<雪美>
お腹が減りました。
もう、何日、食事をとっていないのでしょうか。
太陽が眩しい。
日光にさらされて蒸発してしまいそうな気がしてしまいます。
吸血鬼じゃあるまいし、そんなことはあり得ないんですけどね…。
都会の雑踏をふらふらと歩きまわります。
それだけで食事のチャンスは巡ってくるんです。
でも私は……質の悪い食事はあまりとりたくないんです。
人を襲うようなことも、出来れば避けたいんです。出来れば。
目立つようなことになると、困ります。
数週間前までは理解のある男性が食事の世話をしてくれました。
だけど、彼も、もういません。
仕方のないことです。
もちろん、あんな終わり方をしたのは悲しいです…
それでも仕方のないことなんです、きっと。
あぁ…
本当にお腹が減りました。空腹です。
限界が近いかもしれません。
幾ら、私が普通の人とは違っても…
餓死する可能性はあります。
最後の食事から…数週間。
そろそろ贅沢を言ってはいられないのかもしれません。
これ以上空腹な状態が続けば、栄養の吸収も悪くなります。
自我や理性をなくす可能性もあります。
…既に無くなりかけているかもしれません。
目立つこと、手荒なこと、無粋なこと、そういうことはやりたくないのに…
すれ違う男性に襲いかかりたくて仕方ないんです。
白昼堂々と、道路の真ん中で男性を犯してしまいたい。
そして食事を充分に堪能したい。
そんなことを思う自分が嫌いです。
私は人間の精液や、愛液からしか栄養をとることが出来ません。
人間ではないのかもしれません。
人間でないから何なのか、と聞かれても私には分かりませんけど…。
もう随分長い間、何人もの男性を犠牲にしてきました。
いつも、つい…食べ過ぎてしまうのです…自分ではそれがとても嫌なのです。
この国がこんなに栄えるよりずっと前から、私はそうやって生きています。
親がいたのかも分かりません(育ててくれた人はいましたが…)。
もう本当に長い間生きているのに、私はずっと少女のままです。
同族と思われる人たちもたくさんいますが、今どうしてるかは…よくわかりません。
ただ、基本的には皆、目立たぬように注意を払って生きていると思います。
私たちみたいな呪われた存在は、必要以上に他人を傷つけることなく、
日陰で生きていくべきなのです。
それが、私の信条です。
ですが…空腹や欲望はそんな信条をたやすく壊してしまいます。
もうおかしくなりそうなのです。
だから私は妥協します。
おかしくなって、変態的に、人目の付くところで誰かを襲う前に、
手順を追って、他に人がいないところで食事をするのです。
その食事の結果、相手がどうなるかは…場合によりますが…。
あぁでも…本当なら…本当なら私は理解ある男性から食事をとりたいのです!!
それも生命力に溢れた男性から…。
死なない程度に、毎日、充実した食事をとりたい…
こうやって歩きまわってそんな男性が見つかるわけはないと分かっています。
そして仮に見つかったとしても…そんな生活は長く続かないのです。
私が食べ過ぎてしまうから。
それでも。
相手が理解ある男性ならまだいいんです。
一度きりの相手で食べきらずに済んだことは稀ですから…。
だからこそ私は、街で相手を連れ込んで(連れ込ませて?)食事するような方法はとりたくないのです。
そして理解のある相手から食事をとることには他の意味もあります。
リスクが少ないのです。
私たちは性的に、達してしまうと、一時的に栄養の吸収率が著しく低下します。
何度も達せば命にもかかわります。
理解のない相手から食事をとる際は、いかされてしまう可能性があるのです。
そして往々にして、私たちはそういう場合に歯止めが利かなくなります……。
だから理解のある男性を探すことはとても、重要なのです。
ふぅ…そう重要なのです。
空腹は危険な境界線まで来ていますが…
もう少し我慢してみるべきかもしれません。
なんとかして理解のある男性を探した方がいいかもしれない…
「こんにちは。今何してるの? 買い物?」
見知らぬ男性に声をかけられました。
なんて運の無い人でしょうか…!!
こんなタイミングで私に話しかけるなんて…
肌が焼けていて筋肉質な男性です。
サーフィンでもしそうなタイプです。
せっかく…せっかく我慢しようかと思ったところなのに……
「もし暇ならさぁ、一緒に遊ばない?
カラオケとかさぁ」
まったく軽薄そうな男性です。
そしてナンパもあまり上手くはないようです。
見た目は一般的に格好良い方なのに(私の好みでは、ないですけど)、
私みたいな暗い女の子がカラオケを楽しめると思ったのでしょうか?
よくわかりません。
でも、どうでもいいことです。
強い生命力を感じるこの男性は、きっと、とても美味しいでしょう。
数週間ぶり食事となれば、なおさら。
理解のある男性を探すのはまた今度です。
御馳走を目の前に、理性を貫くのは、もう無理です。
この男性を食べることにします。
「良いですよ。どこにでも、連れて行ってください」
そう言って男性の目を見つめます。
男性の目には私だけしか映らなくなっていくのが分かります。
私の黒い眼、黒い髪、白い肌、首、鎖骨、服の上から充分に分かる胸のふくらみ、スカートから覗く細身な脚。
そして服に隠された私の体の大部分。
神秘的とも卑猥とも言われる少女の体。
私の全てが男性の目に焼き付けられ、その他の景色はノイズとなるのです。
私たちは人を魅了するように出来てますから…。
私たちに食べられる人はいつも、私たちという暗い沼に落ちていくのです。
二度と這いあがれない沼に、です。
そこでゆっくりと…あるいは急速に消化されていくのです。
サーファー風のこの男性も、すぐに堕ちてしまいました。
私は彼の最初の望み通り、一緒にカラオケに行くことにしました。
落ち着かない様子で彼は受付を済まし、
私と個室に滑り込みます。
ドリンクをオーダーし、適当な歌を選曲します。
彼は私の方を見て、蕩けたような顔をして座っています。
曲が始まりました。
私は頼んだミネラルウォーターを一口飲み(ジュースとかは得意じゃありません)、
彼の方を見て微笑みます。
そして彼の体にしなだれかかりました。
彼がビクッと驚いたように震えます。
筋肉質な体に柔らかくて華奢な体を絡ませます。
そして耳元で呟くのです。
「気持ちの良いことしたくて私に声をかけたんですよね…
良いですよ……たくさん気持ちの良いことしてあげます」
ズボンの舌であれが硬く張り詰めてるのは一目瞭然でした。
私は興奮を抑えきれずに笑みを浮かべます。
彼の頬や首をちょろちょろと舐めながら、ズボンの上から男根をくるくると撫でまわします。
「っ、積極的なんだな…」
余裕を見せようとしながらも、彼はすっかり私にされるがままです。
私はズボンを引きずり下ろし硬くそそり立つソレに直接触れました。
濃厚でたくさんの命が詰まった精液の気配…あぁ…駄目です。
食欲と性欲…これが爆発しそうになります。
まだ抑えねばなりません。
ここで食べつくすつもりはないからです。
カラオケで人を殺すの目立ちすぎます。
「少し味見してあげますね」
いきなりズボンを下されて面食らってる彼にそう言うと、
私は横からソレにむしゃぶりつきました。
熱くて、硬くて、大きいです…。
溢れ出した愛液が私の下着を濡らしているのが分かります。
この熱いモノで突き刺して…
体の奥深くに…私という沼の一番深いところでたくさんの命を放ってほしい。
数億の命がそこで元気に泳ぎ回り、やがて溶けていくのです…
私の中に放出された命たちは最初で最後の宴に踊り狂い、私の一部となっていくのです…
想像しただけでもう…
私は貪る様に彼のモノを舐めまわし、しゃぶりつきます。
袋や根本を愛撫しながら一心不乱に口で彼の生命力を抜き出そうとします。
長い黒髪が乱れ、彼の筋肉質な太腿に流れています。
そんなことには、私も、彼も、気にとめていませんでしたが。
私はただひたすら精液を絞り出すことに、
彼はこの甘美で不可解な快感に意識を集中していましたから。
「っ、ああっ…出るっ…!!!!!」
急ピッチで精液が作られ、たぷたぷになっていた袋が体に引き上げられます。
そして大きく脈打ち、大量の生命が私の口の中にぶちまけられました。
濃厚な精液が口内を一瞬でいっぱいにします。
なんて美味しいんでしょう…!!
私はそれを零さぬように飲みこんでいきます。
数億の命が私の胃袋に流れ込んでいきます。
射精を終わらせないように、袋の中から、彼からすべてを奪うべく精液を吸い上げます。
彼は全身を硬直させ、のけぞりがら痙攣し、次々と精液を放ちます。
私は歓喜に打ち震えながら精液を飲み干します。
もう下着はぐしょぐしょに濡れてしまい、染み出した愛液が太ももに垂れ始めています。
私は本当にどうしようもない変態です。
ここでは最後までしないつもりだったのに…目立つことはしたくないのに…
もう収まりがつかなくなっています。
やっと彼の射精が終わりました。
尿道に残ってるのまで吸いつくして、ようやく彼のモノを口から解放してあげます。
息も絶え絶えで先ほどよりもゲッソリとした彼は「すげぇ」とか「やばい」とか呟いていましたが、
彼のモノ自体は硬く力強くそそり立っていました。
「とても美味しい味でした…」
私はぐしょぐしょに濡れた下着を脱ぎ、彼に見せつけます。
「あなたのを口でしてたら、こんなになってしまいました…
責任とって…もらえますよね?」
彼は座ったまま動けませんでした。
私は彼にまたがってスカートをたくしあげます。
私のあそこがぬらぬらと蜜を垂らしているのを見せつけます。
彼はもう完全に私の虜でした。
アレもいまにも爆発しそうに張りつめています。
私を見せつけるように、ゆっくりと腰を下ろしていきます。
熱く硬い彼のモノが、熱く溶けた私のあそこに飲み込まれていきます……気持ち…良いっ…。
…はぁっ…奥まで入りました。
熱い熱いペニスが私の奥底に押し付けられます…。
回すように、あるいは前後するように、押しつけるように腰を動かします。
久し振りだからでしょうか。
とても気持ちがいいです。でもイクわけにはいきません。
残りの精液から生命力を摂取できなくなります。
私は、精液を搾るためか、イクためか分からないような動きで淫らに踊ります。
いやらしい声が自然と漏れてしまいます。
彼は細くなった手で乱暴に私の服をたくしあげると、ブラをずらし、胸にしゃぶりつきました。
柔らかい乳房が、彼の唇と舌で形を変えます。
快感に酔い始めた私はそれもとても気持ち良くて、たまらなかったです。
愛液がと止まることなく流れだし、彼の袋まで濡らしています。
いつのまにか腰も激しく私を突きあげています。
彼としては欲望のままに動いているだけなのでしょう。
ですが、もしかしたらそれが彼を救うかもしれません。
絶頂し吸収が悪くなった状態で彼を襲い続ける必要はあまりありませんから。
でも駄目です。
私は食事がしたいのです。
まだ数週間の乾きを潤すには足りません。
快楽を堪能するのは、食欲を満たしてからでも出来ます。
そのためにも彼には死ぬまで出してもらうのです。
私は彼の頭を抱きかかえて、より艶めかしく腰を動かします。
そしてきゅぅっと彼のモノを締め付けるのです。
たくさんの命が噴き出してくる気配があります。
私は火照った体で彼を思い切り抱きしめ、根元にあそこを押しつけます。
それが仕上げになりました。
彼のモノが爆発するような勢いで射精します。
長く楽しみたくて懸命に我慢していたのでしょうか。
熱い沼の深いところで命が踊り狂います。
彼の生命力が全て、私の中に溶けていくのです。
こんなに幸福感、充足感、快感を感じることは他にないでしょう。
凶暴な射精が私の中を満たしていきますが、決して溢れることはありません。
私は底の無い沼なのです。
彼のすべてを下腹部から飲み込んでいきます。
射精は止まりません。彼は快楽に急速に命を削られていきます。
絶望したような、幸せなような、でも苦悶に満ちたような、なんとも言えない表情のまま力をなくしていきます。
私は食事を堪能します。
長い射精が終わり、男性は少しも動かなくなりました。
たった2回で死んでしまうのも珍しいです。
でも良い食事でした。
これで、しばらくは持ちそうです。
死んでもなお硬くそそり立っているいるペニスを引き抜き、
下着を履いて、服の乱れを直すと足早に私は立ち去りました。
そっと、誰にも気づかれないように。
そういうのは得意なのです。
高ぶっていた快感が引いてくると、後悔が出てきました。
どうしてあんな目立つ場所で食事をしてしまったのでしょうか…
カラオケの個室なんて、録画されていた可能性が高いです。
部屋の外から見られた可能性もあります。
だから、あそこでは味見しかしないつもりだったのに……
いつもこうやって欲望に負けて、大胆な場所で人を食べてしまう…
そんな自分が嫌いです。
早く理解のある人を探さないと……
いや…それよりも今は身を隠す方が良いかもしれません。
捕まる気はしないけれど警察と関わるようなことは、避けたいです。
死体を出すだけならいつも通り問題はないけれど、
今回はきっと映像が残ってる。
しばらくは表に歩けない。
不本意だけど…不本意だけどしばらくは裏の世界で人を襲って食いつなぐことにします…
<夢黒>
ホテルのベッドで俺は4人の女を犯していた。
女たちは、おかしくなるぐらい激しくしてやると、
何でもするからもっとしてくれと懇願してくる。
俺は親切だから、その先にあるのは死だと教え、実感までさせてやる。
にも関わらず女たちはもっと気持ちよくなりたくて
俺の体に貪りついてくる。
4人の女たちが奪い合うように俺の体にしゃぶりつくのはなかなか気分が良い。
何度も達して生気の大半を奪われた、女たちに俺は盛大に射精してやる。
子宮も口の中も精液で一杯にしてやる。
それを女たちは歓喜に打ち震えながら飲み込む。
インキュバスの精液は強力な毒液だ。
体に吸収されれば、女を簡単にイキまくる雌犬に変える。
より効率よく生気を奪えるわけだ。
インキュバスが射精するというのはそれなりにリスキーだが、
普通の人間相手に射精するのであれば問題ない。
相手が人外であったり退魔師の類である場合は命に関わりかねないが…。
女たちは精液に汚れた体で、俺のペニスや指の感触に酔い乱れる。
4人ともそろそろ限界が近いようだ。
俺は一応、「これ以上イッてしまうと死ぬが、やめるか?」と聞く。
だが4人とも「もっと気持ち良くして」だの「やめないで」だの言うか、
意味のなさない嬌声をあげ続けるかだった。
これだから人間は最高だ。
快楽、快楽、快楽、快楽。
結局それなのだ。
いかに普段、真面目腐った態度をとっていようが、
素晴らしくストイックな思想を持っていようが、
大きな快楽に晒されれば押し流され、命さえ投げ出す。
人間が快楽に弱い存在で本当に良かったと思う。
俺は腰の動きを激しくして、ラストスパートをかけた。
バックで俺のペニスをくわえこんでる女が素晴らしく淫らな声をあげて体を緊張させ、動かなくなる。
女の残りわずかな生気が全て俺に吸収される。
俺に犯される女が最後に出す声が俺は好きだ。
死の直前でありながら、少しも後悔していない快楽に呑まれ切った声、そんな声が特に好きだ。
心は生きようとしても、体は快楽に呑まれてしまった者の絶望的な断末魔も好きだが、
やはり快楽に呑まれ切った者の最後の嬌声が最高だ。
そんな声を聞くべく、残りの3人も順番犯していく。
動かなくなった女たちを残して俺はホテルから出る。
そしてまた次の獲物を狙って歩き出す。
俺は人間じゃない。
睡眠も休息もいらない。
必要なのは優れた食事だけだ。
こういう誰彼かまわず襲い続ける派手なやり方をしていると、
ハンターやら退魔師やらに目をつけられやすいが、
俺は今まで奴らに負けたことも負けかけたこともない。
何も恐れることはないのだ。
むしろ、俺はそういう奴らを犯したい。
そういう奴らを溺れさせるときの幸福感は何にも勝る。
<樹>
同窓会でカラオケに来たものの、いまいち盛り上がらなかった。
開始30分でたぶん全員が飽きていた。
こんな同窓会も珍しいよなぁ…仲は良いんだけどね、不思議。
僕はトイレ行って気分転換でもしようと思って開始40分ぐらいで席を立った。
「他の部屋はどこも楽しそうで良いなぁ…」
なんて独り言を言ってみる。
そこで突然、日常生活においてあまり聞きなれない声が聞こえた。
女の子の、喘ぎ声。
それも、とてもえっちな声だった。
少し聞こえただけなのにムスコがムクムクと大きくなる。
どこかでカップルがしてるのだろうかと思って、僕は声がした方を探る。
それと思わしき部屋を、自然を装って覗いてみた。
…本当にカップルがえっちしていた。
長い黒髪を揺らしながら女の子が、座ってる男に跨って腰をくねらせてる。
結合部はここからよく見えなかったけど、それが余計にいやらしかった。
二人とも没頭しているのか、覗いてる僕には気づかない。
すごい綺麗で可愛い女の子だった。色白で細いのに、胸は大きめな気がする。
もっともガラス越しに斜め後ろから見ただけだけど、とにかくそう見えた。
触れたら壊れてしまいそうなぐらい儚げに見えるのに、
こんなにいやらしく腰を振ってる。
よく見ると男の方は涎をたらして呆けたような顔をしている。
そんなにイイのかよ…。
ドアに耳を近づけると、えっちなよがり声がよく聞こえた。
ずっとここで覗いていたかったが、そういうわけもいかないので僕はその場を離れた。
だけど、さっきの女の子の後ろ姿が頭から離れない。
何度もいやらしい声が頭の中に響く。
トランクスはすでに我慢汁で濡れていた。
結局、僕はカラオケのトイレで二回も出してしまった。
こんなに興奮したのは初めてだった。
<果歩>
「これは…やっぱりあれですかね?
今追ってるインキュバスの」
「…そうでしょうね」
ホテルの一室で女性の死体を眺めながらうなずく、マリカ先輩。
ワイシャツから透けた赤いブラジャーが眩しいです。
しかも、腕くんじゃって胸が寄っちゃって、たまんないです。
気がつくとマリカ先輩がこっちを見て微笑んでた。やばい。
「果歩ちゃぁん? 私の体見てないで、部屋に残された気配に集中してくれないかしらぁ?
お仕置き、されたくないでしょう?」
「は、はい!! すみません!!」
この人のお仕置きは半端じゃない。
それにしても大きくてエロい体してるよなぁマリカ先輩。
胸もお尻も大きくてむっちりしてて…揉んだり舐めたりしたいなぁ。
ぐふっ。
ニヤニヤしてたら思いっきりマリカ先輩にボディ食らった。
女の子はもう少し優しくしてくださいよ…。
私たちは警察からの連絡でホテルの一室を調査していた。
人外が関わってそうな事件ではしばしば、私たち退魔師に依頼が来るのだ。
「この禍々しい気の感じは…最近追ってるのと同じ奴みたいね。
毎晩死者を出してる。お腹が減ってるというよりは生きがいなんでしょうね、女性を犯すのが」
「嫌なタイプですね」
「私としては、インキュバスじゃなかったらお友達になれそうなタイプだけどね」
「聖なる退魔師とは思えませんね…
ま、そこがマリカ先輩の魅力でもありますが」
「はいはい無駄口叩かない。
それより追うわよ」
「はい?」
「今回はまだだいぶ濃くインキュバスの気が残ってる。
辿っていけば次の犠牲者が出る前に倒せるかもしれない」
「でも、普通は食事以外のときは淫気の放出を止めますよね…?」
「放出止めても体にはまとわりつく。
これだけ濃い淫気ならすぐには消えないわ。
その気配を頼りに…」
「普通そんなまとわりついてるだけの淫気を追えませんて」
「私は出来るわ。
円刻退魔師団屈指の実力者を舐めないことね」
たいした自信ですよホント…。
でも、マリカ先輩は本当にそれだけの力を持ってる。
私は自分のことを勝手にナンバー2だと思ってるけど、
先輩と私の差はとても大きい。
警察に伝えるべきことを手短に伝え、すぐさま部屋を出た
確かに、かすかながら淫気の気配がある。
ほんのかすかに、注意を払わなくては分からないレベルで。
だが、方向はまるで分らなかった。
「こっちよ」
やっぱりマリカ先輩はすごい。
私はマリカ先輩について行く。
それにしても…本当にえろい体してるなぁ、この人…。
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