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政略結婚の顛末

 俺…神楽 一と言う名前だ…には、将来の誓い合った人…相川 恵…が居る。結婚するなら彼女以外ありえないと言い切っても良い。
 しかし、なぜか今、俺は彼女以外の女性と寝ようとしている。
 まず、そのいきさつから説明しよう……

 事の始まりは、親の体面のためのお見合いだった。
 なんでも、相手は取引先の大富豪らしく、もし断ろう物なら会社が大損失を生むのは必至である。
 そこで、俺は相手のご機嫌取りのための生贄……ようは政略結婚である。
 一応写真は見せてもらったが、相手方の女…砂丘院 愛美と言うらしい…もかなりの美人であった。
 出るところは必要以上に出ていて、引っ込むとこは程よく引っ込んでいるパーフェクトボディに、少々垂れ目ながらもパッチリとした目に張りのある真っ白な肌、漆黒のようなストレートのロングヘアに情熱的な赤い唇も印象的である。
 これでほぼすっぴんと言われた時は流石に驚いたが……
 そしてお見合い当日、どうも相手方が俺を一目見て気に入ってしまったようで、そのまま愛美に半ば無理やり引きずりこまれるように愛美の私室へと来たのである。
 正直言って、愛美は完璧だった……性格以外は。
 大富豪の娘らしく、一通りのスキルはかなりのスペックを誇っていたが、逆にそれゆえかなりの傲慢な態度であった。
 まぁ、立場上はこっちの方がお願いする立場であるから間違っては居ないが……
 何しろ、俺をここまで連れてきた時の一言が「私の伴侶となってくれますね?」と、かなり一方的な決め付けだったのは流石にカチンと来た。
 俺としては、あぁいった手合いの人間は苦手だった。俺はのんびりとしたいのに、相手がそれをさせてくれないからだ。
 ……いっそ今の内に逃げ出しても良いとか思った奴に一言言うと、それはそれで両親の負担になってしまう。そして、俺は卒業を控えた大学院生である。それだけは、絶対に避けなければならない。

 冒頭へ話を戻そう。彼女は今シャワーを浴びに行っている。
 ここまで一方的に捲し立てられ、こちらの事を説明する暇も無かった。
 愛美が戻ってからが本当の勝負と、腹を括っている。
「お待たせしましたわ。」
 俺がソファの上であれこれ悩んでいると、愛美が戻ってきた。
 振り返ると、しっとりと濡れた髪にバスタオル一枚と言うあられもない姿の愛美が居た。
「一さんも、まずは体の汚れを落としてきてくださいな。こう言うことは、お互い綺麗な体でした方が気持ち良いですよ?」
「……其の前に、一つ話がある。
 すまないが、俺は君と結婚できない。」
「……え……?」
 俺の一言に、何を言われたのが分からないと言うように、愛美は凍り付く。
「……どうしてですか?私のどこがよろしくないと?」
「いいや、お前は完璧だよ。
 だがな、俺だって将来を誓った相手が居る。親が知らない内にこの話を進めてたってだけだ。」
「……そうですか……」
 一瞬しょんぼりとする愛美。しかし次の瞬間には顔を上げ、何かを決意したように提案をする。
「ですが、私も一さんを諦めたくありません。ですので、一つ勝負しましょう。」
「……いや、それって俺、何となく勝てる勝負が思いつかないんだが……」
「セックスで勝負、と言ってもですか?」
「だから、俺の……………………は?」
 ……正直、この時かなり間抜けな発音をしたと記憶している。
「ですから、セックスで勝負するのですよ。
 私を感じさせて一度でも達せば……一さんの事は諦めますわ。
 ですが、一さんが五度達した暁には……私との婚姻を確約していただきます。
 この位のハンデでしたら、受けてくださいますね?」
 正直、俺はかなり悩む。恵とも何度かセックスをしては居たが、俺自身の実力で恵を達させてたかと問われれば……正直疑問である。
 しかし、このお嬢様は更にとんでもない事を言い出した。
「何でしたら、十度でも二十度でも……一さんがギブアップするまででも構いませんよ?」
 俺がギブアップするまで……つまり、俺が何度達してもギブアップしない限りは負けにならないと言うこと。そこまでの自信が彼女にあるのか……?
「どうなさいます?」
 愛美が問いかける。ここまで譲歩してもらって、負けるわけには行かない。
「分かった、俺がギブアップするまで勝負しよう。」
「かしこまりました。それではまずはシャワーをお使いください。やはりこう言うことは、互いに体を清めてからの方が気持ちいいでしょうから。」

 愛美に言われたとおり、俺はシャワーを浴びる事にした。
 これから俺は、愛美とセックスで勝負することになる。何が何でも勝ってやる。
 そう、俺が心の内に決心している時だった。
 カラカラカラ……
「一さん、シャワーのお湯加減はいかがです?」
 愛美が入ってきた。当然のようにバスタオルを外して。
「な!?」
 愛美が入ってきた事に警戒し身構えようとする前に、俺は愛美に後ろから羽交い絞めにされてしまった。
「そう言えば言いませんでしたっけ?勝負は成立した時から始まってるものですよ?」
「うぐっ……」
 確かに、愛美は「シャワーを浴びてから開始」と一言も言ってない。
 しかしやっぱ不意打ちは卑怯……と言った考えは、背中から来るやわらかい二つの感触と全身を愛撫するスベスベの両手によって完全に蕩け切っていた。
「うあぁ……」
「気持ちいいですか?気持ちいいですよね?何せ、あなたのここもこんなになってしまっているんですから……」
 と、両手の愛撫がやんだと思った次の瞬間には、愛美の両手は俺の息子を握り扱き始めていた。
「あ…がぁ……」
 シャワーの水と愛美の愛撫、二つの刺激に晒された俺の息子はあっという間に限界を迎えた。
 ビュク……ドピュドピュッ!!
 息子から発射された精液は愛美の手と息子に纏わり付くも、シャワーの水で大半があっさりと流された。
「あら、意外と早く達されましたね……この調子ですと、どこまで持つかしら?」
 くすくすと艶のある笑みを浮かべ、出したばかりの精液をもてあそぶ。
「さぁ、改めて体を清めて、続きはベッドの上で致しましょう……ね。」

 体を綺麗にし、脱衣所に用意された浴衣を着て愛美の私室に戻ってきた時には、愛美はベッドに体を預けて準備万端と言いたげにバスタオルを肌蹴ていた。
「お待ちしてましたわ。
 さぁ……こちらへいらしてください。」
 誘われるがままにベッドへ向かい、そのまま愛美に覆いかぶさる俺。
 そのまま左腕で抱きしめながら張りのある唇を貪り、右手で既にぐっしょり濡れている愛美の花園を弄ってやる。
「んっ……ぴちゃ……」
 浴衣の内側に愛美の両腕が滑り込みしっかりと抱きしめながら、彼女の舌が逆に俺の口内を蹂躙し始める。
「んぐっ……んん〜!!」
 攻めていると思っていた俺は、その攻撃に慌てて離れようとするが、彼女の腕が力強く抱きしめ逃げることができない。
 更に、彼女の太ももが俺のペニスを挟み込んでしまう。
 愛美の肌は全体的にキメ細かく、太ももも張りがありながらまるでペニスに吸い付いて来るような感触を刻み込む。
 ビクッ……ビュルビュルビュルッ!!
 俺はそのまま為すすべが無く、ベッドに勢いよく射精してしまった。
「んっ……ふぅ……」
 射精が終わるのを見計らいようやく開放された物の、再びあっさりイカされた事、そしてキスの余韻から呆然とししまい、大の字に寝転がる。
「積極的に攻めに来たのは評価します……が、少々無謀のようでしたね。」
 そんな俺の股の間に愛美は体を滑り込ませてきた。
「手、足と続いて、次はここで可愛がって差し上げますね。」
 そう言いながら、愛美は自らの胸を俺のペニスにあてがう。
「先ほどから既に二度目の射精……敏感になった状態で耐え切れますか?」
 未だ荒い息をしながら見てるしかない自分が歯がゆくなり、無理やり体を起こそうとしたが……時既に遅し。
 ふにゅっ
「あがっ……!!」
 体を起こそうと手をベッドについた瞬間、俺のペニスは愛美の豊満な胸に飲み込まれた。
 太ももでされた時もそうだったが、彼女の肌のキメ細かさは触っているだけでも相当凄い。更に胸の柔らかさと弾力も相まって、挟まれているだけでも射精してしまいそうな快感を受けてしまう。
「どうかしら?私の胸は……これだけで虜になる殿方も多いのですよ。」
 ……ん?
「と言う事は……君は既に何人…男が居るんだ……?」
 息も絶え絶えに発した俺の質問に、しかし彼女は一瞬動きを止めて悩む素振りをする。
 とりあえず、すぐにまた射精に追い込まれる事がなくなったようなので、今の内に深呼吸をしてペニスを鎮めておく。
 ペニスがようやく落ち着いてきた所で、愛美は口を開いた。
「……私としたことが、失言でしたね……
 まぁ、いずれ伴侶となってもらうなら、知る必要もありますから……」
 ……一瞬、結婚は確定かよ、とか言いたくなったが、現状ではその一歩手前まで追い詰められていたのでそこはスルーしておく。下手な事を言うと止めを刺されかねないからな。
「私達砂丘院家の血筋には、ちょっとした呪いが二つ込められています。
 一つは女しか産めない事、もう一つが……男性と性交をして精液を摂取しないと、20年と生き永らえない事……」
「……呪いにしちゃ、何か変な呪いだなぁ……?」
「えぇ、私も母から聞いた話でしか知らないのですが、昔ローマ教皇が夢の中で女性と交わり射精をしてしまいました。
 当時は教会倫理上性欲は悪とされ、教皇は『魔女にやられた』と明言しました。当時の魔女は別名『サキュバス』と呼ばれて悪魔とされていたようですけれど……
 言いがかりもはなはだしいのですが、その結果大規模な魔女狩りが行われ、魔女と認定された私達の先祖ははるばるこの日本と言う地に逃げ延びました。
 しかし、それだけで教皇の怒りが収まるはずも無く、教皇が自ら呪いをかけたのです。」
「……その呪いが、血自体に及んでいたって訳か?」
「えぇ、その通りです。
 母からその事を聞かされたのが、中学に入りたての頃でした。最初は父に精液を貰っていたのですが、年齢や母の分も考えると難しくなってきまして……それで、一時期はそう言った商売で少しずつ精液を手に入れてました。
 私の当時の年齢から言えば、まだ犯罪でしたので、警察の方に何度か世話になった事もありましたが……」
「……そうだったのか……」
「ですが、この呪いの副作用なのか、男性には事欠きませんでしたし、才能にも恵まれて様々な事もできました。」
 これに関してはわかる。何せ、女としての魅力はかなり良いのだから。
「不自由と言う事はありませんでしたが……やはり、そろそろ伴侶が欲しくなりまして。」
「……それで、どうして俺なんだ?」
「私も最初は、お見合いには乗り気ではありませんでした。
 ですが……一さんを一目見て、この人でしたら一生付いて行きたいと思いまして……母が言うには、呪いから来る一族の本能らしいですが……」
「なるほど……他の男じゃ抱かなかった感情が、俺を見た途端に湧き上がったと……」
「えぇ、私もこんな思いは初めてでした。
 ですから……どんな理由があろうと、一さんを諦めたくは無いのです。」
「話はわかった……だが、俺も恵のために負ける訳には行かないんでな!!」
「恵さんとおっしゃるのですか……彼女の事、この私が忘れさせて差し上げますわ。」
 そう言って、愛美は自らの花園を俺の顔面に押し付け、両ふとももで頭を完全にロックする。
「さぁ、私の香りを存分に嗅ぎながらイッてくださいませ。」
 彼女の臀部に視界を奪われながら、俺の息子に再び柔らかい感触が伝わってきた。
 シックスナインの体勢で再びパイズリをされているのだろう事は容易に想像できる。
 だが、この程度で屈服する訳にも行かないっ……!!

 恵とは大学で知り合った。
 新歓コンパで意気投合し、入学して三ヶ月もした頃には互いの部屋に出入りしてセックスをする仲となった。
 彼女はとにかく気さくで話しやすく、明るく振舞っているが、セックスをしていると時々思い出したように暗い顔をする事もあった。
 恵と付き合いだしてしばらくした頃、俺はインターネットでとある世界を発見した。
「……バトルファック……?」
 この頃の俺は、恵が時々見せる暗い顔について悩んでいた。どうも、彼女はセックスで何か嫌な思い出でもあるんじゃないかと思った程に。
 恵はああ見えて、負けず嫌いな性格だし、この方法であれば暗い顔をしないで、寧ろ楽しむんじゃないだろうか?
 そう思った俺はその日の夜、実行に移した。
「……へぇ、面白そうじゃない……それじゃ、負けた方は明日のお昼奢りましょうか。」
 俺の提案をあっさりと恵は受け入れてくれた。そして、この辺りから暗い顔をしなくなっていった。
 やはり、セックスに対して何か嫌な事でもあったのだろうか……うかつに聞いてトラウマに触れてしまうといけないし、良い傾向になってきたので、今もあえて触れずにいる。
 ……勝率に関しては自身の名誉のため、あえて触れないで置くが……これ以上、彼女を悲しませる事はしたくない!!

 俺は恵との勝負を思い出しながら舌を尖らせ、愛美の花園に挿入しながら内側を丁寧に嘗め回していく。
「んっ……あはぁっ!!」
 花園の中の、特に飛び出た突起を嘗めた直後、彼女は体をこわばらせながら嬌声を発する。その直後に、俺はある仮説が立った。
 ……もしかして……
 俺はその仮説を確認するため、彼女の突起を執拗な位に嘗め回してやる。
「あんっ!!あぁ……もっとぉ……!!」
 彼女はますます嬌声を上げながら体を強張らせる。彼女の両足が更に俺の顔を花園に突っ込ませるが気にしない。
 やっぱり……彼女、ひょっとすると攻め慣れてても攻められ慣れてないんじゃないか……?
 俺は自由な両手で彼女の臀部や背中を愛撫してやりながら、突起を重点的にかつ丁寧に嘗め回していく。
「あっ……あんっ!!」
 ムギュッ!!
「んんっ!!」
 ビクッ……ビュルビュルッ!!
 息子が感じていた柔らかい感触が突如圧力を増して襲い掛かってきた。それに耐え切れず、俺は本日三度目の射精をしてしまう。
 心地よい射精の余韻に浸っていると、愛美の体が離れて俺の腰の上に彼女の腰を下ろした。
「ふぅ……ふふっ、今のは正直危なかったですわ。
 私も余裕が無くなって来ましたし……そろそろ、止めを刺して差し上げます。」
 そう言うと、彼女は腰をあげ、俺の息子に狙いを定め、挿入すべく……腰を下ろす。
 ズニュッ!!
「うあぁっ!!」
「あぁんっ!!」
 挿入した瞬間、二人の声が重なり合う。
 彼女の花園は、少しきつい位の締まり具合で、とてつもなく熱い!!
 こんな中に入った俺の息子も三度射精したというのに、人生で最高潮の硬さを誇ろうとしていた。
 一方、彼女も感じているようで、嬌声を漏らしながら腰をゆすっている。
「あぁ……凄い……これが…一さんの……」
「くっ…あぁ……」
 正直言ってきつい。そろそろ愛美をイカせないと、俺の方が狂ってしまいそうだ。
 だが、恵のためにも……負けられない!!
 俺は愛美の腰を両手で掴み、少し離した所から一気に花園を突き上げる。
 ズンッ!!
「うっく……」
「ひあぁっ!!」
 中の襞がペニスに絡みつくのに気を止めず、俺はお構い無しに愛美の中に息子を突き込んで行く。
「やあぁ!!凄いのぉっ!!」
 愛美が叫ぶと、俺が両手で抑えている腰を激しくゆすり始めた。
「うぁっ!!」
 丁度突き込もうと息子を引いた所だったので、竿は激しく揺さぶられ、亀頭には彼女の襞が集中的に絡み付いてくる。
 ビュクビュクビュクッ!!
 これで四度目の射精……くそっ、段々倦怠感が強くなってきた……
「ああぁんっ!!一さんっ!!もっと精をっ!!私にっ!!」
 こちらは力付きかけてるというのに、更に激しく腰を揺さぶって来る愛美。
 彼女は更に、俺の上半身を起こし、顔を自らの胸に押し付けるように抱きしめてくる。
「私をっ!!一杯感じて!!イッてくださいっ!!」
「んぐぐんっ!!」
 やわらかい胸を押し付けられ、息苦しさと心地よさと言う相反する感触が、俺の中でせめぎ合う。
 半ばやけくそで腰を突き上げるが、上半身が起こされているために思うように腰が動かせず、突き入れる事が困難になってきている。
 このままのペースでは、彼女をイカせる前に俺の方が参っちまう。
 ……待てよ?確かバトルファックのサイトだと……試してみるか。
 俺は愛美の腰を押さえ込もうとしていた両手を、そのまま臀部の方へ滑らせ、左手で臀部を揉むと共に右の人差し指でアナルを貫く。
 ツプゥッ!!
「あひぃっ!!そ、そこはっ!!??」
 意外と良い反応をしてくれた。正直、この責めは自分自身、割と汚い印象が(いろんな意味で)あったので恵が相手の時にはやらなかったが……指を入れただけでこの反応なら、もしかすると……
 俺はそのまま人差し指で肛門を蹂躙して行く。そして、少しずつ肛門がほぐれた所で肛門に入れる指を増やす。
「あぁっ!!だめ!!おかしくなっちゃ……ああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
 指が人差し指、中指の二本を抜き差ししてしばらくした時、一瞬、ひときわ膣が締まり、腕も抱きしめる力が強くなったと思ったら、すぐに愛美は力が抜けて言ったように倒れこんだ。
 その際、俺も五度目の射精をし、そのまま力尽きたように仰向けに倒れこんだ。
「はぁ……はぁ……す、凄かったわ……」
「はぁ……ふぅ……俺も、ここまでされた事は無かったが……本気でキツい……」
「ふぅ……これで……私の負け……ですね……」
「あぁ……そうだな……ふぅ……」

 お互いに一息ついた後、二人でシャワーを浴びる。その際に愛美が話しかけてくる。
「一さんの彼女……恵さんでしたか、幸せ者ですね。私が全力を出してなびかない程、貴方は彼女思いなんですから。」
「あぁ、恵ともそろそろ6年目に突入するからな。付き合いだして。」
「そうでしたか。てっきり幼馴染とか、かなり長いお付き合いだと思ってました。」
「恵は外面は結構話やすいタイプなんだけど、付き合ってる内に内側のモロさを見ちまってな……だから、俺が恵を護ってやりたい。」
「……うらやましい話ね。妬けちゃうわ……」
「お前だって、俺以外の男が其の内見つかるだろ。」
「なびかなかった人に言われても、説得力が無いわ。」
「それもそうか。」
「……それでも、約束は約束ですからね……資金援助については私から父に話をしておきます。」
「ありがとう、それだけでも十分だよ。」
「その代わり、恵さんに捨てられた時はいつでも来てくださいね。今日以上に愛して差し上げますよ。」
「う……な、無いとは思うけど……仮にあったら手加減してくれると助かるかなぁ……」
「ふふっ、一度は捨てた女を再び拾おう等と、都合の良い事が出来るだけでも幸せ者ですよ?」
「あぁ……まぁ、期待しないで待っててくれ。」
「えぇ、多少他の方と寝たりはしますが、私はいつでも一さん一筋で居ますね。」

 あの、異常なお見合いから日常に戻って数日後……俺は無事、大学院で修士課程を終え卒業を果たした。
「卒業おめでとう。」
「あぁ、ありがとう。」
 卒業証書を片手に、恵と手を繋いで帰路につこうと、キャンパス内を歩いていた。
「あの時はびっくりしたわ。一がお見合いだなんてねぇ。」
 基本的に、あのお見合いの後特に変わった様子もない。愛美が言っていた援助も、引き続き行われているようで、父親の会社も損失を受けずに済んでいるようだった。
「親の体面上、避けられなくってな。でも、俺にはお前が居たし、丁重に断ってきたよ。」
「ふふっ、ありがと。」
 そう、今日までは何も変わらなかった。
 キャンパスの門を通過しようとした時、目の前の道路で一台の高級車が止まり、助手席に当たる窓から愛美が顔を出した。
「一さん、ご卒業おめでとうございます。」
「ま、愛美?何でここに?」
「父から聞きましたので。そちらにいらっしゃるのが恵さんかしら?」
「……一、一体誰?このやたらと美人な人は?」
「えぇと……この間のお見合い相手なんだけど……あれ?勝負に勝ったから諦めたんじゃ……?」
「ふふっ、私は一さん一筋ですとも言いましたよ。
 初めまして恵さん、恋敵の砂丘院 愛美と申します」
 にっこり笑顔で、かつ堂々と宣言する愛美。一方の恵は……
「へぇ……良かったじゃない、こんな娘に愛されちゃって……」
 あぁ……予想の範囲内だけど殺気が……
「お二人とも、この後予定が無ければ一緒に食事でもどうです?」
「そうねぇ……じっくりとどう言う事なのか、話を聞かせてもらいましょうか?」
 そのまま後部座席に乗り込む恵。俺も渋々ながら続いて乗り込む。
 ……ちなみにこの後、勝負の内容を愛美から暴露され、修羅場となったのは……また別の話である……
先にSNSで公開した物を加筆修正したものです
一君の逆転劇、いかがだったでしょうか?
幾つかばら撒いた伏線は……余裕が出来たら回収したいと思っております、えぇ、できるものなら(超後ろ向き

ではでは、ご感想お待ちしております

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