「いよいよ明日だな……」
宿屋の一室で、戦士のジョーがつぶやいた。
僧侶のケイン、魔法使いのグエン、そして勇者の僕がそれにうなずく。
「長かった旅も、明日で終わりだ」ケインが続ける。「明日、魔王を倒せばな」
「この男臭いパーティも明日で解散じゃな」
年長のグエンが快活に言って笑った。
しかし僕は何も言えない。
一抹の寂しさと、何より大きな明日の不安が、僕の気持ちを沈ませているのだ。
「装備も道具もすべてそろえた。後は明日に備えて寝るだけだが……」
そう言って、ジョーは懐から瓶を取り出した。
「今夜ぐらい、ぱーっとするか」
ケインもどこからか乾き物のツマミを取り出してテーブルに並べる。
「こら、勇者様は未成年なのじゃぞ?」
グエンがそう諌めるものの、宴の準備をとめようとはしない。
僕は皆の気持ちを察して手を振った。
「い、いいんだ! 実はもう眠たくてさ、僕に構わず皆で楽しんでよ」
「いいのか?」
「構わないよ。ただ、明日に支障が出ない程度にね」
皆はそんな僕の態度に気をよくすると、静かに酒をコップに注ぎ始めた。
僕はひとり部屋を出ると、宿屋の最奥にある部屋に戻った。
ここは宿屋の中でも一番よい部屋、VIPルームというやつで、部屋の作りがほかの部屋と違う。
机は高価なガラス製で、椅子は高めのスチールラック。
ベッドもダブルベッドで、ほかにも効果な調度品にあふれている。
「ふぅ……あんなこと言っちゃったけど、ちっとも眠くないんだよなぁ」
ベッドに腰掛けながらつぶやく。
今日は朝からレベルを上げるために魔物を狩っていたものの、弱い敵だったのでさほど力を使わなかった。
その上、明日魔王の城に向かうという緊張感から、胸の鼓動が高鳴って仕方がなかったのだ。
「それこそお酒でも飲めるなら別なんだろうけど……まあいいや。ジュースでも飲んで寝よ」
僕は財布を取り出すと、部屋の片隅にある木箱に向かった。
それは宿屋が用意している木製の自動販売機というやつで、その中にジュースや下着なんかが入っている。
硬貨を入れることで、それを購入できるのだ。
未成年とはいえ、勇者の血筋を引く以上、僕がパーティのリーダー。
お金の管理も僕自身が行っているし、また魔物を倒し続けたおかげでお金には余裕があった。
110ゴールドの硬貨を入れて、どのジュースを買おうか迷っていると……。
「! こ、これ……女の人の……?」
自動販売機の隅にあったのは、女性用の黒いショーツだった。
10000ゴールドもするそのショーツは、見る限り下着としての用を足してはいないようで、面積が少なく、また彩られた花の刺繍はほぼ中を透けさせている。
「こ、こんないやらしいの、買う人がいるんだ……」
ここ一年近く、ジョーたちと旅を続けてきたのだが、その間、女性とまともにしゃべったことはなかった。
それこそ、旅をする際に仲間を募ったとき、何人か女性もいたけれど、過酷な旅につれてゆくのが忍びなくて、屈強な男性ばかりを選んだ。
その前までは修行の日々だったし、15年近くの人生の中で、まともに女性とかかわったことすらなかったのだ。
「魔王を倒したら、僕も女性と付き合ったりできるのかな……ああ、だめだ」
思って後悔する。
明日の不安が心中を占めてしまって、また心苦しくなってしまう。
「とりあえず、ジュースを……?」
その時、ドアをノックする音が聞こえた。ジョー達が誘いに来たのだろうか。
僕は冷えたミルクを急いで買うと、それをガラス製のテーブルにおいてドアを開けた。
そこには……体のラインの出る赤いワンピースを着た女性が立っていた。
「…………!」
「こんばんわ。ちょっとよろしいかしら?」
驚いている僕に構わず、彼女はするりと部屋に入ってくると、ドアノブを握る僕の手をとってドアを閉めた。
女性の暖かい手が僕の無骨な手を覆っている。
突然の訪問者に、僕はただ視線をうごめかせることしかできなかった。
「あら、VIPルームに泊まってるから資産家のおじいさんかと思っていたら……まだ年端もいかない坊やだったのね」
「……な、なんですか、あなたは」
なんとかひねり出した僕の言葉に、彼女はうろたえるでもなく優しく笑んで答えた。
「私はユキナ。怪しい者ではないわ。ただ、あなたとちょっとした商談をしようと思って」
彼女……ユキナは無遠慮にも僕の手を引いてテーブルまで寄ると、テーブルをはさんだ椅子に座らされた。
「あ、怪しい者じゃないって、知りもしない人の部屋に入り込んできたら、怪しいに決まってるじゃないですか!」
そのころには僕も比較的冷静になってきていた。
僕のもっともな苦言に、しかしユキナはやんわり笑って返す。
「まあまあ、マスターには許可を取ってるし、なにも押し入り強盗ってわけじゃないわよ。ほら、武器なんてなにも持っていないでしょう?」
そう言って手を広げるユキナ。僕は改めてユキナを観察する。
長くウェーブのかかった紫紺の髪。
それに飾られた小顔は、薄化粧のせいもあって美しく、大きな瞳には思わず吸い込まれそうだ。
鼻もつんと小高くて、唇はやや厚めでつややかなリップが塗ってある。
その下に続く体つきは、目の向け場所に困るような作りだった。
とにかく、出るところが出ていて、引っ込むところは引っ込んでいる。
まるで二つのマスクメロンが詰まっているかのように膨らんだ胸元は、小さめのワンピースの胸元を窮屈そうに押し上げている。
その下の腹部はきゅっと絞られていて、そのヘソのラインまでワンピースの生地はくっきりと表現していた。
さらに、その下……ガラス製のテーブルだからこそ見える下半身。
スチールラックに余るほどのむっちりと肉の詰まった臀部を、申し訳程度に隠すワンピースの裾。
おそらく股下5センチほどしか隠せていないであろうワンピースから伸びる足は長い。
太ももは柔らかそうに丸みを帯びていて、それを光沢めいたストッキングが覆っており、その眺めをさらにいやらしくしている。
これまた長く、くっきりと筋肉すら見せつけるふくらはぎの先には、妖艶な赤いハイヒール。
そう、彼女は妖しい神秘を持った女性だった。
今まで女性に接したことすら稀だった僕は、その足の付け根……スカートの奥にわだかまる闇をちら見せずにいられなかった。
「武器なんか持ってないって、わかってくださったかしら?」
そう言いながら、ゆっくりと脚を組みなおすユキナ。
僕はストッキングに包まれた脚がむにゅりと形を変えながら入れ替わる様を見ながら、知らずに溜まっていた唾を飲んだ。
「早速なんですけど……」
そう言ってユキナはテーブルの上に身を乗り出した。
大きく胸元の開けたワンピースの奥に、ふっくらとした乳房の谷間が見える。
僕はそれだけで混乱していたのに、続くユキナの言葉は僕をさらに混乱させるものだった。
「……一晩、私を買いませんこと?」
「…………!」
僕はただ閉口して、ユキナの妖しい笑みを見つめるしかなかった。
大きい二重の目を見ていると、その中に吸い込まれてしまいそうで、あせって視線をそらす。
しかし、そこには妖しい影をたたえる胸の谷間があり、さらにそらせば奥底に神秘を隠すスカートがあった。
もはや僕の心臓は寿命を早めんとするがごとくスピードで律動していた。
「ふふ、坊やはこういうことははじめてかしら?」
「……あ……あ……」大量の唾を飲み込んで、「当たり前じゃ、ないですか……こんな、こと……」
「そんな緊張するようなことじゃないわ。これは楽しいことなのよ。ちょっとした楽しい時間を、ちょっとしたお金で買う……当然のことでしょう?」
言い含めるように続けるユキナ。
僕は錯乱しつつも、うごめき続けるユキナのぽってりとした唇を目で追っていた。
「ちなみに、一晩で10万ゴールドよ」
「じゅ、10万!」
その金額に、倹約家の僕は声を上げてしまう。
一匹の強い魔物をやっとのことで倒して、やっと1000ゴールド稼げるかどうかなのだ。
今、僕が持っているパーティのお金は12万ゴールドぐらい。
彼女を一晩買うだけで、その金額のほぼ全額が消えてしまう。
「いいじゃない、10万ゴールドぐらい。それに、宿屋のマスターに聞いたわよ。坊やの一行が一緒にいるのは今夜が最後なんでしょう? だから高い部屋を取ったって話じゃない」
確かにそのとおりだ。
今まで苦労してきた分、最後になるであろう今日ぐらいは豪華な部屋でぐっすり休もうという話になったのだ。
しかし、だからといって、今まで散々危険な目にあって、時には死に掛けながらも魔物を倒し、貯めに貯めたお金を、一晩のために使っちゃうだなんて……
「……? あら、ミルクがあるわね」
「え?」
必死で思考を重ねる僕に構わず、ユキナはガラス製のテーブルに置かれたミルクを手に取った。
「喉が渇いたから、いただくわね」
「え、ちょっと……!」
僕が買ったものなのに……と続ける間もなく、ユキナはミルクの瓶に唇をつける。
うごめく喉。
そのとき、ユキナは妖艶に目元で弧を描いた。
「んっ……んくっ……んちゅるぅ……」
「…………!」
なんと、ユキナはミルクをわざと音を立てて吸いはじめたのだ。
子供の僕でも背筋が震えるような、いやらしい水音が部屋に響く。
「ちゅずっ、んちゅぅ……くちゅくちゅ……こきゅっ……」
今度は口内でミルクを転がし始めた。
世にも奇妙な状況に、僕はただユキナの口元に見入ることしかできない。
「んっ……ぷぁ」
半分ほど減ってから、ユキナは瓶から口を離す。
その瓶の口には、ユキナの紫紺の紅がくっきりと残っていた。
「ふふ……ちょっとこぼしちゃった」
「ああ……!」
思わず声を上げてしまう。
なんと、ユキナの唇の端からミルクが滴り落ちてきたのだ。
そのミルクの水滴は、開け放たれた胸元、乳房の斜面に降り立つと、重力に逆らうことなく弧を描いて谷間の奥、神秘の闇へと消えてゆく。
また、それとは違うミルクの水滴が組まれた太ももにも落ちる。
白い液体はストッキングの繊維にしみることなく、またも弧を描いて股間の闇へと沈んでいった。
白濁した液体が、あられもないユキナの肢体にもぐりこんでゆく。
僕は知らず、手にしていた財布を開けていた。
「……こ、これで……」
「ふふ、いい子ね。1、2、3……10万ゴールド。確かにいただいたわね」
僕はジョー達への背徳感を覚えながら、しかし体が火照って仕方がなかった。
「は、はやく……なんとかしてよ、ねえ!」
何をどうしたらいいのかわからなくて、思わず高鳴った気持ちを声にしてしまう僕。
しかしユキナは動じず、ゆっくりとした動きで自らの財布に10万ゴールドを入れると、赤面している僕の顔ににっこりと笑みかけてきた。
「あせらないの、坊や……いい子にしていなさい」
そう言って、ユキナは改めてミルクの瓶を手に取ると、口内にミルクを含んだ。
ゆっくりと立ち上がると、テーブル越しに僕へと顔を近づけてくる。
僕はわなわなと震えながら、彼女のみずみずしい口元へと顔を寄せ……肉厚の唇にしゃぶりついた。
「んぅ、んっ、んむ〜〜〜!」
「ふふ……」
ユキナは喉の奥で笑うと、閉じていた唇を開く。
とたん、僕とユキナの唇の間をしたたるミルク。
そして……ユキナの熱い舌から伝ったミルクが、僕の口内に侵入してきた。
「んちゅっ、ちゅぶっ、くちゅくちゅっ、ちゅぼぁ……!」
「ん〜! んちゅっ、んちゅっ、んむ〜〜〜〜〜〜!」
動けずにいる僕をリードするように、ユキナはテーブル沿いにこちらに歩み寄ると、小さな僕の顔を抱えるように腕で包み、さらに濃厚なキスをはじめた。
交換される唾液とミルク。
口内でゆすぎ、相手に贈り、その相手も口内でゆすぎ、それを相手に贈る……そんな淫らな儀式。
ユキナはただもだえる僕を逃がさないようにがっちり僕の顔を抱え、口内でミルクと唾液を熟成させては、濃厚な淫汁を僕に送り続けた。
3分ほどたって……僕は熟成ミルクをたっぷり飲み込んでしまっていた。
拘束をといて離れるユキナ。
腰を抜かしてへたりこんでいた僕は、口をだらしなく開きながら、懇願するようにユキナを見上げる。
「ふふ……そう。坊やはマゾっ気があるのね。それじゃあ……」
そう言って、ユキナはひとりスチールラックに座ると、妖艶な動きで脚を組んだ。
僕は床からそんなユキナの美しい肢体を見上げるだけだ。
「もっとミルク飲みたい?」
「ふぁ、ふぁいぃ……!」
「そう。だったら……」
ユキナはテーブルの上にあったミルクの残りを手に取ると、ひざ上に落とし、ふくらはぎを伝って、ストッキングに包まれたつま先までミルクを垂らす。
「これを飲みなさい」
「はい!」
僕は獣のように彼女の足先へとしゃぶりつく。
ちゅうちゅう吸ってミルクを口内に溜めては、また足先に浸して、彼女のエキスを濃厚にしてから飲み干す。
ストッキングに包まれたつま先は、頭がくらくらしそうなほどの汗の匂いに満ちていて、それがミルクを一層濃厚にさせてゆく。
「こら、なにミルクを戻してるの!」
ミルクをつま先に浸しているのがばれて、ユキナは強い口調で怒った。
怖がりつつも、しかしミルクを浸すのをやめない僕の顔に足の裏を乗せると……そのまま僕を強くふんずけた。
床に当たる後頭部。
「いたっ……!」
「なによこのドマゾ少年が! 逆らうような悪い子には、こうよ!」
そう言って、ユキナは足先に垂らしていたミルクの残りを、床で絨毯のように踏まれている僕の顔に垂らし始めた。
足の裏に口を密閉され、落ちてくるミルクに鼻で息もできなくなる僕。
ぎゅうぎゅう踏まれているうちに、ミルクは底をついたらしい。
気づけば僕の全身はミルクに濡れ、臭い匂いを発するようになっていた。
「あら……」ユキナは鼻で笑いながら、僕の顔を踏んでいた足を離した。「今のはお仕置きだったのに……なにかしら、この屹立したものは?」
そう言って、僕の顔を踏んでいた足を離すユキナ。
その足先が向かった先は……僕の股間だった。
「いっ、ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!」
途端、今まで味わったことのない快楽が全身を駆け抜ける。
こんな快楽は、知らない。なんなんだ、これは!
「やっぱり童貞だったのね、ハハッ!」そう言って僕をあざけるユキナ。「こんな坊やがセレブ御用達の私とまぐわおうなんて、10年早いわ! 今夜は目いっぱい、これでお仕置きしてあげる!」
ミルクとは違う何かにぬめった僕の股間を、ユキナの足先がズボン越しにこねくり回してくる。
僕は、どんな魔物に傷つけられたときもあげたことのない声をあげて、一晩ユキナにいじめぬかれたのだった……
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