1
――タケルの両親は淫魔ハンターだった。
二人とも、華々しい仕事はあまりしない。
人里近くの洞窟に居つくような、低級だが生活に直接害をなす、そんな淫魔を狩っていた。
タケルはそんな両親を、子供なりに誇りに思っていた。
どこそこのインカイを滅ぼした超一流ハンターは、やっぱりかっこいいと思う。
でも、今日もどこかのインマをやっつけて、へとへとだろうに自分と遊んでくれる父や、晩御飯を作る母を見ていると、二人はどんな超一流にも負けないと思った。
それは、タケルが5歳の時だった。
その日も両親は仕事に行き、そして帰ってきた。
淫魔ハンターは、たとえ夫婦といえども異性のペアでは仕事を受けない。女性ハンターが集中的に狙われて淫魔化され、男性ハンターがさらなる苦境に立つのを防ぐためだ。
その日、父・タケシは小さな仕事をこなしてきたが、母・レンカの方は一ヶ月ぶりの大きな仕事だった。
ふたりが帰ってきて、いつものように三人で夕飯を食べ、タケルはタケシと一緒にお風呂に入り、そしてベッドに入った。
…変わらぬ日常、のはずだった。
「…!!……っ!」
タケルがベッドに入ってしばらくすると、どこからか物音が聞こえてきた。
(……?)
怪訝に思って、タケルはベッドから身を起こす。物音は、家の中から聞こえてくるようなのだ。
(おばけ、ってことはないよね…?)
廊下に出てみる。恐怖心より、子供らしい好奇心が勝っていた。…音は階下から聞こえてくるようだ。
タケルの部屋は二階で、階段を下りた先にはダイニングがあり、下りて右手の通路の奥に両親の部屋があった。
(お母さんたち、なにかしてるのかな…?)
それにしては音が騒がしい。タケルは階段を下りていった。
音は、やはり両親の部屋から聞こえてくるようだ。一階まで来ると、少しずつ、音が明確な形をとり始める。
「レ…カ……!?ま……お前…!!」
ここまで来て、タケルはようやく異常に気付いた。よく聞こえなかったけど今のはお父さんの声で、なんだかとっても慌ててる…!
タケルは急いで駆け寄りドアを開けた。お父さんを助けなきゃ…その一心だった。
しかし、扉の向こうには、タケルの理解を絶する光景がひろがっていた。
まず飛び込んできたのは匂い、生臭い匂い。
そして次に飛び込んできたのは、ベッドの上で、父の腰の辺りに馬乗りになって、激しく身体を揺らす母の姿だった。
――レンカは淫魔化していたのだ。
一ヶ月ぶりの大仕事に失敗してイかされ、それでも淫気をひた隠して我が家に帰り、夫とベッドに入ったのだ。
彼女がなぜ帰ってきたのか…母親としての情がさせたのか、淫魔としての打算がさせたのか、今となってはもう分からない。
ただ…はっきりしていたのはひとつだけ。
タケシの上で腰を振るレンカは、すでに人としての理性を失った、一匹の淫魔だった。
「たっ…タケルくるなぁっ…!は、はやく逃げろおぉっ…」
タケシが必死になって叫ぶ。
完全に油断していたところをレンカにイかされ、もはや抵抗はできなくなっていた。
「あ、ア…タケシィ…タケシイィィッッ!!!」
「ぐうっ!!?目を…目を覚ましてくれっ、レンカッ…くはあっ!!」
タケシの叫びが、レンカの激しい腰つきにかき消される。
タケルはその様を呆然と眺めていた。
5歳のタケルにセックスの知識があろうはずもなく、淫魔ハンターの仕事も、「皆のために魔物をやっつける仕事」だと思っていた。
そんなタケルに、今目の前で起こっていることが理解できようはずもない。にもかかわらず、そのあまりの凄絶さに、タケルはその場にへたり込んで動けなかった。
眼前の行為を演じているのが両親であるにもかかわらず、タケルはその様から、蜘蛛の巣にかかった蝶々を連想した。
それから数分後。
タケシは動かなくなった。
レンカの腰の動きも徐々に減速していく。
(逃げなくちゃっ…!)
タケルは強く思ったが、足は相変わらず言うことを聞かない。
その時。レンカが腰の動きを止めゆっくりと振り返り、タケルを見た…
気が付くと、タケルは泣いていた。
レンカはすでにいない。背中から黒々とした翼を生やし、窓から闇夜へと飛び立っていった。
…あの時、レンカは確かにタケルを見た。でも、見ていなかった。
淫魔化したレンカにとって、タケルはすでに愛子(まなご)ではなかった――食糧か否か、その二者択一だった。
そして、5歳のタケルは食糧ですらなかった――そう判じた時の、レンカの目。
タケルを抱きしめる優しい目でも、叱る厳しい目でもない…ただモノを見るような、冷め切った空虚な目。
確かに、タケルの命は助かった。でも、何かもっと大事なものを無くした気がして、タケルは泣いた。
2
――気が付くと、タケルは泣いていた。
こんな歳になって、男が涙を流すなんてそうそうあるわけでもない。
でもその時は、大事な、それでいて辛い記憶を、ついさっきまで思い出していた――そんな気がして、だから泣いても仕方がないと思った。
タケルは今、ベッドに横たわっている。背中に伝わる夜具の感触が心地いい。
頭を預ける枕も、人肌のぬくもりを伝えてくるようで、とても安らいだ気持ちになる。
まるで、お母さんの膝の上で眠っているよう…
タケルはそう思い、この上ない安心感の中で、再び意識を手放そうとした。
「ふ〜ん…なるほどねぇ」
しかし、頭上から響いたその声が、タケルを現実へと引き戻した。
3
次の瞬間、タケルはベッドから飛び退いた。
前後の記憶も徐々にはっきりしてくる。
(あのまま淫魔にイかされて、気を失って……くそッ!)
あげく淫魔の膝枕で眠りこけていたことに、タケルは歯噛みする。
「もぅ…膝枕してあげてたのに、つれないわねぇ…」
「…黙れ」
「気持ちよさそうに眠ってたわよ?寝顔も可愛かったわ…♪」
「だまれッ!」
「フフフ…アハハハッ!」
堪えきれなくなったとでも言いたげに、淫魔は笑い出す。
「淫魔(ワタシ)たちへのその憎しみ!最高だわッ!!そりゃそうよねぇ?淫魔に人生メチャクチャにされちゃったものねえ!?」
「なっ…!!?」
不意に、目覚める直前のことが思い出される。――自分はなぜ、泣いていたのか。
「ボウヤがおねむのうちに、アナタの大事な…だけど辛い記憶、見せてもらったわ。今まで色々覗いてきたけど…ボウヤのは『傑作』ね」
「傑作」という言葉に、みるみる頭に血が上っていく。
「淫魔のせいでパパが死んで…その上、ママにあんな捨てられ方しちゃったら、堪んないわよねぇ?」
一切の声をあげず――正しくは声にならない叫びをあげて、タケルは猛然と淫魔に飛び掛った。
「フフッ、またまた期待通りの反応ね…いいわ、ボウヤのココロ、完全に堕としてあげる」
淫魔は慌てるそぶりすら見せず、ただパチンと指を鳴らした。
その瞬間、松明の火がいっせいに消えて、あたりは闇に包まれた……
4
「っ!??」
ぼふんと、タケルの身体がベッドに突っ込む。
そこは淫魔がいるはずの場所だった…突然真っ暗になったとはいえ、誤ろうはずはない。
淫魔が、忽然と消えてしまった。
「どこだ…!出てこいっ!!」
部屋にタケルの声だけが木霊する。目が、まだ闇に慣れていない。
何も見えない……
次の瞬間、目の前に蠱惑的な笑顔が浮かび上がり、唇を貪られてしまいそうな――
背後からしなやかな手指が伸びてきて、ペニスを絡めとられてしまいそうな――
そんな恐怖が――あるいは、「期待」かもしれない――、タケルの心中に渦巻く。
「フフフ…こっちよ、ボウヤ…」
声は、ベッドの反対側から聞こえてきた。
「反対側」と言うと大げさに聞こえるが、この部屋のベッドは大きく、その縦幅はタケルの身長の1.5倍はある。
「くそっ…」
その時口をついたのは、自分を弄ぶがごとき淫魔への悪態か。
……あるいは、何もされなかったことに落胆する、自分への嫌悪か。
5
とにかく、相手を捉えなければ始まらない。しかし、こう暗くては移動もままならない。
やむをえず、タケルは四つん這いで反対側を目指す。
ベッドの上を慎重に進んでいく…と、前方を探っていた左手が、ベッドの縁に触れた。
「え…?っ!??」
またしても、淫魔は気配すら匂わせず移動していた。
背後をとった淫魔がタケルの背中を押す。タケルの上体だけが、ベッドから転げ落ちた。
「あら…可愛いお尻してるわね」
ベッドの上で、タケルの臀部が淫魔の眼前に晒される。淫魔は、男にしては瑞々しいその尻たぶを、両手で鷲掴みにした。
「くぅ…!くそっ!はなせぇッ!!」
淫魔はやわやわと尻を揉みしだく。それは快感を与えるというより、屈辱を与えんがための行為だった。
「こぉら、じっとしなさい…お尻の穴、見てアゲルから♪」
終始ふざけているようだが、淫魔は上から体重をかけタケルの動きを封じている。
そもそも淫魔は存外に力が強く、今のタケルの体勢では、跳ね除けるのはほぼ不可能と言えた。
「あらあら…♪こんな初々しいアナル見るのって、何十年ぶりかしら♪」
尻たぶを左右にぐっと押し広げて言う。
かなり間近で見ているのだろう…すぼまりに吹きかかる吐息が、タケルの羞恥を煽った。
「ボウヤのは間違いなく未開発ね…まぁ、ハンターが自分で開発してたらお笑いだケド」
「く…くそぉ!見るなッ!みるなあ!!」
屈辱に耐えかね、タケルは絶叫した。
女慣れした男なら、これも一興と受け流すかもしれない。
しかし、タケルは精神的にまだまだ幼い。しかも相手は人間の女ではなく、憎い憎い淫魔なのだ。
「あぁん、もぉ…なでなでしてあげるから、機嫌直して、ね?」
そう言うと、淫魔はすばやい動作でタケルの両腿を揃え、その上に腰掛けた。
これでタケルは、ベッドの縁を基点にくの字に折れ曲がったうつ伏せの姿勢で、上半身はベッドから落ち、下半身は完全にベッド上に固定された。
「うっ…!?」
手で左の尻たぶを外側に引っ張られ、尻の谷間へと外気が流れ込む。
さらにその谷間へ指が侵入してくる感触に、タケルは短く声をあげた。
「ほぉら…シワの一本一本まで丁寧に撫でてあげてるの、分かるかしら?」
その言葉通り、指は恥穴の周りを、それこそ菊皺の一本一本まで味わうように、丹念に愛撫していく。
周縁をくるくると這い回り、時折爪が、軽く引っ掛けるように、カリカリとシワを引っ掻く。
菊門の守りがわずかでも緩むと、指はすかざす中心にあてがわれ、ぎゅっ、ぎゅっと、マッサージするかのように優しく押し込まれる。
「ぅあ…はぅ……」
「ふふ、どぉ…?上手に弄られると、お尻の穴も結構感じちゃうでしょう?」
穴の周りを指先で撫で回しつつ、淫魔は問う。
「さっきまで『みるな〜』とか言ってたわりに、ボウヤのアナル、物欲しそうにヒクヒクしてきてるわ…よっ!」
「ぅあっ!!?」
言葉尻に合わせ、淫魔はひときわ強く指を押し込む。頑なだったタケルの菊門が、ほんのわずかだが、ついに指の侵入を許した。
「アハハッ!ほら分かる?ボウヤの恥ずかしい後ろのお口が、ワタシの指を咥えこんでるの。ねぇ?ほら、ほらほらぁ!」
そう言いつつ、淫魔は恥辱の感触を送り込もうと、突き刺した指をうねうねと蠕動させる。
「ぅあ、あ、あ、あっ…!!?」
侵入したのはほんの指先にすぎない。しかし、タケルは未知の淫技に動転し、途切れ途切れの声をあげた。
「どぉしたの、ボクぅ?早くケツ穴締めないとぉ…このままズップリ開通しちゃうわよぉ?」
指は、まるで掘削するように蠕動を続けている。タケルは淫魔の言葉通り、下半身に力を入れた。
「あんっ♪ボウヤのケツ筋が、必死でワタシのを喰い締めてるぅ♪」
しかし、慌てて括約筋を締めても、すでに挿った分を押し出すことはできない。
逆に力んだせいで、中の指はその形を感じ取れるほどに、存在感を増してしまう。
「ねぇボウヤ感じてる?…今からボウヤのお尻を犯す、ワタシの指先の感触…♪」
淫魔はそう言いつつ、さらに指先に力を込め、菊門を強引にこじ開けようとしてくる。
その動きに、「犯す」という言葉が真実味をもって迫り、タケルは必死で括約筋に力を込める。
「ぅ、くうぅ…!」
「フフ…もぉ、必死でケツ筋締めちゃって。そんな悪いコには…ほらっ!」
バチンッ!
「はぐぅっ!!?」
左尻をしこたまぶたれる。
ベッドからずり落ちたタケルの視界では、淫魔の殴打はまったく予測できず、まともにもらって無様な声をあげる。
その一瞬を突き、淫魔の指がまた少し、みりみりとタケルの尻に埋まる。
「あぐっ、ぐうぅ…!」
「あら?またそうやって力を入れるワケ?…ほら、とっとと力を抜きなさい!」
ばちんっ!ばちんっ!
容赦なく、淫魔の平手が振り下ろされる。しかし今度は、タケルも歯を食いしばって痛みに耐え、力を入れ続ける。
「フフッ」ばちっ「無様ねぇ」ばちっ
手の動きは一切休めず、淫魔は言葉でも、タケルをぶち始める。
「淫魔をイカせるハンターが」ばちっ
「それどころか淫魔に組み敷かれて」ばちっ
「アナルに指突っ込まれて」ばちっ
「何もできずにお尻ペンペンされてるのよ!?」ばちんっ!
「ぅぐっ!?ぐ、うぅ…っ!」
みりみりと、また指が埋まる。
「ワタシをイカせるんじゃなかったの?」ばちんっ!
「淫魔が憎いんじゃなかったの?」ばちんっ!
「親の敵じゃなかったの?」ばちんっ!
「ひっ、ぐ、ぐぅ……っ!」
淫魔への強い憎しみとハンターの気高い誇り。……それが、今の自分を一層惨めにする。
父を、母を、自分の幼い心を滅茶苦茶にした淫魔をこの地上から消し去ってやる。……至高の誓いが、今の自分を一層惨めに感じさせる。
淫魔は力が強い。人間の男を「捕食」する魔物なのだから当然だろう。
その淫魔が、物理的に男を痛めつけるなら、その痛みは決して侮れるものではない。
(負けるもんか)いたい。
(負けちゃダメだ)いたい。
恥辱と痛みに折れそうになる心を、タケルは必死に奮い立たせ続けた。
「……ちょっと。聞いてるの?」
「……え?」
いつの間にか、殴打の嵐は止んでいた。
「ふぅ…いい加減、ぶつのも疲れてきたから、次で最後にするわよ」
あと一回なら、絶対耐え切る。タケルはそう思った。
「今から十数えて、ゼロになったら、本気でひっぱたくわ」
(本気?)いたい。
「10…9…」
(気を強くもたないと…)いたい。
「8…分かってると思うけど、相当痛いから。発狂しないでね。7…」
(コイツの口車に乗っちゃダメだ)いたい。 (聞いちゃダメなんだ)痛い。
「6…ところで…ワタシたちって、何してたのかしら?5…」
(聞くな)痛い。(聞くな)痛い。(きくな)痛い。痛い。
「4…バトルファックよね?…次の一回耐えたところで、アナタの勝ちじゃないわよね?3…どうせこの後、ワタシが抜き殺して終わりよネェ?2…」
(死ぬ…)痛い。イタイ。しぬ。イタイ、イタイ、イタイ、イタイ。
「1…0」
ヴァチンッッッ!!!!!
6
(…ちょっと苛めすぎたかしら)
萎えたペニスを見つめ、淫魔は溜息をつく。
「ごめんなさい、ごめんなさぃ、ごめんなさぃぃ…」
タケルはうわごとのように繰り返している。その目は誇りも憎しみも、何もかもかなぐり捨てていた。
もはや抵抗の意志はなく、いわゆる「牛の乳搾り」の姿勢で尻を突き出して、ベッドにうずくまるだけだ。
「ねぇボウヤ…これで分かったでしょう?」
淫魔は言いつつ、肉棒を掌で優しく包む。
これだけで甘美な感覚が得られるはずだが、今のタケルは、快感に耐えるためでなく、ただただ恐怖に怯えて身を硬くする。
「大丈夫、怖がらないで…もう痛いことはしないって約束するわ…」
淫魔はゆっくりと肉棒を扱きだす。根元からカリ首まで、ゆったりとしたストロークで擦っていく。
「ごめんねボウヤ、痛かったわね…。ハンターって言っても、アナタみたいなボウヤ相手に大人気なかったって、ワタシ反省してるの」
あくまでゆったりとしたストロークを続けながら、淫魔は言う。
「だから、今からうんと気持ちよくしてあげようって…そう思ってるの」
ゆっくりと全体を扱く動きから――今から訪れる快楽を予期させるように――根元を小刻みに扱く動きに変え、快感を蓄積させていく。
「ごめんなさぃ、ごめんなさぃ、ごめんなさ、ぁ…」
恐怖に塗り込められたタケルの思考が、今度は無防備に、快楽に染まっていく。
「…でも、もとはといえば、ボウヤが素直じゃないから、あんなことになっちゃったのよ…?」
タケルが快楽に堕ち始めたのを見て取り、淫魔は次の段階に進む。
「女のワタシに、セックスで勝てないばかりか、組み敷かれて…お尻ペンペンされて、痛くって…あんまり痛くって、ボウヤ白目剥いて気絶しちゃったのよ?」
「ひ…」
惨劇が思い返され、タケルの身体が再び恐怖に引き攣る。
…しかし、一度快楽を味わい始めたペニスは、カリの溝や鈴口を優しくなぞられると、もはや歓喜の涙を止めることができない。
「組み敷かれて…お尻叩かれて、気絶。これって…ボウヤがワタシに、腕力ですら敵わない、ってことの証明なの…」
いまや淫魔は、その柔らかい指の腹で、ヌルヌルになった鈴口を縦横無尽に弄くる。
「ふぁ、ぁ、あはぁ……っ」
鈴口を優しく擦り回される感触に、タケルは突き上げた腰をわななかせた。
――屈服の記憶が、半身の感覚が失せるほどの快楽と混ざり、脳に受容されていく……
「はっきり言うわね…人間の男じゃ、ワタシたち淫魔に勝てっこないの。…ウフフ、力でも負けちゃうボウヤはぁ…ちょ〜っと、情けないケド」
もはやタケルは、そんな不遜な言葉にも、ただ腰をひくつかせて喘ぐだけだった。
「ワタシたちは快楽の魔物…四六時中エッチなこと考えてる、はしたない淫乱オンナなの…。だから、勝てっこない。勝てっこないから、勝たなくていい…」
「勝たなくて、いい…?」
焦らすように竿をやわやわと扱きながら、淫魔は首肯する。
「そう。勝てなくても、恥ずかしくなんかないんだもの。――だから、もっと感じて…ワタシのはしたない手の感触を……」
手の動きが、亀頭だけをなぶる動きにシフトする。
「ふぁっ!?あっ、はっ、ひゃぁ…」
「ウフフ…そういえば、さっきもたっぷり亀頭いじめられて、お漏らししちゃったね?」
手を筒状にし、その中にカリ首より先だけを突っ込んで、何度も何度も強い摩擦を加えて扱き下ろす。
「ほら…あの射精思い出して…。水鉄砲みたいに精子噴き上げて、すっごく気持ちよかったね?」
筒状の手で亀頭だけ咥え込み、手首はひねって傘に刺激を送る。さらに前腕を使って、ペニス全体はレバーを操作するように引き回す。
「ね、だんだん思い出してきた…?――じゃあ、あれよりもっとすごいコト、やってあげる…」
淫魔の左手が皺袋に伸びる。そのまま掌で包み込み、少し圧迫しながら撫で回す。
「ウフ…もぉこんなに縮み上がってる。おちんタマが、二個まとめて摘めちゃうわよ…?」
縮んだ嚢の中で横一列になった玉を、淫魔は親指と人差し指で摘み、小刻みに振動させる。
「あん…今オチンチンぴくんってなったわよ?…イキそう?まだ続きがあるんだから、必死こいてガマンしてね…♪」
左手が陰嚢を離れ、人差し指が蟻の門渡りを上っていく。指は、ほどなく裏門に辿り着いた。
「大丈夫、痛いのはなしって約束でしょ?ほらこうやって…やさし〜く、クリクリしたげる。優しくされるのは、好きだったものね?」
淫魔は、唾液でぬめらせた親指をアヌスにあてがい、軽く圧迫しながら、腫れ物に軟膏を塗る手つきで弄り始めた。
親指の腹がすっぽり穴を覆い、皺も中心部もあますところなく愛撫され、タケルは溜息を漏らす。
「あらあら、結構キちゃってるわね…♪でも、ま・だ…」
不意に、玉袋をぬめった感触がよぎる。淫魔が舌を這わせたのだ。
「口が塞がる前に言っておくけどぉ…♪今から、トドメいくわね♪」
竿を扱く右手が、穴をほじる左手が、徐々に激しさを増す。
「今からアナタは、ワタシに竿をシコシコされて、穴をくにくにされて、玉をちゅぅちゅぅされてイっちゃうの。」
淫魔の吐息が、陰嚢に吹きかかる。
「いっぱいガマンすれば、それだけおっきいのキちゃうからぁ…必死で耐えて、特大のをイっちゃいなさい♪」
ぱくっ。
ちゅうううぅぅぅぅぅっっっ……!!!
陰嚢がまるごと…睾丸がふたつまとめて、淫魔の口中にほおばられる。
裏穴の指は肛門にぴったりと貼り付き、小刻みに振動して下半身のこらえを崩す。
竿が容赦なく、淫魔の柔い掌に揉みしだかれ、扱きあげられる。
淫口はさらに吸い付き、まるで嚢から直接精を搾ると言わんばかりに締め付ける。
単品でも男を善がらせる魔手が、さらに速度を上げていく。
「うぁっ、ぁっ、ぁっ、っ! っ! 〜〜っ!!」
もはや、喘ぎは声にすらならない。
その様に、淫魔の目元が艶笑(わら)った。
「…っ!??く、っ! っ! ぅ! イ、イクッ!……ッ!!!」
ぐりっと、裏穴に指が沈むと同時に、睾丸は嚢越しにコリッと甘噛みされ、竿は根元からずりぃッと扱き下ろされて、ついに我慢は決壊した。
「イ、 イッ…! イクウウウゥゥゥゥゥッッ!!!!!」
「どぷっ」と、掌に精液が撃ち出される。淫魔は睾丸から口を離し、すかさず亀頭を呑み込んだ。
ちうううううぅぅぅ〜〜〜〜〜!!
「ぃ…いひぃっ!!??」
「んぼっ!んぶっ!ふぶっ!ぶちゅっ…!!」
イったペニスに、さらに苛烈なフェラチオを仕掛ける。
「だっ…ダメェ!ぃ、イった直後はっ…でないぃ!!」
「んぶっ!ぶちゅっ!ぶちゅっ!ぶちゅちうぅぅ〜〜〜♪」
さらに右手は尻たぶを鷲掴み、左手は肛門から陰嚢までをぴったり覆って貼り付く。
「うあぁっ!なんか…なんかっ!無理にまた、イクっ!…イカされるううッ!!」
中指が裏門を、掌が会陰部を、掌底が嚢を捕らえた瞬間、左手全体が、繊細かつ強烈な振動を始める…!
「うひゃっ!?あっ!ひやっ!?あっ、あッ、アッ…!!」
「じゅっぶ!じゅっぶ!じゅっぷ!!ずちゅっ!じゅぱぁ……あ〜むちゅうううううぅぅぅぅぅぅぅぅ……〜〜〜っっッ!!!」
「あー!あー…ああああぁぁぁァァァァァッッッ!!!!!」
淫魔の搾精に、タケルは絶叫をあげて果てた。
絶頂といっても、二連発の二発目はほぼ空撃ちに等しい。
それでも淫魔は、陰嚢に今ある精子を全部抜き取るように、延々とバキュームを続ける…
四つん這いのタケルの後ろでさらに四つん這いになり、淫魔はいつまでも、精液を撒き散らすタケルの肉蛇口を吸い続けた……
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