「う、うう…」
「スーク!スーク!気が付いた?」
「アキ……か?ここは一体…」
気が付くと僕はベットの上に寝かされていた
ひどく体がだるい…軽い脱水症状のような感じだ
必死に意識を集めていく……と
「そうだ、村は、村はどうなった?」
思い出した、僕とアキは二人で燃えていた村で、逃げ遅れた人々の救助を行っていたんだ
そして、そこであの……リリスの三騎士と名乗ったあいつらと出会った
僕はそこであの中の一人のドライと対決して…負けたんだ
「落ち着いてスーク、ここはレジスタンス本部よ、私達は戻ってきたの」
「そう…なのか?誰が運んでくれたんだ?」
「ラムト先輩らの一軍があの後来てくれてね、村の火の消化と逃げ遅れた人々を救助してここに匿う2軍に分けて対応したの、私達も逃げ遅れた人々と一緒にここまで運んでもらったってわけ」
「そうなのか…ラムト先輩には助けてもらったな」
僕は大体の状況は把握できた、とりあえずはあの村の窮地から脱することはできたというわけだ
「スーク、気が付いたか」
と、僕とアキしかいなかった一室に誰か入ってくる
「ラムト先輩」
アキは入ってきた先輩の名前を口にした
「ひどくボコボコにやられたね、スーク?」
と、ラムト先輩の後ろにもう一人、長髪を束ね、忍のような服装の女性が現れる
「ライ…か」
僕は彼女の名前を口にした
「一体何があったんだい?」
ライは心配そうに僕に様子を尋ねてくる
かつてライとは一度敵同士になり、2年前は戦ったこともあるのだが…
今は僕の強力な味方の一人だ
「スーク、お前はバトルファックで負けたのか?」
ラムト先輩が尋ねると、僕はこくりと頷いた
「情けない話です、手も足も出ませんでした」
「お前をそこまで追い詰めるとは…よほどの相手だったのではないか?」
「確かに彼女らは強敵でした、あの強さは極淫魔と同レベルか、それ以上と思われます」
「ふむ…」
ラムト先輩は少し困ったように腕組みをする
「どういうことだ?お前が戦った敵は「グングニル」なのか?」
「いえ…グングニルではありません、彼女らは自分達のことをリリスの三騎士と名乗ってました」
「「「リリス……!?」」」
その場にいた僕以外の三人が同時に口を揃えてその言葉を言った
「リリスって……あのファントムが最後に言ってた奴のこと?」
アキの問いかけに、僕は頷く
「恐らく、そうだと思う、あの3人はファントムのことも知っていたようだし」
「むう……」
ラムト先輩は更に困ったように唸る
「リリスというのは昔の伝説の一説の中にある淫魔の神のことだ……ファントムの言葉を聞いたときはまさかと思ったが…………」
「あの三騎士は、ファントムを倒した僕、いや僕だけじゃない、淫魔に刃向かう全ての人間に制裁を加えると言っていました」
僕の言葉に、ライが拳を手に当てる
「はっ、たった3人で私達人間全てを相手にするつもりかい?やってやろうじゃないか」
「ライ…あのアイン、ツヴァイ、ドライと名乗った淫魔は一筋縄じゃいかない、しかも僕は一対一で負けたんだ…半端じゃない」
「ふん……実際にその実力は見てみないとどうとも言えないね」
「それに………」
「?」
「奴らは「計画」を進めるとも言っていた…」
計画とは……何のことだ?
その時だった、一室にドタドタと慌ただしい足取りで入ってくる兵士
「た、大変です!」
「どうした?」
ラムト先輩が落ち着けと言わんばかりの冷静な対応をする
しかし兵士が次にした言葉は――
「グ、グングニルが、このレジスタンス本部に攻撃を仕掛けてきました!」
「…何だと!?」
その言葉に、僕は飛び起きる
「数はどれぐらいだ?」
「極淫魔の姿は見えませんが、30程度と思われます!」
「……行くぞ、アキ、ライ!」
僕はすぐに服を着替え、動ける体勢になる
「ちょっとスーク、大丈夫なの!?そんなにすぐに起きて…」
「今は敵を撃退することが最優先だ、心配するな」
アキの心配そうな声を、僕は手を出して制止させた
「全くもう…無理はしないでよね」
「ああ、ライもいいか?」
「無論だ、あたしはアンタについていくよ」
「よし……行くぞ」
僕達は襲ってきたグングニルに対しての迎撃を開始した
グングニル――神の槍と呼ばれるもの
それは2年前の戦いで残った全ての淫魔が結集して作った、統率組織と呼ばれている
リーダー格は手淫魔のテオナを除いた4体の淫魔
口、足、胸、膣淫魔の4体である
リリスの三騎士が登場するまでは、この戦いは人間とグングニルの決戦のはずだったが…
世界の混乱は、再び加速していく――
続く
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