「ひゃぁん!はぁぁ!!」
嬌声と共に俺のモノを股に咥えこんでいた女は背筋をピンと仰け反らせ、ぐったりと俺にもたれかかって来た。
「ふふ…ついに最後のあたしもあなたに吸収されてしまうのね。」
徐々に薄らいでいく自分の体を見ながら残念そうに、しかし満足そうに女は言った。
「ほら、何も描かれていなかったあなたのカードに絵が浮かび上がっていた。『愚者』ね。これであなたもあの塔にいる方たちと同等だわ。」
女の言葉に俺は視線を上げた。この小さな淫界の中心聳え立つ塔『アルカナ』。塔の中には『大アルカナ』と呼ばれる実力ある21人の者たちがいる。
そして塔の外には56人の『小アルカナ』と呼ばれる者たちがおり、これに俺を加えれば淫界に住むすべての者たちとなる。
淫界に住む者は全員自らを示すカードを生まれつき持っている。しかし俺のカードには何も描かれておらず、
またこの淫界でインキュバスと呼ばれる男は俺のみであった。後はサキュバスと呼ばれる女たちだ。
この世界では異性が出会えば性技を持って戦わなければならない。そしてその勝負に負けた異性は相手にその力、そして存在を吸収される。
この世界で俺かもしくはサキュバスたちが存在する限り争いは耐えない。
だから俺は自分が負けるまでそしてサキュバスがいなくなるまで戦い続けなければならなかった。
しかしその戦いもこれで残すは1/3だ。そして小アルカナすべてを吸収した俺はついに自分を示すカードを手に入れたのだ。
「その『愚者』のカードがあなたを大アルカナだと示して塔の扉を開いてくれる。もうあなたは『名無しのインキュバス』じゃなくなったのよ。」
もう後ろが透けるくらいになった女がうれしそうに微笑んだ。
「でも覚悟することね。塔の中の方たちはすべてあなた以上の実力の持ち主よ。
うふ、あなたがどこまで勝ちあがれるか。あなたの中で見守ってるから。」
最後にそう言って女は消滅した。手には『愚者』のカードのみが残っている。
俺は立ち上がると塔を見据えて歩き出した。俺の新たな戦いが始まった。
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