いや……いやだよ……やめ……っ!!
ガバッ!!
「はぁ…はぁ…」
またあの夢……昔、高校時代にレイプされた時の悪夢を見るようになるなんて……
私の名前は相川 恵(あいかわ めぐみ)、今をときめく19歳。
私には神楽 一(かぐら はじめ)って彼氏が居るんだけど……彼と付き合ってから3ヶ月した位に、セックスしようと頼まれたの。
だけど、私にはそれは許容できなかった。一はどうしてもというから一緒に寝たりもしたけど、やっぱり高校時代の……さっきの夢の内容を思い出してしまう。
高校生の時に付き合ってた彼に人気の無い所に連れて行かれ、何人もの男に囲まれレイプされてからは……私は、特定の男と付き合う事をしないようにした。
大学に入り、ようやく悪夢の事も当時の彼氏の事も忘れてせいせいした頃、新歓コンパで出会ったのが一だ。
私は高校時代をひとまず忘れて、一と付き合いだした。
彼はやさしくて、私にいつも良くしてくれた。だけど、それと同時に高校時代の嫌な思い出も浮かんできてしまう。
そして、決定的だったのがセックスの時だった。これで、完全に思い出してしまったのだ。
それからしばらく、眠っていると必ずと言って良いほど悪夢を見てしまっていた。
とは言え、一の前でそんな事を言うわけにも行かず、悶々とした日々を送っていた……
しばらくして、一からとんでもない提案を聞いたのだった。
「……バトルファック……?」
「うん、相手をイかせた方の勝ちっていう勝負だよ。」
正直、最初は乗り気になれなかった。決定的な一言を言われるまでは。
「受けないなら、俺の不戦勝にでもするか?」
この一言にカチンと来て、ついつい私もこんな事を言ってしまったのである。
「……へぇ、面白そうじゃない……それじゃ、負けた方は明日のお昼奢りましょうか。」
売り言葉に買い言葉とは正にこの事だが、勝負となったからには負ける訳には行かないわ。
私達は一の一人暮らしをしている部屋で順番に風呂に入って布団の中で裸で向かい合った。
「ん……ちゅっ……」
どちらからとも無く抱き合ってお互いに唇を貪る。
一の方から舌を突き出して私の舌を捕らえようとするが、私はそれに何とか抵抗しながら体を、Cカップの胸を押し付けるように腕に力を込める。
「ちゅ……ちゅぶっ……」
「ちゅぱ……ぷぁっ!」
どうやら、一の性感帯を刺激したようで、驚いた一は唇を離す。
私はこの隙を逃さず、体をこすりつけながら首筋に吸い付く。
「ちゅぅっ!」
「うぁっ!!め、恵っ……!!」
一も反撃しようと、私の股間をまさぐろうと腕を伸ばす。
私は抵抗しようとするものの、一の腰が一瞬強く押し付けられる。
「きゃっ。」
その一発が思いの他驚いてしまい、腰を浮かすと共に一の首筋に吸い付いていた唇も離れてしまう。
その一瞬を逃さず、一は私の恥部に手を添えてまさぐり始めた。
「ひっ……あぁんっ!!」
一瞬レイプの事を思い出し嫌悪感がこみ上げてくるものの、すぐに一の指先が優しく恥部を揉み解してくる。
「なんだ、もうここ、こんなにぐしょぐしょにしてたのか。」
「い、言わないでぇ……ひんっ!!」
優しく恥部を揉み解す一の手に、私は全身の力が抜けてくる。
「……そろそろ、準備も万端だな。」
頃合を見計らってから、私の体を仰向けに寝かせて、一はペニスにコンドームを装着する。
「ひっ……くっ……」
一とのセックスでも思ったが、やっぱり嫌悪感を抱いてしまい、私の恥部にあてがわれたペニスから目をそむけてしまう。
「……やっぱり何かあったんだな?」
ドキッ
「な、何の事?」
「とぼけなくていいよ、前のセックスの時もなんだか辛そうにしてたからさ。
その事についても深く言及するつもりは無い。」
「……本当に?」
「あぁ、お前の方から話してくれるまで待ってるつもりだよ。」
私は、一の言葉に思わず泣き出してしまう。
「う……うわぁん!!」
もちろん、これは嬉し涙だ。
この勢いで抱きついてしまい、そのまま勢い良く挿入を果たす。
「うぁっ!!」
「ひゃぅんっ!!」
その感触が強い刺激となり、二人して思わず声をあげてしまう。
それにも構わず、私達は激しく求め合う。勝負と言う事を忘れて。
「め、恵……そろそろ……イくっ!!」
「私も……一緒に……イこうっ!!」
そのままきつく抱き合い、私達は絶頂に達した。
「はぁ……はぁ……凄い……こんな気持ちのいいセックス……初めて……」
「はぁ……そうか……よかった……な……」
二人して荒い息を上げながら、体を弛緩させていた。
一の体が少し重いけど、むしろこれくらいの方が余韻を感じられて良い。
「はぁ……それにしても……勝負は引き分け……かな……」
「あら、まだ決着は着いてないでしょ?」
「はぁ……え?」
脱力した状態からいち早く復活した私は余裕の笑みを見せる。
一の方はまだ絶頂の余韻に浸っており、その間に私は上下関係を入れ替える。
「今までのは恋人同士のセックスよ、本当の勝負はこれから、でしょ?」
「ちょ、ちょっとま……」
「まったな〜し!!」
そのまま私は一方的に萎えかけてたペニスに、上から腰を揺すって刺激を送り、再び漲らせる。
「うああぁぁぁっ!!」
敏感になった一のペニスはなす術も無く、射精した。
「ふふっ、私の勝ちね。」
「はぁ……はぁ……」
余裕の笑みを見せる私に、一は荒い息を上げるだけだった。
「……ありがとうね、一……ちゅっ。」
私は一の上から頬に軽くキスをする。
「はぁ……どういたし……まして……」
まだ息を荒げている一は、私のそれに応えるように、私を抱きしめてくる。
私はこの上ない幸せを感じながら一を抱き返し、明日何を奢らせようか考えながら、そのまま深い眠りに着いた……
あれから5年……私達はその間もバトルファックを続けていた。
勝率としては私が八割に、一が二割程。完全に私の方が勝ち越していた。
負けるのは正直悔しかったが、それだけ気持ちよかったのも事実なので、負けず嫌いな私には珍しく思ったほど悔しくなかった。
だけど、今正に、私と一の運命の分岐点が……私の目の前の女によってもたらされた……
「改めて自己紹介しましょう。私は砂丘院 愛美(さきゅういん まなみ)です。よろしくお願いしますね。」
「相川 恵です、よろしく……」
一の大学院の卒業の日、私の目の前に現れたこの女。少し前に、一とお見合いをし、その時にバトルファックをしたと言うのだ。
今は一も交えて、この女の奢りで豪華なランチを食べる事になっていた。しかし、私はそれどころではなかった。
詳しく話を聞くと、私の時にはコンドームをしたのにも関わらず、この女の時にはコンドームなしで2度も中出ししたと言うのだ。
流石に妊娠とまでは行かなかったらしいが、それでも女としてのアドバンテージを取られた気がする。
スタイルにしても、自信のあった私のそれを上回りそうだ。ウエストはやや向こうの方が太めだが、胸は間違いなく私よりある。少なく見積もっても、DかEカップまであるのでは無いだろうか?
「とりあえず、本日は一さんの卒業祝いと、恵さんへの宣戦布告を兼ねてますので、どうぞお召し上がりくださいな。」
今私達は、この女の乗る高級車に乗って初めて来るような高級レストランへ来たのだが、どうやらここのレストランもこの女の家が出資しているらしい。とんでもない大金持ちである。
そう……この日から、一を巡る争奪戦が、幕を開けたのだ……
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