6996

哀れな勇者 前編

遠い昔・・この世界には魔界に繋がる扉があった。扉からはサキュバスが現れ、人間達を恐怖のどん底に陥れた。しかし、一人の若者が聖剣を用い、扉に鍵をかけサキュバス達を魔界に封印した。こうして世界には平和が戻った。封印から1000年。民衆は扉のことを忘れ平和な日々を送っていた。
悪しき者に扉のことを知られぬよう魔界や扉の事は国家機密となっていた。何故秘密にしているかというと、扉を封印している聖剣が魔法陣から抜かれてしまったら封印が解けて、扉が開ききるのに一週間もかからない。扉が完全に開けば瞬く間にサキュバス達が押し寄せて来て世界は魔界の領土になってしまう。封印が解かれていないかは、年に一度国王が信頼おく者に確認させることになっていた。



「国王!大変です!」
「何事だ?」
「魔界を封印していた。聖剣、が魔法陣から抜かれています!」
「何だと!?聖剣は!?魔法陣は消されてはいなかったか!?」
「ご安心ください聖剣は持ち帰りましたし、魔法陣も無事です。」
国王はホッ息をつくと、大臣に問いかけた。
「しかし扉を再び封印する方法はあるのか?伝承によると聖剣は勇者の血族、それも心が清らかな者でなければ聖剣は扱えぬそうじゃが?」
「血族は見つかっております。しかし・・子供に聖剣が扱えるかは・・」
「ぬうう・・」
「ご安心ください国王様。」
「む?」
国王は声がした方を見ると、城に住む女性学者がいた。
「この城から少し北にある。大聖堂・・そこで身を清めれば子供でも聖剣を扱えるはずです。」
「本当か!?大臣ただちに勇者の血族を連れて大聖堂へ向かうのじゃ!」
「はっ!」









僕はロイ。城下町から離れた所にある牧場で働いてる。家は裕福じゃないけど、両親が残した牧場で働け、幸せな毎日を送っている。
「あれ?」
城の方から馬が走ってくる。乗っているのは女性だ・・それも騎士じゃない。何かあったのかな?馬は牧場の前で止まると、乗っていた女性が僕の方に走ってきた。
「ロイ様ですね?国王様のご命令です、一緒に大聖堂にきていただきます。」
「え?え?わあ!」
僕は訳がわからないまま、女性に連れて行かれた。そして馬上で女性に色々なことを聞かされた。魔界のこと、扉のこと、そして僕が勇者の血族であることを・・何もかも信じられなかったけど、嘘をついてるようには見えなかった。
「さあ着きました。ここで身を清めてもらうのですこれをお渡ししておきます。」
女性は僕に剣を渡してきた。子供の僕にとってはとても大きな剣だ。
「中で身を清めた後、扉のあるあの山に向かってください。登山道は大聖堂の裏にあります。では私は城に戻ってやることがありますので失礼します。」
そう言うと女性は馬に乗ってきた道を戻って行った。僕はとりあえず扉を開けて中に入った。
中はガラーンとしていた。これだけ大きな聖堂だからもっと人がいるかと思ったのに・・あ!よく見ると祭壇の所にシスターが一人いた。
「あの・・」
「はい?何でしょう?」
僕は事情を話して身を清めるにはどうすればいいのか聞いた。
「とても信じらない話ですが・・わかりました。こちらへ・・痛っ!」
シスターが僕の横を通ろうとした時、腕がぶつかった。そんなに痛かったのかな?
「あの大丈夫ですか?」
「え?あ、はい大丈夫です。こちらの腕を少し怪我をしていたので・・こちらです。」
僕はシスターについて行き大聖堂の奥へ向かって行った。そして地下室へ下りて行くと、大きな扉があった。
「この中に女神様がいらっしゃると言われています。そしてこの中で心を無にしていれば心身を清めることができると言われています。」
「わかりました。」
僕は部屋に入ろうとした時シスターに止められた。
「申し訳ありませんが、武器の類は持ち込んではならないので置いて行って下さい。」
「わかりました。」
僕は聖剣を入口に立てかけると中に入った。
「うふふ・・計画通り・・あとは頼みましたよ。」
少し短編が頭に浮かんだので忘れない内に書いておきたいと思います。いつもいつも主人公が子供で申し訳ありません。

悪夢の街も現在執筆中です。

今回はエロなしです、申し訳ありません。

[mente]

作品の感想を投稿、閲覧する -> [reply]