5階に降りてきた
だが、今までのフロアと少し違う
「…扉?」
入り口の方に扉が存在していた、今までは出口の方にしか扉はなかったのに
「……何か、仕掛けがあるのか?」
ゆっくりと、慎重に
扉を開いた
「これは…」
中に入ったサウは、驚愕に思わず足を止めていた
今までのフロアは正方形で四方すべてがクッションのようなもので出来ていた、有意義に戦闘するのが目的のためだ
今回のこのフロアもそうなのだが、形は少し広めの古代ローマに出てきそうなコロシアムだった
一本道を少し進むと、丸い広間にでる、戦場だ
そしてその丸い広間を囲むように、入り口と出口以外のところに壁があり、その上に観客席がある
観客席にはまばらにだが、女…異形の女が座ってこっちを見ていた
今まで見てきた敵達もいれば、初めて見た女もいる
皆、今から俺が絞られるのを見物ということか
「快楽の戦場にようこそ」
勝気な声がして、そちらを見る
紅い髪、紅い瞳、そして引き締まった美しい肢体
明らかに今までの女とは違う何かを持っている
「お前が、四天王の一人、サラマンダー……」
「その通りだよ、サウとやら」
サラマンダーはニヤリと笑う
「本来ならお前のようなひ弱な男など、俺が手を出すまでもないんだが…お前の持つ“力”とやらに興味があってな、直々に相手をしてやるよ」
「……力?」
「手前にも覚えがあるだろう?」
言われてみて、確かに心辺りはあった
スライムガールとの戦いの時に聞こえた、あの声
あれは何だったのか、未だによくわからないが、とにかくあの時はあの声のおかげで助かった
「…………」
「お前の力を我が主女王様も危惧してる、だからお前はここで俺に吸われ、終わってもらうよ」
「…俺は先に進む、どんな相手でも」
「おうおう、強気なことで…だがな、俺には勝てねぇよ!」
直後、サラマンダーは凄まじいスピードでサウの鼻先まで近づいてきた
「ッ!?」
「反応が遅ぇ!」
飛び出してきた手を間一髪で回避し、横に転がり離れる
(なんて速さだ…)
「どうした?顔が青ざめてるぜ?怖気ついたか」
「何だと……」
立ち上がり、睨む
「確かにお前の潜在能力は恐ろしい、今までの戦いから見せた戦闘力でそれはわかる…」
「……」
「だが、お前はまだ“覚醒”という更に一歩上のレベルまでは至ってねぇ、今の力量で俺に勝つことは、奇跡でも起こさなねぇ限り無理だぜ」
確かに、言う通りかもしれない
攻撃力を実感したわけじゃないが、今のスピードは明らかに常人の域を越えていた
この時点で、何か違うオーラがある
「まぁ、せっかく俺と戦えるんだ、冥土の土産にこの快楽を味わってイケよ!」
再び飛び掛ってくるサラマンダー、回避行動すら起こさずそのまま立ち尽くす
次の瞬間、サラマンダーの腕がサウの手首を掴む
引き寄せられ、サウはサラマンダーにしっかりと抱きしめられていた
サラマンダーの身長はサウより更に高く、サウの顔はサラマンダーの胸に埋められている
「さぁ、俺と一緒に燃えようぜ!」
次の瞬間、サラマンダーの体が赤々と光る、その光はサウの体をも包み込む
観客席からは歓声が上がる
「………!?」
光に包まれると、体の中から熱い疼きのようなものが出てきて、それがペニス、乳首、唇と言った性体感に集中していく
「どうだ?俺の特殊能力“ヒートアップ”は、性欲が溢れてくるんじゃねぇか?」
確かに、こうやって抱き合ってるだけでもどんどん感じてくる
完全に起ちきったペニスはサラマンダーのふとももに当たっている
「ははっ、我慢汁流しちまってよ、もう完璧に俺の虜だな、いいぜ、望み通りやってやる」
サラマンダーはふとももを少し開き、そこにペニスを導く
すっぽり入ると、サラマンダーはキツくふとももを閉じ、そのままスリスリとしてきた
「ぐああぁぁぁ!」
サラマンダーから離れようと暴れる
「無駄だ、俺の力からは逃れられねぇ」
更に強く抱きしめ、サウの顔は胸でパフパフされるような感じになった
「むぐっ……うっ……」
「もっと感じろよ、サウ」
胸の谷間に顔を挟まれ、息がしにくい
谷間から酸素を吸おうとするが、入るのは女体から流れるいい匂い
四天王と名乗るだけあるのか、その匂いだけでもとろけてしまいそうだ
だんだん頭がボーッとしてきて意識が朦朧してきたところで開放されたが
間髪入れず今度は唇を奪われる
ディープキスでそのまま舌が絡み合う
しかしサウの方はさっきのパフパフで集中力が途切れており、受けの一手
どんどん唾液が流し込まれ、サウは力を抜いてサラマンダーの力強い抱擁に身を委ねていく
頭を両腕で押さえられているのだが、この指先で髪や耳たぶなどをなでられるのも気持ちいい
「そろそろ限界だろ?イキな」
ひときわ強く、ふとももがペニスを摩擦する
「あ、ああああああああああああああああああっ!!」
ドピュピュピュピュピュピュピュッ!!!
白濁液が、サラマンダーのふとももの先からちょこんと出てた先端から放出された
オオオオオオオオオオオオオオオオオオー!!
観客席からは大歓声
出し切った後、サラマンダーはサウを無造作に突き飛ばす
バフッ、とクッションの上で力無く横たわるサウ
意識も失っているのか、サウは目を瞑ったまま反応しない
「この程度か、あっけねぇもんだ」
「……く、くそぉ……」
目を開き、フラフラと立ち上がるサウ
「もっと楽しませてくれよサウ、せっかくこの俺が出てきてるんだ」
「……くっ」
サラマンダーは余裕しゃくしゃくと言った感じだ
実際サラマンダーは強い、並のレベルじゃない
性技だけでなく、身体能力もかなりのものだろう
「まだイけるみたいだな…行くぜ!」
サラマンダーは再び飛び、サウを押し倒す
「このおっ!」
「無駄だ、これでも喰らえ」
サウが抵抗する前に、サラマンダーはサウの片足を両腕で抱き込む
これは…宝船だ!
「入れるぜ」
答える間もなく、サラマンダーはサウのペニスを挿入した
「はぁうっ!」
締めつけの快感に、喘いで悶える
鍛えられた肉体は、外だけでなく中でも十分な効力を発揮していた
締めつけは普通の女性の比ではない、気を許せば瞬殺で絞られてしまう
脱出したいが、片足は空中で遊んでいる、手は使えるもののこの状態から脱出は難しい
「中でどんどんペニスが大きくなってるのを感じるぜ、サウ」
サラマンダーは得意げに笑いながらサウを見る
「何を…」
「さっき出したばかりだってのに、精力だけはあるな、まぁこっちにとっては好都合だ」
ペニスをアソコから抜くサラマンダー
「?」
「さて、そろそろ終わらせてやろう」
左手でペニスを握る
そして右手は人差し指と薬指を突き出し、後は握った状態を作る
そして人差し指と薬指をペニスの先端にあてがう
これだけで感じてしまう自分に情けなさを感じる
少しすると二本の指の先端がどんどん赤く輝いていく
「“炎の摩擦”(ファイア・フィンガー)…これをまともに喰らって耐えた男はいねぇ、手前も天国逝きだ、快感に震えな」
「何を、する気だ…」
「その身で、味わってくれよ!」
瞬間、人差し指と薬指が鋭く先端を擦って離れていく
「あ、あああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!」
凄まじい射精前のくすぐったさが一気にペニスに集中する
そして亀頭が一瞬膨らみ
ドピューーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!
シャンパンのように白い液がペニスから飛び散った
観客席からの歓声、サラマンダーの哀れむ瞳を見上げながら…
サウは、意識を失った
闇
広がる闇
サウ以外には、闇しかなかった
嗚呼、闇に喰われていく…
だがその闇に身を任せると、とても気持ちいい……
なんだが、とても眠い……
全てを委ねたいと思った
だが
声
声が聞こえる
ノイズのようで、耳障りだ
「眠らせてくれ…」
弱弱しい声で、サウは言う
だが、声が消えることはない
アナタは、それでいいの?
闇は、消えていないが
唐突に意識は覚醒した
目の前にあるのは、やっぱり闇……
いや
それだけではない
闇の中に、一枚の鏡がある
サウはその鏡に少しずつ近づく
鏡には、自分の姿が映っている
「今のアナタは、闇の牢獄…自分の秘めたる“力”の中にいるの」
鏡の中の自分の口が、動いた
だが喋っているのは、自分ではない
「お前は、誰だ?」
闇の中にいる本物のサウが言う
「私はシャドー…アナタの心の不安にして、仇なす異形よ…」
「……心の、不安……」
「あなたはサラマンダーとの戦闘中、気絶してこの世界にやってきたの」
「そうだ、サラマンダー」
サウはハッとして辺りを見回す
しかし、あるのは闇だけ
「大丈夫、アナタの心の中だから、ここにはサラマンダーはいない」
「心の中……どうやったら脱出できるんだ!?」
「…脱出、か…それもいいけど、脱出して再び戦いに戻ったところで、サラマンダーにアナタは勝てるの?」
「そ、それは……」
言われ、うつむく
確かにサラマンダーに今のままで勝てる可能性は0に近い、さっきの2回の戦闘がそれを実証している
「勝つには、アナタの秘めたる“力”を解放させるしかないわ…」
「……どうやったら、力を解放できるんだ?」
「私…シャドーに勝つことね」
鏡の中の自分はあくまで無表情に言う
「私に勝てれば、アナタは自らの心の闇に勝ったことになり、力を解放できる…」
「…負ければ?」
「ここで起こったこと見たこと全てを忘れ、ダンジョンの外に放り出される…」
「……わかった、勝ってみせる」
「簡単に言ってくれるけど、私はアナタの心の不安を“具現化”する力を持つ…つまり、アナタがバトルファックにおける一番苦手だと思うものが相手ってことになるのよ」
「……それでも、俺は勝って先に進まなくちゃならない、そして秘宝を持ち帰るんだ」
再びサウは鏡の自分、シャドーを見据える
「…その決意、本物のようね…いいわ、勝負しましょう」
直後、鏡は光に包まれ、ピキピキとヒビが入り、パリンと割れた
そして鏡の中から、人が現れる
それは、サウが最も苦手とする相手――
「…………姉貴………」
「私が、あなたの相手よ、サウ」
金髪のロング、豊満な胸が特徴的な女性―――
サウの姉、ルーンだった
続く
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