んんんんんああぁっ!」


「後輩のマンコに、一擦りもできずにイかされる気分はどうですか?」
自信に満ちたケイの言葉が、僕の顔に屈辱感の泥を塗りつける。
情けないと思いながらも、その屈辱感が快感へと昇華し、体中を熱くさせてしまう。
「ほらほら、動かないと。……このままじゃ一方的に搾り取られちゃいますよ?」
僕が耐えるのに精一杯だと見抜いていながら、ケイは余裕の表情を浮かべて挑発してくる。
「あーあ、もうしょうがないなぁ。このままイかせるのも面白いけど、
もっとアラン先輩の泣き声が聞きたいから、私が動いてあげますね。
私、アラン先輩の泣き声が気に入っちゃった。ふふっ」
ケイはそう言って上半身を起こすと、
「ほら……ふふふ……」
妖しく光るケイの瞳に魅入られ、僕はなすがままに肩を押され、押し倒されてしまう。
騎乗位の体勢だ。
僕に覆いかぶさり、蠱惑的に見下す小悪魔の瞳に、僕の視線は釘付けになってしまう。
ケイは舌なめずりすると、僕のペニスを根元まで飲み込んだ腰を、ゆっくりと上げていく。
「うあああぁぁっ!」
それだけで、僕の喉から歓喜の声が上がってしまう。
そしてカリ首がマンコの入り口に差し掛かると、上がってきたのと同じスピードで
ゆるゆると腰を落としてくる。
「ぐぅぅぅぅっ!」
ペニスが焼けるように熱い。僕は歯を食いしばり快感に耐える。
やがて根元まで腰を降ろしてしまうとケイは、
「がんばりましたね、アラン先輩。やればできるじゃないですか」
「くっ、バカにするのも程々に……」
「え〜? でもアラン先輩のおちんちんはぁ、私にバカにされて喜んでるみたいですよ? 
さっきから言葉責めされるたびにピクピクって動いてるもん」
くすくすっと嘲笑うケイ。
「ほら、また動いた。あははっ」
後輩にここまでバカにされても、今の僕にはそれを跳ね返す実力がない。
あまりの屈辱に耐え切れず、僕はケイから目をそらしてしまう。


そんな僕をケイは余裕の笑みを浮かべた瞳で見下すと、
「それじゃ、いよいよ私の本気、見せてあげます。
覚悟してください。どれだけ喘いでも、喚いても、泣き叫んでも、許してあげませんから。
最後の一滴まで、吸い尽くしてあげます」
くそっ……これまでか……。
淫魔と戦って力尽きるならまだしも、
人間と戦って、しかも自分より年下の女の子によって燃え尽かされてしまうなんて……。
目の奥がツンと痛くなるのを感じた。みるみるうちに涙が溢れ、堰を切ったように流れた。
歯を食いしばり、必死で涙を抑えようとする。けれども、歯止めの効かなくなった僕の
感情がそれを許さなかった。家族の顔が、村のみんなの顔が、瞼の裏にすうっと浮かんだ。
オヤジ……
オフクロ……
村長さん……
みんな……
ごめん……。僕はもう、ダメみたいだ……。
「ふっ……情けないオトコ……」
くそっ……くそっ……くそっ……くそっ……畜生ぉぉぉっ!
何のために……、いったい何のために、今まで死ぬよりも辛い訓練に耐えてきたんだっ!
みんなの期待を裏切って、こんなところでやられるわけにはいかないっ!!
僕は気力を振り絞りガバッと上半身を起こすと、ケイの背中に両手を回しぎゅっと抱きしめた。
そして、
「うおおおおっ!」
雄叫びを上げてケイのマンコを突き上げる。
「えっ!? うそっ!?」
僕の突然の反撃に、ケイが目を丸くする。
「まだこんな力が残ってたなんてっ!?」
「ああああああっ!」
がむしゃらにケイの身体を突き上げまくる。


「アアンッ! お、奥に当たってるぅっ!」
初めてケイが上ずった嬌声を上げる。
ここか! とうとうケイの急所を探り当てたんだ!
「キャァァァァッ!」
ケイが背中に爪を立ててくる。
僕はここが勝機とばかりに、無我夢中でケイのマンコを突き上げまくった。
「アンッ! アアァァンッ!」
「おああああああっ!」
ケイの嬌声とともに、僕のペニスも限界点に達しようとしていく。
まだか、まだイかないのかっ。早くイってくれっ!
でないと……こっちがイってしまうっ!
焦る気持ちを必死で抑え、僕はピストンを繰り返す。そのときだった。
「ふふ……ふふふふっ」
ケイが不敵に笑った。
「ほらほら、がんばってくださいアラン先輩。そんなんじゃ、まだまだ私を倒せませんよ」
平然と言ってのけるケイのセリフに、僕ははっとする。
目をすっと細めたケイが、涼しげな顔で僕の瞳をのぞき込んでいた。
感じていないのか!? そんな……馬鹿なっ!?
僕は崖から突き落とされたかのようなショックを受け、動きを止めてしまう。
た、確かに、僕の身体が汗にまみれてビショビショになっているのに対して、
彼女は息ひとつ乱しておらず、背中には汗もにじんでいない。
頬がほんの少し紅く染まっているだけだ。
「あははっ、女の子が感じているかいないかの見分けもつかないんですか?
 そんなんだから、いつまでたっても勝てないんですよ」
あまりのショックに、ケイの言葉も耳に入らなかった。
ケイの胸元にうつむいて、ハアハアと息を荒げてしまう。
「でもアラン先輩。私と戦って、少しは強くなりましたね。
さっきの寸止めが効いたみたい」


確かにケイの言うとおり、イきそうになっては我慢し、イきそうになっては我慢し
を繰り返す寸止めの連続は、耐久力を向上させる効果がある。ケイに限界まで
我慢させられたおかげで、僕の耐久力は飛躍的に向上していた。あれがなければ、
すでにケイの中に精を発してしまっていただろう。
「どうですか、後輩の手の平の上で転がされた気分は?」
釈迦の掌の内で踊らされる孫悟空の気分とは、まさにこういうものか……。
実力が違いすぎる……。
「それじゃ、次は私から行きますよ」
ケイはそう言うと、膣内の秘肉をさっきしたように動かしてきた。
「ううっ!」
そして、ゆっくりと腰のグラインドを開始する。
「うあああっ!」
「どんどん早くしていきますよ」
それぞれが意思を持った生き物のような秘肉の動き。それに加えられる強烈なグラインド。
くっ……ペニスが膣の中で溶けてしまいそうだ……。
「ふふっ、先輩のおちんちん、私の中で怒ってますよ。出して楽になりたいのに我慢してるから怒ってますよ。ほらほら、出したいんですよね?」
「がっ……ううううっ!」
「本当はドピュドピュって出しちゃいたいんですよね。
可哀想ですね、後輩の女の子に無様に抜かれて、壊されちゃうんですよ?」
僕を圧倒するその快感に、もはや何も考えることができない。
「我慢できないですよね? 我慢できなくてイっちゃいますね。
先輩なのに、我慢できなくて負けちゃうんですね?
情けないですねー。可哀想ですねー。ほら、出ちゃうよ? 出ちゃうよ? 出ちゃうよ?」
目の前が真っ白になっていき、ケイの「出ちゃうよ?」という言葉だけが
頭の中でぐるぐると駆け巡る。
もうダメだっ! ……イクっ!!
僕はとうとう観念した。
我慢に我慢を重ねた睾丸が、歓喜の射精を迎えようとする……はずだった。


「ど、どうしてイかないのよっ!?」
ケイが叫んだ。そして、さらに僕へ送り込む快感の量を増やしてくる。
「ほらほらほらほらぁっ!」
とうに限界は超えているはずだ。それでも、どういうわけか僕のペニスは未だに射精に
達することなく、ケイの責めを受け止め続けているのだ。
ずじゅっずじゅっとペニスが擦られる音を聞きながら、ぼくははたと気づいた。
この状態は昨日体験したばかりのはずだ。
そうだ、この境地! マリオン先生に教えてもらった境地だ!
「は、早くイってよぉっ!」
ケイが再び上ずった声を上げ始める。
と同時に、雪のように白かったケイの胸元がさーっと紅に染まり、
全身の毛穴から汗が吹き出しはじめた。
やった! ケイは感じていたんだ!
快感を身体の内面に押し包む高度な技を使って、感じているのを隠していただけだったんだ。
再び煌めきはじめた小さな勇気を燃え上がらせると、僕は思い切りケイの身体を突き上げた。
「キャァァッ」
僕の腕の中で身を捩じらせてケイは喘ぐ。今度こそ、これが歓喜の吐息なのは明白だった。
「アン……アハァッ。アンッ……アンッ」
僕が腰を突き上げるたびに息を弾ませながら、かすれた声で喘ぐケイ。
ケイはぎゅっと顔をしかめ、ぶるぶると左右に首を振ると、
「ア……アラン先輩なんかに負けるわけにはいかないんだからぁっ!」
すさまじい力で僕のペニスを締め付けてきた。
「んあああっ!」
今度は僕が喘がされる番だった。
しかし僕はピストンを止めることなく、ケイのマンコを愛撫し続ける。
お互いの身体を強く抱しめ合いながら、僕たちは相手に快感を注ぎ続ける。


「ああんッ! ふあぁぁああん! は……あぁぁっ!」
「はあっ……はあっ……はあっ……はあっ……」
ケイの嬌声が少しずつ高く跳ね上がり、僕の呼吸は荒く乱れていく。
ペニスにもたらされるあまりの快感に、精神の糸が千切れそうになる。
僕が勝つためには、あとほんのわずかのうちに決着をつけなければならないだろう。
マリオン先生に教えてもらったこの境地をこれ以上長く保ち続けたら、
心も身体も間違いなくぼろぼろに壊れてしまうに違いない。
僕は最後の賭けに出た。
今まで防御に使ってきたエネルギーのすべてを、ケイの急所へと注ぎ込んだ。
その瞬間、
「キャアァァァァァァァァッ!!」
「うああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
二人の口から同時に、最後の叫び声が上がった。
ケイの全身が硬直する。と同時に、これまでにないほど強烈にペニスが圧迫される。
耐えに耐えていた熱い白濁液が一気にペニスの内部を駆け抜けた。
とてつもない量の精液が後から後から快感と共に噴き出し、どくんどくんと脈打ちながら
ケイの中へと注ぎ込まれていく。
目の前にまぶしい光が何度も点滅したと思ったら、僕は少しずつ気が遠くなっていった。
そして奈落の底へ堕ちるかのように、僕はそのまますうっと意識を失っていった。


******


ゆさゆさ……ゆさゆさ……。
身体を揺すられて目を覚ますと、ケイが心配そうに僕の顔をのぞきこんでいるのが見えた。
「ケイ……?」
ケイはふっと優しく微笑むと、
「良かった。アラン先輩、壊れちゃったかと思いましたよ」
「いや……、三途の川の渡し舟に乗りかけたよ」
「バカね……。このまま逝ってしまったら、私はアラン先輩に負かされたままに
なってしまうところでしたよ」
「それじゃあ、僕は……」
「そうですよ、アラン先輩。あなたの勝ちです。
あなたがイくよりほんの少し早く、私の方がイってしまってたんです」
「そうだったのか……」
「ほんのわずかですよ。ほんのっ」
ケイはそう言うと、目の前で親指と人差し指を近づけてみせた。
「それでも、勝ったんだな?」
「何度も言わせないでください。女の子にこれ以上恥をかかせる気ですか?」
ケイが少しむっとして言う。
「お前、僕のことさんざんに言葉で弄ってくれたじゃねえか」
「あれは勝負に勝つためのテクじゃないですか。それに……、
アラン先輩、私に言葉責めされてホントに喜んでるし」
ケイが両手で口元を押さえ、さもおかしそうにぷぷっと笑う。
けれどもそれは、今までの嘲笑的な笑いではなく、好意に満ちた笑いだった。
「そ、そんなことねーよ」
「はいはい、そうですね。マゾのアラン先輩」楽しそうにケイが言う。
「だから、マゾじゃねえって」
「アラン先輩、マゾのくせに、よく淫魔ハンターになろうなんて思いましたね」


「……お前が初めてだよ」
とつぶやく僕。
「え? どういうことですか?」
「何でもねえ」
言葉責めされて感じたのはお前が初めてだなんて、口が裂けてもいえなかった。
「ま、とにかく僕は勝ったんだ。いいってことさ」
「ちっとも良くないです。聞かせてくださいよ〜」
「いいんだよ……」
僕は口元を大きく横に開くと、そうつぶやいた。
勝った……。ケイに、勝ったんだ……。
思わずほころぶ僕の顔を見たケイは、やれやれというような表情を浮かべると、
「さてと」と腰を上げる。
視線をケイが座っていたあたりに向けると、僕とケイの身体が未だに繋がっているのが見えた。
下半身の感覚が欠如してしまっているためわからなかったが、二人ともイってしまってから
ずっとこの姿勢のままでいたらしい。
ぷりゅん、と柔らかくなったペニスがケイのマンコから押し出される。
ケイはベッドから降りると、部屋の端に置かれたロッカーを開け、中からタオルを
取り出して丹念に身体を拭いた。さらに替えの衣服を取り出して身に着け始める。
「ずいぶん準備がいいんだな」
僕がそうつぶやくと、ケイはふふっと笑って、
「アラン先輩が、スカートにザーメン出しちゃうのが悪いんですよ?」
「出させたのはお前だろーが」
「あはははっ、そうでしたね」
けらけらと楽しそうに笑うケイ。


やがて、ケイは下半身にぴっちぴちに張り付いた黒革のパンツと、大きく胸元の開いた
黒のタンクトップという姿に着替えてしまうと、
「アラン先輩」と僕に呼びかけた。
「私、夏休み前に飛び級の試験を受けるつもりなんです。
その試験の相手、アラン先輩を指名しますから」
「バカいえ、僕じゃ相手にならないよ」
「ふふっ。アラン先輩は気づいてないかもしれませんけど、この二日間で
ものすっごく強くなってますよ。ま、もちろんまだまだ私の足元にも及びませんけど。
それに最後のピストン、すぅっごく良かったです。今までで一番かも」
「その足元にも及ばない男に、お前は負けたってわけだ」
「だからアラン先輩、夏が終わるまでに、もっともっと強くなっててください。
雪辱する相手が弱くて歯ごたえがないんじゃあ、つまんないでしょ?」
僕が困ったような表情を浮かべていると、ケイは僕が横たわるベッドに歩み寄り、
僕の胸元に「退学届」を載せた。そして、僕の額にチュッとキスをした。
「それじゃね、アラン先輩。早く服着ないと風邪ひきますよっ」
ケイはそう言い捨てると、部屋の出口へ軽やかに歩いていく。
その後姿に、僕は言う。
「もう、裏試合なんかすんじゃねーぞ」
ケイはドアのノブに手をかけ、僕に振り向くと、
「考えておきます」
満面に笑みを浮かべてそう言い、そのまま部屋を後にした。


一人取り残される僕。
早く服着ろって言ったってなあ、こっちは身体がウンともスンとも言わねえんだよ……。
じんじんとしびれる下半身は、ぴくりとも動こうとしない。
けれども、そのしびれは不快ではなかった。
勝ったんだ……。この僕の腕の中で、ケイが果てたんだ……。
少しずつ湧いてくる実感に、僕は心は満たされていった。
僕は右手をゆっくりと上にかざすと、手を開いたり閉じたりさせた。
そして胸元の封書を手に取ると、びりびりと破き捨てる。
もっともっと強くなっててください……か。
僕はもっと強くなれるだろうか。
いや、もっと強くなりたい。
もっと強くならなければならない。
僕を見守ってくれるすべての人のためにも。
僕の生死を賭した戦いは、これから始まるんだ。
僕は右手を目の前にかざすと、その決意を二度と逃がさないように、力強く握り締めた。





「生死を賭して」第二部 おわり

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