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バトルファック部物語(12)

「練習試合?」
「はい」
「俺、退院したばっかりなんだけど」
「大丈夫です。問題ありません」

久々に部室を訪れた俺に、紫先輩は笑顔で言った。

「メインは私達女子だから」

蘇芳が素っ気無い態度で言う。
今更気にすることでもない。3日と明けず見舞いに来てくれてた時もこんな感じだった。

「オレ達の練習に付き合わせるだけじゃ、女子達の体がなまってしまうからね。
 彼女達のレベルに見合った強豪を招いてお相手願うんだよ」

山吹が苦笑いで言う。

「つまり僕達男子は勝ち目なし。ただの頭数合わせさ」

藤が相変わらずの薄笑いで言う。

「波自さんにとっては初めての対外試合になります。
 雰囲気を楽しむくらいのつもりで気楽にどうぞ」

そう紫先輩が締めくくって、その日のミーティングは終わった。
俺を病院送りにした張本人は、菓子皿につっぷしてヨダレを垂らしながら寝息を立てていた。


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「それでは、色城高校、対、花園学院の試合を始めます。礼!」
『『『『『『よろしくおねがいしまーす!!』』』』』』

そんなわけで日曜日。
世間一般の健全な高校生達が自由と青春を謳歌するこの日に、
俺は部活動に励むこととなったのである。

「先鋒、前へ!」

相手校の先生らしき審判の呼び出し。
そういえば、うちの部には顧問とかいないのだろうか。

「呼んでるよ、コウくん」
「……がんばれ」
「お気楽にどうぞ」

黄色い声に押されて、ベッドに上る。
対して向こうは落ち着いたもので、さっさとガウンを脱いでベッドで俺を待っていた。

……この子が、俺の対戦相手か……

今更BF選手のスタイルの良さについて言及することもないだろう。
華奢な胸の上に突き出した、軽く90を越える乳。
真っ白な双丘の上に可憐な桜色の乳首、そこに艶やかな黒髪がわずかにかかり、そよいでいる。

俺と目が合うと、軽く首をかしげて俺を見上げ、にこっと笑った。
処女のようなあどけない微笑みだった。

「よろしくおねがいします。お互いがんばりましょうねっ」

そう言ってぺこりと頭を下げる。

「あ、どうも」

俺もつられて頭を下げる。
……俺としたことが、こんな可愛い女の子を前にこんな挨拶しかできないとは。

分かってる、気遅れてるんだ。
BF部の女子達の、女としての性能に恐れを抱いている。
だから、こんな彼女いない暦=年齢の男みたいな腑抜けた初対面になってしまう。

「波自コウジ、対、吉野桜。はじめ!」

審判が手を振り下ろす。

ええい、なるようになれ。
俺は覚悟を決めて彼女… 桜ちゃんに歩み寄った。



「はひゃぁぁぁぁぁ!?」
「それまで! 勝者、吉野桜!」

試合時間25秒。失神KO負け。それがオレのデビュー戦だった。

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