<雪美>
「ぐっ…すげぇっ…!!」
私は数人の男性と夜の公園で交わっていました。
みんな、私のあそこやお尻や胸や手や口の感触に酔い、たっぷりと命を放出していきます。
人のいないこの公園に男性を連れ込んで食事をするのは、
私にとって手っ取り早く食欲と性欲を満たせる方法でした。
信条にはやや背きますが…仕方のないことです。
後ろから私のあそこを貫いていた男性が痙攣して、何度目かの精液を私の奥深くに放ちます。
大量の命が私の中で溶け込んでいきます。
男性は動かなくなりました。
やがて他の人たちも、最後の射精とともに死んでいきます…。
今回も良い食事でした……ただ、数人を一度に死なせたのは少し、まずかったです。
少々、今回の食事は目立ってしまった気もします。
やはり、理解のある男性を見つけねばならないでしょう…。
私は公園を後にして、住んでいるアパート(廃墟で誰もいません)に帰りました。
このとき、私をつけている人がいたのです…。
「こんばんは」
ねぐらにしている部屋の前で見知らぬ男性に話しかけられました。
ワイルドともインテリともつかない顔立ちです(たぶん、格好良いと思います)。
胸板は厚く体はしっかりしていて、スーツを着ています。
縁なしのメガネの奥からから覗く目が、なんだか怖いです。
私は瞬間的に察しました。同族です。
「こんなところで同族に出会えるとは喜ばしいことだ。
ついさっき、君が公園で食事をしてるところ見たんだが、
なかなか素晴らしい技術を持っているようで驚いたよ。
お手合わせ願いたいんだが、どうかな?」
「お断りします…それでは失礼します…」
私は急いでドアを開けて中に滑り込みます。
この男性と関わりたくありませんでした。
とても冷たい、獲物を睨みつけるような眼で私を見ていましたから。
ああいう眼は、苦手です…。
「っ!!」
部屋に入り、ドアを閉めようとした瞬間に、私は室内に突き飛ばされました。
私の体は勢いよく部屋の奥へ飛んでいき、頭から床に落ちました。
人間なら大けがなのでしょうけど…私は痛みを感じただけでした。
私たちはそういう、ケガとは無縁なのです。
私たちの死因と言えば、飢餓、過度の絶頂、そのふたつです。
男が部屋に入ってきます。
私は起き上がって逃げようとしましたが、それよりも早く男が私にのしかかります。
屈強な体が、小柄な私を覆い尽くします。
下腹部には硬くて巨大なモノが布越しに押し付けられています…
「や…やめてください…」
「やめないよ。
紳士的に接してあげたのに逃げた君が悪いんだ。
あくまで優しく食べてやろうと思ったのに、逃げようとするんじゃ荒っぽくする他ない。
それに見たところ君はそういうのが好きなんじゃないか?」
「ちがっ…」
唇が唇で塞がれました。
体熱く火照り、溶けていくような錯覚を覚えます…
抵抗しようとも、両腕はしっかり押さえつけられて動けません。
とても、まずい状況です…。
せったく退魔師も警察も少ない場所に来たのに…まさか好戦的な同族に会うなんて…。
それもどうやら格上のようです…私よりも多くの時を生き、多くの人間を食した同族…
そんな相手に私はこれから食べられかけています。
同族を食べるということは逆に食われるリスクも高い上に、
倫理的にも忌避されています(私たちが倫理的なんて言うのもどうかしてますが)。
しかし、同族を食べることよるメリットはとても大きいのです。
人を何人も食べるのと同じだけの満足感や力を得られます。
力のないものが食べると、もたれることもあるそうですが…
その味はまさに蜜の味なのです……。
んっ…やっと唇が解放されました。
頭の中がぼーっとしています。
服が破かれ、体中が乱暴に愛撫されます。
体の奥が、熱く濡れて火照っているのが嫌でもわかりました。
同族の硬くて巨大なものが私の下腹部に押し付けられます。
私はそれで中を滅茶苦茶にして欲しくてたまらなくなっているのです…
「さぁ入れてあげよう。
食事の始まりだ」
「くぅっ……だめ…」
少しずつ、凶悪なものが私の中に入ってきます。
熱い。とても熱くて壊れてしまいそうです。
同族のそれは入れるだけで女性をよがり狂わせてしまいます。
同族は何人か食べたことがありますが…
今回の相手にとっては、私も普通の女性と変わらなかったようです…。
普通の同族では…ないのでしょうか…
「あ、ああっ、だめっ、だめっ…!!!!」
奥まで貫かれ、私の中は同族の男性で満たされます。
そして何度も何度も、力強く突き刺されます。
あまりに気持良すぎました…。
私はよがり狂います。なすすべもなく。
すぐに絶頂の波が押し寄せてこようとします。
それを必死に耐えようと、相手を攻めようとしましたが…無駄でした。
「くぅぅぅっ…!!!!!」
全身が硬直し快楽が私を破壊します。
大きな力が体から抜けだし、男性に流れていきます。
危ない…命の危険を感じます…でも、そんなことが気にならないぐらい気持ち良いのです…
「ふふ、思った通りだこの力の量…
こんなところで出会えるとは思わなかったよ、水白雪美。
お兄さんが君の力を全て貰い受けてあげよう」
そんな言葉はほとんど聞きとれず、私の意識は快楽に沈んでいきました………
<夢黒>
暗い公園にいくつか男の死体が転がっている。
少し面倒なものを見つけてしまったようだ。
どうやら俺と同じような化け物にやられようだ。
サキュバスか…?
いや、ちがうな。
この湿っぽい淫気はサキュバスのものじゃない。
「水白家か」
自分の口から出た言葉に、思わず顔をしかめる。
水白家。この国に昔からいる呪われた一族だ。
その性質は俺達インキュバスやサキュバスとよく似ている。
だが、決定的に違うところがある。
その快楽に落ちやすい性質と攻撃力の高さだ。
水白家の者にいかされたときに掛る負荷は半端じゃなく高い。
そのうえ、あいつら自身はどんなにいってもその高い吸精能力が落ちない。
(あいつらに正しく吸収される生気は極端に落ちるらしいが、
生気を奪われる側としては奪われる量は同じなのだから関係ない)。
そのくせ、快楽に溺れやすく、相手か自分が死ぬまで快楽を貪る。
強いか弱いかではなく、水白家の奴とは関わり合いになりたくない。
もう血が薄くなってる奴らがほとんどだろうが、
水白家の血しか受け継いでいない純血の奴らはそういう性質が顕著なんだそうだ。
そのうえ、数回いったぐらいでは死なない耐久力を持っている。
やはり、関わりたくはない。
幸い、公園に転がった男たちを殺した主はもうここから離れたところにいるようだ。
これから始まるゲームが済んだら、しばらくここには近づかないことにするか。
お…そろそろ来たか。
夜の公園に退魔師の気配がふたつ近づいてくる。
まだ目視はしてないが、匂いからしてなかなかの上玉だ。
しかも微量な淫気を嗅ぎつけてここまでついてきたのにも好感が持てる。
なかなかの実力者だ。
面白い。
こんなときを待ち望んでいたのだ。
貴様ら退魔師の積み上げてきた経験や技術を叩き潰してやろうじゃないか…!!
<樹>
驚くことばかり起きる。
トイレでオナニーしてから、色白の女の子がえっちしていた部屋をまたのぞいてみると…
男が死んでた。
や、もしかしたら気を失ってただけかもしれないけどあれは…うん。
薬でもやってたのかもしれない。さっきも涎垂らしながら震えてたし。
あの女の子はどこに行ったんだろう?
僕はそれが一番気がかりだった。
同窓会を抜け出し、店の外に出る。
行きかう人ごみの遥か遠くに、偶然、あの女の子の姿を見つけた。
色白で黒髪が綺麗な女の子。
僕が今まで見たこともないぐらいえっちに腰を振ってた女の子。
死体のことなんか忘れて、僕は駈け出していた。
なんとか見失わずに済んだ。
だけど話しかけるのにちょうどいい言葉も見つからず、だらだらと女の子の後をつける。
だいたい、そういうタイプじゃないし僕は。
でも、それならどうして後をつけてるんだろう?
話しかけるわけでもないし、警察に連絡するつもりでもないのに。
自問してみて、すぐに答えは出た。
少しでもあの子を見ていたからだ。
なんだか変態チックで嫌だけど、あの女の子に不思議な魅力がある。
…機会があったら話しかけてみるのも良いかも。
ところが僕は完全にそんな機会を逸していた。
女の子は暗くなった公園で男たちとえっちしていた。
とても知り合い同士には見えないのに…
僕は林に隠れて、それを見てた。
すごい、やらしかった。
女の子の乱れる姿を見ながら僕は3回も地面に射精した。
やがて、男たちは次々に倒れていく。
カラオケで見た男と同じような様子だ。
あの女の子はいったい何者なんだろう。
僕は倒れた男たちは放っておいて、女の子の後をつける。
そのとき僕の他にも女の子をつけてる男がいるのに気がついた。
どこかあの女の子と似たものを感じる。スーツ姿だけど怪しい雰囲気だ。
不審者かも。
…一日中女の子のあとつけて、隠れてオナニーしてる僕も不審者だな。
爽やかなタイプとか言われて結構モテるんだけどなぁ。
嘘じゃないよ、うん。
とにかく不審者に気づかれないように僕もあとをつける。
女の子が廃墟みたいなアパートに入る。
そこで不審者が女の子に話しかけ…襲いかかった。
女の子が部屋に押し込まれる。
助けなきゃ…そう思ったのに僕と来たら。
ドアのレンズから部屋を覗き込んでいた。
不審者が女の子にのしかかって力強く動く。
女の子のいやらしいよがり声がドア越しに響いてくる。
信じられないぐらい、いやらしく、激しくよがっていた。
何度もイッてるみたいだった。
やがて女の子の声が聞こえなくなった。
僕は心配になって更に耳を澄ます…
そして唐突に雰囲気が変わった。
鳥肌が立つ。人を欲情させるような、怪しげな雰囲気だ。
男の腰に女の子の腰が絡みつく。
女の子が男に耳元で何か囁いている。
そしたら強気だった男が急に逃げようとし始めた。
だけど…逃げようとしながらも腰を激しく突き込んでいる。
男が何か叫ぶ。
痙攣しがら、逃げようとしながらも、腰はあそこに吸いつかれたかのように激しく押し付けられている。
きっと射精してるんだと思う。
女の子がさっきまでとは別人のような、残酷で淫らな笑みを浮かべている。
僕はその笑みに吸い寄せられるようにドアを開けていた…
ふらふらと二人に近づいて行く。
男はまったく僕には気づかない。
枯れ切って声にならないような声をあげながら、女の子の中を堪能し、射精続けてる。
カラオケや公園で見た男達と同じように、この男も死ぬのだろう。
だが、それに対しては興味がわかなかった。
僕は女の子を見る。
さっきまで犯されていた彼女は(今も犯されてるわけだけど…)、
気弱そうで壊れてしまいそうな美しさや可愛さを持っていた。
だけど、目の前で今僕を見て笑みを浮かべ、男を貪ってる彼女には気弱そうな所はまったくない。
ひたすら底なしの淫らさと残忍さを感じる。
男が動かなくなっていく。
僕は、男から精液を奪っている彼女に見惚れていた。
男に体を絡ませ、腰を揺り動かし、甘い嬌声をあげながら…確実に男の命を搾り出していく。
男は完全に動かなくなった。死んだのだろう。でも、恐怖は感じなかった。
搾りカスのような男をどかして、女の子が体を起こす。
服が破られてるのが痛いしかったけど、白くて滑らかで…綺麗でとんでもなくいやらしい体だった。
小柄で細身だけど、胸は大きめで形が良い。思わず手をのばしそうになる。
「部屋に入ってきてしまって…覗くだけじゃ我慢出来なかったのですか?」
やっぱりカラオケや公園で見たときとは違う…彼女を前にしただけで渦に巻きこまれてくような感覚が体を支配する。
「ふふ、だんまりですね。良いんですよ、わかってますから」
白い体を見せつけるようにして、上目づかいで見てくる。
黒い瞳は深淵のようだった。
誘うように舌が唇を舐めた。
「私は水白落葉と申します。
あなたが追っていた水白雪美の…別人格です。
雪美はまだ私の存在を正しく認識できていませんけどね…ふふ」
彼女の声が僕にまとわりついてくる…不思議な声だ。
「あなたのお名前は?」
「あ…樹です」
「樹さん…ね。よろしく樹さん。
ひとつ、お願いしたいことがあるんですけど、よろしいかしら?」
世界には彼女しか存在しないような錯覚を覚える。
僕は呆けたように首を縦に振る。
「ありがとう。
もうすぐ入れ替わるんですけど…普段のこの体の主である水白雪美の世話をしてもらえますか?」
「世話…?」
「そう世話。私たちは人の精液を飲んで生きているのです。
その食料の世話をしてやって欲しいの。
もちろん、あなたの健康に害のない範囲でいいのです。
あなたは人間相手じゃ味わえない快感をずっと得られ…
雪美は安定した食事が出来るようになる。
…私も力を蓄えられる。みんな幸せになれるのですよ。
お願いできますか?」
何も考えることは出来なかった。
彼女の黒い瞳に落ちていく。
僕はうなずいた。
「ふふふ、良かった。これでまた力を蓄えられる…。
では感謝の意を込めて…」
「んっ!?」
落葉の唇が僕の唇を舐めるように、覆った。
ズボンの中にひんやりとした手が滑り込んでくる。
滑らかな掌が僕のペニスを握りしめ、揉みしだく。
電撃が走ったように僕は射精する。
病的な快感と喪失感が体を支配し、もう戻れないところまで来てしまったことを悟った。
唇が解放される。
呆けた僕の前で、落葉は掌に大量に付着した精液を美味しそうに舐めとる。
黒い瞳は限りなく淫らで、僕から生命を削りとった喜びに燃えていた。
「美味しい…気持ち良いでしょう、私の手。
もし、長いこと雪美の世話が出来たら、もっと気持ち良いことしてさしあげましょう…。
…そろそろ時間です。雪美をお願いしますね」
そこまで言うと落葉から異常なまでの淫靡な雰囲気が消え去り、
その場に倒れ込んだ。
気を失ってるようだった。
落葉…雪美…この女の子はいったい何者なんだろう?
少なくとも人間じゃない。もっと凶悪で淫らな何かだ。
僕はその人間じゃない女の子の世話をするのだ…。
Please don't use this texts&images without permission of とー.