貴方は友好的と聞いた古城の巨乳サキュバスに会いに行く事にした。
友好的と言っても話に応じてくれるのか、殺さないだけなのか、
判断は難しいがとりあえず今まで殺された者は居ないらしい。
ただ、聞く者によって目撃談が全然違うのだ。
ある者は無口なサキュバスで淡々と精液を搾ったと言い、
ある者はセフレの様にフランクな関係をもちかけてくれたと言い、
ある者は延々と罵倒しながらSMプレイを強要しかけてきたと言う。
この古城には複数のサキュバスが住んでいるのだろうか?
それとも偽情報が混じっているのだろうか?
思考をめぐらす内に貴方は上品で知的だがさりげなく見下してくるお嬢様な
サキュバスだったら嬉しいかな、とイメージを膨らませ始めた。
そして敬語で責められたいなあ、などと妄想を働かせている内に
古城にたどり着いた。古城と言っても廃墟ではなく、人が住んでいる気配が
しっかりとある。割と頑丈な木造ドアを押し開けると、
赤い絨毯が敷かれた広間に出た。
そこに彼女は居た。
「ようこそ、ひと時の誘惑を求めるお方」
真っ黒な山羊角、真っ黒な大きな翼、真っ黒な長い長い尻尾。
それとは対照的すぎる輝く様な金髪と真っ白な肌、
そしてヴェールがあればウェディングドレスにすらなりそうな程
厳かかつ豪奢な白いドレスに身を包んだサキュバス。
彼女はテーブルに音も立てずにティーカップを置き、
衣擦れの音を響かせながら立ち上がった。
ぶるんっ。
巨乳と爆乳の境目にある様なサイズの乳房が揺れた。
ドレス越しなのに実に重そうなその動きが貴方の目に入った瞬間、
膝が笑い足が動かなくなる。彼女がゆっくりと歩み寄る度に
上下を繰り返す胸から視線が外せない。
「私は既に貴方の欲望を知っているのですよ」
間近で話しかけられて初めて貴方は彼女の胸から目を上げられた。
腕を伸ばせば抱き込めそうな程近くに来た彼女が
読み辛い微笑と共に美しい唇を開く。
「男としての誇りを捨て、生物として歳を刻む宿命から逃げたい貴方。
自分が与える事は望まず、ただ与えられるだけになりたい弱い貴方。
望みを述べなさい。私が貴方を堕落させてあげましょう」
美しい音楽の様な深い深い声が辺りに響いた。
貴方は正直に自分の望みを語った。それ以外の選択肢はおもいつかなかった。
そんな貴方をサキュバスは奇妙な笑顔で見詰め続けた。
「よろしい。どんな女も保護欲、独占欲、性欲、愛欲をかきたてられずには
居られない、犯される為のみに存在する幼い体をさしあげましょう。こちらへ」
彼女が貴方の手を取るとその瞬間背筋がゾクッとした。
本来人間では対抗する事が殆ど不可能な存在たる悪魔と共に居る事を
否応無く実感させられながら貴方は手を引かれ寝室らしき部屋に導かれた。
一体誰がどうやって手入れをしているのか、埃一つ無い。
「ここへどうぞ」
サキュバスは貴方と一緒にベッドに座り込み、冷ややかに微笑んだ。
「貴方が成人男性で居られるのも後僅かです。この城を出る時貴方は
望み以上に美しくか弱く敏感な子供と化しているでしょう。
そして貴方は二度と老いる事が出来なくなります。永遠に」
彼女は自分の唇を舌で舐めた。それはとっくに勃起していた貴方の逸物に
震えが走る程エロティックな仕草だったが、何故か優雅で気品溢れる
仕草にも見える。ギャップの魅力と言う奴だろうか。
「堕落を後悔するかどうかは貴方次第。何か心残りがあれば、
それを果たすのは今が最後のチャンスですよ?」
彼女は貴方を試す様に笑っている。何か心残りがあるだろうか?
ある。一つだけある。
一部の例外を除いて淫魔ハンターは皆成人もしくはそれに近い年齢の者である。
子供の体ではBFは圧倒的不利だからだ。感じやすい体に心まで
影響されるし、体力も精力も簡単に尽きてしまう。そもそも攻める為の
肉体が出来上がっていないので、勝つのはほとんど不可能だ。
それが良く分かっていた貴方は最後に大人としてBFがしたいと
頼み込んだ。彼女の笑顔は揺らがなかった。
「分かりました。甘美な絶望をとくと味わいなさい」
サキュバスはベッドの上で横になり、両手両腕を開いて動きを止めた。
「どうぞ、私は何もしません。お好きに性欲を処理なさって下さい」
マグロで寝ているだけでも、貴方が勝手にイくだけ。淫魔ハンターに対する
最大級の挑発を受けた貴方は早速彼女の美貌に唇を這わせ、髪の匂いを
胸いっぱいに吸い込んだ。唇に滑々な肌の感触が伝わり、
”女”以外の何物でもない匂いが貴方の鼻を埋め尽くす。
「私をイかせるつもりなど、毛頭無いのでしょう?元々出来ないでしょう?」
彼女の囁きには笑いこそ含まれていたものの、感じた様子など微塵も無い。
顎から首、そして鎖骨に唇を移す。その度に快感が口に注ぎ込まれる。
「自由を奪われ、餌を強制的に食べさせられ、美味しく食べられてしまう
ガチョウに憧れているのでしょう?淫魔の家畜となりたいのでしょう?」
彼女の声色は優しく、言葉は冷たい。反論の意思さえ沸いてこない。
貴方はドレス越しに彼女の大きな大きな胸をつかんだ。そして彼女ではなく
自分自身が性の衝動にうめき声をもらしてしまう。
「それで良いのですよ。人間は選ばれた種などと勘違いする愚か者達よりも、
人間の可能性を妄信する蛮勇な頑固者よりも、自分の弱さを受け入れ
自分より強い種にすがりたがる貴方の方が遥かに愛情に値します」
我慢が出来なくなった貴方は彼女のスカートに自分の股間をすりつけた。
たった一回でもどかしくなりズボンと下着を脱ぎ捨て、柔らかい生地で
出来たスカートに逸物を擦り合わせる。強く押し付けるとスカートの下の
パンティー、そして彼女の股間の感触まで味わえる。
何もかもが彼女の言った通りだった。仰向けに寝転がっているだけの
サキュバスの上半身を少し触っただけでもう堪らなくなり、相手の
服を脱がせる事も出来ないまま自分がイく為だけに股間を擦り合わせている。
「もうオナニーをBFだと誤魔化す必要は無いのですよ。
今日からどんな女も自ら望んで貴方を可愛がってくれる事でしょう。
男たるプライド、淫魔ハンターの使命感、人間としての尊厳。
全て貴方には無用の長物です。精液と共に吐き出してしまいなさい」
さわっ。
ぶぴゅるぴゅるるっ!
頭をそっと撫でられただけだった。
びゅるるうびゅびゅぅ!
ただそれだけで今まで我慢出来ていた射精があっさりと訪れた。
びゅうううううう…
しかも止まらない。大量の精液が後から後から溢れ出続ける。
楽しめる余裕などない、身も心もそれだけで埋め尽くされてしまう巨大な絶頂。
「吐き出しなさい。今までの人間として老いてきた時間全てを」
びゅるるるるびゅうう…
サキュバスの声色は優しいままだった。
びしゅっ、びゅうう、びゅわああ…
射精が終わった事に気付くのには数分かかった。耳が用を成さなくなり
射精音が止んでも分からず、腰の痙攣が治まるまで思考力が戻らなかったのだ。
「終わりましたよ」
サキュバスは貴方を抱き上げる様に助け起こしてくれた。
彼女のスカートは染みきらなかった精液でべちゃべちゃになっており、
動く度にベッドや床に飛び散ったが気にする様子も無い。
そのまま彼女は貴方を衣装箪笥の前まで連れていき、等身大の鏡の前に立った。
彼女の美しい顔と鎖骨が貴方の頭の上に映っていた。
さっきは簡単に目を奪われ離せなくなった彼女の姿だ。
だが今はそれよりも変わり果てた自分の姿を凝視せずにはいられない。
瑞々しい少年とはこういう姿の為にあるフレーズなのだろうか?
彼女の胸までの高さしかない小さな体は細く華奢で染み一つ無い。
肩も膝も逞しさとは全くの無縁で、腰と来たら女が嫉妬しそうな程細い。
肌は傷一つなく艶々で、髪はさらさら、ふわふわ、きらきらと言った擬音が
目に見えて来そうだ。顔に到っては少女と言われても通じそうな程無垢で
愛らしく、どんな表情を作ってもいやらしさや男らしさなど出せそうにない。
正に女どころか男でも欲情してしまいそうな肉体だった。
それは何時の間にか自己主張していた皮を被った股間の可愛い物が
証明していた。自分で自分に勃起した貴方を見てサキュバスが朗らかに笑った。
「お気に召した様でなによりです。では、貴方から頂いた魔力を
少し使っておまけをさしあげましょう」
彼女が腕を振ると、全裸だった体は一瞬にしてサイズぴったりの服を
着込んでいた。上質なシルクらしい、品を感じさせながらも適度に腕や脚の
肌が見えている服だ。女が着せたがる服だな、と人事の様に思った。
「さて…これから思うままに永遠の寵愛を求めにいきなさい。
人間であろうと人外であろうと淫魔であろうと、大抵の女は貴方を
溺愛してくれる事でしょう。ですが三つ注意点を述べておきます。
一つ。もう貴方は人間ではなくインキュバスです。
女でも淫魔ハンターは避けた方が賢明でしょう。
虜にしてしまえる自信があればその限りではありませんが…
二つ。貴方は不老の体を得ましたが、不死ではありません。
インキュバスですから物理的な手段では傷つきませんが、
快楽で絞りつくされたら命尽きるのです。
三つ。もう貴方は自分の意思に関係なく女を誘惑してしまいます。
望まぬ契りを結ばされたり、望まぬ相手に囚われたりしない様ご注意を。
特に人間の女は貴方を自分だけの物にしようとするでしょうね…
それでは、新しい世界へ。桃源郷と言う名の牢獄をどうぞご自由に
散策なさって下さい。もう後戻りは出来ませんよ」
説明が終わると共にサキュバスはフッと消えてしまった。
少し辺りを探してみたが、古城にはもう誰も居なかった。もう一度会いに
来れば居るのだろうか、それとも別のサキュバスと会えるのだろうか?
腑に落ちないまま貴方は街に戻った。
<なんちゃってハンターの冒険その5:森林の淫魔再び編>に続きます。
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