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エッチバトル戦争U第1話「戦火再び」

時は淫魔時代14年…
2年前に起こった“イージスの戦い”から2年が過ぎようとしていた
手淫魔と口淫魔の全面戦争の結果は手淫魔の勝利に終わり、淫魔を生み出していたと言われるファントムもこの戦いで消え去った
五大勢力だった淫魔はこの2年で瓦解し、今や淫魔の数も人間にも及ばないほどになったと言われる
レジスタンスもこの2年で強化され、新隊長ラムトの元、残った淫魔を殲滅させる活動に勤しんでいた
今まではなかったテオナ、チロら元手淫魔達の助力も得ることが出来、淫魔の弱点を知ることもできるようになった
淫魔時代は、着々と終結を迎えるように思えた…




スークは、焼け落ちた村の中にいた
「くっ………」
止まらない火の手、家は燃え、成す術もなく村は崩れ落ちていく
「スーク!」
僕に向かって声がかかる
「アキか?大丈夫か?」
アキの姿はよく見えない、二手に分かれてこの村の救助活動にあたっているのだ
「うん、私は大丈夫、まだ生きている人が何人か家の中にいる、助け出すね?」
「あまり無理はするな…何か、普通じゃない」
僕の視界にも移る人々、逃げ惑う人々
状況はパニックだった
僕とアキはレジスタンスの任務としてこの村に生き残った純正の淫魔がいないか調査に来たのだ
知識を得ていない淫魔は見境なく人間を襲う…それは助けなければならない
だが、この村に来てみればこの様だ
二人で救助などとても無理だ…僕達は本部にすぐ救援を呼んだがそう簡単には来られない
「一体誰が、こんなことを……」
「フフフフフ……」
「!?」
唐突に僕は気配を感じた、火の手の中、逃げ惑う人々……
その奥から現れる影…3つ……
明らかに普通の感覚ではない、それ
鼻につく、独特の淫らな香り……これは
「お前ら……淫魔か!?」
炎は燃え上がり、三つの影を明らかにした
「キャハハハハ、アンタがスークね?ずっと待ってたわ♪」
一人…赤く長い髪をツインテールにして結っている、黒のキャミソールとスパッツという身軽そうな格好
「アタシはドライ、よろしくねスーク♪」
「……………」
「あなたが…スーク、ファントムを倒されたのですね」
一人…緑のショートヘアーに眼鏡をかけた知的そうな女性、制服に下はスカート…
ドライという女性に比べれば、真面目そうな印象をうける
「何故、それを……?」
「私はツヴァイ…以後、お見知りおきを」
ツヴァイと名乗った彼女は僕の質問には答えず、自己紹介だけして少し後ろの方に下がってしまう
「スーク・グレイヴ…貴様は罰を受けなくてはならない、私達の手によって」
最後の一人…中央にいる彼女は長い金髪を惜しげもなく晒し、全身を無骨な鎧で包んでいる
三人の中で身長も一番高い、180はあるんじゃないか…?
鎧の上からでも若干分かる豊満な胸に目がいってしまう
「私はアイン…そして我等は、リリス様の三騎士…!」
「リリス!」
僕はファントムの断末魔を思い出していた、奴は最後にもがき苦しみながら、リリスという言葉を叫び、そして死んでいった
「そう…リリス様こそ、我等淫魔の神…」
ドライは妖しげにこちらを見つめながら言う
「アンタがファントムを倒したおかげで、この世界の淫魔というバランスは崩れた…もはや淫魔は朽ち果てていくだけの存在となりかけている」
「くっ…だから復讐にきたというのか?この世界に、お前達が」
「復讐ではない、制裁と…蘇生だ」
アインは威厳ある声音で告げる
「制裁は貴様ら人間に、そして私達はこの世界に淫魔を蘇生させることが目的だ」
「何だと……?」
「元々淫魔の物なのだ、この世界は…淫魔に支配され、人間はその淫魔から快楽を受けるのが自然の摂理」
「ふざけるな、僕たちの世界は人間と淫魔、両方で成り立つんだ」
「その考え…共存と言ったか?」
アインは憎憎しく口を歪ませる
「貴様こそ奇麗事を、淫魔と人間が共存などできるわけがなかろう?」
「そうかもしれないな…こうやってお互いが譲れない状態なら、戦うしかない」
「フン、貴様も人間ということだ」
「だが、僕は…分かり合える相手となら、分かり合いたいだけだ!」
「キャッハハハハハ!バカみた〜い!」
ドライが嘲笑する、そして彼女はゆっくりと前に出てきた
「そんなバカなアンタはぁ…アタシが犯しつくしてあげる!」
「くっ…」
僕は身構える、コイツらは淫魔の中でも最上級レベルの“サキュバス”タイプ!
個々に特性はあるが、基本的に凶悪なのは尻尾の先端から出る媚薬と名器が特徴だ
僕は即座に“アナライズ”を行い敵を分析する
三騎士の姿から尻尾が確認できないが、恐らく何処かに隠しているに違いない
「何…アナライズだと?」
アインはその「探知の気配」に気づいたのか、声を上げる
「貴様……人間風情が何故そんな技を使える!」
「ちょっと2年前にな…」
僕はそれだけ返した、だがアインはそれだけで理解したようだ
「そうか…裏切った淫魔がいたのだったな、貴様らのところには、それの入れ知恵か!」
「………」
言葉を返す余裕はない、ゆっくりと歩み寄ってくるドライからは凄まじい殺気を感じる
「アイン、ツヴァイ、ここはアタシに任せて良いよ♪二人は「計画」を進めて」
ドライは一回立ち止まり、後ろの二人に振り返らず告げる
「計画……?」
僕は疑問を口にしたが、答えるものはいない
「わかりました、ドライ、油断はしないように、そいつはファントムを倒した男ですからね」
「わ〜かってるって♪」
アインとツヴァイの気配が消える、残ったのは僕と、ドライのみ
「さあ、アタシがあなたを食べてあげるからね……」
「……………」
いつの間にか村の火の手は収まり、バチバチと何処からか燃えている音が聞こえるのみ
黒ずんだ風景……
「……いくぞ」
僕は、再び淫魔との戦いに身を投じようとしていた


続く
お久しぶりです
この作品は作品集2で作られたエッチバトル戦争の2年後のお話です
ですのでまた前作も読むと分かりやすいかもしれません
とりあえず今回はバトルなくてすいません。。。次回はあります
今日中にもう1話書けたらいいなとか考えてますが、どうなるかはわかりません、すいません

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