「ひゃあああっ! や、あっ、ダ、ダメ…もうやめて…わたし…もう…!
あっ、あっ、あっ、ああっ!? ふああああぁぁぁぁ!!!」
お腹の一番奥を太くて固くてそして熱いモノで貫かれ、わたしは目の前が真っ白になった。
何も考えられず、大きな感情の波に、快感の大波に、心をそして体を震わせ、ただただ翻弄される。
「あ…ふあ…あん……」
ようやく意識が戻ってきたが、もう何度も絶頂させられた体は脱力し切って動かなかった。
「はあ…はあ…」
荒い呼吸を続けながら、見上げると、楽しそうな表情の彼と目が合った。
「ふふふ…君のイき顔、ものすごく可愛かったよ」
「やぁ…そんな恥ずかしい事、言わないで…」
今のわたしの顔(きっと涙とか涎とかに塗れていてだらしのない表情をしているに違いない)
を彼に見られているかと思うと、恥ずかしくて死んでしまいそうだった。
「…そろそろ、限界かな? …よいしょっと」
彼はそう言うと、わたしの中から自分の一物を引き抜いた。
「ひゃうんっ!」
彼がわたしの中から抜ける時の摩擦で、わたしはまた軽く達してしまう。
「あ…」
わたしの中を満たしていたものがなくなり、寂しさを感じた。
そして、寂しさを感じているわたしの視線の先には、彼の一物があった。
「ふう…」
わたしの目の前で、彼は自分の一物を自らの手で扱き始める。
わたしのいやらしい愛液をローション代わりに、ニチャニチャと卑猥な音を立てながら、
彼は自慰を続けていく。
「くっ……イ、イくよ、アリス…!」
「う、うん…来て…! ウィル…!」
「ううっ!!」
彼の一物の先から白濁液が噴き出し、わたしの体を白く染め上げていく。
その熱い感覚と牡の匂いに、わたしは…。
「あああぁぁぁ!!!」
わたしは、また、絶頂に達した。
「…ごめんなさい」
「? どうしたの、急に? どうして、謝るの?」
「だって、わたしばかり気持ち良くなって、あなたを…満足させられなかったから…」
「何だ、そんなこと、いつものことじゃないか。別に謝らなくてもいいよ」
「でも…!」
「だから、気にしないでいいってば。最初に言ったよね?
君が気持ち良くなってくれれば、俺はそれで十分だって」
「それは…そうだけど…」
「アリスは優しい娘だからね…。
自分だけ気持ち良くなって、申し訳なく思っているんだろうけれど、
そんなことは気にしなくて良いんだよ」
「うん……」
「それに、淫魔ハンターが普通の人にイかされたら、格好がつかないだろう?」
「………」
そう。彼、ウィルは淫魔ハンターで、わたし、アリスは普通の人。
セックスのスペシャリストである淫魔ハンターを普通の人がイかせるのは、とても難しい。
だから、わたしが彼をイかせられないのは、仕方のないこと。
でも…。
「さあ、この話はもうおしまい。もう寝よう?
…おやすみ、アリス。…チュッ」
「…おやすみなさい、ウィル」
でも、彼をイかせてあげられないわたしには、彼女としての資格はあるのだろうか、
そんなモヤモヤがわたしの中にずっと存在していた。
「はあ…」
思わず、溜め息が漏れる。
彼が任務に出発してから、数日が経った。
彼が帰って来るのを待つ時間は、酷く憂鬱だ。
淫魔ハンターの仕事は常に危険と隣り合わせ。
万が一、淫魔に敗北すれば、その後に待ち受けるのは死か永遠の快楽のどちらかしかない。
実際に、彼を通じて知り合った淫魔ハンターの内、何人かは任務に行ったきり、戻って来なかった。
「ウィル…どうか、無事に帰って来て…!」
今のわたしにできるのは、ただ、祈ることだけ。
任務が上手く行けば、今日か明日には帰って来る、とのことだったが、
わたしは、不安に押し潰されそうだった。
「こんにちは」
「えっ?」
物思いに沈んでいたわたしに誰かが声をかけた。
でも、今、この家にいるのは、わたし一人のはず…。
慌てて振り向いたわたしの前に、一人の女性が立っていた。
「あなたは…誰? どこから入ってきたの?」
「ふふふ……」
彼女は、わたしの問いには答えず、妖艶な笑みを浮かべていた。
わたしは困惑して彼女を見ていたが、
その内に、頭がクラクラして、体が急に熱くなっていった。
心なしか、甘ったるいような匂いが周囲を包んでいるような気がする。
「う……。はあ…はあ……。まさか……淫魔?」
「………」
彼女は答えない。
しかし、その沈黙とわたしの体の異常が、彼女が淫魔であることを雄弁に物語っていた。
「に、逃げなきゃ…」
普通の人間では、下級淫魔にすら到底敵わない。
わたしはすぐに逃げようとした。
「あ、あれ…?」
けれども、体に力が入らず、その場にへたり込んでしまう。
動けないわたしに向かって、淫魔はゆっくりと歩み寄ってきた。
「い、いや…来ないで…来ないでぇ…」
わたしにはいやいやと顔を振りながら、拒絶の言葉を吐くことしかできなかった。
「…あなたが、アリスちゃんね?」
「えっ? ど、どうして、わたしの名前を…?」
「A級淫魔ハンター・ウィルの大切な恋人さん…なのよね?」
「な、何で…? そんな事を…知って…!?」
「ふふふ……」
唐突な展開に、頭が上手く働かない。
何故、この淫魔はわたしの名前を知っているのだろう。
何故、この淫魔はわたしがウィルの恋人だと知っているのだろう。
この淫魔とウィルとの関係は一体…?
いくつもの疑問がグルグルと頭を回り、わたしは混乱していた。
「ふふ…可愛らしいわね。
ウィルには、ちゃんと愛してもらってる?
一晩に何回くらいイかせてもらってるのかしら?
5回? 10回? それとも、20回かしら?」
「そ、そんなの…」
「答えたくない?
…じゃあ、あなたは、彼を何回イかせてる?
何回射精してもらえてる?」
「!!!」
「ふふっ…」
淫魔は挑発的な笑みを浮かべて、わたしを覗き込んだ。
「0回、かしら?」
「っ!!! そんなの…! あ、あなたに関係ありません!!」
思わず、そんな答えが口を付いてしまった。
わたしの馬鹿。これじゃあ、その通りですって言ってるも同じじゃない…。
「うふふ……まあ、仕方ないんじゃない?
だって、彼はA級淫魔ハンター、あなたは普通の女の子だものね?」
「………」
そう。彼女の言うとおり。それは仕方のないこと。
「…何が言いたいんですか?」
「そうね。まあ、前置きはこのくらいにして、本題に入りましょうか。
…あなた、彼をイかせてみたくない?」
この淫魔は、突然何を言い出すんだろう?
意図が読めない…。
「彼を絶頂に導いて、射精させてみたくない? って言ってるの」
「…それは、まあ、彼をイかせてみたいとは思いますけど…」
「ふふふ……そう。
…なら、私があなたの望みを叶えてあげるわ」
「…どうやって?」
何か、嫌な予感がする。
「あなたをイかせて、淫魔化させるの」
「っ!? い、嫌です! 淫魔化なんて…!!
そんな……!!!」
「あら、でも、淫魔化すると性的能力が著しく向上するのはご存知でしょ?」
「それは、そうですけど! そんなこと…!!
ウィルに迷惑をかけるわけにはいきません!
そ、それに、ウィルはA級ハンターなんですよ?
わたし程度が淫魔化したところで……彼を…イかせられるなんて……」
「ふふふ……普通の淫魔化なら、そうでしょうけど、
私のは、一味違うわよ?」
「絶対に嫌です! もう、帰って下さい!!」
「あら、残念ね。でも、本当にそれで良いの?
ずっとこのまま、ウィルにイかされるだけの一方的な関係で?
彼も可哀想ね。彼女とのセックスで満足させてもらえないのだから…。
…あなた、このままだと、彼に捨てられるかも」
「っ!? そ、そんなこと、ないです!
ウィルは、わたしのこと、好きだって…愛してるって…」
「今は、ね」
「くっ…!」
「ねえ、人の心って、意外に移ろいやすいものよ。
今はあなたを好きでいてくれてるけど、1年後、2年後はどうかしら?」
「………」
「それに、彼は淫魔ハンター。任務で命を落とす可能性もあるわよね?」
「………」
「だったら、淫魔化して、彼をイかせて、淫魔の呪縛にかけて、
あなたの虜にしちゃった方が、余計な心配しなくて良いと思うんだけど?」
「………」
「ふふ…それに、ほら、彼があなたの体で気持ち良くなって、
はしたない声で喘いで、射精しちゃう所を想像してご覧なさい。
イった後の快感に蕩けた彼の顔の何と可愛らしいことか…」
「…あ…ああ……」
淫魔が次々と誘惑の言葉を投げかけてくる。
耳を貸してはいけないとは頭では分かっているのに、
その言葉は、とても耳に心地よく響き、わたしの理性をジワジワと溶かしていく。
「わ、わたし…わたしは……」
「ふふっ……さあ、アリスちゃん…。我慢しないで…。己の欲望に素直になるのよ。
そうしたら、ほら、愛しい彼は、きっとあなたの…あなただけのものに…」
「わたし…は……」
「アリス!!!」
家のドアを乱暴に開け、任務から帰ってきたウィルが部屋に飛び込んできた。
「アリス! 無事か!?」
「あ…ウィル……」
わたしのウィルが帰って来た。
ウィルの顔を見るだけで、ウィルの声を聞くだけで、
わたしの下腹部がキュンと疼くのが分かった。
早く、ウィルと愛し合いたい。早く、ウィルを犯したい。
「アリス…!? …この感じは…淫魔化…してるのか?」
「ふふっ…意外に早かったわね、ウィル?」
「マリア!!! 貴様、アリスを淫魔化したな!?」
「ええ」
「許さない…! 許さないぞ、マリア!!
よくも、アリスを…!!!」
「うふふ…何を怒っているの?
淫魔化はアリスちゃんが望んだことなのよ?」
「何だと!? そんな馬鹿なことがあるか!
自ら淫魔化を望むなんて…!!」
「本当だよ、ウィル。これは、わたしが望んだこと」
「アリス、一体、何を言って…?」
「いつもわたし、ウィルにイかせてもらってばかりだったよね。
だから、今日はそのお礼をしたいの。
今日は、わたしがウィルを…イかせてあげる」
「アリス!!!」
「ウィル、大好き。いっぱい気持ち良くなって…」
「アリス…! …んっ、んむぅっ!!」
わたしはウィルに抱き付くと、そのまま彼の唇を奪った。
すぐに舌を彼の口腔内に進入させ、そのまま舌を動かし、舐め回した。
彼は初め戸惑っていたが、すぐに体勢を立て直し、反撃してきた。
互いに舌を絡み合わせ、相手に唾液を流し込み、そして相手の唾液を飲み込む。
いつもなら、30秒もしない内にわたしの方が脱力して、
彼に好き放題に口腔内を蹂躙され、そのままキスだけで1〜2回イかされる所だが、
今日は互角…いや、わたしの方がやや圧倒していた。
「ぷはあっ! はあ…はあ…」
やがて、我慢できなくなったウィルがキスから逃れ、呼吸を貪る。
わたしはその隙に彼をベッドに押し倒した。
いつもは、わたしの方が下になることの方が圧倒的に多いので、
彼を上から見下ろすのは新鮮な感じがした。
「アリス…」
まだ少し彼は混乱しているみたいで、わたしが彼の顔をじっと見ている間、動かなかった。
「ウィル…」
わたしは愛しい彼の名前を囁くと、ゆっくりと顔を相手の方に近付けていき、
ぺろっと耳を舐めた。
「ふわっ!?」
彼が普段聞いたこともないような可愛らしい声をあげるのを聞き、
わたしは上機嫌で、彼の耳を責め立ていく。
耳に息を吹きかけ、舌で舐め回し、耳たぶを甘噛みした。
十分に彼の耳の味を堪能した後、次は頬を舐め、唇をかすめ、首筋に吸い付いた。
ウィルはわたしの所有物だとばかりに首筋にキスマークを付けていく。
「う…く…アリス…」
ここまで、ほとんどわたしにされるがままだったウィルがついに反撃に出た。
わたしの背中と腰に手を回し、優しく撫で擦ってくる。
「ん……」
いつものわたしなら、それだけで脱力…とまではいかないが動きが鈍る所。
でも、淫魔化した今のわたしには、少し物足りなかった。
彼の愛撫に身を任せつつ、首筋に舌を這わせながら、今度は手を彼の胸に這わせる。
服の上から胸に這わせた手が突起を、乳首を見つけたので、指先でクリクリしてみた。
「うっ…」
途端に、ウィルが気持ち良さそうな声をあげた。
その声がもっと聞きたくて、わたしは片方を舌でもう片方を指で弄っていく。
服の上からでも、彼は十分に感じてくれているようで、わたしは嬉しかった。
もっと感じてもらおうと、服の中に手を入れ、捲り上げた。
そして、露わになった彼の胸を舌と手で愛撫していく。
「ひゃうっ!」
ウィルがわたしの胸を掴んだので、声が出てしまった。
そのまま乳房を優しく揉みしだかれ、思わずうっとりしてしまいそうになる。
「もう、今日はわたしがウィルを気持ち良くするって言ったでしょ?
大人しくしてて…」
お返しに、彼の股間に手を伸ばした。
そこは既にテントを張っていて、わたしの手で撫で回してあげると、
嬉しそうにビクビクと震えるのが分かった。
「ん、しょっと…」
わたしはウィルの体の上で方向転換して、彼のズボンからペニスを取り出した。
すると、ムワッと牡の匂いが放たれ、わたしの鼻を刺激した。
「すううぅぅ………はああぁぁ………。
ああ、ウィルの匂いがするよぉ…」
「や、やめろ、アリス! そんなこと…」
いつものわたしなら、ペニスの匂いを嗅ぐなんて、恥ずかしくてとてもできないが、
淫魔化したことで自分のしたいことが躊躇なくできるようになっているようだ。
わたしが深呼吸して彼の匂いを堪能しているのを見て、彼は制止の声を上げた。
恥ずかしがっているような感じの声だった。
いつもはわたしが恥ずかしがることの方がほとんどなので、
立場が逆転したことに、わたしは気分を良くした。
ウィルのペニスを手で掴み、そのままゆっくりと扱き上げた。
彼のモノは太くて固くてそして熱かった。
手の動きは休めずに、先端にチュッと口付ける。
「うっ…」
彼の呻き声が聞こえたので、チュッチュッと何度も口付けてあげた。
キスするたびに彼のモノが嬉しそうにピクピク震えて、とても可愛らしかった。
「あっ…」
彼の手がわたしのお尻を揉み解していくのを感じ、思わず声を漏らす。
そのままお尻を自分の顔の方に持って行き、先程のお返しとばかりに、
彼は下着の上からわたしの大切な所に口付けた。
「ああっ…!」
そのままペロペロとわたしの股間に下を這わせ、お尻を揉んでいた手の内の片方を前の方に回し、
わたしの下腹部を撫で擦った。下半身からビリビリ痺れるような感じが伝わってくる。
「ん…れろ…ぺろぺろ…ちゅうっ……んはぁ……んっ…んんっ……」
わたしも彼のペニスに舌を這わせて対抗する。
竿を舐めしゃぶり、裏筋を舌でくすぐり、亀頭に舌を押し付けた。
さらに片手でペニスを扱き、もう片手で玉袋を優しく揉んであげた。
そのまましばらくの間シックスナインの体勢でわたし達が戦いを続けていると、
彼の先から我慢汁が、わたしの膣から愛液がにじみ出てきた。
「気持ち良いんだ…ウィル? ふふっ、嬉しいよ…」
「アリスこそ、こんなに下の口から涎を垂らして、感じてるんだろう?」
「うん、感じてる。でも、ウィルにはもっと感じてもらいたいな……はむっ」
そう言って、わたしはウィルのモノを頬張った。
彼のペニスは大きいので、わたしの口には全部は入りきらない。
でも、頑張ってできるだけ多くの部分を口の中に入れた。
ウィルに気持ち良くなって欲しいから。
ウィルにイって欲しいから。
「んっ…じゅぼっ…ずっ…ずちゅうぅ…んぷ…んんんっ……」
彼のモノを咥えたまま、わたしは激しく頭を振った。
少し苦しいけど、これで彼が気持ち良くなってくれるのなら、いくらでも我慢できる。
「くうっ…アリス…!」
ウィルも負けじと下着をずらし、わたしのアソコに直接むしゃぶりついてきた。
わたしの羞恥心を煽るかのようにわざと大きな音を立てて愛液をすすり、
クリトリスの方も指で弄ってきた。
「んん〜〜〜!!!」
下半身から伝わる強烈な快感に思わずペニスを吐き出して喘ぎそうになるが、
ぐっと堪えて、ペニスへの攻撃を続行する。
「ううっ…!!」
ウィルが切羽詰まった声を上げ、ペニスがビクビクと断続的に震え始めた。
彼がイきそうなのを直感的に悟り、わたしはラストスパートをかけた。
激しく頭を振りながら、唇、舌、頬肉、全てを駆使してペニスに快楽を与えていく。
「っ! ごめん、アリス!!」
ウィルはそう叫ぶと、突然、腰を跳ね上げた。
わたしは咽喉にペニスを突き込まれ、思わず吐き出してしまう。
「んんっ!? ぐっ、かはあっ!! ごほっ、ごほっ!!!」
わたしが咳き込んで動けなくなっている所に、ウィルは容赦無い攻撃を叩き込んできた。
苦しいのと気持ち良いのがぐちゃぐちゃに混ざり合って、わたしの頭は大混乱に陥った。
「うっ…はっ…はあっ……。…っ…あ…ああぁぁ!?」
ようやく混乱が収まったと思った時には、わたしの体はもう絶頂寸前にまで追い込まれていた。
「あ…ああ…そんな…わたし……」
止めとばかりに、膣内に舌を深く差し込まれ、クリトリスを強く摘まれ…。
「ふああああぁぁぁぁ!!!」
わたしは大声を上げながら、絶頂に達した。
「あ…ああ…ああぁ………ウィル……」
淫気が体から抜けていくのを、淫魔化が解けていくのをぼんやりと感じながら、
最後に愛しい人の名前を呼び、わたしの意識は薄れていった。
「くっ、アリス…。ごめんね…」
「まったく鬼畜な彼氏よねえ。いきなり彼女の咽喉を突くなんて…」
「黙れ! マリア!!」
「おー、怖い怖い。…そんな怖い顔してたら、せっかくの色男が台無しよ?」
「…消してやる! 俺のアリスを誑かした罪、貴様の命で償ってもらうぞ!!」
「ふふっ、威勢のいいこと…。でも、今のあなたに私をイかせられるかしら?」
「今日こそはイかせてみせるさ。…行くぞ、マリア!!」
(この後、ウィルvsマリアのハイレベルなBFが繰り広げられますが、
作者の描写レベルでは表現不可能な領域なので、省略させていただきます。
何卒、ご了承下さい。)
「く、くそぉ…」
「ふふっ、なかなか楽しかったわよ。
怒りの感情に振り回されることなく、それを戦う力に昇華させるなんて、
なかなかやるじゃない。最初の頃とは見違えるくらい強く成長して、
お姉さんは嬉しいわ♪」
「うるさい!」
「はいはい、じゃあ、用も済んだし、私はこの辺で帰るわね。
アリスちゃんによろしく言っといて。
あと、呪縛は小一時間したら切れるから。…それじゃ、ばいば〜い!」
「くそっ! 何で止めを刺さない!? どこまでも俺を馬鹿にして…!!」
「う……」
「アリス、目が覚めたんだね。…良かった」
わたしが意識を取り戻して最初に見たのは、ウィルの心配そうな顔だった。
「ウィル…?」
わたしはしばらくの間ウィルの顔をぼんやりと眺めていたが、頭が徐々に働き始める。
そして、わたしが意識を失う前に何をしていたのかを思い出した。
「あ…ウィル……。わたし…わたし……あなたにとんでもないことを…!」
「アリス…」
彼はわたしの頭を優しく撫でながら、話しかける。
「アリス、別に気にしなくても良いよ。
マリアに…あの淫魔に無理やり犯されて、淫魔化しちゃったんだろう?
それなら、仕方がないよ。アリスは何も悪くない。君は被害者なんだから…」
「違う…違うの、ウィル…。わたし……」
わたしは泣きながら、自分が犯した過ちを彼に告白した。
マリアの誘いに乗って自ら淫魔化を選んでしまったことを。
「ごめんなさい。本当に、ごめんなさい」
「アリス…」
「わたし、彼女失格だよね。
あなたに捨てられるかもしれないって、勝手に思い込んで、
あなたを信じられなくて…」
「アリス…!」
「きゃっ!?」
不意にウィルがわたしを強く抱き締めた。
「俺の方こそ、ごめん。君がそんなに思い悩んでたなんて、知らなかった。
自分の彼女に不安な思いをさせて、俺の方こそ、彼氏失格だよ…」
「ウィル…」
「アリス、俺は君が好きだ。だから…だから、俺の彼女のままでいて欲しい。
頼むから、別れるなんて、言わないでくれ」
「うん、わたしも…ウィルが好き。あなたの彼女でいたい。別れたくない」
「アリス…」
「ウィル…」
わたし達はどちらからともなく、唇を重ね合った。
結局、わたし達は以前の通り、恋人関係を続けている。
相変わらず、Hの時はわたしばかりがイかされまくって、彼をイかせることはできていない。
けれど、もう以前のように、不安に駆られることは無くなった。
彼がわたしをイかせてくれるのは、わたしを愛してくれているからだと分かったから。
たとえ、彼をイかせることができなくても、わたしの愛は彼に伝わっていると分かったから。
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