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バトルファック部物語(11)

カーン!

ゴングが鳴ると同時に、彼女は一直線に飛び出してきた。
地面スレスレの低いタックル。
その素早さに、避けきれないと判断した俺は、腰を落として迎え撃つ体勢を整える。
俺の3分の2にも満たない彼女の体。正面からのタックルなど簡単に潰せるはずだ。
そして俺たちの体が激突した。

ぼいんっ……

「うっ!?」

彼女の胸が、俺の腰を直撃する。
華奢な彼女の体の中で、そこだけがスーパーヘヴィ級の衝撃だった。
踏ん張った足の力がガクリと抜け、俺はそのまま彼女に押し倒された。

受身を取ろうとしたが、腹にも首にも力が入らなかった。
後頭部をマットに強打する。
柔らかなBFのリングのマットでさえ、一瞬目が眩むほどの衝撃。レスリングのマットだったら失神していたかもしれない。
視界を取り戻す。天井が見える。照明がチカチカと映る。
慌てて起き上がろうとした瞬間、腰の下にヒザを挿し入れられて仰け反らされた。

ヤバいっ!

視界を天井に向けられたまま、俺はとにかく逃れようと身をよじった。その瞬間、

「うおおおおおおっ!!!???」

俺は絶叫した。
体がピーンと突っ張って浮き上がり、次の瞬間に脱力して落ちた。

俺のチンポは、タックルの体勢からそのまま、彼女のオッパイの谷間にガッチリ挟み込まれていた。
不用意に身を捩った俺のチンポは彼女の弾力の反動をまともに受け、どっと先走りを溢れさせた。

ヤバい、ヤバい、ヤバい。
軽いパニックに陥った俺はとにかく逃げ出そうと身を捩る。
だが、もがけばもがくほど気持ちよくなる。
吸い付くような彼女の乳房が弾み、俺に快感を跳ね返してくる。

「うああ……」

俺は腰の動きを止めるしかなかった。

くす……

彼女が笑った。
勝利を確信した微笑だった。

「あぁーーっ!!!!!」

動きの止まったチンポを、思い切り挟み潰されシゴき上げられて、俺は女のように啼くしかなかった。

天井の照明が白くフラッシュし、体の芯から大量の熱いモノが彼女のオッパイへ殺到していく。

全身をトランポリンで跳ね上がられたかのような衝撃が来て、長い浮遊感の後、文字通り魂が抜けたような虚脱感と、落下感。

「ダウン! ニュートラルコーナーへ!」

レフェリーの声が遠く聞こえた。


大の字になって、ひゅうひゅうと喘ぐ俺を尻目に、彼女は悠然とニュートラルコーナーへ引き上げていく。
すらりとした脚と、むちっとしたヒップが揺れるのを、俺は呆然と見送った。
コーナーで彼女は振り向き、俺を見下ろしてにこっと笑う。
そして無造作にティッシュを手に取り、俺が浴びせた精液を拭き取り始めた。
顔に、髪に、胸に。自分が出したとは思えないほどの夥しい量だった。
電光掲示板が視界の隅に入った。試合開始から30秒。
屈辱を感じるヒマもなく、レフェリーが俺の顔を覗き込んでくる。

「まだやれるか?」

「あたり…まえ…」

力強く頷いたはずの声はかすれていた。

「目を見せて」

戦意を込めてレフェリーの目を睨み返す。
が、レフェリーは厳しい顔で首を振る。

このままTKO負けなのか。
たったの1ラウンド30秒で、彼女とのバトルは終わってしまうのか。

「まだ…やれます!」

コーナーから俺を見下ろす彼女の笑顔を思い浮かべ、それを睨みつけるようにレフェリーの目を見る。

「………よし」

レフェリーは厳しい顔のままで、それでもうなづいてくれた。


「ファイッ!!」


レフェリーのコール。観客の歓声。

彼女は苦笑して髪をかきあげると、ニュートラルコーナーを出て俺に歩み寄ってきた。
俺は身を起こし、立ち上がって彼女を迎え撃とうとする。

が……

俺は立ち上がれなかった。
足に力が全く入らなかった。
完全に、腰が抜けていた。

「あ……」

間の抜けた声を出す俺の股間へ屈みこんだ彼女が、もう一度俺のチンポをオッパイの谷間に挟み込んだ。



滅多打ちだった。

俺の股間で∞の軌道を描く桜色の乳首を、俺は蕩けきった目で呆然と眺めるだけだった。

「ストップ! ストップだーっ!!」

カンカンカン。打ち鳴らされるゴングの音が遥か遠くに聞こえた。


きもちよすぎるうぅ……


それだけを考えながら、俺の意識は白んでいった。



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「巻き戻してスローで見てみましょう」

紫先輩が手に持ったリモコンを操作する。
プロジェクターが白板に作った大画面の中で、精液がチンポに吸い込まれていく。
男女6人。AVの鑑賞会ではない。
れっきとした部活動である。

「はい、これが乳タックルです。殿方の陰茎を谷間に挟むように正面から向かっていくのが両乳タックルですね」

一時停止。
女選手に抱きつかれた男選手の表情は、同じ男として見るに耐えないほどだらしなかった。

「谷間に挟むのではなく、陰茎に乳房をぶつけるように向かっていく片乳タックルというのもあって、実戦で多く使われるのはそちらですが… まずは基本として、両乳タックルから練習していきましょう。これはBF史上最も完璧な乳タックルの一つと言われている映像ですので、よく見ておいてくださいね」

画面を食い入るように見つめながら真剣な顔でこくこく頷いている蘇芳がどこかしら滑稽でしかたがない。
俺はどことなく冷めた気分で、異様な雰囲気の部室を見回していた。

ぱり、ぱり

冷めた気分のヤツがもう一人いた。
スナック菓子をつまみながら、退屈そうに画面を見ている。

茜だ。
思えばこいつもBF部に入って2ヶ月足らず。こういうノリにはまだ馴染めないのだろう。
俺はどことなくほっとした気分で茜のほっぺたをつついた。

「ふに?」

頬袋にドングリを詰め込んだリスのような顔で振り向く茜。

「両乳タックルだとよ。オマエ分かんの?」
「んー、よくわかんない」

そりゃそうか、と笑いかけた俺の耳に、スナック菓子を飲み込んだ茜の次の言葉が飛び込んできた。

「なんであんな風にやるのかな? もっといいやり方があると思うけど」

部室の空気が凍った。
4つの視線が茜に集中している。

蘇芳の目が丸く見開かれている。
山吹が大口をぽかんと開けている。
藤は相変わらずの薄笑い。
55秒のテープは砂嵐に変わった。

「…茜、さん?」

紫先輩が恐る恐る口を開く。
この人の笑顔がぎこちなくなるところなんて初めて見た。

「あの…… もっといいやり方…… と言いますと…?」
「んー…… コウくん、ちょっとベッドに上がってくれる?」

茜は空気が全く読めていないのか、もう一枚スナックを頬張る。
さくっと音を立てた後、無造作な動きでガウンを脱ぎ捨て、ベッドに上がった。

「………」

俺の脳裏に、さっきのビデオで見た、担架で担ぎ出されていく選手の姿が蘇る。
筋肉の引き締まった男の肉体が、まるで生まれたばかりの猫の子みたいにふにゃふにゃに弛緩しきっていて、とても正視に堪えなかった。



………俺、あの人よりいいやり方でされちゃうの?

「コウくん、どしたの? はやく」

茜が何も考えてなさそうな顔で言う。

「コウジさん。副部長命令です」

紫先輩が宣言した。


紫先輩。

茜が手加減なんて知らないのは、あんたも良く知ってるだろ?


「副部長命令です」


ああ、これが体育会系の先輩ってやつか。
俺は天を仰いだ。


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その後、俺が退院するまで毎日見舞いに来てくれた紫先輩は許す。
茜、お前は許さん。今に見てろ。
息抜きの習作。中途半端なのは勘弁。

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