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淫界の塔〜6階〜

それにしても、『教皇』から得た力はいったいなんだったのであろうか。

今まで吸収してきた力はすべて元々自分の力であったかのように得てすぐに使い方も理解していた。

しかし、今回はまったく得る前後で変わった気配がまったくしないのだ。

そんなことを考えているうちに6階の扉の前にたどり着いた。

ゆっくり扉を開いて見えた部屋の内装はなんとも奇妙なものだった。

ピンクの壁紙に絨毯も敷かれていないむき出しの床。質素な白い無機質な簡易ベッドに並ぶ可愛らしい人形の数々。

そしてその中心に怯えた目でこちらの様子を伺う黒いエナメルのボンテージスーツに淡いピンクのレーススカートという姿のサキュバス。

なんともちぐはぐだらけだ。しかしこの部屋にいるということは間違いなくこのサキュバスが次の相手なのだろう。

「あんたがこの階のアルカナか?」

声をかけて近づくと一層怯えたように身を震わせる彼女。これはこちらを油断させる罠なのだろうか。

「わ…私…わぁ!あの…その、この階の…アルカナ!でぇ…その…『恋人たち』です…」

このあがり具合は本当に演技か?最後のほうはもう小声になっていた。しかし油断は出来ない。とりあえず牽制も含めての先制攻撃だ。

俺は暗示をこめて視線を送り込む。

(俺の行動すべてに身を任せろ)

視線が合ってまたビクつく『恋人たち』だが、すぐにポーっと頬を赤らめ始めた。

拍子抜けするほど聞いているようである。ならば一気に畳み掛けるのみ。

ゆっくり歩いていた歩調を一気に速めて間近に迫り、彼女を押し倒した。

「ひゃう!」

怯えた声を出すがそれらしい抵抗はない。やはり暗示は効いているようだ。

唇を奪い、舌を絡めながら例によって例のごとく豊満な乳房を揉み解す。

「ん…ふ!…」

なすがままに嬌声を上げる『恋人たち』。これは楽勝だろうか。

「んん!はぅ…」

そのまま秘部に指を這わすとより一層感じ始めた。油断は大敵だといってもこの状態だとどうしても気が緩む。しかしそれが間違いだった。

「あぐぅ!」

股間への強烈な痛みにうめき声を上げ、俺は思わず横に転がった。

「…たく黙ってりゃ好き勝手やってくれやがって…」

呻く俺にそう吐き捨てた『恋人たち』の目は先ほどの怯えたようなものではなく、気の強さが見えるものであった。

「『愚者』ごときがこの『恋人たち』様に攻め勝とうなんざはええつんだ。」

そう言いながら彼女は俺の足を持ち上げると、自分の肩にかけさせ痛みで完全に縮こまったモノを胸の谷間にはさんだ。

「このあたしの胸で逝かせてもらえるんだ。ありがたく思うんだね。」

不敵な笑みを浮かべつつ唾液で胸の滑りを良くしながらむにむにとモノをしごいていく。

腕を回されているため完全に身動きが封じられている。無抵抗に痛みのせいか快感をダイレクトに受け、どんどんと高められていく。

このままではやばい。一気に形勢を逆転された。しかしどういうことだ。

さっきまでの彼女はどう見ても演技じゃない。しかし今目の前にいるのは先ほどとは人格が変わったように別人だ。

『恋人たち』に何が起きたというのだ…いや、まてよまさか…

「気づいたみたいね。あんたが考えている通りよ。あたしは『恋人たち』。攻撃的でSっ気のあるあたしと、」

言葉の途中ですっと目が臆病なそれに変わる。

「あの…その私はぁ…」

再び目が元の強気なものに変わる。

「同じだけど違う存在。両極端の性格を同時に共有するあたしたちだから名前も『恋人たち』なのよ。」

そういうと再びパイズリを再開し始めた。彼女は多重人格のようなもので、

人格が切り替われば片方の人格に与えていたダメージは引き継がないようだ。

まずい。もう先から先走りがではじめている。しかし完璧にロックされたこの状態で抵抗は出来ない。

なんとかならないのか!あきらめかけたその時、激しい波動が俺を中心に周囲に広がり、『恋人たち』のロックを引き剥がした。

空中に浮いた状態で俺を守るように十数枚のカードが周り飛び交っている。引けということだろうか。

1枚を俺は抜き取った。そこに描かれていたものは空中からラッパを吹いた天使が現れた風景。そして『JUGEMENT』の文字であった。

その瞬間、俺の体は光に包まれた。激しい喪失感と代わりに違う何かの知識が流れ込む感覚。

光が収まると、俺の頭は自分がどうなったか理解していた。俺は今、『愚者』ではなく『審判』となっていた。

『教皇』から得たものは力ではなく、一時的に自分の力をまだ得ていないアルカナの能力に変えるカードであった。

どうりでどんな力かわからないはずである。そしてこの『審判』の主な力は真実を見定める目。

俺の目には彼女をどう攻めればいいか一目瞭然であった。

迷いもなく一気に間合いを詰める。基礎能力は変化していない。変わったのは使える能力だけだ。

そしてダメージも回復したわけじゃない。いくら手段がわかっているといってももう油断できる状態ではない。

「俺を…いっぱい感じさせてください…」

そう一言言うと俺は彼女の足元にもぐりこみ強制的に騎乗位状態に持ち込む。

「ああ!いいですぅ!」

言葉ではそう言いながらも相手にダメージを与えるべく腰を動かし続ける俺。

彼女の目にはただ単に奉仕しているようにしか映らないであろう。しかし確実に彼女を追い詰めていく。

「く…こいつ…」

危険を感じて人格を変える『恋人たち』。しかしそれもお見通しである。

「ほらほら!もっと腰振れよ!」

今度は強めの口調に変えつつ攻撃は変えない。どうやら各人格が受けたダメージはそれぞれで残ったままのようだ。

「はうぅぅぅ…もう…らめぇ!」

ついに登りつめて昇天させることに成功した。その瞬間俺のカードの効力も切れて元の『愚者』へと戻る。

「くっそ…そんな奥の手があるとは…」

苦々しくつぶやくと彼女は俺の中へと溶けていった。新たな力が目に宿っていく。

俺は新たに相手を魅了する目を手に入れたのであった。
かなり間が空いて申し訳ないです。

しかもこんなできですいません。

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