正直『女帝』は『魔術師』に負けず劣らずの弱さだった。彼女の集中力をかけたのが勝因だったのだろうか。
そうこう考えているうちに4階の入り口にたどり着いた。色々個性的なサキュバスばかりだが今度の相手はどんな奴やら。
ゆっくりと開いた扉の向こうには『女帝』と同じく赤絨毯の部屋が広がっていた。
ただ今回は中央にベッドがなく、中心では正座をしたサキュバスが黙想をしていた。
「来たな。」
目を開いた彼女の瞳は切れ長で吸い込まれそうなほど澄んでいる。
「私の象徴は『皇帝』。お前が先ほど相手してきた『女帝』とは対の関係を持っている。」
ハスキーなその声は『皇帝』と言う名にふさわしい威厳のようなものを感じさせる。
対の『女帝』とは圧倒的な力の違いを感じさせられる。
「最初に言っておく。お前はここにたどり着くまでの大アルカナたちから様々な力を吸収したであろうが、
私には一切通じない。それが私の能力でもあるからな。」
そういって彼女は立ち上がった。雰囲気に圧倒されて今まで気がつかなかったが、彼女も既に裸であった。
全体的に突発した武器はない。しかし長身に手ごろな大きさで形の良いの胸、引き締まった腰と腹筋、
すらりと伸びた足は完璧なまでに調和し神々しさすら感じさせる。
「信じられないのであるなら試してみればいい。後悔することになる。」
罠かもしれないが通じないと言われてはいそうですかと納得するわけにはいかない。
(欲情しろ)
もうすっかり自分の力となった暗示を送ってみる。
「どうした。何を呆けている。」
しかしまったく効果がないそれどころか…
「なんだ見てるだけで興奮してきたのか?」
逆に俺のほうが彼女の裸体に欲情している。完全に跳ね返されたようだ。
「やる気になっているのを待たせるのも悪い。そろそろ始めるか?」
ゆっくり近づいてくる『皇帝』。暗示の分ハンデを背負ってしまったが大丈夫であろうか。
「ああ、やろう。」
そう。俺には迷っている暇なんてないんだ。
「ん…はむ…」
立ったまま向かい合って舌を絡めあう。思えば塔に入ってからまともな勝負はこれが始めてだ。
舌の力比べはほぼ互角。一進一退でお互いを高めあっている。
「なかなか…うまいな。ここまで上がってきただけある。」
まだそれほどのダメージを与えていない彼女の素直な感想。かなりの余裕を感じさせる。
「そりゃどうも。レロ…」
微笑みかけてくるのを流しながら首筋に舌を這わせる。舌から感じる肌の触感は滑らかできめ細かい。
「ん…いいぞ」
そのまま乳房まで舌を這わせて膝立ちになり彼女の乳首を口に含んだ。
「んむ…ジュルゥ」
舌に転がされて徐々に硬くなる乳首。吸いながら彼女を見上げるとまだまだ表情には余裕があるようだ。
「うまいな。しかし自分からそういう体勢になるとこうなろぞ?」
胸を舐めさせたまま体重を預けられ、あっけなく仰向けに倒れてマウントをとられてしまう。
しまった。なすがままで少し油断した。しかし攻めを緩めればそれこそ相手の思う壺だ。
「そろそろ私も攻めさせていただくぞ。」
言うなり彼女の足が俺のモノをさすりだす。
「んん!」
胸を攻めながら思わず呻いてしまうほどの肌の感触。自分の暗示で欲情しているから余計だ。
「もうすっかり立っているな。これなら…」
彼女の手がモノに伸びる。マウントをとられているためよけることは出来ない。受けて立つしかない。
幸い胸が俺の顔の前にある分こっちのほうが攻めやすい。舐める乳首を反対にして俺も彼女の膣に手を伸ばした。
舌技は互角。手技はどうだろうか。
「んぐ!」
「ぅん!」
2人同時に声を漏らす。既に潤っている秘部は締め付けもよくなかなかの名器だ。
それはいいとして彼女の手技もかなりのものだ。流石は大アルカナとはじめて俺は戦慄した。
しかしこっちの攻めも確実に効いているようだ。しかしやはりはじめのハンデ分押されている。
一度かけた暗示は勝負が終わるまで解けない。このままじゃかなり分が悪い。
「ふふ…なかなかどうして…お互いそろそろ全力を出すしかないようだな。」
相手のペースに乗せられているわけじゃないが俺も不敵の笑みを浮かべる。
しかし彼女もマウント状態を譲る気は無いらしい。そのまま騎乗位で俺のモノを根元まで飲み込んだ。
「うぉ!」
「んん!」
手マンで確認はしていたが予想以上の締め付けだ。これは長期戦になるとやばい。
「ふふふ…まだまだこれからだぞ?」
グチュグチュと音を立てながら前後上下にランダムに揺れる『女帝』。そのところどころをピンポイントに締め付けられどんどんと高められていく。
「くぅぅ!」
力任せになんとか対面座位に持ち込んだがカウンターに強く抱きしめられ、顔が彼女の胸に埋まる。
「そうだ。もっとお前の力を見せてみろ。」
楽しそうに言う彼女。しかし顔は上気している。相手もかなり追い詰められているらしい。
しかしそれでも勝てるか危うい。なんとかハンデ分をチャラにしなければ。
押し倒して正常位となるが長い足が絡みつき思うように腰を動かせない。
逆に『皇帝』は膣圧をコントロールしてモノを揉みしごいてくる。
能力に頼るわけじゃないがなんとか力を使えればまだ分があるのだがすべて反射されるとなると…まてよ。
反射するということは…
「セックス中の考え事は相手に失礼だぞ?」
自ら腰を動かして更に追い詰められる。もう迷っている暇はない!
(欲情するな!)
先ほどとは逆の暗示を送り込む。自分に不利になるものだけが反射されるとすれば負けが確定する。
しかしすべて反射するのであるならまだ分がある。どうやら後者のようだ。
先にかけた暗示のほうが効果が高いが何とか抑制力にはなっている。
しかしピンチには変わりない。これでようやく互角程度だ。
「うおぉ!」
最後の手はやはり基礎に戻って本能のままに任せるしかない。高速ピストンで勝負に出る。
「はうぅ!」
彼女も限界が近い。しかし自らも腰を動かし応戦してくる。
「あああああ!」
断末魔を上げたのは…彼女であった。ほんの一手差であろう。
彼女の力が流れ込む。王の威厳とも言えるカリスマ性が俺に宿っていく。
「がんばれよ。希望を…」
言い切る前に彼女は消滅した。希望…彼女といい『女教皇』といいいったい何を言おうとしたのだろうか。
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