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勇者、誘惑(その2)サキュバスクイーン

 魔王城7F。

「くっ……さすがに敵も手強いのぉ」

 魔法使いのグエンが傷ついた腕をさすりながらつぶやいた。
 僧侶のケインはそんなグエンに回復魔法を唱えつつ、魔法力を回復するドリンクをがぶ飲みしていた。

「それだけ魔王に近づいてるってことだろ。恐らく次のフロアにいるだろう」

 戦士のジョーは剣の刃を懐紙で拭いながら言う。
 確かに、上に登るにつれ敵は強くなってきていた。
 それだけ敵も本気になってきたということだろう。

「回復アイテムもそろそろ尽きてきたね」
僕はアイテム袋の中を見ながら言う。
「急いで魔王の元へ……! ケイン、後ろ!」

 回復魔法を唱えていたケインの後ろから迫ってきた魔物……それはサキュバスだった。
 豊満な肢体をレザーのビキニやミニスカートで覆い、きゅっと引き締まったお腹は丸見え、胸元や太もも大きく開いた挑発的な外見。
 昨日の夜のこともあって、そんなサキュバスを見て、助ける前に唾を飲んでしまう。
 そんなサキュバスに雷の呪文をくらわせるグエン。
 サキュバスは体を痙攣させながらその場にくずおれた。

(ああ、何を考えているんだ、僕は!)

 自己嫌悪に陥る。
 仲間のピンチを前に、敵の魅力に屈しそうになるだなんて。
 それに、お金のことだってそうだ。
 もし首尾良く魔王を倒して、解散するときには、お金を山分けすることになる。
 その時に10万ゴールドもなくなっていたら怪しまれてしまうだろう。
 ああ、僕は一体どうしてしまったんだ……。

「ふぅ……まったく、気を抜けんのぉ」
「まったくだぜ。よし、そろそろ階段を登るぞ」

 皆で準備を整え、階段を登ろうとすると……階段の上の扉が音を立てて閉まりはじめた。

「急げ!」

 扉へ急ぐ。閉じるスピードからして、このままのスピードなら間に合う――!

「しまった!」
「!」

 後ろからグエンの声。
 見ると、グエンが大事にしていた杖を取り落としたところだった。
 一年の旅を共にしてきた大切な杖……グエンは悔しそうな顔をしつつ階段を登る……。
 ――僕は一人、階段を駆け下りていた。

「勇者殿!」
「いいんだ、先へ!」

 階段を落ちてゆく杖を拾うと、上を見る。
 扉は今にも閉まりそうだった。
 僕が槍投げの要領で投げた杖は、扉の向こうのジョーの手元に滑り込んだ。

「勇者!」
「僕は違う道を探す! 必ず追いつくから、魔王の元へ!」

 僕の叫び声が届いたかどうか、扉は重厚な音をたてて閉まった。

「仕方ない……まだ行っていないルートから階段を探すか」

 僕は一人、階段を降りる。
 階段手前のエントランスには、雷に打たれて力尽きたサキュバスが倒れていた。
 ムッチリと張ったお尻がスカートを張り出し、またマイクロビキニに包まれた乳房はむにゅりと形をひしゃげさせている。

(馬鹿! 死んだ魔物をなにまじまじと見ているんだ!)

 そう、昨日の夜、ユキナの足でいじめ抜かれてから、町の女性や女性型魔物を見るだけでドキドキしてしまうようになっていた。
 今まで世界の平和を守るため、神聖な勇者という仕事についていたのに、たった一晩女性と接しただけでこんな腑抜けになってしまうなんて……。

「……ああ、もう、そんなことはどうでもいいんだ! 早く皆の元へ急がないと」

 僕は魔王城の入り組んだ道を進み出した。時折出てくる魔物からは逃げる。
 回復アイテムもほとんどジョーに預けていたから、僕には低レベルの回復魔法しか回復手段がない。
 なんとかこのピンチを切り抜けなければ……。
 ……やがて、入り組んだ道の最奥に扉を見つけた。
 重厚な作りの扉。明かに中に重要な何かがあることを示唆している。
 階段があればいい、とその扉を開けると……そこは真っ暗闇だった。

「ランプもないのか……仕方ない、このまま進むか」

 恐る恐る暗闇の中を進んでゆく。
 魔物が攻め入ってきたらピンチだけれど、先へ進んでもその様子はなかった。
 しかし――。

「――しまった!」

 かなり進んだところで、扉が音をたてて閉まり始めた。
 僕は急いで戻るものの、もう遅い。扉は完全に閉まってしまった。
 途端、部屋に明かりが灯る。
 明かになった部屋の壁には――ぎっしりと、サキュバスの群れが立っていた。

「罠だったのか!」

 僕は伝説の剣を構えながら叫ぶ。
 しかし彼女たちは戦おうとはせず、剣を構えて震える僕を見ながらクスクスと笑っていた。
 そんな彼女たちの、それぞれの蠱惑的な肢体を見せつけるようなファッションに、僕はどうしてもドキドキしてしまう。

「そんな物騒なものはしまいなさいな」
「!」

 人間の言葉が聞こえ、そちらを見る。
 そこには、群がるサキュバスの中でも随一に華麗なサキュバスが立っていた。
 それは水着ではなく、下着というべきだろう。
 美しい花の装飾に彩られた黒のブラジャーに包まれた胸は、細い体のラインを崩すほど大きすぎず、しかし谷間の影が色濃く見えるほどにふくよかで、小玉のスイカが詰まっているよう。
 細い体と相まって逆に艶めかしい胸元には、ラメのようなものがかかっているのかキラキラと輝いていて注目せざるを得ない。
 また、その下にはサイズの小さいピンクのホットパンツを履いており、太ももの付け根まで丸見えで、そんな普段着にブラというアンバランスなコーディネーションが、一層エロティックに見えてしまう。
 シャギーショートの黒髪に包まれた顔はどこか幼く、しかし愛嬌のある目や挑戦的に弧を描く唇は妖艶さを振りまいていた。
 いや、そんなことはどうでもいいんだ。
 どうして知能の低い魔物が人間の言葉をしゃべれるんだ?

「私は魔物の中でもインテリジェンスが高い、魔王の幹部だからよ」

 僕の疑問を察して答えるサキュバス。
 その感情の起伏に富んだ声は、まるでうら若い人間の少女としゃべっているようで、その蠱惑的な姿と相まって更にドキドキしてしまう。

「ま、剣は納めなさいな。私達は貴方を武力で嬲り殺す、なんて無粋な真似はしないわよ。あ、紹介が遅れたわね。私はサキュバスクイーン、アイラムよ」

 そうサキュバスクイーン、アイラムが言うと、周囲のサキュバス達もクスクスと笑い始める。

(馬鹿にされてる……なけなしの魔法力で一掃してもいいけど、撃ち漏らしたらリンチされちゃうし……)

 僕は仕方なく、剣を鞘に収める。

「で、僕をどうするつもりだ? 魔王の元に連れて行くのか?」
「だから、そういうつっけんどんな態度にならないの。場合によっては貴方の望み通りにしてあげようって言うんだから」
「なんだって?」
「仲間の元へ急ぎたいのでしょう? 私とのちょっとした勝負に勝ったら、隠し階段の場所を教えてあげるわ」

 そんな都合の良い話があるのか?
 いぶかしがりながらアイラムを見ていると、アイラムは肩をすくめた。

「確かに、私は魔王直属の部下だけど、あの魔王、私のかわいい部下ととっかえひっかえセックスしたいだけなのよ。だから私達は特攻目的のザコ敵としてしか使われないし、魔王のお気に入りはこんな奥底の部屋で軟禁されてるの。私としては、貴方たちが魔王を倒してくれたほうが都合がいいのよ」

 よくわからないが、魔物の間にもいろいろあるらしい。
 僕はわかった、と頷くと、アイラムの目を睨みつけながら聞く。

「で、一体どんな勝負をすればいいの?」
「ま、いわゆるBFってやつね」
「……BF?」
「バトルファック……セックスの勝負よ」
「え……!」

 思わずたじろいでしまう。
 魔王城の最上階近く、こんな危険極まる場所で――彼女は一体、なにを言っているんだ?

「私を先にイカせたら貴方の勝ち。貴方が先にイったら私の勝ち。簡単な話でしょ?」
「な、なにを言って……ふざけているのか!」
「あら、切った張ったの物騒な勝負より、お互い気持ちよくなれてスッキリする勝負のほうが建設的だと思わない? 私は趣味で、貴方は実益でセックスするだけじゃない」

 そう言って妖しく笑むアイラム。
 その大きな目に引き込まれそうになっていた僕は、あわてて視線をそらすものの、どこを見ても蠱惑的な女性の肢体しかなくて、目の置き場がない。

「ただ、私はバトルファック慣れしてるから、さすがにハンデはあげるわよ」アイラムは言いながら、ゆっくりとこちらに近づいてくる。「私は貴方を三回イカせたら勝ち。貴方は私をたった一回でもイカせたら勝ち。これでいい?」
「そ、そんなの……」
「あら、貴方もしかして未経験なの?」
「ち、違う!」

 思わず声を荒らげて言ってしまう。
 アイラムはあら意外、と口元に手を当てながら、しかしこちらに歩み寄るスピードは緩めない。
 未経験……厳密に言えば、未経験には違いない。
 昨日、確かに女体の神秘には触れたものの、ユキナは足で僕を虐めることしかしなかったし、実際ユキナの足以外の部位が僕のモノに触れることはなかった。
 もちろん女性の中に入れたりとか、そういう経験はない。
 ただ、女性の喜ぶことはある程度心得たはずだ。
 ユキナに強制されて、乳首や股間を顎が疲れるほどに舐めさせられて、どこが敏感に反応したかは覚えている。
 それに、どのみちこれを断ったところで、扉が閉められている以上、彼女たちの拘束から逃れることはできないのだ。
 だったら、相手が油断しているうちにアイラムをイカせて、早いところ仲間の元へ急ぐ方が建設的だろう。

「私はただ、魔王みたいなごっつい男とネチネチ脂っこいエッチをするより、かわいい男の子と瑞々しいエッチがしたいだけなのよ。せっかくこっちは魔王を裏切ってまで手引きしてあげようとしているんだから、これぐらいの対価を求めても当然でしょう?」
「……わかったよ。でも、約束を破ったらただじゃおかないからね」
「ええ……」

 饒舌だったアイラムが言葉少なになるころには、すでに眼前にアイラムの顔があった。
 大きな目は、ユキナの見透かしてくるような目とは違って、小悪魔的な、試すような色があった。
 僕はその目に吸い込まれるように顔を寄せると、アイラムの小ぶりな唇をついばむ。
 さっ、とアイラムの頬に朱がさした。
 それを見て、僕はたまらない気持ちになって、強くアイラムの肩を掴むと、彼女の唇の間に舌を差し入れた。
 彼女の唾液をちゅうっと吸い込む。
 それは甘くて、鼻孔を溶かすような香りがする。

(ああ……頭がぼおっとしてくる……こんなかわいい女の子とキスしてるなんて……)

 しかし、そんな暇はない。早くイカさなければ、ジョー達が危ないのだ。
 僕は彼女の胸に掴みかかる。
 ブラに包まれた豊満な乳房は、僕の指を吸い込んでゆきながら、つかみかけたところでにゅるりと滑って逃げてゆく。
 いくらつかもうとしても、肝心なところでゼリーのように逃げてゆく乳房に、僕は舌を動かすことすら忘れて夢中になっていた。

「んふ……」

 そんな僕を見てか、逆にアイラムが舌を蠢かせてきた。
 僕の口内に入り込んでは、たっぷりと濃厚な唾液を送りつけてくるアイラム。
 乳房の感触にアイラムの唾液だけで、僕のモノは破裂しそうなほどに膨らんでしまっていた。

「んむううううううううううううううっ!」

 僕はまるで盛りのついた犬のように彼女の舌にしゃぶりつくと、右手は乳房を揉み、左手は彼女の下半身……ホットパンツから伸びる脚に触れた。
 ムチムチとした脚は、ユキナのしっとりと吸い付くような感触とは違って、つるつるとなめらかでありながら、押し返すほどの張りがあった。
 たまらず、その脚の間に右足を入れ込むと、股間に腰を押しつける。

「ふぁあっ……!」

 アイラムの嬌声に気をよくした僕は、ズボンのチャックを開けて、窮屈だったモノを取り出し、それを脚の間に差し入れた。
 密着した太ももの間を、亀頭で出し入れする。
 カリが太ももにひっかかり、力を込めてにゅるりと通り抜ける感覚に、僕は夢中になってしまった。

(駄目だ……イキそうだ!)

 脚、これがまずかった。
 相手にとって大きな性感帯にはならない脚で、ここまで高ぶってしまったのは、ひとえに昨晩のユキナのお仕置きが原因だ。
 このままでは先にイってしまう……!

「ふふ……いいのよ、二回までなら出しても」

 スマタに夢中になってキスすら忘れていた僕に、誘うような口調で語りかけるアイラム。
 見れば、彼女は頬を真っ赤にしながら口を半開きにし、中では唾液をたっぷりとたたえた舌がネチネチと蠢いていた。

「ああ……!」

 たまらなく腰の動きを早めてしまう僕。

「一回出したほうが、持続力がつくというものよ。まずは一度出して、気持ちを落ち着けてから本勝負に入った方がいいんじゃない? それでもまだ一回は余裕があるんだから」
「い……言われなくても……わかってるっ……!」

 僕はせめてと乳房を激しく揉みしだきながら腰を振りたくる。
 僕の亀頭から出た先走り汁にねとつき、しかしぴったりと密着し閉じられた彼女の太ももを、僕の亀頭が無理矢理入り込んでは逃げてゆく。
 プラス、アイラムの瑞々しく張り詰めた乳房と、彼女が流し込んでくる甘い唾液――!

「ふ――ぁあああああああああああああああああああ!」

 みっともない声を上げながら僕は果てる。
 石造りの床に落ちてゆく僕の白濁液。
 落ち着いた頃には、立っているのもつらいほどに脚ががくがくと震えていた。

「まずは一回……あと二回で私の勝ちね」
「くっ……」

 僕は彼女の太ももから萎えたモノを抜く。
 その際も抵抗する太ももに、果てたばかりの亀頭がまた少し膨らんでしまう。

「立ってやるのも辛いでしょう? 二回戦はベッドで、ね」

 そう言って彼女が指差した先、部屋の片隅には、豪華なベッドがあった。
 直径3メートルの正方形に近い形のベッドの上には垂れ幕が下がっており、宿屋のVIP部屋にあったダブルベッドがかわいく見えるほどに豪勢な作りだ。

「の、望むところだ」

 僕は不敵に笑んでみせて、ベッドへと歩を進めた……。
なんか前作の名前がバケてたので大文字で。
今回も見直しとかほぼせずに出したので誤字とか許してちょ。

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