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はじめて。告白とか不法侵入とか

 目を覚ますと、見知らぬ美少女が目の前にいた。
 顔が近い。
 俺が起きたのを見て、美少女は「あっ、ようやく起きたな〜。このお寝坊さんめっ!」なんて言っている。
 デジタル時計には、01:15 の文字。あたり真っ暗。おやすみなさいの時間である。

 「……………」

 「ハッピーバースデー!お兄さん!」

 両手をあげて、美少女は祝いの言葉を口にする。
 だが、1時間15分ほど遅い。早く帰ってくれよ。とか思う。

 「……………」

 暗闇にも慣れてきたので、目を凝らして美少女を観察してみる。
 美少女は日本人らしく、ショートカットで艶のある黒髪。幼さを過剰に残した、あどけない顔立ち。どう見たって年下だが、胸だけは年齢不相応に大きく、服の下からでも激しい自己主張をしている。元気そうな子で、クラス内ではきっと、人気の高い子なのだろう。
 だが、自分の知り合いにそんな少女はいない。どう考えたって、ただの不審者である。

 「むむ?お兄さんはまだ寝ぼけてるのかな?ほらほら、起きろ起きろ〜っ」

 反応を示さない俺に業を煮やしたのか、美少女は両手で俺の頬を叩きだした。
 その弾みで、おっぱいが小刻みに、しかし確かな質量を持って揺れている。

 「…………ほう」

 「あっ、ようやく起きた…って、どこ見てるんだよっ!」

 うっかり胸元を凝視し、感動を覚えていたのに気づかれ、美少女は頬を染めて両腕で胸を覆い隠す。
 だが、覆いきれなかった胸が、圧力でむにっ、と形を変えているのが見て取れ、余計に官能的な仕草になっている感は否めない。

 「えっと…ボクのこと、わかる?」

 ………その年、その容姿で一人称が僕ですか。
 美少女は、恐る恐る、正念場だとでもいう風に、俺に尋ねる。だが…

 「知らないな」

 寝込みを襲うようなキャラクター、一度でも知り合えば忘れない…

 「そっか…うん、良かったぁ…」

 何も良くねえよ。警察呼ばれても文句言えないよ。

 「ボクの名前は…えっと…シズ、シズって呼んでね!」

 「……………そう」



 「……で、何の用なんだ?」

 聞きたいことはたくさんある。例えば、どうやって入ってきたの?とか。
 だが、この子がイタイ系だった場合、迂闊な質問は身の破滅を招きかねない。どんな物語でも、核心に触れた三下は画面の暗転とともに散るのが王道だ。とりあえず向こう側の要求を聞き、速やかにご退場願うのが得策だろう。

 「お兄さんの誕生日祝いをしにきたんだよっ!プレゼントも用意してきたんだっ」

 「…………何かな?」

 受ける印象は、無邪気…とまでは言えずとも、人を疑うことをあまり知っていないように見える。
 間違っても、いいから早く帰れと言える雰囲気ではない…

 「えへへ…エッチな本。お兄さんの好きな、あんなのやそんなのだよ」
 
「あ、あんなのやそんなの…?」

 目的があまりにも意味不明すぎる。
 かえってどうでも良くなってきちゃった…

 「…分かった。有難く頂こう。だからほら、帰った帰った。何なら送っていくから」

 意外と、自然に帰宅を促すことに成功した。だが、相手もさるもので、

 「だめだめ。そう簡単にはあげないよっ。労せずして手に入れるより、苦労したうえで貰えたほうが嬉しいんだから、そうしないとっ!」

 などと、ずうずうしいことを言う。…知らないよ。何で誕生日プレゼントを苦労して赤の他人から貰わないといけないんだよ。
 第一、冒頭からずっと、こちらは馬乗りされ、見下ろされている格好である。俺はマゾという名の紳士ではないので、地味に怒りゲージが溜まっていく…のだが、まあ、ここはグっと我慢。

 「それで…俺は何をすればいいのかな?」

 「え、えっとね…今から二時間ボクに責められて、一回もイか…しゃ…射精しなかったら!」

 恥ずかしがって噛むくらいなら、そんな提案をするな。
 第一、それは苦労ではあるが、むしろ美味しいプレゼントと言い換えても一向に構わない。

 「…えっと…いいよね…?それとも、ボクに触られるのなんか、イヤかな…?」

 自称、シズという名の少女は、決死の表情、うっすら涙すら浮かべながら、まるで縋るように聞いてくる。流石にこれは演技かと疑いたくなるが、それにしては真に迫る。とりあえず、結論を保留してみる。

 「…構わないけど。でも、二時間っていうのはいくらなんでも長すぎだろ。負けの確定してるゲームなんて、やっても面白くもなんともないぞ」

 「そうかな?じゃあ、半分の一時間でいいよっ。これなら楽勝だねっ!」

 これは妥協してみせたつもりなのだろうか。

 「あっそう……じゃあ、もしもイったときはどうなるんだ?」

 「大丈夫。ノーリスクだよ!」

 「…………へえ。良い条件だな」

 うそくせえー。こんなの僕にとってはリスクじゃないから、みたいなことを絶対に言うぞ。
 ていうか、こいつ、馬鹿だな…
 ……ふむ、ちょっとだけ、質問をしてみよう。

 「ところで、うちの母親とは会ったか?」

 「ふえ?うん、会ったけど、どうかしたの?」

 「相変わらず元気だったろ。昔から変わらないんだよな。もういい年してるくせに」

 「うん、そうだねー。でも、元気なのは良いことじゃん。おめでとうだよっ」

 気づけよ…質問の意図が見え透いてるだろ…?
 この時点で、警戒心はほぼ消えた。…続いて何だか、わくわくしてきた。

 「…話をもどそう。、乗るよ。その勝負…ただ、俺が勝ったときのご褒美を変更したい」
 
 「え…な、何がいいのかな?ひどいことはダメだよ?」
 
 
 「秘密だ。…嫌がるようなことはしない。だめか?」
 
 「い、いや、いいよ!どうせボクが勝つんだからね!」
 
 プレゼント渡しにきたんじゃないの?
 …この少女が俺の想像通りの人物なら、勝負に負けて、イニシアチブを取られたくはない。馬鹿げた勝負だが、全力を尽くしてみよう。……それに、勝って色々してみたいし。

 
 「じゃ、じゃあ…ほら、脱いでよ。ボク、脱がし方わからないし」

 「……ほら」

 年下の美少女を前にズボンを下ろす自分。
 見方によっては犯罪者である。

 「う、うわぁっ、おっきい…まだ触ってもないのに…」

 「……さすがに恥ずかしい。早くしようぜ…」

 「え、えへへ。始まる前からボクに興奮しちゃうなんて…これはもう、勝ったも同然だねっ!」

 そんなわけで、勝負開始。タイマーをオン。


 10分後。
 そこには涙目になってペニスを握りしめるシズ(偽名)の姿が!

 「う、ううぅぅぅ……」

 「……もしかして、処女だったりするの?」

 「う、うるさいなぁ!いいじゃん処女だって!悪いことじゃないよー!」

 「……何でこんな勝負仕掛けたの?馬鹿なの?」

 シズはまず、おそるおそるペニスを軽く握りしめ、上下に擦ってみるも…動じない俺を見て、じょじょに力を加えていった。しかし、いかんせん男の感じるポイントが分かっていないため、力加減が程良くなっても敏感な所をほとんど刺激しないため、俺は気持ち良くならず、焦ったシズは更に力を加えていく…それが今の状態である。

 「…流石に痛くなってきた。もうちょっと力を緩めてくれ」

 「うっ…ご、ごめん。痛いのはヤだよね…」

 非常に申し訳なさそうな表情を浮かべ、シズは力を緩めていく…しかし、そこからどうしたら良いのかわからないらしく、ペニスを握りしめたまま「う〜……」と、唸っている。
 実を言うと、さっきから健気な姿に心ときめいていたりするのだが、それを言うとつけ上がる可能性があるので秘密。

 「こ、こうなったら…奥の手を使うよ!目を閉じて口を開けて!」

 「えー、もう…?」

 「はーやーくー!時間ないのー!ボクが泣いちゃうぞー!」

 すでに半泣きである。そして、迷った末にシズのお願いに乗ってしまう自分の不甲斐無さを呪った。

 「ごそごそ……よし、てりゃぁー!」

 「……?…んがぁっ!?」

 目を閉じた隙に、指を口の中に突っ込まれ、小さい固形物を突っ込まれる。なかなか飲み込もうとしない俺に焦りを感じたらしく、指による蹂躙は勢いを増し、喉に直接触れるまでに達している。
 これはもう、恐怖するしかない状況である。

 「んぐっ……う…くそ…何飲ませた…」

 「えっと……媚薬。バイオグラっていうんだって」

 「バイアグラな…。心臓に悪い真似を…」

 「えへへ…ごめんごめん。もう二度としないよ」

 …今のは健気な行いであるとは言い難い。自分に健気であることを強いているわけではないのか…つまり、健気な仕草は、素でやっているということになるわけだが…
 あと、短時間に二回も飲まされたら死ぬ…というかこの少女、取扱にはちゃんと注意してくれたのだろうか。無暗に服用していいようなものじゃないはずだぞ。…怖くて確認はしないけど。



 「はぁ…で、効き目が現れるには時間がかかるはずだが…それまでどうするんだ?」

 「それに関しては対策済みだよっ。そのままもう一回、眼を閉じててくれる?」

 「もう二度と、さっきみたいなことをするなよ…」

 若干のトラウマを残しつつ、仰向けになったまま眼を閉じる。

 「……大丈夫だよね?嫌がられないよね?……えいっ」

 ぼそぼそ独り言を言うシズを少し不審に思って何か言おうとした瞬間、突然、唇を柔らかいもので塞がれた。

 「ん…ちゅ…ちゅるっ……」

 キスをされている。たどたどしいが、舌を入れ、唾液を絡めとろうと懸命に口内を犯してくる。

 「…ぷはっ、ま、まだ眼あけちゃだめだよ…っ」

 更にシズは両腕を俺の頭に回し、がっちりと固定し、再び唇を重ねる。
 不規則な水音が頭の中に響き渡る。加えて、完全に密着しているため、シズの豊満な胸が押しあてられ、シズの心臓の鼓動と、柔らかな二つの感触が、官能的な刺激となって俺を責め立てる。

 「は、はぁっ…も、もう一回っ……あっ」

 カツンっ、とシズの歯が音を立てて俺の前歯に当たる。

 「ん…ごめんね。痛かった…?」

 そう言うと、まるで労わるように歯が当たった部分に舌を這わせ、チロチロと舐める。
 まるで頭を撫でるような優しい愛撫のあとは、再び唇を重ね、舌を這わし、奥へ奥へと、俺の口内を舐め、求めてくる。懸命さと貪欲さの二つの混じったキスに、俺は今までにない恍惚感を味わっていた。

 「ちゅっ…ちゅぅ…じゅるっ…!…はぁ、…えっと、ボクのキス…気持ち良いん、だ、よね。うっとり、してくれてる…えへへ…嬉しいな…」

 俺が一切の抵抗をしていないのを確認し、嬉しそうにシズはもう一度唇を重ねてくる。彼女自身昂ってきているのか、無意識の内に体をゆさゆさと動かし、俺に擦りつける。全体で快楽を受け止めているようだ。
 当然、俺もその感触を受けることになる。胸が自分の上で形を変えていく様や、衣ずれの音、絡め取るように巻きついてくる脚の動き。唇を離した時に吹きかかる、彼女の熱い吐息、眼を閉じていて、受身になっている分、自分のほうがその感触をより高く受け止めている。

 「んぅ……息が苦しかったら、教えてね。ボクも、胸がすっごいドキドキしてて…あはは、とっくに、伝わっちゃってるかな…」

 勿論、伝わっている。彼女の心臓は破裂してしまうのではないかというくらい鼓動している。積極的にキスを仕掛けているが、内心では不安や、恐れなど、様々なものが渦巻いているのだろう。そして、それは彼女が俺に対して本気であるという何よりの証明であり、俺は感動を覚えてしまうのだった。

 「ん…ちゅ…ちゅる…んぅ…もっとぉ…」

 シズはすっかり興奮してしまったらしく、緊張気味だった声は恍惚感に蕩けきった声に、行動も大胆で艶めかしいものへと変化していった。

 「……くちゅ……ん…ボクの…飲んで…」

 間を置かれ不安に思った途端、再び唇をふさがれる。更に、ドロリとした生暖かい液体が、彼女の口から流し込まれてきた。

 「ん…んぐ…っ!?」

 「ちゅ…れろ…んぅ…っ、ちゅ…っ」

 彼女の唾液が、舌で掻き回されて、俺の口内を侵食する。泡立った唾液が、くちゅくちゅと、淫らな音を響かせ、お互いを恍惚とさせていく。……今、目の前の彼女は、どういう表情で俺と口づけをしているのだろう。それを明らかにしたいという思いと、このまま想像だけで続けたいという思いが、鬩ぎ合う。
 気がつくと、俺も無意識の内に彼女のキスに舌を絡め返していた。わざと水音を立てながら、舌を絡めあったり、彼女の口内を舐めまわしたりする。
 流石に長い間キスをしていると、唾液の量も増えてくる。口の端から零してしまう。すると彼女は、それを舌で舐め取り、再び俺の口内に流し込む。仕方ないので、少しずつ飲んで余裕を取り戻そうとする。だが、嚥下する音は彼女にも聞こえていて、俺が唾液を飲み込むと、彼女は唾液を再び俺の口内に流し込む。俺はここでようやく、自分が彼女の体を強く抱擁していることに気づいた。彼女の唾液こそが、媚薬のようだ。甘い蜜が口内で広がり、飲み込む度に、頭が蕩ける。全身は彼女の感触と体温に包まれている…本当に、彼女に全てを侵食されてしまったかのような、しかし幸せな気分を、味わった。
 最後に俺は、音を立てて全ての唾液を呑み込んだ。彼女はそれを理解すると、一度、ギュっ、と強く俺の体を抱きしめた。


 
 30分経過。


 「ん…そろそろ…いいかな…。ボク、初めてにしては、上手くできたよね…?」

 「は…キスも初めてだったのか…」

 長い時間をかけたキスのおかげで、俺はすっかり彼女に好意が抱いていた。なんというか、彼女が愛おしい。許されるなら、今すぐ押し倒して、膣にいれたい気分ですらある。
 だが、一度勝負すると決めてしまった以上、そんなことはできない。意思を曲げて自分から負けてしまうのは、きっと彼女を失望させてしまうだろう。負けたときのペナルティよりも、そっちのほうが抵抗があった。

 「こっちは…うわ…さっきよりもおっきくなってる…触るね…?」

 薬の効果もあるのか、俺のペニスは今までにないくらいに腫れ上がっていた。痛いくらいに…というか、実際に痛い。気を抜いたら、シズの愛撫であろうと何分と耐えられない気がする。
 シズはかなり名残惜しそうに顔を離すと、再びペニスを手でたどたどしく握った。その瞬間、俺は電流が走ったかのように、思わず腰を浮かせてしまった。

 「わっ!?び、びっくりしたぁ…ど、どうしたの…?」

 「いや…その…驚いた、だけだ。気にしないで続けてくれ…」

 本当に今の一瞬は危なかった。長時間キスだけという、間接的な快楽に慣れてしまい、久し振りのダイレクトな性感への刺激を、必要以上に受け止めてしまったのだ。

 「うん…コレ、すっごいね…心臓みたいにビクビクしてる…先っぽも、なんだか赤いし…その…痛く、ないの…?」

 「まぁ、少し痛いけど…我慢できないほどじゃあないな」

 「ふぅん…でも…イけば、きっと楽になれるよね。よ〜し…」

 俺だけでなく、彼女も昂っているのだろう。、さっきは途中で止めた、イくという表現も自然に使っている。最初に比べれば、恐らく上達しているだろうと、俺は襲ってくるだろう快楽へと身構えた。

 「さっきは、おちんちんを気持ち良くしてあげられなくて、ごめんね…。今度は、良くしてあげるから…」

 シズはそう言うと、丁寧な動きでペニスを上下に擦りはじめる。

 「くっ……」

 柔らかい手の感触と、絶妙な力加減が、俺を責め立てる。
 リラックスしたおかげで、力が良い具合に抜けたのだろう。さっきとは、まるで得られる快感が違っていた。

 「気持ち良いんだ…ね、一つ、聞いて良いかな…」

 そう言いながらも、シズはペニスへの愛撫を止めない。今はツボを探すかのように、人差し指と親指で、ぷにぷにと刺激してくる。いや、実際にツボを探しているのだろう。俺の反応を、じっくりと伺われているのがわかる。それでも、快楽に顔が歪むのを抑えることができない。敏感な場所を押されるたびに、苦悶の声を短くあげてしまう。

 「おっきくなったのは…薬のせい、だけ?ボクは関係…ないの、かな…?」

 俺を試すように…ではなく、純粋な疑問らしく、恐る恐る聞いてくる。
 快楽を与えているのは自分とは全く関係のない、ただの薬だけだとしたら…そんな恐怖が、彼女の中で渦巻いているのだろう。……本当に、いちいち健気で可愛いと思う。

 「いや…シズの手も…さっきのキスも、気持ち良かったよ。もっと自信を持っていい」

 「そ、そう…?う、嬉しいな。あはは…何だか、さっきよりもドキドキしてきちゃった…」

 シズは俺の言葉に、露骨に安堵した表情を見せる。そんな表情を見れるのは素直に嬉しいと思うが、しかし、これは相手に塩を送ってしまったようなものだ。

 「よ、よーし。ボク、もっと頑張るぞっ…!」

 そして、シズはさっきまで俺の口内を犯していた舌をペロっと出し、ペニスへと近づけた。


 35分経過。


 「お兄さんの感じるところ、今度は分かってるんだから…えいっ」

 シズは性器、しかし同時に排泄器官でもあるペニスを舐めるのに、若干躊躇したようだったが、掛声と共に、ペニスのくびれに舌を伸ばす。

 「うあ…なんか、変な濃い味がする…まだ精液もでてないのに…男の人ってすごいね…」

 そう言いながら、シズは裏スジや、付け根の部分に舌を押しつけ、味を確かめるようにじっくりと舐めていく。…ついさっきまで、貪欲ではあったが、清純にキスを交わしあっていた少女が、男の排泄器官を愛おしげに舐めあげる…あの快活さ、純真さとは不釣り合いにもほどがある。背徳…やってはいけない事を、彼女にさせている感覚。それでも、俺には彼女を止めようという正義感はなく、むしろ汚したいという、黒い欲望が湧きあがってくる…

 「別に…っ、普段はそんなじゃ、ないと思うんだが…今日は、バイアグラなんか使ってるから、おかしいだけだろ」

 俺は快楽や思考を遮るために、適当なことを喋る。とにかく感覚を散らしたい。彼女が単調な責めをしてくれたら良いのだが、初経験ということが良い方向に動き、一分前の動きとはまるで違う愛撫が俺を襲ってくる。ぺろぺろと猫のように舐められていると思うと、次の瞬間には裏スジを甘噛みされたり、ペニスの側面をキスで吸い上げるように責めてきたりする。本当に、何をしてくるか予測がつかないのだ。
 シズはそれを分かっているのか分かっていないのか、俺の言葉はまるでお構いなしに、愛撫を続ける。

 「ん…ちゅ…ぺろ…やっぱり、おちんちんって臭うね…ちゅ…初めておちんちん舐めた人って…勇気あるよね…ん…ちゅ…」

 「だったら…やめればいいだろ…っ、別に、強制なんてしてないんだぞ…っ」

 俺の、懇願にも似た言葉を聞き、シズはいったん口を離し、上目遣いに俺に語りかける。
 ペニスを頬に触れさせながらのその姿勢は、ひどくエロティックだ。

 「えへへ…だーめ。ボクにはその人の気持ち、わかるもん…お兄さん…とっても気持ちよさそうな声、だしてくれてる…ボク、嬉しいんだよ…?だから…いくらおちんちんが臭くても、大丈夫。お兄さんの匂いだと思うと…いくらでも愛せるよ」

 シズはそう言ってから、再びペニスを舐めはじめる。
 休憩できるかと思ったのだが…逆だった。シズのような少女にペニスが臭うと言われるのは、自分のどうしようもない獣性を自覚させられる。そこに、愛してくれるという言葉…誘惑に負けてしまいたいという思いが広がる。第一、シズは最初から一貫して、亀頭には一切触れてくれない。その上、敏感になりきったペニスをただ舐めるだけという行為は、強烈なまでの焦らしだ。もっと…して欲しい。その小さな口で、俺のペニスを咥えてほしい。もっと激しい快楽を送ってほしい…

 「そろそろ…こっちも、するね…? うわ…臭うね…さっきよりも、もっと凄いんだよね…」

 俺の心を読んだように…実際にはただの順当な流れなのだろうが、シズは亀頭に口を近づけていく。
 唇で優しく亀頭を挟まれ、そして少し遅れて、チュ…と、吸引する音が響く。
 その音で、再びあのキスの恍惚が蘇り、俺は思わず身を震わせてしまう。ついで、頭が痺れる錯覚。若干の射精感。

 「うわっ、何かでてきた…っ!こ、これ、精液…っ?」

 「ち、違う…それは、あれだ…あの、我慢汁ってやつ」

 「へぇ…うわぁ…口の中でネバネバしてる…うわぁ…うわぁ…」

 シズは俺から分かりやすい快楽の象徴を受け取れたのが嬉しいのか、我慢汁を口のなかでクチュクチュと弄んで、楽しんでいる。
 その口の動きを見ていると、もしもあの中で咀嚼されているのが自分の精液だったら、もしもシズに奥まで咥えられたら、どれくらい気持ち良いのかと、想像を止めることができない。
 実際、かなりまずい。我慢汁は普通、じわっ…と、零れるようにでるだけなのに、さっきはまるで射精したかのように、勢いよく飛び出した。相当、薬の効果は高いらしい…

 「ね、お兄さんは…おちんちん咥えるような女の子、嫌い…?」

 快楽に蕩けたような顔を浮かべながら、しかしそれでも遠慮してしまうらしく、おずおずと、こちらの様子を伺いながらシズは尋ねてくる。…奉仕しているだけの彼女の顔が、快楽に蕩けているのならば、自分は一体、どんな表情をしているのだろうか…

 「さぁな……別に、そういうのは嫌いじゃない…それに…好きでもない。問題になるのは、相手の意思だけだろ。悪いこと考えてなければ、それでいいんじゃないか?」

 時間稼ぎに、適当に喋る。自分でも、何を言っているのか分からない。
 …時間を稼ぎたいなら、拒絶すれば良いことくらい分かっている。でも、その選択肢を選べないのは…少なからず、彼女の魅力にハマってしまっているからなんだろう。

 「…じゃあ、気持ち良くしてあげたいっていうのは、間違ってないよね…じゃあ、いくよ…噛んだりしないから、安心してね…」
 
シズはとうとう、大胆にペニスを咥えこんだ。ペニスが、彼女の唾液に包まれていく。彼女の熱い吐息が、芯まで伝わってくる。

 「んぅっ…おっきいよぉ…ぼくじゃ、ぜんぶはむりだぁ…」

 「う…くぅ……っ!」

 咥えたまま、不器用に喋る。それだけの振動で、更に与えられる快感が増加していく。
 そもそも、俺のペニスのサイズが彼女の小さな口に合っていない。もごもごと咥えてはいるが、それだけで彼女の口を埋め尽くしている。喋るだけで、舌や口内の肉が微弱な締め付けで責められてしまうのだ。

 「でも…先っぽとかなら、大丈夫だよね…お兄さん、先に謝るけど…痛かったら、ごめんね。…止めたり、しないから」

 シズは初めて、自分の意思を貫く決意をし、ペニスの中腹から先端までを、口内で吸いこみを始める。
 これは…まずい…!

 「れろ…れろ…じゅるっ…!じゅりゅ、ぢゅるっ…じゅぷっ、じゅるるるっ…!」

 「く、うあぁ…っ!」

 裏スジやくびれなど、俺の感じるところを特に強く圧力を加えながら、シズは精液を全て搾取しようとするように、激しい吸引を行う。もはや最初のときのように、手コキもできず、おろおろしていた弱々しい感じはどこにもない。俺は圧倒的な快感の前に、歯を強く食いしばって耐えるしかなかった。もしも根元から吸われていたとしたら、俺は一溜まりもなかったことだろう。

 「ぷぁっ…ん…っ、ぢゅるるっ!ぢゅうううう……じゅるる、ぢゅる…っ!
んぅ…っ、おにぃさんもっ、だしてっ、いいんだよっ…いっぱいっ…臭いの
元…全部、ボクのお口に注いでもっ…ぢゅるるっ…!」
 
 「あ、あぐ、だ、だめ、マジで、だめだっ…!」

 強烈な快楽に、脳が焦がされる。頭の中は稲妻が走ったかのように真っ白で、一瞬でも気を抜けば、彼女の口内も同じように汚してしまうのは間違いなかった。
 そして、一瞬、彼女の口内が自分の精液で溢れかえっている姿を、想像してしまった。
 初めてのセックスで、不慣れな精液を大量に注がれ、むせ返る彼女。しかし吐き出すわけにもいかず、懸命に喉を鳴らし―――

 「―――っ、は、離れろっ…!!」

 思考を中断し、半ば本能で彼女の口を引きはがす。

 「んぅ!?……っ!」

 シズは一瞬驚き、しかし口を離そうとしなかった為、抜いた瞬間、ちゅぽんっ!と、弾けるような衝撃と快楽が俺を襲う。それでも、それでも何とか、ギリギリのところで耐えきった。

 「うー、ボク、もう少しでイかせられたのにぃ…ずるいよぉー…」

 シズには、最初のような快活さが見えるにも関わらず、、セックスによる興奮で顔を蒸気させ、舌を名残惜しげにだしながら、淫靡ともいえる表情で、文句を言う。
 だが、こちらには付き合う余裕がない。ペニスが射精を求めてひくつくのを止められない、みっともない姿だ。内心だって、もっとしゃぶって欲しい。フェラのやり方を指導して、更なる快楽を求めたい…と、思考することを結局、停止できていない。
 正直言って、舐めていた。薬を使われたからといって、ここまで余裕を失くすことはなかったはずだ。彼女にはテクニック自体はないが…その分、言葉と態度で、俺の心を掴んできたわけだ。

 「…俺が、手をだしちゃいけない、なんてルールはなかったはずだ。…そりゃ、暴力はなしだろうが…同じやり方なら、ありだろ」

 宣言したもの勝ちとして、シズの反論を待たずに、俺は彼女を押し倒す。
 ―――押し倒し、彼女の姿を改めて確認する。頬だけでなく、体全体が熱くなっていて、良い感じにほぐれている。一見、準備万端に見えるが…それでも…セックスをするには、体全体の成長が足りないように思う。今まで反撃しなかったのも、そこに躊躇いを覚えていたからだ。

 「―――ひゃぁっ、わ、わ…っ!ど、どうすればいいの…っ!?」

 幸い、シズは経験がないから不慣れだ。一方的に責め込めば、こちらに勝機がある。
 だが、こちらはすでに限界ギリギリだ。一度でも彼女にペースを譲ってしまえば、ほとんど我慢できず、漏らすように射精してしまうだろう。
 ―――だがいい加減、年上顔して遠慮するのは止めよう。彼女の本気に、こちらも本気で答える。それを礼儀というのか、大人げないというのか、それは分からない。でも、真剣に答えようと思ったのは、間違いない。昔、短い期間だけ一緒に過ごした従妹…櫛長沙織との勝負に、勝ってみせる。


 45分経過。


 「ちゅ…ぢゅる…っ、…服、脱がすぞ…」

 俺は直前までペニスを咥えていた口だろうとお構いなしに、キスをしながら、沙織の服を乱暴に脱がしていく。幸い、ボタン式だったので、手間はかけずに済んだ。

 「わ、わぁ…っ、は、恥ずかしいよっ…!」

 「こっちだって散々恥ずかしい思いをしたんだ。我慢しろよ…っ。まさか、あんなガキだったお前に、ここまでされるとは、思わなかった」

 「ふぇ、えっ…?」

 適当に思わせぶりに喋る。それで沙織が戸惑っている内に、胸を露出させる。たゆんと、服の中から飛び出た胸もすでに準備完了といった具合で、ピンク色の乳首も、自己主張するかのように、隆起して存在をアピールしていた。

 「いやらしいおっぱいだよな。これだと、クラスの連中にも散々言われただろ。ま、こうも露骨にエロきゃあ仕方ないんだろうが」

 「そっ、そんなっ…ボクなんて、そんな、大した魅力なんか、ないよ…言われたこと、あんまりないもん…っ」

 「だったら、クラスメイトに見る目がなかったんだろうな。お前は、本当に魅力的だぜ。誰にも負けないくらいに。…今まで誰にも手をつけられてなかったのが、不思議だよ」

 「あ、あう、あぅ…」

 とにかく喋ってリードを奪いながら、彼女の胸を吸い上げる。空いた片方の胸を、手で鷲掴みにして犯すのも忘れない。

 「あぅ…やぁ…そんな、赤ちゃんみたいに吸わないでぇ…ボク、わけわかんないよ…っ」

 「ん…俺のやり方は、気に入らないか?」

 「そ、そんなことないよ…っ、気持ち良いよっ。でも…」

 「そっか、安心した」

 さっきのお返しにとばかりに、ちゅぽんっと音をたてて胸から唇を離す。そして、もう片方の胸を吸い上げ、更に、片方の手での愛撫は優しく、ほぐすように撫でまわしていく。
 沙織の胸は、弄っていてとても楽しい。弾力にはかけるが、その分とても柔らかい。マシュマロのように形の良い胸が、自分の掌によって自由自在に形を変えていく。乳首を吸い上げようとすると、顔が胸の中に埋められる。…ペニスを挟んでみたい、という誘惑にも駆られる。この双乳に挟まれて、左右から圧縮されると、一体どんな快楽を得られるのだろうか…だが、間違っても今やるわけにはいかない。次のお楽しみと、自分を無理やり納得させ、目の前の彼女を感じさせることに集中する。

 「やぁ…お兄さんに愛されてる…ボクぅ……」

 しかし、ねちっこく愛撫してみているが、彼女の昂り方にしてはいまいち反応が良くない。性感が未発達なのか、それとも、あまりにも慣れていないから緊張しているのか…感じてはいるようだが…どちらにせよ、このままだと沙織が我に返ってしまうかもしれない。どうにかしなければ…
 …彼女の声はまだ、快楽に犯されている。蒸気した息が、俺とは違う方向に向いているのを確認し、その隙に空いている手で彼女の下着も脱がしていく。

 「ふぁ……っ!お、おにいさん、そこはぁっ…!」

 「俺のは触っておいて、お前のはダメなのか?…良いだろ、俺は見たくて堪らないんだ。本気で嫌がるなら、止めるけどさ」

 自分でも、卑怯な言い方だと思う。こう言えば沙織は絶対に拒んだりしないことは分かっている。
 案の定、彼女は緊張に震えながら、しかし俺の目を見て。

 「うぅ…や、優しくね…?」

 ズボンをずりおろし、下着に手をかける。気合いを入れてきたのか、それなりに可愛らしいパンツだった。

 「……濡れてるな。いつから発情してたんだ?」

 喋ることで時間稼ぎ。

 「は、発情って…し、仕方ないじゃんか…お兄さんだって、ボクのお口でイきそうに………そうだ、なんでボクはさっきから、されるがままなんだよっ!」

 大失敗した。
 最早遠慮してはいられぬと、彼女の下着をずり下ろす。誰にも見られたことのない、綺麗な色をしたアソコが目に入る。…思わず、ゴクリと、唾を飲み込んでしまう。
 彼女もなんとか反撃しようと、手を伸ばし始めた。



 55分経過。


 「よ、よいしょ…っ!」

 掛声と共に、沙織は体を起こし、対面座位の形に持っていこうとする。…力づくで押さえ込むのは簡単だが、どうしたものか。それは暴力に入るのだろうか… そんな風に迷っている内に、沙織は体勢を整え、体を俺に押し付けてきた。彼女との身長差は、頭一つ分違う。抱き締めれば、そのまますっぽり収まってしまう…やや動きにくいが、それは彼女も同じだ。

 「…お、お兄さんの体、あったかい……でも、ボク、がんばるから…っ」

 沙織は片手でペニスを握り、扱いてくる。それだけなら想定内だが、彼女は更にもう片方の手で俺の頭部を抑え、唇を重ねてきた。…全くの不意打ちで、当然、俺は目を閉じていない。ここで初めて、彼女がキスをしている時の顔を見てしまう。恥じらいはあるが、目を逸らそうとはしていない。ドキッとする。思考が一瞬止まり、行動が遅れてしまう。
 その間に沙織は舌を俺の口内に入れ、吸いつくような口づけを行いながら、ペニスを愛撫する。未だにフェラチオの余韻が残っているせいで、再び絶頂寸前の状態に追い込まれてしまう。キスをされているせいで、歯を食いしばって耐えることもできない。俺の表情が快楽に歪んでいるのを見て、彼女の顔が勝利を確信した笑みに変わる。…だが、そういう時は得てして油断しているものだ。
 俺は、沙織に負けたくない一心で射精への欲求を追いだし、彼女をイかせることだけを考える。
 本当に、昔自分を頼っていた彼女に負けるなど、みっともなくって出来るはずがない。思い出せないくらいに昔と変わってはいたけれど、それでも、沙織より上にいたいと思ったのだ。
 俺は負けじと彼女の秘部に手を這わし、上下左右に掌で満遍なく愛撫する。掌に彼女の愛液がべっとりと付着するのを実感する。秘部の感度は良いようだ…とにかく、利用しない手はない。
 彼女の秘部を、何度か軽く叩く。くぐもった水音が鳴り、彼女は羞恥に耐えられず、みるみる頬を赤く染めていく。息継ぎの隙に唇を離し、彼女の頬にそっとキスをする。更に秘部を愛撫しつつ、彼女のサラサラな髪を、梳くように撫でてやる。

 「ふぁ…気持ちいい…」

 沙織のペニスを愛撫する力が弱まっていくのを感じる。だが、こっちはほとんど限界だ。精液が尿道に溜まっている。もうほとんど暴発寸前だ。まだ時間にならないのか、沙織はまだイかないのか、掌はすでに彼女の愛液でぐしょぐしょだ。もうすっかり感じているはずなんだ、あと何か、一押しで―――

 「…好きだよ、沙織」

 耳元で囁く。初めて、彼女の名前を呼んだ。

 「えっ?…えっ?ええっ…!?」

 陳腐なことを言ったとは思うが、それでも彼女には効果があった。彼女の手がペニスから離れる。だが、偶然にもその時、鈴口をツっ…と撫でられる。最後の一押し、我慢ができない。体が内側から引き絞られるような感覚が襲う。それでも愛撫することは止めない。彼女を思いっきり強く抱きしめ、体の中にすっぽりとはまるよう引き寄せる。

 ―――ピピピピピピピピピ………


 「だ、だめっ…ボク、イっちゃ、う―――っ!」

 沙織の体が痙攣したように跳ねる。その際に、彼女の腹部にペニスが当たり、擦られる。頭が弾けるような錯覚。体中の力を全てを吐きだすかのような激しい射精感が襲う。まるで水道のように、激しく、大量の精液を出している。それでも、一向に射精は治まらず、ドクンドクンと、心臓の鼓動よりも強く、身を震わせる。絶頂が治まらないのは沙織も同じらしく、俺達は永遠にも感じる長い時間、お互いに絶頂の快楽を味わった。

 「…ふわ、ぁ……あついの…いっぱい感じる…」

 射精が終わると、今度は激しい疲労が襲ってくる。全身から、力が抜けてしまったみたいだ。俺は、自分の精液が体に付着するのも構わず、彼女と共に重なるように倒れ込み、眠りに落ちていった…


 二時間ほど、意識を手放していたらしい。どうやら、彼女もほぼ同時刻に目を覚ましたようだ。

 「……お兄さん、最後、イッたよね…?」

 「イったが、無効だ。タイマーが鳴ったのをきちんと確認した。」

 「むぅぅぅぅ………悔しい……っ」

 沙織は本当に悔しそうに唸る。本当に。誰が見たって悔しそうだって、思うだろう。

 「…そういえばお兄さん、何時から気づいてたの?ボクのこと…」

 「ああ…セックスする前にはもう、分かってたぜ。最初は流石に、分から
なかったけどな」

 「……っ、も、もー…っ!」

 沙織はセックスという言葉にまず赤くなり、ついで、ほとんど始めから気づかれていたことに憤慨する。

 ……確か、沙織の母が一時的に忙しくなったため、それまで俺の家に預けられた時が、初めての出会いだったはずだ。あの時の沙織は、暗かった。帽子を室内でも被って、何時でもうつむいていた。だから今みたいに感情を容易に読み取ることができず、会話を成立させるのに苦労したものだ。
 幸か不幸か、一人称がボクで、頭が悪いのだけは変わらなかったから、遅まきながら思い当たることができたのだ。あの頃の彼女が、何を思って今の姿に成長してきたのかは、分からない。そういう些細なことは、これから聞いていけばいいのだろう。時間は、たくさんあるのだから。
 ちなみに、今回の不法侵入は普通に俺の親に協力してもらったのだろう。多分、沙織がバイアグラなんて買いにいけるわけもないだろうし、誰かに協力してもらったのは間違いない。

 「ていうか、お兄さん…上手だったね。ボクとは違って」

 「何だよ?スネてるのか?ただの年の功だろ」

 「そうじゃなくって…だからさ、他の女の子とも、経験あるんだなぁって思
って…」

 「まぁ、そうだな。…なんだ?嫉妬か?可愛い奴め」

 「ボクは…その内の一人なんかじゃ、やだ。お兄さんのこと、独り占めしたい…迷惑だって思われるかもしれないけど…一緒にいたいよ…」

 「……本当に可愛いな。本気でドキドキしちゃったぜ」

 というか、それは告白ではないだろうか。セックスなんてしちゃったものだから、ちょっとその辺りの境界があやふやになっているのだろう……まあ、わからなくもない。こっちだって、似たようなものだ…
 …今日みたいに、沙織に抱いた感情を、俺は今までに得たことがない。沙織とは、何だか上手くやっていける予感がある。……離れたくないって思ったのは、こっちだって同じなんだ。

 「なぁ…まだ時間、あるんだろ?」

 「う、うん…一応、何かない限りは、ずっと平気だよ…」

 「じゃあ、居ろよ。面倒くらい見てやれるから。……あと、バイアグラの効果、やっぱりやばいわ。全然治まった気がしない。勝者の権利ってことで、今度は最後まで、勝負もなしで普通にヤろうぜ」

 バイアグラの効果だけでもないのだが、恥ずかしいので秘密に。

 「う、うん……うん!?そ、それって、ボクと…」

 「……好きだっていったの、本当だからな。沙織」

 口に出して、言っておく。確かな関係を、結んでおきたかった。

 「ば、ばかっ…!そんな、不意打ちで…っ」

 口づけで、彼女の言葉を塞ぐ。さっきは良いようにされてしまったが、今度はそうはいかない。年上の威厳を見せつつ、満足いくまで沙織を堪能させて貰おうじゃないか。
 ……満足できる日がくるなんて、わからないけれど。


 まぁ、そこから先は至って普通な、ありふれたハッピーエンドだったと、そんな適当な締めで終わらせで貰おう。

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