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「生死を賭して」第二部 前編

ケイに連れられてたどり着いた先は、町外れのうち捨てられた診療所だった。
宿主のいなくなった診療所とは物寂しいものだ。ガランと静まり返っている。
「よくこんなところ知ってるな」
僕の前を歩くケイに声をかける。
「ここなら好き放題できるんですよ。
どんなに泣き叫んだって、誰も助けになんて来てくれませんから……」
どんなに泣き叫んでも、か……。
大丈夫。大丈夫だ。昨日は手出しを禁じられた状態での攻防だったけど、
今日はこちらからも存分に責めさせてもらう。責めのリズムさえつかめれば、
勝機を見出すことは十分できるはずだ。
部屋の中はケイが片付けたのだろうか、きれいに整えられている。
ちゃんとベッドもある。
「ね、試合をするにはちょうどいいでしょ?」
「ああ」
僕はあいまいにうなずく。
「それじゃ準備しますから、ちょっと待っててくださいね」
ケイはそう言うと、制服の上着を脱ぎ、リボンをはずした。
ブラウスのボタンを上から外しにかかる。
ケイはすっかり、服を脱ぐことに気を取られているように見える。チャンスだ!
「その必要は、ないっ!」
がばっとケイに抱きつき、いきなりキスをする。
不意打ちのようで気が引けるが、今の僕の実力では勝つために手段は選べない。
突然の僕の攻撃に、ケイは戸惑いのため目を真ん丸に見開き、呆然としている。
悪いけど、このまま一気に勝負を決めさせてもらう!
ケイの背中に回していた両手を下へ滑らせ、ミニのプリーツスカートの上から
お尻をなでまわす。
そして彼女の口の中へ舌を挿し入れて舐めまわす。


もちろん防御体制をしくことも忘れない。彼女の舌がこっちに侵入してこないように
細心の注意を払いながら、彼女の口内を犯す。
ケイが目を閉じ、僕の首に両腕を回す。
まったく抵抗する姿勢を見せない彼女に気を良くした僕は、さらに攻撃の手を
強める。スカートの中に両手を入れ、パンツの上からぎゅっぎゅっとお尻を揉みしだく。
「ん……んん……」
ケイの口から苦しそうな吐息が漏れる。
彼女の頬がうっすらと紅潮し、僕の首に回された腕に力が入る。
僕はケイの口の中を責める手を休めず、舌を彼女の口内で激しく暴れさせる。
その度に、ケイは切なげな吐息を漏らす。
よし、このまま行くぞ!
スカートの中にもぐりこませた手をパンツにかけ、ひとおもいに下ろそうとしたとき、
僕の脳髄に電撃が走った。
それまでなすがままにされていたケイの舌が、反撃を始めたのだ。
ケイの上の歯茎の裏を舐めていた僕の舌の裏側を、ツンツンとつついてきた。
そして、僕の舌に自らの長い舌を絡め始める。
態勢を立て直そうと、あわてて彼女の口から舌を抜こうと顔を離す。
しかし、ケイは右手で僕の後頭部を抱きしめ、離れないようにしっかりと支えている。
こうなったら、どっちの舌技が上か力比べだ。
僕はキスに集中するため、ケイのパンツを下ろすのを一旦あきらめ、
彼女の腰に左右から手を当てた。
戦いに勝つためには、常にペースをつかみ、相手をコントロールすること。
そして、相手を責め続けることが大事だ。
僕はケイの舌がこちらへ進入してこないように守りながら、必死で相手と舌を絡ませた。


僕たちは、もうだいぶ長いこと責め合っていた。
まだか。まだ落ちないのか。
焦る気持ちが、僕の舌技にほんの少しのスキを作らせてしまう。
そのほんの少しのミスを、ケイが見逃すはずもなかった。
一瞬のスキをついて、ケイの舌が僕の口内に入り込んでくる。
僕はそれを防ぎきれず、侵入を許してしまう。
ケイの長くしなやかな舌が、凶暴に僕の口内を荒らしまわる。
くそっ……、キスでも勝てないのか……。
身体から力が抜け、頭がぼーっとしてくる。
ドン。と背中に硬いものを感じて、僕ははっと目を覚ました。
しまった。知らず知らずのうちに後ずさりしてしまったらしい。
僕はケイによって、壁に背中を押し付けられていた。
しかも、いつの間にか僕は全裸にされ、ギンギンに反り返ったペニスが丸見えに
なってしまっていた。
ケイは僕が恍惚から覚めたのに気がつくと、
「ふふっ……、アラン先輩ってやっぱりかわいいですね。
うっとりしちゃって、服を脱がされるのも気が付かないなんて」
クスクスと笑うケイに、僕は何も言い返すことができない。
ケイは僕の左右の乳首を同時にコリコリッとつまむ。
「くぁっ……」
今度は、人差し指をメトロノームのように動かして、乳首をピッピッとはじく。
そうやって乳首をはじかれるたびに、勃起しきったペニスがピクッピクッと反応してしまう。
「恥ずかしいですねアラン先輩。乳首だけでこんなに感じちゃうなんて」
快感にゆがむ僕の顔を、楽しそうにケイがのぞきこむ。


「ほらぁ、もう床がビチャビチャになってるじゃないですか」
ケイに促されて下を見ると、ペニスからだらだらと流れ落ちたカウパーが、
水たまりのようになっていた。
畜生……このまま負けるわけには……いかないんだ……。
僕は力を振り絞ると、だらりと垂れ下がっていた手をケイのスカートの中へ入れようとする。
しかし、ケイの反応は素早かった。
スカートの中にもぐりこませた僕の両手首をしっかりと握ると、
「女の子のスカートの中に入ってくるなんて、イケナイ手ですね。
そんなイケナイ手は、こうしちゃいます」
そのまま壁に僕の両腕を押し付けた。
壁に大の字に押さえつけられた僕を、ケイは猫が小動物を捕らえたときのような
いたずらっぽい表情を浮かべて見つめる。
「セックスバトルなんですから、私のこと責めたかったらせめてもいいんですよ。
動けたらですけどねっ」
だめだ、快感で身体がしびれて腕に力が入らない。
「クスクスッ……。さ、いけない子にお仕置きしますからね〜」
ケイは僕の右の乳首に口付けると、ちゅううぅ〜っと乳首を吸いたてた。
「うあぁぁっ」
思わず背中をのけぞらせてしまうほどの快感。
ちゅぽん、と音を立てて引き抜かれる。ゼイゼイと息を切らしてしまう僕。
「こっちもお仕置きしますね」
今度は左の乳首だ。
ちゅうううぅ〜〜〜〜っと吸い上げられる……だけじゃない。
同時に舌先を使ってちろちろと乳首を刺激してくる。
ちゅぽんっ。やっとのことで左の乳首が開放されて安心したのも束の間、
再び右の乳首を責めてくる。


何度もそれを繰り返されると、また頭が朦朧としてきた。
「先輩……、アラン先輩……?」
ケイに呼ばれて、ようやく意識を取り戻す。
「ねえアラン先輩、どうやってイかせてほしいですか?」
ケイが勝ち誇ったように聞いてくる。
「イかせてほしくなんかねえよ……」
そう言い捨てるのがやっとだった。
するとケイはムッとしたのか、
「ふーん、そういうこと言うんだ?
 せっかくやさしくイかせてあげようと思ったのに」
「うるせえ……」
「いい度胸ですね、アラン先輩。わかりました、たっぷりと辱めてあげます。
泣いたって許してなんてあげませんから、覚悟きめてくださいね」
ケイはそう言うと、身体をぎゅぅっと密着させてきた。
スカートに僕のペニスが包み込まれる。
ケイはそのまま上下に身体を動かし、その豊満な身体全体を使って、僕を責めてくる。
「ひ……あぁっ……」
スカートの生地でスルッスルッとペニスをこすられるという、未だ経験したことのない快感に僕は身悶えた。
「あらぁ先輩、制服でこすられて感じちゃってるんですか?」
この態勢のまま僕をイかせる気か。僕がそう悟ったのに気づいたケイが、
「私が脱ぐのを待ってくれない先輩が悪いんですよ。
後輩に不意打ちで勝とうなんて、恥ずかしくないんですかぁ?
恥ずかしいですよね〜。卑怯な手を使ってまで勝とうとしたのに、
逆にイかされちゃうんですから」
な、なんとかしてこの責めから逃れないと……。
僕は、両手を拘束するケイの両腕を振り払おうと、懸命に腕に力をこめる。しかし、
「ほらほら、そんなんじゃ逃げられないですよ」
ケイに身体全体を刺激され、腕から力が抜け落ちてしまう。


僕はケイの手から逃げるのをあきらめると、
「うあああぁぁぁっ!」
叫び声とともに、全身を暴れさせ、彼女の身体から脱出しようとする。
けれども、試みは失敗に終わってしまう。
「ダメですよ。暴れれば暴れるほど、密着度が増して圧迫されるのがこの技なんですから」
くそっ……逃げられない……。
「ほらアラン先輩、がんばって。ふふっ」
もう一度全身の力を振り絞り、ケイの責めから逃れようとあがく。
しかしケイはそんな僕のあがきを余裕で受け止め、
「だからそんな中途半端な動きじゃ逃げられないって言ったじゃないですか。
もっとキツクしますよ」
さらに全身を使って僕を責め立ててくる。
ケイの胸がブラウス越しに押し付けられ、とろけてしまいそうだ。
「うふふ、気持ちよさそぉ〜。アラン先輩、『俺と勝負してくれ』なんて言っちゃって、ホントは私に気持ちよくしてほしくて来たんですよね?」
「何言ってんだよっ……うあぁっ」
「私にイジめられたかったんですよね? 犯されたかったんですよね?」
「そ……そんなことっ……」
「だったら抵抗してみてくださいよ。
一方的にやられてるだけのクセに、何を言っても説得力ありませんよ」
「ち……畜生……」
「ふふっ、かわい〜」
ケイの強烈なボディによる責めから逃げることもできず、官能的な言葉責めに
追い詰められ、僕は絶頂を迎えようとしていた。
「あーあ、さっき素直にお願いすればよかったのに。そうすれば、
フェラでもパイズリでも、アラン先輩の好きな技でイかせてあげたのにねっ」
もう……ダメだ。ペニスが潮を噴き上げさせてくれと、脳に盛んにシグナルを送っている。
「情けないですね、惨めですよね、制服でこすられてイっちゃうなんて」


さらにケイは僕の耳元に口を寄せると、
「アラン先輩の一番かわいいところ、見せてください」
と囁いた。
そして耳穴に舌を挿し込まれた瞬間、
「あああああッ!!」
堰を切られた精液が、びゅっびゅっとペニスから迸った。
ケイは僕が射精を始めると上下運動をやめ、全身をビクビクと痙攣させる僕に
ぎゅうっと身体を押し付けてきた。そして、
「あは、気持ちよさそーな顔」
彼女のスカートに包まれながら、びゅくっびゅくっと精液を放出させられる僕の姿を、
満足そうに見つめていた。
強すぎる……。歯が……立たない……。
負けた……。後輩の女子相手に手も足も出ず、完膚なきまでに叩きのめされてしまった……。
僕の身体は屈辱と絶望のため脱力し、がっくりとうなだれてしまった。
すると彼女は突然僕の身体をくるっと回転させて後ろから抱きつき、
右手でいきなり僕のペニスをつかむと、手首をくるくると回転させて亀頭を擦ってきた。
「え!? ちょっ……あああぁっ!」
射精直後の敏感になっているペニスをシゴかれ、あまりの快感に意識がはじけそうになる。
「やめて、やめてくれぇっ」
無我夢中で彼女の責めから逃れようとする僕の耳元で、楽しそうに笑いながら
ケイは僕を責め続けてくる。
「このまま2回目も搾り取ってあげちゃいますね」
彼女が手を回転させるたびに、ペニスにまみれた精液がにちゃっにちゃっと音を立て、
余計に僕を快感へと追い立てる。
「あああぁっ……。おかしくなっちゃうっ。許してっ」
「ふふ……ダメですよアラン先輩。
どんなに泣いたって許してあげないって言ったでしょ?」


全身が焼け付くかのような圧倒的な快感に、あっという間に射精感が高まってしまう。
「あは、またイっちゃうんですか? ふふふふっ」
亀頭に触れるか触れないかという程度の絶妙のタッチで、ケイはどんどん快感を
僕に送り込んでくる。
「アラン先輩、うれしいですか?
 負かされた女の子におちんちん擦られてうれしいですよね」
「そ、そんなことっ……」
「そう言ったって、アラン先輩のココから、どんどんうれし泣きの涙が溢れてきてますよ」
ケイはとめどなく溢れるカウパーを亀頭に塗り込めながら言う。
だめだ、イっちまう……。
早くも限界に達した僕のペニスが、またも射精運動を起こそうとする。
その瞬間、
「まだだめっ」
ケイがペニスをぎゅっと握り締め、僕は射精を抑えられてしまった。
「あっ……ああっ……」
「ふふっ……イきたかったですか?」
行き場を失った精液が、タマの中をぐるぐると渦巻いているのがわかる。
そしてケイは、射精を抑えられ苦痛に顔をゆがませる僕に休む暇も与えず、
「ほらほら、休ませてなんてあげませんよ」
と、亀頭への責めを再開してくる。
男の快感のすべてを知り尽くしたかのようなケイの責めに、僕はまたすぐに
イきそうになってしまう。そして快感が頂点に達する直前、
「ダ〜メ」
ケイによって再び射精を抑えられてしまう。
そして、
「ああああぁぁっ!」
再び繰り返されるケイの手コキ。
何度も何度も、頂点に達しそうになっては寸止めを繰り返される。
もう嫌だ……、イきたい……。これ以上されたらおかしくなってしまう。


僕の身体が無意識のうちに腰を振って、射精を求めようとしてしまう。
しかしケイは、
「あははっ。アラン先輩、腰なんか振っちゃって、そんなにイきたいんですか? いやらし〜」
手を動かすスピードを緩め、僕に射精を許さない。
僕はもはや完全に快感をコントロールされてしまっていた。
しかも年下の女の子の手によって。彼女の右手一本で僕はあえがされ、泣かされ、
叫び声を上げさせられている。男として、この上ない屈辱だった。
「イきたそうですね、アラン先輩。うふふっ」
ケイのセリフが、僕の恥辱をさらに煽り立てる。
「イきたかったら、私にお願いしてくださいね。じゃないと許してあげませんから」
「だ、誰が言うか……」
先輩としての、男としてのプライドが、かろうじて精神までケイに負かされるのを拒み、
僕はやっとのことでそう言い放つ。
くちゅくちゅくちゅくちゅっ。
しかしケイはそんな僕を嘲笑うかのように、高速でペニスをしごきたててくる。
「ふふっ、いつまでもつかな〜?」
再び何度も繰り返される手コキ。
どれだけ時間が経っただろうか。
僕は叫びすぎて声も枯れ果て、息も途切れ途切れになってしまっていた。
もう本当に限界だ……。イきたい。イきたくてたまらない。
これ以上やられたら本当に壊れてしまう。とうとう僕は、
「イかせてくれ……」
降伏の言葉を告げてしまった。
「あはははっ、いいんですかアラン先輩?」
くちゅくちゅっ。ケイがそう言いながら亀頭をこする。
「うはぁっ!」
「いいんですね、本当にいいんですね?」


「あ、ああ……」
「わかってますよね、アラン先輩。淫魔ハンターにとって降参するってことが、
無理矢理イかされるよりずっと恥ずかしい、最高の恥辱だってこと」
勝ち誇った顔で屈辱の言葉を投げつけてくるケイ。だけど、僕はもう……ダメだ……。
「頼む……もう限界なんだ」
「ふふっ、ダメですよ。人にものを頼むときにはもっと丁寧に言わないと」
くちゅくちゅくちゅくちゅっ。
ケイがきゅっきゅっと手首を回転させて亀頭を刺激してくる。
「あうっ!」
「ほらほら、はやくぅ」
ニュル……ニュルニュル……
「うあああぁぁっ!」
「ちゃーんとお願いしないと、イかせてあげませんから」
早く……早く出して楽になりたい。
「僕の……僕の負けです。イかせてください。お願いします」
プライドも何もかもかなぐり捨て、僕は年下の女の子に懇願した。
「あはっ。とうとう言いましたね。クスクスッ……。
それじゃ、いっぱい出してくださいね」
ケイはそう言うと、猛烈な速さでペニスをしごきたてた。
ペニスにまみれた我慢汁が泡立ち、ものすごく淫乱な音を立てる。
両足が爪先立っていく。身体の反りが極限に達し、全身がピンと張り詰めた。
「イっちゃいなっ」
びゅくびゅくっ、びゅびゅ〜〜〜〜っ!
こみ上げる射精感に限界まで耐え、ついに屈したペニスが、歓喜の射精を迎えた。
屈辱が甘美な快感へと変貌し、僕はケイの腕の中に抱かれ、恍惚とした表情を浮かべて
精を射出させられていく。
射精は長く続いた。全身から精を搾り取られるような、圧倒的な射精だった。
僕を腕の中で支配したケイが、勝ち誇った顔で満足そうに僕の顔をのぞきこんでいた。


やがてケイは僕がようやく落ち着いたのを確認すると、その腕の中から僕を解放した。
僕は自力ではもはや立っていられず、ひざから崩れ落ち、倒れ付してしまう。
「気持ちよかったですか、アラン先輩?」
「ああ……」
声にならない声でそう返事するのがやっとだった。
心臓がこれ以上ないほど速く鼓動し、肺が酸素を求めて激しい呼吸を繰り返させる。
「それじゃ、約束どおりこれは私がいただきますから」
ケイは退学届を僕の眼前に突きつけ、ピラピラと振って見せた。
「大丈夫ですよアラン先輩。自分で出すのは恥ずかしいでしょ?
 私が事務に出しといてあげますから。アラン先輩はもう、学校に行かなくていいんです」
自分がケイに完敗した噂はすぐに学校中に知れ渡るだろう。
下級生にイかされた先輩として、学校中から蔑みの目でみられることになるに違いない。
ケイはそんな目に遭わなくてもいいんですよと優しく言いながら、負かされた女の子に
退学届を提出されるという屈辱を僕に味わわせようとしている。
でも、それも仕方がないことなのかもしれない。とにかく実力が違いすぎた。
ケイは、僕に歯が立つような相手ではなかった。
「教えてくれ。どうしてこんなことするんだ」
「ん? どういうことですか?」
「どうして、こういう風にして男子を退学に追い込もうとするんだ」
僕がそう言うとケイは少し考え込み、
「そうですね、それじゃあ最期に教えてあげましょうか」
そしてベッドに腰をかけると、
「私がハンターを志した理由、知ってますよね」と言った。
「実の父と兄が淫魔化して目の前に現れたときの恐怖、そして実の父と兄を
イかせて殺してしまったときの絶望、アラン先輩にそれがわかりますか?」
僕は黙って首を横に振る


「淫魔に精を搾り取られ殺されそうになったとき、心を売り渡せば助けてもらえる。
でも心まで淫魔に犯された人間は、逆に淫魔と化して見境なく人間を襲うようになる。
アラン先輩みたいな中途半端な実力のハンターが何人いたって、淫魔には
勝てっこないんです。淫魔に負かされて逆に人間を襲うようになったら、
かえって敵が増えて面倒なことになるでしょう」
「だから、僕みたいな落ちこぼれを辞めさせてるってわけか」
「そうです。その方が、その人にとってもずっといいでしょう。
実力もないのに淫魔と戦って負けるよりは。
アラン先輩も、自分の葬式がさっきみたいな惨めで悲しいものになるのは嫌でしょう?」
「ずいぶん勝手な理屈だな」
僕は胸の中にムカムカとしたものを感じ始めていた。
そんな勝手な理屈で、この女は僕の人生をぶち壊しにしようというのか。
「お前に他人の人生を左右する権利があるのかよ」
たまらず語気を強めてしまう。
するとケイは、フンと鼻先で嘲笑い、
「私にボロボロに負かされた男がそんなこと言っても、説得力ありませんよ」
と言い捨てた。
「間違ってる。間違ってるぞ」と僕は言った。
「お前、本当につええよ。たぶん、2年生の男子にはお前に勝てるヤツはいねえよ。
3年生だって、お前と互角に戦えるのは数えるくらいしかいないかもしれない。
だけどな、お前がやってることは間違ってる。お前がどんなに強くたって、
他人の運命の行く先を自分の勝手な御都合で動かすことなんてできやしねえんだ。
そんなこと、誰もやっちゃいけねえんだよ」
僕がそう言うと、ケイの顔から勝ち誇った笑みが消えた。


そして、真っ白い頬がみるみるうちに紅潮し、穏やかだった目がつり上がっていく。
「うるさいっ! お父さんとススム兄ちゃんを殺してしまった私の悲しみも
知らないくせに、デカイこと言わないでよっ!
こんな悲しみ……、私が、……私がもう誰にも味わわせないんだからっ!」
感情をむき出しにして、怒気が周囲の空気も震わさんばかりの勢いでまくし立てる。
いつも冷静だったケイが初めて見せる激しい剣幕に、僕は飲み込まれそうになってしまう。
けれど、後一歩のところで踏みとどまると、僕はこう言った。
「神でもない人間の分際で、人様の人生に土足でズカズカと踏み込むんじゃねえって言ってるんだよ。
……畜生、お前なんかに俺の人生を終わらされてたまるか!」
「私に負けたら学校を辞めるといったのはアラン先輩のはずですよっ!」
ケイが言った。そして、冷たく言い捨てる。
「それとも、本当に私に壊されたいですか?」
「いいだろう。今度こそお前をイかせてやる」
僕は毅然として言い放った。
するとケイはギリッと歯を噛みしめ、
「……後悔しませんね?」
「許せないんだよ、お前みたいなヤツ」
気持ちだけが先へ先へと走り、僕はそう言った。
「いいでしょう……。今度こそ本当に許してあげませんよ。
ボロ雑巾のような廃人になるまで搾り取ってあげます」


ケイは立ち上がると、制服を脱いで全裸になった。
雪のように白く透き通り、真珠のように滑らかな肌。
すべての男の心を魅了し、優しく包み込むかのように大きく膨らんだバスト。
完璧に計算し尽くされた美しく流れる腰のくびれ。
わずかなたるみも許さない瑞々しく張ったお尻と太股。
思わずその前にひれ伏したくなる、長く挑発的に伸びる脚。
まさに女神の化身と見まがうようなケイの完璧なボディを前にして、
僕は自己の存在が恥ずかしくなるような気持ちを覚えた。
と同時に僕のペニスが瞬時に極限まで勃起する。
こんな美しい女を相手に戦っていたのか。
ケイの姿を見て、僕はさっき吐き捨ててしまった言葉を後悔せずにはいられなかった。
「ここまで私に歯向かってきた男は、先輩が初めてです」
ケイがうれしそうに笑みを浮かべて言うと、
「さあ、舞台に上がってください」僕をベッドへと誘う。
そして右手をマンコに添えて言った。
「私のココで、先輩を壊してあげます」
妖絶に微笑むケイを前にして、僕は恐怖で身体を動かすことができなかった。
精子が枯れ果てるまで犯し尽くされ、本当に壊されてしまうかもしれない。
それでも男としてのプライドを地に堕とされたまま生きていくよりはいい。
僕はそう思った。このまま無様に負けて学校を辞め、どの面下げて村のみんなのところへ、
家族のもとへ帰れるっていうんだ。
精子が枯れ果てても、心がちぎれても、最後まで戦い抜いてやる。
僕は震える足でぎゅっと大地を踏みしめると、生死を賭した戦いの舞台へと歩を進めた。



「生死を賭して」第二部 後編へ続く

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